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禁忌×戦闘ディストーション  作者: Riviy
第三章 蠢く気配
36/85

Mission36.束の間の平穏

遅くなり申し訳ありません。あと夜遅くに申し訳ありません。


「それにしましても、千聖様、可笑しなところに傷を付けておりますわねぇ」

「鶴姫もそう思うよね」

「国彦くんもそのほっぺのガーゼ、目立ってるよ」

「どっちもどっち」

「光希に同意」


食堂のテーブルに陣取った国彦達。戦闘支部の全ての部隊隊長が緊急会議で出払っているので全ての任務が停止している。殆どの者達は自室でくつろぐか稽古しているか食堂にいるかの3択である。

国彦達は食堂を選んだ。彼らの向こう側のテーブルには彼らの臣下組が陣取っており、何やら白熱している。


「……あっち、何話してんだろうねぇ…」

「んー大方、また主自慢じゃないかなー」


弐薙の問いに光希がそう答えると以前、それで恥ずかしい思いをした数名はまたか…とくうを仰いだ(主に国彦と千聖)。壱華はと云うと両手でお茶が入ったコップを持って彼らの会話をニコニコしながら眺めている。シルクと彼の妹、弐薙曰く「友人が楽しくお喋りしているのを見るのが好きなんだって」らしい。

と、国彦がふと思った事を弐薙に問った。


「そういえば弐薙さん。君の臣下、見てないけど…」

「そういえば。この間は点検中でお会い出来ませんでしたわ。本日はどうされたんですの?」


国彦に続き、鶴姫にも問われ、弐薙は頬をかいた。光希も気になるのか先程からキラキラとした視線を向けている。千聖も気にはなっているようだ、視線が軽くこちらを向いている。壱華は何か知っているようでソローと視線を外す。弐薙は臣下組の方をちらりと見て、声を潜めて言った。


「………実は私の臣下、

兄さんの臣下のシルクにご執着、なんだよね」

「………え、ぇえと?つまり?どういうこと?にー姉?」


光希が身を乗り出して聞く。壱華と弐薙の兄妹を除く全員が彼女の言った事に首を傾げていた。弐薙が壱華の方を向くと彼は軽く微笑んで、了承の意を示した。弐薙は皆に向き直り、こう告げた。


「私の臣下はね、ちょっと病んでるとこがあって。そこをシルクが何気なーく注意したら好かれちゃったんだよね」

「あーなんかシルクなら納得。それで執着してるんだ。でも、一体どこにいるの?」


全員が納得し、次の疑問が浮かぶ。それを国彦が全員に代わって代弁すると全員(壱華と弐薙の兄妹除く)が大きく頷いた。

弐薙の臣下の事はわかった。なら、その本人は何処なのだろう?

弐薙が恥ずかしそうに言う。


「……今日も………点検中です」

「「「なにやらかしたの(ましたの)?!」」」


それに国彦、光希、鶴姫が叫ぶ。千聖も嘘だろ、と目を見開いている。本当のことなのか壱華は小さく頷いた。肯定されてしまい、「「えぇー…」」と国彦と光希の声が重なる。


「私の臣下、いっつも大怪我負うんだよねーシルクに良いとこ見せたいがために………逆にシルクに引かれてるって気づいてないんだけど」

「あらあら…それはなんと申しましょうか……がんばってください?」

「うん、ありがとうつるちゃん」


空元気に笑う弐薙。鶴姫が心配そうだったが壱華が大丈夫、と頷いて見せたので安心したようだった。

と、その時


〈光希!壱華!弐薙!シルク!〉


防衛部隊を呼ぶ声がした。全員がそちらを見ると長谷部が食堂の入り口付近に立っており、行くぞ、と手で指示していた。彼は緊急会議に出席していたのかは分からないが此処にいるという事は出席していなかったのだろう。それに壱華が素早く立ち上がるとシルクを迎えに行った。


「はーい、今行くー」


弐薙が「よっこらせ」と女性が言うには違和感がある台詞を言いながら重い腰を上げた。光希も立ち上がり、2人は彼らを振り返る。


「じゃ、お先にー」

「またね!」

「またねー」


2人の挨拶に国彦が返し、鶴姫が手を振る。シルクを抱えた壱華も彼らに軽く頭を下げながら2人と合流し、長谷部と共に行ってしまった。すると今度はツルギがやって来た。


〈姫様、そろそろお時間です〉

「あらあら、もうそんな時間?それではお先に失礼致しますわ」


ツルギが差し出した手に自身の手を重ねて鶴姫は立ち上がり、国彦と千聖に軽くお辞儀をして去って行った。なんの時間か気にはなったが。


「さて、俺達は臣下組の方に移動すっか」

「そうだね」


千聖の提案で2人は今だ白熱している自らの臣下、灯茉と亜矢都がいるテーブルに向かって歩き出した。


**


第十部隊の隊長・西珠と管狐が帰って来たのは国彦達の元に蛍と弥厳が合流して共に夕食を摂っていた時だった。


「あ、おかえりー」

「おかえりなさい!」

「先に(モグモグ)食ってる(モグモグ)」

〈ちーちゃんお行儀悪いっ!〉


全員で食堂で作られた夕食を食べている席に2人は近づくと西珠は弥厳が残していた卵焼きを手掴みした。


〈あーー!!オレの晩飯!!〉

「いいだろぉ?!こちとらさっきまで会議で腹減ってんだから!」


悲鳴を上げる弥厳などお構いなしに西珠は卵焼きを口の中に放った。途端に弥厳の怒ったような声が上がる。その横で国彦がお茶を淹れたコップを管狐に渡しながら問う。


「さっきまで会議だったの?」

「嗚呼。今後の任務や対策なども練っていたから随分、時間を食った」


悪い、と言いながら管狐は国彦からコップを受け取ると一気に呷った。冷たい、冷やされていたであろうお茶が何も飲んでいなかった喉に沁みる。


人間ひとは何日ほど飲まず食わずの生活をすれば死を目前にするのじゃろうなぁ…〉


何を思ったか、灯茉がそう漏らす。全員の視線が集まった事など知らずに灯茉はお茶を飲んだ。


「……えっと……」


国彦が戸惑うように声を上げ、軽く頭を下げた。いつもの事なので気にはしないが国彦自身はするらしい。

西珠がドカッと千聖の隣の椅子に座った。その後、全員で夕食を食べながら団欒していた。




〈〈「「サァ………コノ思イノママ二………喰ラエ……」」〉〉



何処かで“誰か”が嗤った。

何処かで“誰か”が動いた。

何処かで“誰か”が蠢いた。

何処かで“誰か”が“その思い”を露わにした。


話題が思いつかなかった(言い訳)

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