Mission42.一時の平和
今日は連続!
それと執筆中がたくさんあるせいかエラーが起きます…違うと思いますけどねぇ…
翌日。回復した管狐が一応のために検査を受け、それが終わるのを待つ間。彼らはいつものラウンジで寛いでいた。
「………なぁ、国彦」
「?なぁーに西珠さん」
「酒くれねぇかなぁ?」
ソファに大の字になって座っていた西珠が昨日から没収済みの酒瓶を持つ国彦にすがる思いで言った。それを見た国彦がうっと小さく呻き、駄目とかぶりを振った。
「狐さんに絶対渡すなって言われてるから」
「わぁー国彦、狐が言った事、ちゃーんと守っててえらーい!」
螢が約束をちゃんと守る国彦に偉い偉いと微笑みかけながら少し背伸びをしつつ頭を撫でる。女子、女性に頭を撫でられて国彦は困惑したように頬を染めた。
〈螢?〉
「はいはい、ボクの愛しの人はやっくんだけだよー」
ヤキモチを焼いたような弥厳に螢が笑って抱きつく。そのまま2人はソファに座った。それを見た灯茉と千聖が思ったことは同じだろう。
〈「リア充乙」〉
「仲良いねぇ」
同時にハモった2人に被せるように国彦が言った。どっちに仲が良いと言っているのだろう。灯茉は螢と弥厳を微笑ましそうに見る国彦からヒョイっと酒瓶を取り上げた。
「灯茉?そのお酒、どうするの?」
「おいぃ、まさか、飲む気じゃねぇだろうな?!」
西珠が慌てたように言うが腰を上げる気配はない。はたから国彦の臣下である灯茉に勝てっこないと知っているからだが、西珠の片手は傍らに置かれた大剣の柄を握り締めていた。
灯茉は悪戯っ子の笑みを浮かべ、酒瓶の口を開けた。
〈以前から西珠が飲む酒が気になっておったのじゃ。これを好機と見ずにはいられるまい?〉
〈あら。灯茉ってお酒強いのかしら〜?〉
そう言った灯茉に千聖の傍らに置かれた亜矢都(大斧)がからかうように笑う。それを灯茉は手で払って無視すると酒瓶を煽った。途端に国彦の心配する声と千聖、亜矢都、螢、弥厳の笑う声、怒ったように声を上げ、大剣を持って立つ西珠の声が響く。
「ああああ」
「おいお前!!」
灯茉が酒瓶から口を離し、心配そうに自身を見上げる国彦の頭を優しく撫でながら怒った様子の西珠に言った。
〈これで今日は酒を飲めるまい〉
「おめぇなぁ!!その酒はオレが大金はたいて買った代物だぞ!どうしてくれんだ?!」
西珠がそう言うと灯茉はしてやったりとニィと笑った。酒の事になると熱くなる西珠を見て螢と弥厳が「隊長、好い加減諦めたら?」〈酒呑童子の名の通りだなー〉と呆れ顔だ。
「ほぉ?大金はたいて買ったって事、狐に言ってやろ」
「ばっ、馬鹿千聖!そんなことしたらオレが怒られんだろうが!!」
「西珠さん、ごめんなさい!!灯茉が勝手に飲んじゃって…」
千聖が西珠をからかうと国彦がバッと頭を下げて謝罪した。謝罪するほどでもないが。灯茉は酒瓶を持ったまま空中に浮いて暇そうにしている。西珠はガシガシと頭をかくと大剣をソファに放り、
「お前に免じて許す」
国彦の頭をあげさせた。にっこりと大丈夫だと笑うと彼も安心したように笑った。
「………へぇ、大金はたいて買った、なぁ」
「「え」」
その低い声に身を固くした西珠。国彦がソローと声がした方を見、続けて西珠も見る。
「西珠、その酒、部隊資金の金じゃないだろうな?」
そこにいたのは笑っていない笑みを顔に浮かべ、回復した足で仁王立ちした管狐と苦笑する朝陽だった。西珠は明後日の方向に視線をずらしながら「そ、そうだ」と震え声で答えた。管狐が笑っていない笑みを浮かべている時は怒った証拠。つまり、先程までの話を全て聞いた上で怒っている。
「嘘言うな、な?」
「…………………………」
無言は肯定の印。さっきの言葉が嘘だと見破った管狐は先程よりも口元の笑みを深くした。
その後、復帰して来た管狐による西珠の説教が1時間強、ラウンジに響き渡った。他の部隊はそれを「またやったな西珠」と笑って見ていた。
**
管狐の説教が終わり、朝陽が別件で去った頃。西珠がソファにぐったりとしている。その隣にはイチャつく螢と弥厳が座っている。その向かい側のソファには説教を終え、満足した様子の管狐、千聖と話す国彦、その2人の背もたれに腰を下ろした灯茉がいる。ほぼいつもの定位置についた第十部隊。と彼らの所に小乃刃がやって来た。彼女は教え子である2人を見つけると痛ましい傷が付いた片目を持つ顔を綻ばせた。
「あ!教官!」
「久しぶりだな神居、斬原。任務は順調か?」
「ぼちぼちっすね」
国彦が笑顔で向かい入れると小乃刃は彼らを労わる。それに千聖がクスリと笑って答えた。
「朱鳥、どうしたの?国彦と千聖の様子を見に来ただけじゃないんでしょ?」
螢が身を乗り出すようにして問うとそうなの?と国彦が首を傾げた。今だぐったりとしている西珠を尻目に見て小乃刃は懐から折り畳んだ紙を取り出すとポンと千聖の頭の上に置いた。それを千聖は訝しげに取り、広げる。その横から国彦が覗き込む。
「オペレーター部隊に頼まれてな、任務内容だ。任務内容を渡すついでに2人の様子を見にな、他の奴らも見に行くがお前達が最初だ」
「他の同期に宜しく伝えてください!」
「嗚呼、わかってる」
小乃刃が笑う。管狐が軽く頭を下げて礼を言うと西珠も軽く手を挙げた。小乃刃は「それじゃ」と声をかけて去って行った。
〈で、任務内容は?〉
任務内容が気になるようで弥厳が国彦と千聖の方へ身を乗り出して問う。千聖は国彦に彼らに見せるぞと目配せするとペラッと紙を見せた。
「んーとー何々〜ーーー」
さあ、本日の任務へ参りましょう?
**
ある場所では。
〈光希様?〉
「あ、いち兄、シルク」
光希がボーッとしていると壱華と彼の肩に乗るシルクが声をかけて来た。光希は無邪気な笑みで1人と1匹に向かい合う。
「どうしたの?」
〈どうしたもこうしたも、光希様、ボーッとしてどうしたのですか?我が主が心配しています〉
「えっ」
自覚がなかったのか光希は口元に手を当てて驚いた様子だった。壱華は心配そうに彼を見ている。
「んー、そんなボーッとしてた?あたし」
〈ええ、していましたよ〉
光希の問いに壱華もこくりと頷く。光希は突然、神妙な顔付きで声を潜めた。
「なんかね、変な予感がしちゃって」
〈変な予感、ですか?〉
「うん。あたし、お母さんに言われたんだけど予知能力みたいなの持ってるんだって。あたしは自覚ないよ?予知能力“みたい”、なのだし」
光希の答えに壱華が戸惑ったように表情を歪める。光希やシルクにはどうしようと慌てていると分かる。
「まっ、間に受けないでねーいち兄!」
〈無理なお話ですねぇ光希様〉
無邪気に光希が笑うとシルクは今だ戸惑った様子の壱華を見て苦笑した。
〈〈「「マダマダ……コレカラガ、本番……………」」〉〉




