表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
禁忌×戦闘ディストーション  作者: Riviy
第四章 異変の歌声
38/85

Mission38.心配事の代償払い




あの一件以来、国彦に対しての嫌がらせはなくなった。いや、完全になくなった訳ではなく、忘れた頃にひょっこりと顔を出すのだ。覚えてる?と言うように。白い便箋の紅い“シネ”から始まり、“コロス”や“キエロ”などの言葉が端から端まで紅い文字で書かれた手紙が同じく白い便箋で朝方に届く。最初の頃、文字は几帳面だったが数を増やすにつれてそれらは憎しみがこもった殴り書きに変わっていった。そんな頃に戦闘支部全部隊が奇妙なイタズラをされた。毎朝、郵便受けの中に『忌鬼』の死骸の一部が入っていると云う気色悪いイタズラである。後方支援支部研究部隊は消えないその一部を『アラーヴァ』の一部と考え、嬉々としていたがこっちにしてみればごめん葬りたいイタズラである。こちらは復活する『忌鬼アラーヴァ』の対応に追われていると云うのに。鬱憤を溜め込んだ誰かの仕業と云う噂が組織内に流れ、それ以降、イタズラはぱったりと途絶えた。


国彦の嫌がらせもその一件以来、ぱったりと途絶えた。本当に止まったかどうかは分からない。あまりおおやけにしたくなかった国彦とは裏腹に何かあった時のためにと灯茉は第十部隊にこの事を話した。彼らは心配してくれたが国彦は大丈夫と笑った。精神的に来ていた国彦だったが途絶えた事と全員の助けもあり、回復。


嫌がらせもイタズラも誰もが「そんな事あったよね」と云う風に忘れかけて来た時、それはただの序章に過ぎなかったと思い知る。


**


その日、国彦達はいつものように『忌鬼』討伐任務に当たっていた。一面に広がる『忌鬼』の群れに西珠は大剣を担ぎながら苦笑を漏らす。


「今日も凝りねぇなぁ」

「『禁忌』を解放するために『神狩り』をやっているんだ。こいつらにとっては精が出る仕事ことなんだろ」


その隣で管狐が刀を抜き放ちながら言った。螢が槍の切っ先を確かめながら2人の会話に苦笑した。


「まっボクらには関係ないよね」

〈そうだなーあ、隊長ー隊長の奢りで酒飲もうよ〉

「おっ!良いこと言うねぇ弥厳!」

「ちょっと、やっくん?!」


突然の弥厳の提案に早速、西珠が飛びつく。西珠は酒が飲めれば良いらしいが“隊長かれの奢り”だと云う事に気づいているのだろうか。螢は弥厳の提案に驚いたように声を上げた。管狐はこめかみを抑える…ではなく、仮面を呆れたように抑えた。


「たまにはいいじゃねぇか。第十部隊で酒飲み。良いと思うぜぇ?」

「良いと思うのは酒呑童子の隊長だけです」

「…………………はぁ」

〈ハハ〉


その光景を国彦と灯茉、千聖は呆れたように眺めていた。いつになっても闘いが始まらない事に『忌鬼』も呆れ顔だ。


「あのぉ……」

「おお!悪りぃな!」


国彦の躊躇したような声に全員が我に返り、武器を構えた。やっと闘いが始まる事に『忌鬼』も感じたらしく、数体が獣のように唸りを上げる。


「さぁて、討伐すっぞ!」


西珠が気合いを入れるために叫ぶと彼らは武器を構え、それに応える。


「一体残らず狩る」


ピッと刀を振り、管狐が言う。


「このボクに任せなさい♪」

〈空を拝ませてやる〉


槍を両肩に担いだ螢と弥厳が言う。


「とっとと終わらせようぜ?」

〈無理は禁物よー?〉


大斧を担ぐ千聖に亜矢都が含み笑いをしながら声をかける。


「挽回するね」

〈早よ終わらせよ〉


皆に心配をかけた事を気にしていた国彦は大太刀の柄を握り締め、灯茉はいつもの余裕をかまして言う。

さあ、準備は整った。


「行くぞ!」

『おう!』


本日の戦闘開始だ


国彦は足を軸にして大太刀をグルンと回す。途端にかわしきれなかった『忌鬼』達が真っ二つになる。が普通の『忌鬼』と『アラーヴァ』の違いは見てもわからない。黒い靄とならず、復活を遂げれば『アラーヴァ』。攻撃するまで敵はわからない。国彦が瞬時に周囲に視線を走らせ、普通の『忌鬼』か『アラーヴァ』かどうかを確認する。黒い靄が真っ二つになった『忌鬼』を包み込み、傷を治す。

復活…、『アラーヴァ』か!

国彦は地面に大太刀に切っ先を擦り付けながら復活しつつある『忌鬼』改め新種の『アラーヴァ』に向かって駆けつつ、耳に差したイヤホンから伸びるマイクで仲間達に報告を入れた。


「この『忌鬼』、『アラーヴァ』です!!」

【よっし!ナイス国彦!亜矢都!攻撃力最大まで引き上げろ!】


イヤホンから千聖のやる気溢れる声が聞こえてくる。それに国彦は戦闘中であるにも関わらず、クスリと笑い、少し大きめの『アラーヴァ』に向かって大太刀を振り下ろした。やはり、復活した。国彦はそれを気にすることなく、大太刀を近づいて来た『アラーヴァ』達に振り回した。


〈これこれ、そんなに大太刀はものを振り回すと体力が切れるぞ?〉


頭上から灯茉の呆れ声が響いた。そして、ビシッと国彦が大太刀で攻撃した『アラーヴァ』達に旋風のような深い一線がつく。追撃が致命傷となり、数体の『アラーヴァ』が黒い靄と化して行く。


今だに分からない事が多い『アラーヴァ』だが初戦から戦闘に戦闘を重ね、全支部の研究に研究を重ねた結果、とりあえず二度倒せと云う事に至った。『神譜』でも倒せる事は倒せる。が戦闘支部内で『神譜』について調査を行なったところ、代償が軽い者が少数だった。医療支部や後方支援支部に諸事情のために所属する臣下を持つ者達にも調査を行なったがやはり代償が軽いのは少数。なので『神譜』は最終手段、一応の最善策は二度倒しになったのだ。


消えて行く『アラーヴァ』を横目に国彦は灯茉にお礼を叫びながら次の獲物へとその刃物を向けた。


何故、一部と言うことを考えついたウチ!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ