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禁忌×戦闘ディストーション  作者: Riviy
第二章 戦闘支部第十部隊『神樂』
17/85

Mission17.『忌鬼』VS

軽いスランプ中ですー


『忌鬼』に囲まれた、とわかった彼らは武器を握り締めた。

国彦は灯茉に手伝ってもらい、鞘を抜く。千聖はブンッと軽口を叩く亜矢都、大斧を構え。

鶴姫が両手をかざすとそこに何処からともなく落ちてきた鶴の羽。それが彼女の手のひらに落ちると白銀の扇と化した。ツルギは何処からともなく大弓を取り出すと矢をセット。いつの間にかその背には矢がたくさん入った背負い物をしている。


戦闘準備完了。


「国彦」

「ん?ナニ千聖」


千聖が国彦に手を出す。それに一瞬、首を傾げた国彦だったが次の瞬間には分かり、二ッと笑い、パチンッと自分の手を千聖の手に叩きつけた。


「さて、ツルギ」

〈はい〉

「いつも通り参りますわよ!」


白銀の扇で口元を隠した後、ばっと構える鶴姫に、頭を下げるツルギ。

さあ、『忌鬼』討伐を始めよう。


「行こっ!」

「任せな」

「根絶やしにしてやりますわ!」

〈加減はなしじゃな?〉

〈行っくわよー!〉

〈支援は任せろ〉


そして彼らは『忌鬼』の群れに向かって跳躍した。


国彦は大きく跳躍すると『忌鬼』の群れに大太刀を突き刺す。一体の『忌鬼』の脳天を貫いた大太刀を抜き放ち、その『忌鬼』を踏み台にしてまた大きく跳躍する。地面に着地し、大太刀を振り回す。『忌鬼』の刃物を薙ぎ払い、その勢いで体も吹き飛ばす。大太刀を振り回しすぎて体力がなくなり、ガツンと大太刀を地面にぶつけた国彦の背後を狙う『忌鬼』が数体。それに気づいた国彦が大太刀を振ろうとしたが、何かに気づいて前方の敵に集中した。これ幸いと『忌鬼』は攻撃を仕掛ける。が、途端に数体の『忌鬼』が首から真っ二つになった。考える暇もなく黒い靄になる『忌鬼』の上で灯茉が妖艶に笑っていた。


『忌鬼』の刃物を空中で一回転して千聖は避けるとその背に大斧を振り下ろし、倒す。背後から襲ってくる『忌鬼』に振り返りざまに大斧を振り回し、人間で云う胸の辺りから真っ二つに。刃物を振って来た『忌鬼』の刃物を防ぐとその顎を蹴り上げる。と、その『忌鬼』の胸辺りに背後から刃物の切っ先が突き刺さった。そして華麗な剣さばきがその『忌鬼』を襲う。黒い靄となって消えた『忌鬼』の向こう側から姿を現したのは国彦。千聖は礼を言う代わりに二ッと笑う。それに国彦もいいえと笑い返した。2人は背中合わせになり、まだいる『忌鬼』を睨みつける。ジリッと近寄って来た『忌鬼』に国彦の頭上にいた灯茉がピッと右手を振る。すると2人を囲んでいた『忌鬼』の首や体が次々とはねられ、驚く『忌鬼』に国彦と千聖が最後の一撃を加えて倒して行く。


〈国彦、無理はするでない〉

「大丈夫だよ灯茉。ちょっと無茶しちゃっただけだから」

〈ちーちゃん?突っ走って行っちゃダメよ?〉

「わーってる」


それぞれの主に、臣下は声をかけ、『忌鬼』に向かって刃物を振った。


ズシャッと鶴姫が扇を『忌鬼』に斬りつけるとその『忌鬼』の胸辺りを背後から撃たれた弓が射抜く。鶴姫は華麗な身のこなしで『忌鬼』に最後の一撃を与える。ツルギは鶴姫の後方から大弓で『忌鬼』の脳天や人間で云う心臓、脛、目などを的確に射抜き、鶴姫がそこに最後の一撃を与えて倒して行く。

鶴姫が少々返り血で染まってしまった扇をピッと払う。


「ツルギ、上々の出来ですわ」

〈お褒めいただき光栄です〉


鶴姫がうっとりと笑って言うとツルギが軽く頭を下げる。そして2人は再び、『忌鬼』に切りかかった。


**


灯茉はピッと右手を振って上空からちらほら残った『忌鬼』を見やる。大太刀を振り回す国彦と大斧を振り回す千聖、急所を的確に射抜くツルギと弱った所を瞬時に倒す鶴姫。この調子ならあれだけたくさんいた『忌鬼』もすぐに片付くだろうと灯茉は思った。

だが


〈………?〉


何かの気配がまだ、残っている。それもとてつもなく大きな気配。

その気配はすぐさま現れた。


全ての『忌鬼』を倒した、と彼らが安心した瞬間、大きな狼の姿をした『忌鬼』が現れた。こいつが最後らしい。全員は武器を握り締め、跳躍。


「ツルギ!わたくし達の援護をお願いいたしますわ!」

「灯茉!援護お願い!」

〈はい〉

〈嗚呼〉


灯茉とツルギが援護に周り、攻撃を放つ。が『忌鬼』はすばしっこく、それらを全てかわすと千聖の前に躍り出た。千聖はブンッと大斧を振る。ガキンッと大斧と鋭い爪、牙が交差する。大きな狼の姿をしている分、力が強く、ズルズルと千聖が押されて行く。懸命に抑えるが力の差がありすぎる。


〈ちーちゃん頑張って!〉

「うっせ、亜矢都…」


亜矢都の声援に軽くそう返す。千聖は踏ん張る。そしてかろうじて大斧を振った。がそれは虚しく『忌鬼』によって防がれ、悔しそうに顔を歪めるが、次の瞬間、その『忌鬼』の背後に国彦と鶴姫が襲いかかり千聖は後退。それにより『忌鬼』は防いでいたものがなくなり前のめりになる。驚いた様子の『忌鬼』が後ろを向いた時には国彦の大太刀と鶴姫の扇が目前に迫っていた。国彦と鶴姫が攻撃する、が大きな狼の姿をしているくせに毛が硬く、擦り傷程度の傷しかつかなかった。一旦、後退し、国彦と鶴姫は千聖と並んだ。

灯茉が再びピッと右手を振った。本当に硬いらしく灯茉は顔を歪めた。


〈硬いのぉ。でも、分かったぞ〉

〈分かった?なにが?〉


灯茉がニィと見つけた、と笑った。それに隣にいたツルギが首を傾げて問う。灯茉は『忌鬼』のある場所を指差した。そこは『忌鬼』の首だった。


〈首?〉

〈首じゃ。あそこだけ毛が柔らかい。あそこを狙えば倒せるじゃろう〉


灯茉の考えが聞こえたらしく国彦は2人と頷き合った。


「ツルギ、お話は聞きましたわ!『忌鬼』を翻弄させておやりなさい!」

〈承知致しました〉


鶴姫の指示にツルギが強く頷き、大弓に矢をセットし、『忌鬼』の頭上を越えるように撃った。その矢に『忌鬼』は視線を奪われた。そこに灯茉が右手を挙げ、横に振った。


〈さっさと倒せ!〉


『忌鬼』の両目が横に一線して切られ、『忌鬼』が悲鳴を上げ、爪をあっちこっちに振り回す。それをかわしながら、3人は『忌鬼』に近づく。が爪を振り回しているため、3人が予測不可能な動きによって少々傷を負った。国彦は左肩、千聖は頬、鶴姫は右足。しかし彼らはその傷をもろともせずに『忌鬼』の首を狙って跳躍した。


「倒した!」

「おめでとうございますわ!」

「あー疲れた…」


3人の攻撃は見事、『忌鬼』の首に命中し、ざっくりと切り落とした。そのため『忌鬼』は首と身体に真っ二つになり、黒い靄と化して消えた。

喜ぶ国彦と鶴姫の隣で千聖が頬についた傷をなぞった。それでハッとした千聖は喜んでいる2人を振り返った。


「おい、お前ら。怪我大丈夫か?」

「んー僕は肩だからね。利き手じゃない方でよかったよ、軽いし」

〈国彦の事じゃ、すぐに良くなる〉

「灯茉もこう言ってるしね」


国彦は怪我した左肩を撫でながら心配には及ばないと笑う。灯茉がいつの間にか来ており、よくやったと国彦の頭を優しく撫でた。

千聖はそうかと安心し、笑うと鶴姫の方を見た。白いブーツに赤い血が染み込んでいる。鶴姫はあらあら、と慌てた様子もなく、右足のブーツを脱ぐ。とツルギが鶴姫とは逆に慌てた様子でやって来るとフラフラしている鶴姫の手を掴んだ。


〈姫様、大丈夫ですか?〉

「ええ、大丈夫ですわ…うーん、あまり深くはありませんが痛いです」

〈………姫様、失礼します〉

「ツルギ?きゃ」


ツルギが鶴姫を抱き上げ、自分の肩に座らせた。鶴姫は最初、驚いたようだったがツルギの頭をお礼にと灯茉の真似をして撫でた。


「ありがとうございます、ツルギ」

〈いい、いえ…これくらい…〉

〈まさかのチャンス到来〉


灯茉がからかうように言うとツルギに睨まれ、軽く肩を竦めた。国彦が鶴姫を心配そうに見上げているが彼女は大丈夫と笑う。


「連絡いれっか」

〈言葉遣い、気をつけてねちーちゃん!〉

「余計なお世話だわ亜矢都」


ケラケラと笑う亜矢都を無視して千聖は耳に入れたイヤホンからマイクを伸ばし、安心ムードの彼らに代わって連絡を入れた。


「こちら戦闘支部第十部隊『神樂』の千聖。戦闘支部第十二部隊『天雪羽衣』の鶴姫とツルギを発見、保護。『忌鬼』の出場により軽傷だが負傷ーー」


第十二部隊『天雪羽衣』捜索任務、完了


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