Mission37.紅き言葉
見る人によっては一瞬、ホラーを感じるかも……?
カーテン越しの微かな日光が顔に当たり、国彦は顔を布団の中に潜り込ませた。
ーボフー
布団の上に何やら重みが。
〈国彦、起きよ。時間じゃぞ〉
布団の中に潜り込んだ国彦の上に乗って灯茉がベシベシと叩くと中から国彦の情けない声がした。
「んん〜……あと…ごひゅん…」
眠いらしく舌足らずな声。灯茉はそんな事などお構いなしに空中に浮かぶと布団を剥ぎ取った。
「うわっ?!」
〈起きよと言うておるじゃろうが。早よせい〉
「……うーん…分かったよ」
しぶしぶと言った感じで国彦は起き出した。
本日はいつも通り、任務だ。眠い目をこすって支度する。嗚呼、そうだ、朝食の準備もしなくては。
国彦は顔を洗い、寝間着から制服に着替えながらやることを思い浮かべる。その間、灯茉は自分と国彦のベッドメイキングをしている。案外、几帳面でシーツがピンッとなっていないと嫌らしい。
国彦は扉まで歩いて行くと郵便受けに何か入っていないかと確認する。
「ん?」
いつもは希望者のみに配られる新聞しか郵便受けには入っていないのに今日に至っては白い便箋も一緒に入っていた。国彦は訝しげに首を傾げながら部屋に戻り、台所へと歩いて行く。
〈何か入っておったのか?〉
「うん。便箋入ってた。なんだろ…」
国彦は新聞を調理場に置いてこちらも訝しげに首を傾げる灯茉と共に便箋を見る。裏返しても差出人の名前はない。宛先であろう国彦の名前のみが白い紙に目立っていた。とりあえず、開けてみようと国彦が封を切る。中の紙を出し、広げた。その中身に
「ひっ?!」
〈なんじゃこれは?!〉
国彦は恐怖で悲鳴を上げ、紙を落とした。持っていてはいけない、国彦の直感がそう告げている気もしたがただ単純に怖かった。その中身、内容は永遠と真っ赤な紅い字で“シネ”と綴られていた。漢字じゃないだけまだ威力が弱い気がするが、こう、紙の端から端まで紅い字で書かれているのは精神に来る。
「………………何これ…」
〈気にするではないぞ国彦〉
「わ、かってる」
震える声で返事をする。国彦は落とした紙を拾い、便箋に入れ直した。こういう時は、千聖だ。千聖に相談しよう。
〈ほれ、早よ朝食にしよう。国彦の料理は絶品じゃからのぉ〉
「ふふ、煽てても何も出ないよ灯茉」
灯茉は国彦から早くその紙の事を忘れさせようと言う。国彦もそれに習い、朝食の準備をしようと便箋を置いた。
「灯茉ー何食べたい?」
〈なんでも良い〉
「ジャスミン茶?」
〈そうじゃ〉
「りょーかーい」
国彦の頭に警鐘が鳴り響いていたが彼はそれを、無視した。
**
「千聖ー」
「ん?なんだ国彦」
本日の任務内容を言い渡され、出発までのしばらくの時間。国彦は不安そうな顔付きで千聖を呼んだ。元気がない国彦に千聖も何か察したらしく、他の仲間達に見えないよう背を向けた。
「どうした?」
「うん…あのさ、これ」
「?便箋?」
「いいから見て」
渡された白い便箋に首をかしげる千聖。国彦が見るよう促し、千聖は怪訝な表情で中身を引っ張り出す。不安そうな国彦の隣では灯茉が心配そうに彼を見ていた。
便箋の中身を見て、千聖は目を見張った。なんだこれ。その一言に尽きる。
「………これ」
「今朝、郵便受けに入ってた」
「………様子を見よう。以前みたいな嫌がらせかもしれねぇし。亜矢都」
〈わかってるわよちーちゃん!〉
千聖が大斧、亜矢都に声をかけると力強い声が返ってきた。どういう意図かは国彦はわからない。けれど、千聖に相談したことによって微かな安心が得られた気がした。
千聖が国彦に便箋を返し、灯茉を見た。灯茉はゆっくりと頷く。千聖はポンッと国彦の肩を叩いた。
「大丈夫だ!」
根拠などないその言葉と励ます笑顔。国彦は笑い返し、力強く頷いた。
「うん!」
思いついたのがこれだったんですよ(言い訳)




