Mission41.改竄ルート・アンチメイデン
「この任務内容、改竄されています」
そう言われ、第十部隊(+朝陽)は驚愕のあまり、固まってしまった。改竄?嘘だろ。けれど、目の前の三者の目が嘘ではない事を物語っていた。
「………どういう」
管狐が全員の代わりに問う。彼もまだ困惑中だ。担当は一枚の紙を彼らの前にスライドさせた。それにも任務内容が書かれている。だが内容と差出人欄の名前が違う。紙には“近頃『忌鬼』が増えて困っているので討伐して欲しい”と書かれており、差出人欄には“浄化神・祈鼎”と書かれている。………明らかに違う。間違えました☆(てへぺろ)とかでは済まされないくらいの間違いだ。
「お分かり頂けましたか?任務内容が多少違います。“困っている”が抜けるだけで大いに状況は変わってきます。それに差出人欄の名前は明らかに違う。今回の第十部隊の任務は神からの依頼。“叶”という名の神は存在しません。今、まさに生まれ落ちたのなら別ですが」
第十部隊(+朝陽)が息を飲む。
存在しない神の名前を騙り、任務内容を改竄。この組織では重罪に値する自体だ。
任務内容は大体が依頼を受け、本部からオペレーター部隊へ、そして最後に任務を任せる部隊へと向かう。本部とオペレーター部隊でダブルチェックを入れるのだ。
「任務内容は本部からオペレーター部隊へ送られた時点で私達以外は閲覧禁止になる事は言わずもなが。閲覧したのは任務状況担当と後輩1名のみ。後輩には任務内容が書かれたファイル全てに厳重な管理を言い渡しており、後輩が毎日変えるパスワードを入力しない限り、閲覧不能。つまり、その厳重な管理を掻い潜り、何者かが任務内容を書き換えた」
〈……疑う訳ではないが、オペレーター部隊の誰かが書き換えた、もしくは本部が書き換えたと云う事はあり得ぬのか?〉
灯茉がそう聞く。それに後方支援支部長が「それはない」と力強く否定した。
「オペレーター部隊の管理システムには2回続けて閲覧する事は出来ないようにプログラムされている。本部もまた然り。本部長と幹部が依頼主の目の前で書類を作成し、依頼主を含めた3人で確認後、オペレーター部隊に送られる……本部で改竄などは難しいだろうな、見つかったらそこで八つ裂きだし」
ハハハハと後方支援支部長がカラ元気に笑う。何があった。
灯茉は納得した様子で苦笑いをすると担当を見た。主導権が自分に戻ったのを確認し、担当は話す。
「本部、オペレーター部隊の改竄可能性が低いと考えると他は内部か外部。他の支部や部隊に電子機器を操る高い技術の持ち主がいないとは限りません。臣下にも出来る者は出来ますし……一応、逆探知はしたのですが空振りに終わりました…」
担当が落胆した様子で言う。
オペレーター部隊は彼らの騒動中に逆探知したのだ。オペレーター部隊のパソコンに“エラー”を騒動の真っ只中で起こした事からオペレーター部隊は内部の様子を伺える者と踏んだ。しかし逆探知は空振りに終わった。
「貴方達の被害も含めて本部に報告します。何か分かり次第にお教えしたい所存です。お役に立てず申し訳ございません。そして、すみませんでした」
一斉に頭を下げた担当と上司、後方支援支部長に彼らは驚き、頭を上げてくれと懇願した。
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なんだが難しい話で目に見えない敵に手のひらで踊らされた感がある。今のところ、被害にあっているには戦闘支部のみ。内部にしろ外部にしろその犯人は何が目的なのだろう?
「……はぁ、こればっかりは分からん。酒で流し込むか…」
西珠が考える事を放棄して移動してきたラウンジにて酒を飲もうと腰につけている酒瓶に手を伸ばす。管狐が車椅子なので取られまいと思ってか先ほどとは打って変わって上機嫌である。
「国彦、千聖!」
「おうよ」
「は、はいっ」
管狐に呼ばれ、すぐさま国彦と千聖が動く。西珠からヒョイと酒瓶を千聖が奪い取り、それを国彦に渡す。まさか2人が来るとは思ってもみなかった西珠は呆気に取られた。
「…………………え?」
「西珠はいつも酒を飲んで迷惑をもらってくるからな、禁酒させる」
「良かったねー隊長」
「良くねぇよ!!」
西珠が大袈裟に頭を抱えるとそれに全員が笑った。難しい事は良く分からないし、犯人も分からない。なら、自分の仕事をすればいい。分からないなら分かる方法で答えを見つければいいのだ。
しばらく笑いあった後、そういえば、と酒瓶を両手で弄びながら国彦が思い出したかのように呟いた。
「狐さんの臣下って……喋ったよね?今回の任務」
「そういえば喋ったな!」
〈そっか、貴方達、聞いたことなかったもんな〉
国彦が言ったことに千聖がそういえば!と同意する。弥厳がハハと笑った。
「喋ったな。俺の臣下は力を使う時によく喋るんだ。普段は喋らない」
〈気分屋か?〉
「半分正解」
お見事、と管狐が灯茉を示して口元を上げて笑った。西珠が国彦から酒を取ろうと狙っているのに気づいた彼は灯茉に酒を預けた。灯茉が取れるか?と挑戦的に笑ってみせる。余計に高く、奪いずらい元へと行った。西珠はガックリと諦めたように肩を落とした。無理、取れない。それを見て朝陽が小さく笑った。そしてそういえば、と朝陽が思い出したかのように脇に抱えていたファイルを漁り出した。
「どうした?朝陽さん?」
〈朝陽で良いぜー西珠さん?嗚呼、んーとなー〉
西珠に軽く笑うと朝陽はファイルから紙を取り出した。なんの紙だろうと国彦が朝陽に近寄って覗き見る。
「検査…結果?」
〈そうそう。呪詛の影響受けたかの結果。全員、影響なし!健康そのもの!〉
〈ただし狐抜かす〉
国彦が呟いた事に朝陽が同意しながら検査結果を言い渡す。その後に弥厳がとってつけたように言うと管狐が明らかにむくれた。
「狐がむくれたの初めて見たな〜」
「僕も」
「俺もだなー」
「オレは長い付き合いだからなぁー」
〈本物の狐のようじゃのぉ〉
〈あーなんか分かる〉
〈見たことあんのかよ〉
全員が口々に感想を述べると管狐はちょっと不機嫌そうに言った。
「何、口々に……」
プッと誰かが吹き出した。何故、吹き出したのかは分からない。けれど、可笑しくなって全員で笑った。全員が無事である事、この時間が平和である事を胸に刻みつけるように。
説明分かんなくなったら「ふーん…」と思っててください。たまに作者も分からなくなる




