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禁忌×戦闘ディストーション  作者: Riviy
第四章 異変の歌声
43/85

Mission43.苦痛の原因は……


第十部隊の本日の任務は“廃村となった場所の『忌鬼』及び『アラーヴァ』討伐”である。廃村は定期的に討伐に行かないと『忌鬼』の村と化してしまうので大切な任務の一つだ。


訪れた廃村は木々もなければ、虫さえいない荒地だった。所々に今にも崩れそうな家々があるくらいだ。生気すら感じられず、本当に以前、人が住んでいたのかと疑いたくなるほどだった。


〈これさーいないんじゃね?〉

「弥厳もそう思うよなー」


弥厳が辺りを見回して言うとそれに同意しながら千聖が大斧を担ぎ直した。一応として周囲に視線を巡らせてはいるが…………いない、うん。


「ん〜いないねぇ灯茉」

〈そうじゃな〉


国彦の言葉に灯茉はぶっきらぼうに答えた。この廃村に来てから灯茉は何故か機嫌が悪い。国彦以外が国彦に聞かなくても分かるくらいに表情が顔に出ている。来る前までは普通だったのになーと国彦は不思議に思っていた。


「うーん、いない!!」

「隊長、うるさいです」

「西珠のせいで『忌鬼』でも出てきたらどうするんだ」

「なんでオレにばっか集中射撃するんだよ?!」


螢と管狐に立て続けに言われ、西珠はしょぼーんとうずくまった。いい大人がなにやってんだ、と管狐は苦笑気味だが国彦は本気で心配している。螢が「これ、キミらが来る前から日常茶飯事だったから」と付け足す。


「まーもし『忌鬼』とか『アラーヴァ』とか出てきても大丈夫よ。ボクら強いし」

「螢ちゃん、それ自意識過剰って言うんだぜぇ?」

「…………」


さっきの仕返しだとでも言うように復活を遂げた西珠が言う。それに螢がにっこりと逆に怖い笑みで笑い返す。


「隊長ぉー夜間は背後、気を付けてね?」

「闇討ちぃいい?!」

〈隊長、螢のそれ、冗談〉


ヒィィッと大袈裟に飛び上がる西珠に弥厳が冷静に言う。クスリ、と国彦が笑った。釣られて千聖も笑う。

さて、と西珠がもう一度、辺りを見回した。それに管狐が習い、最終確認をする。『忌鬼』及び『アラーヴァ』がいないことを確認し、


「帰還!!」


帰る事にした。だが組織の建物から此処まではかなりの距離があり、迎えが来るまでは暇である。

そんな中、千聖が担当に気になる事を問った。


「なぁ、この村っていつ廃村になったんだ?」

【んーちょっと待ってな。えーと、廃村リスト廃村リスト…】

「廃村リストなんてあるんだ」


耳元のイヤホンでその会話を聞いていた国彦は驚いたように呟き、頭上を漂う灯茉を横目で見た。まだ機嫌が悪い。本当、どうしたんだろう。


〈急にどうしたんだ?〉

「ん?いやな、気になって」


千聖にそう弥厳が問うと彼はそう答えた。先程よりも灯茉の機嫌が悪い気がするが…気の所為?


【あったぞーそこの村は3年前に神様の怒りを買って廃村になったみたいだな】


それを聞いた螢が恐ろしさのあまり自身の体を両腕で抱きしめた。


「すっごっ!あと、この村、何しでかしたんだろうね…神様の怒りで廃村になるって…」

「それほど大きなでき……っ」


国彦が喋っているにも関わらず、その台詞を途絶えた。そして痛そうに頭を抑えている。先程まで機嫌が悪かった灯茉が心配そうに国彦に近づき、近くにいた千聖が大丈夫か?と顔を覗き込む。

痛い、頭が割れそう……!!


国彦は両手で頭を抑える。痛みが凄いのか額からは汗が染み出ている。


「大丈夫か?」

「医療支部呼ぶ?」


他の仲間も心配そうだ。国彦は大丈夫と無理に笑ってみせる。余計に心配そうに灯茉が顔を歪めた。


〈国彦〉

「……灯、茉?」


スゥ…と国彦が顔を上げる。彼の顔は痛みのせいであろう、青白くなっていた。灯茉は国彦の顔面に手をかざした。


〈何する気だ?〉

〈まぁ、見ておれ〉


弥厳が問うと灯茉は軽く笑ってみせた。灯茉は小さく何かを呟きながら国彦の顔の前に置いた手をゆっくりと下げていく。すると国彦の頭の痛みは無くなっていき、顔色も良くなってくる。灯茉が手を外し、国彦にどうだ?と尋ねる。


「………あれ?治った」

「よかったぁ」

「心配させんなよ!」


治ったようで国彦を心配していた全員がホッと胸を撫で下ろした。国彦は何故、頭が痛くなったのか疑問だった。


「(何か………思い出しかけたような…気の所為、かな……)」


心配かけんなよーと千聖が国彦の頭に軽くチョップする。それを大袈裟に痛がるフリをしながら国彦は笑っていた。

それを見ていた弥厳はいつに間にか隣に地に足をつけていた灯茉に気づき、フードの中から問った。


〈灯茉さ、国彦に昔、何かしたの〉

〈何かとはなんじゃ?〉

〈とぼけても無駄。“あれ”、神だけが持つ治療法じゃん〉


弥厳が横目で灯茉を見ると彼は柔らかく笑った。2人の視線の先には迎えが来るまでじゃれる気なのか、笑い合う彼らの姿がある。

弥厳の言う通り、灯茉が行ったのは神様だけが持つ治療法だ。何を治すための治療法かは今だに神様でも不明な点が多い。が、弥厳には何と無く分かっていた。そして、その“理由”も。

柔らかく笑った灯茉を見て弥厳は言いかけていたことを飲み込み、口を閉ざした。


〈……なんかあったら言えよ。貴方達に救われた恩だからな〉

〈心しておくのぉ〉


クスッと2人は笑った。


**


その後日から任務内容が改竄されると云う事件が2、3件、立て続けに起こった。どれも厳重なオペレーター部隊のパソコンに侵入したと見られている。


一方の逃げ出したかもしれない『禁忌』の行方だが、研究部隊らによると『禁忌』は人型ではないか、と云う仮説が浮かんだらしい。

お社についた2つの傷。中につけられた傷も外につけられた傷も刃物なのは間違いない。その傷がつけられた近くに人の足のような跡が残っていたようでそのような仮説が浮かんだそうだ。


『アラーヴァ』についてはやはり『神譜』が一番効果的だと云う。だが、復活させた正体は今だ不明のままだ。中には『禁忌』が逃げ出したから復活したのでは?と云う意見もあるらしいが確かめるすべはない。


誰もが首を傾げながらも通常の任務に勤しんでいるその時、大きな、戦闘せんそうは音もなく彼らに忍び寄り、背後で大きな音をあげた。














〈〈「「サア、コロセ」」〉〉

〈〈「「オマエガノゾンダ」」〉〉

〈〈「「サイコウノ結末ヲ」」〉〉












〈〈悪夢ドリーム or ナイトメアの始まり……?〉〉










螢と弥厳だったら闇討ち出来る気がする…いや、きっと出来る(←)

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