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なんでもござれ!!  作者: ぬぬぬ沢ぬぬ美
1章:鶏は夢を見るか
3/4

盗賊

 おはようございます。引き続き庭斗凛です。喋れる彼女と一緒にキャラバンで旅を続けています。行き先は俺たちにはわからない。人がやってきて餌の補充と水。そして卵が回収される。


「おはよう」


「あぁ、おはよう。今日も一日のんびり過ごしますかねー。外に出れる訳じゃないし」


「放牧はしてくれないの」


「ん、そうだが。鶏って人懐っこいわけじゃないしな」


「つまんないわね。なんか一発ギャグやりなさいよ」


「無茶言うな。俺にそんなレパートリーがあるとでも」


「あぁ〜つまらない」


「寝ようぜ」


「そうしましょうか」


 仮眠。時間が流れていき夕時に。ルーンがこっちにやってきた。


「お前らはいいよな。食べて寝て産むだけだもんな」


(なにを。こっちは退屈で仕方ないんだぞ)


「明日ここを立つ。って言ってもわからないか」


(把握)


「じゃあな」


 去っていった。やる事はもう済んだのか。早いなぁ。夜。水を飲み、餌を食べ、眠る。おやすみなさい。


 ******


 またまたおはようございます。今日は街を立つらしいです。次はどこかな。気になる。


「おはよう」


「卵は産んだのかい」


「ん、まぁね」


 男がやってきて餌と水を補充。卵を回収していった。さぁ今日も一日頑張るぞ。と言っても檻から出られんしな。


「忘れものはないかい」


「「「はい!!」」」


「じゃあ出発するよ」


 団長の声と共にキャラバンが動き出した。森。草木の匂いで空気が新鮮で美味しい。と思った矢先!!何人もの人がぞろぞろと出てきた。なんだなんだ。誰だろう。聞こえてくる。


「有金全部と物資はここに置いて行きな。逆らったらわかるよな」


「ふん。お断りだよ。お前ら出てこい。出番だぞ」


「交渉決裂と。いくぞ。男は殺せ。女は縛って奴隷として売るぞ」


 キャラバンから男達が出てくる。金属音。戦いが始まってしまった。俺たちがいる檻に1人近づいてくる。


「ふふふ。お前達はみんな焼いて食っちまおう。そうだ。そうしよう」


 小さな声で彼女に合図する。単純明快。檻を開けた瞬間に飛び掛かるんだ。それで逃げるんだ。上手くいくかな。いや、上手くいくしか生きる方法がない。男はじりじりと近寄ってきて開けた。今だ!!俺と彼女が飛び掛かった。


「ぐわっ!!なにしやがる」


 バランスを崩して後ろに倒れこむ男。逃げろー!!檻を飛び出した俺たち。草むらを掻き分け走る。走る。しかしそれを見逃さないやつがいた。矢を放ってきた。彼女に当たる。そして座り込んだ。


「と、止まるな!!いけるか?!いや、行かないとだめだ」


「わ、私はここに置いていって。いままでありがとう」


「そんな訳にいくか!!お前は勇逸の話し仲間なんだ。見捨ててたまるか。立って。立ってくれ」


「わかったわよー!!もう」


 弓を持った男が追ってくる。巻くのは無理か......いやそんな事言ってられるか。ただがむしゃらに走り続ける。彼女は血を垂らしながら頑張っている。誰か、誰か助けてくれぇ!!!!


 どのくらい走ったのだろう。追ってきていた男は諦めたのか見えなくなった。倒れ込む彼女。くそ。こんな身体じゃ手当なんて。空は夕時。おんぶしてなんとか運ぶ。あっ灯りだ。煙。誰かがいる。助けてもらおう。でもどうしよう。いやそんな事は言ってられない。行くぞ。


 男2人。女が1人。冒険者か。近づいてきた俺たちに気づいて近寄ってくる。


「おう!!生肉がこっちに歩いてきたぞ!まて、悪いお肉ちゃんだ。貪り食うぞ。天麩羅にしちゃおう。心ゆくまで味わってゲップしちゃおう」


「やめないか。訳ありじゃないのか」


「そうよ。おんぶして運んでくるなんて......すごく賢い鶏ね」


 ぐっ。普通の鶏ではないのはもうバレてる。ならば。交渉あるのみだ。


「彼女を、彼女を助けてください。俺のことは売るなり食べるなりして構わない!!頼む」


「しゃ、喋った?!」


「ッ!!」


 彼女をおろす俺。女が近づいてきて矢を抜いた。悲鳴をあげる。そしてなにやら呪文を唱えている」


「神よ。この者達に癒しを!!ヒール!!」


 緑色の光を放ち傷口が塞がる。凄い!!魔法なんてあるんだ!!た、助かったぞ。あ、俺の出番は......おわっ終わった」


 暗転。もう目は覚めないのかな。ははは。少しの間だったけど楽しかったな。


 ******


 朝。目を覚ました俺。食われなかったのか。良かった。毛布から出て彼女に近づく。


「起きてるか」


「ん。今起きた」


「もう痛みはないか」


「おかげさまで。やるじゃない。で、近くにいる3人は誰」


「俺らを救ってくれた人達だよ。お礼言おうか」


「そうね。て、喋ったの?!」


「あぁ。もう普通じゃないのはバレバレだ」


「仕方ないわね」


「鶏!!起きたのか。矢が刺さっていたほうは大丈夫か」


「はい。おかげさまで」


「やっぱり喋るんだな。夢かと思ったよ」


「ジーク!!て、鶏!!起きたのか」


「ふぁぁ。鶏はどうなの」


「あの、助けていただき本当にありがとうございます。この恩は忘れません」


「アルト。どうする」


 冒険者らしい格好をしているほうがジーク。大楯を持っているのがアルト。もう1人は。


「私はリリィよ。よろしくね!鶏。て、ジークどうする。名前」


「鶏だと味気ないよな。俺たちで決めていいか」


「は、はい。構いません」


「えー!!じゃあ。貴方はウショク。矢刺さってた子はヒジョで」


「わかりました」


「繋げると非常食じゃない?!」


「まぁ、リリィの名付けなんてその程度だぞ」


「ジーク、酷いわね」


「あはは。冗談だよ。冗談」


「それで、ヒジョとウショクはこれからどうするんだ。行く当てがなければ俺たちと来るか」


「いいんじゃないかしら」


「だな。お願いします」


「よーし!!決定!!今日の晩御飯はウショクの丸焼きだ」


「俺、食われる?!」


「アルトやめなさいって。ははは」


 なんか天麩羅どうのこうの言ってたな。リリィは魔法使いかな。先端に石が付いている杖を持っている。白いローブに紺色の服装。


「次行くところはマッシグって街だ。ウショクは行ったことあるか」


「ありませんよ。産まれてからずっとキャラバンにいましたから」


「キャラバン??そうか卵か。高級品だもんな」


「そんなところです」


「私は村で普通の鶏として振る舞っていました。まさかこんな事になるなんて思ってもいなかったけど」


「ヒジョっち喋ればその村の名物になったかもじゃない??」


「いやよ。持ち上げられるなんて」


「まぁ、そのおかげで俺達。出会えたしな」


「今度は冒険者......ね。私たちのこと守ってくれるのかしら」


「おう、もちろんだ。もう仲間だ。遠慮なく言ってくれ」


「ありがとうございます。お世話になります」


「畏まるな。タメでいい」


「わかった。よろしく。ジーク。アルト。リリィ」


「喋る鶏と旅できるなんて私達ついてるね」


「運命の出会いかもな」


「食料だしな」


「おいおい。やめろって」


「歩く肉でしかない。天麩羅にして貪り食うぞってな。ははは」


「それは置いといて。あと30リーグで着く。なにか気になることがあればその都度聞いてくれ」


「助かる」


「アルト怖いわね......」


「に、肉に嫌われた。まぁいいけどな。はっはっは」


 歩いて、歩いて。歩く。雑談は楽しいな。鶏になってこんな出会い。神様ありがとう。って思った時期が今です。それまでは退屈な檻生活だったからな。ヒジョももう問題なく歩けてるし安心。


 着いた。黄金色の街並み。広い通路。その端でお店が沢山。歩いてて楽しいぞ。小さい子供や大人達が俺らを興味津々で見てくる。珍しいだろうな。宿屋。手続きを終え俺たちに。


「近くに獣魔用の小屋があるらしいんだが、どうする」


「いや、ここに泊まらせてください。確実に餌になりますって」


「そうだよな。食われたら天麩羅にできないしな」


「やめろアルト。もう俺たちは仲間だろう」


「あぁ。ごほん。すまない」


「私は先に部屋で休むわね。ヒジョとウショクも来る??」


「お言葉に甘えます!!」


「私も」


「ねぇ、穀物とお水頼んでもいいかしら」


 宿屋の人。


「ええ。構いませんよ。持って行きます。いやぁ。喋る鶏に出会える日がこようとは」


「大事な仲間なの」


 その大事な仲間に非常食って名前つけますかねぇ......まぁいいか。


「俺らは武器の手入れしてからだな。夜ご飯には来る」


 部屋へと入っていく2人。俺たちはリリィと一緒に。コケコッコーな感じに休む。なにがコケコッコーだって??便利だろう。


 ドアが鳴る。


「鶏の餌と水持ってきました」


「ありがとう。入っていいわ」


「失礼します」


 置いて出ていった。布団に飛び乗る俺たち。ふかふかだぁ。檻生活は硬かったからなぁ。リリィが撫でてくれる。コケコケ。


「明日は水浴びしようね」


「お、お手柔らかにお願いします」


「水浴び?!嬉しい」


「喜んでくれてなにより!!てウショクはオスなの」


「身体はメスです。大丈夫です。問題ありません」


「心は男の子って感じみたいだったからさ。私らに対して気遣いしなくていいからね。嫌だったらそう言って。私は知りたいだけだから貴方達のこと」


「わかったぜ。ありがとう」


「自然体が一番よね」


「ウショクはそうでなくっちゃね」


「ヒジョはザ・女の子だし」


「そうよ。私は女の子!!」


「可愛いやりとりね」


 夜時。部屋から出ていったリリィを見送り。穀物を啄み。水を飲む非常食。いや、ヒジョとウショクね。


 戻ってきた。閉まる音。ベットへと腰をおろすリリィ。


「おトイレはどうするの」


「そうか。人間用は使えないかなぁ」


「持ってくれればいいんじゃない」


「だ。リリィ。いいか。俺もう限界だ」


「おっけー!!行こう。おいで」


 トイレ。持ち上げられて空中で全てを出し切った。ふぅ。スッキリー。ヒジョも同じくだ。


 部屋へと戻る俺たち。その途中でジークとアルトと顔合わせに。


「明日は冒険者ギルドで依頼を受けるぞ。あと獣魔登録もな」


「鶏を獣魔ってどういうことだってばよ」


「言葉が変になってるよウショク」


「ははは。いいじゃんか」


「天麩羅......」


 ベットに腰をおろすリリィ。飛び乗る俺たち。おやすみなさい。明日はなにがあるのかな。楽しみだ。冒険者ギルドで獣魔登録って鶏でもいいのか。知らん。その時次第だ!!

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