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なんでもござれ!!  作者: ぬぬぬ沢ぬぬ美
1章:鶏は夢を見るか
2/4

庭斗凛

 コケーコケコケコケコッコー!!コケコケコケケケケケケケケケケコケコケコケコケコッコー!!


 冗談はさておき、俺は転生したんだ。そう異世界。鶏にな。性別がメスなのには少々苦悶としたが割り切り......前世の名は庭斗凛。普通の冴えない男子高校生だ。トラックに跳ねられ今に至る。沢山の人だ。聞き耳を立てると聞こえてくる会話。整理するとキャラバン。交易を主にしている旅団だ。おっと、俺以外にも鶏は7羽いるぞ。檻。会話はコケコッコーな感じでいまいちわからん。おっ。なんか一人の男が怒られてるぞ。


「なんだい!!この取引は」


「すいません頭」


「それで済むかい!!あたいが行く」


「ははー!!」


「ここはどうするんです」


「鶏の世話でもしてな!!」


 頭と言われてるのは30〜代くらいの女性だ。大柄だがすらっとしていて絶妙なバランスだ。赤のターバンに白色の服。紺色のスカート。鶏の世話をしてろと言われたのは20代くらいの若者だ。きたぞ。


「ははは。俺が鶏の世話か。まぁ、掃除でもしてやるか」


 コケーッ!!寄ってくる手から逃れようと角に逃げる鶏。俺は堂々としてるぞ。これくらいなんてことはない。


「お前は逃げないのな」


 触ってきた。んー。気持ちがいい。


「コケコケ」


「なんだよ。わからないぞ」


「コケコケケケケケケケケケケ」


 隙間から1羽脱走!!檻を閉め追いかける男。周りの人々も参戦。あっけなく捕まった。戻されると汗を拭った。


「ちゃんとやれよルーン」


「助かったよ。ははは」


「鶏の卵は貴重だからな」


「美味しいもんね」


 そう。俺達は卵を譲る代わりに餌を得ている。他の鶏もなんとなくだがわかっているようだ。オスはいないのかって?それは言いたくないな。小耳に挟んだ話によると処分されてるようだ。あっ言っちゃった。まぁいいか。


「コケコケ」


「よし、終わりだ」


 檻を閉められた。して数時間後。夜。頭が帰ってきた。どうやら話はまとまったようだ。よかった。今日もこれで終わりかな。おやすみなさい。暗転。


 ******


「コケコケ」


 おはようございます。と言ったところか。一人の男が近づいてきて餌を入れてくれた。それに夢中になる俺達。その隙に産んだ卵が回収された。


「明日にはここを立つ。皆に伝えな!!」


「わかりました」


 そそくさと移動する男。ん?一人の子供が近づいてきて檻を開け中に入ってきたぞ。突いたり引っ張ったりして遊んでいる。見ないふり見ないふりっと。満足気に去っていった。どんまい!!


「おいシグ!!」


「は!!なんでしょう」


「今日の夜は鶏が食いたい。頼んだ」


 な、なんですとー!!俺達から選ばれるのか。やばい。やばいやばい。動揺。心臓の鼓動が早くなっている。言葉がわかるから余計だ。どうしたら見逃してもらえるか考えねば。考えろ〜考えろ。言葉がわかる鶏はレアだろ。でも喋れるわけじゃない。コケコッコーだ。まじで。結論から言うと角逃げ運任せしかない。そして時間が経ち、白色の服を着た男が檻に入ってきた。逃げろーー!!逃げろーー!!みんなぁ!!捕まった鶏。俺じゃなかった。セーフ!!ではない。仲間を失うんだ。ちょっぴり悲しいかもしれない。足を掴まれ宙を舞う。さよなら。パァン!!暗転。


 おはようございます。またいつも通り餌を入れられ、食べている隙に卵が回収された。揺られ揺られ、キャラバンが移動している。のかな。


「次の村で鶏を仕入れたい。場所は近いか」


「はっ。この先50リーグで着くかと思われます」


「ほう。ならば予算はどれほどある」


「320万イールですね」


「ふん。任せた」


 イールとはこの世界のお金だ。大きいキャラバンなんだ。凄い額だと思う。数時間。到着した。荷物を降ろす大柄な男性達。女や子供達。もちろん俺は檻の中だ。外に出るなんてできないだろうな。


「コッコッコッ」


 ルーンです。取引を任されました。今回この村で仕入れたいのは鶏と交易品だ。前の街では失敗したけど今度はしっかりやるぞ。キャラバンを出る。村長と話し合いだ。大きな建物。木製で年季がある。入った。待ち受けていたのは大柄な男性一人と村長だ。よしっやるぞ!!まずは鶏から。この村にいる鶏は計30羽。交易品はそれなりの数だ。大きい袋でイールがジャラジャラと音を立てる。ごくり。


「鶏は幾らだ。金は用意してある」


「そうですね。村に残しておきたいのもあるので半数の15羽ならいいでしょう。1羽3000イールでどうだい。お若いの」


「2500イールにならないか。纏めて取引するんだ。交易品の陶芸も買う。まとめ割にならないか」


「そうですねぇ。村長」


「いいですよ。2500イールで15羽。37500イール。交易品は30000イールで」


「纏まったな」


「取引成立です」


「よかった。頭にも安心して報告できる」


 事は済んだ。あとはなにを言われるかだ。取引成立。建物を去った。キャラバンに戻る。頭の元へ。鶏と交易品を運ぶ男性の姿を横目に。結果は大丈夫だった。ふぅ〜やったぜ。終わりだ。話を戻そう。庭斗凛だ。新しい仲間が15羽も!!檻に次々と入れられていく。その中でも1羽目立つのがいた。男が檻から去ると声をあげた。えっそんなはずは。喋れるなんて!!


「こんにちは」


 たった一言だった。それに反応した俺。何事もなかったように歩く鶏。馬鹿なっ喋れるだと!!でもそんな貴重なのを取引するだろうか。わからない。でも、興味が湧いた。その場を立ち尽くす俺。


「コケ......コッコー」


「嘘はやめてください。言葉がわかるのでしょう」


 ぐっ。ここでしらばっくれるのも悪手か。頭を振る俺。満足気な鶏。ど、どういう状況だ。


「喋れないの?喉を締めてお尻の穴をキュッて締めて絞り出すのよ。やってみて」


 えーと喉を締めて......お尻の穴をキュッて締めて。絞り出す。コー......コケあ。い。う。え。お。喋れた!!


「それでいいのよ」


「ほ、他の鶏が引いてるぞ」


「まぁ。雰囲気でわかるよ」


「どうして取引で君が」


「私?そうね。こんな偶然があっていいのかわからないけど元々は鶏の真似して過ごしてたわ」


「喋れるなら取引されなかっただろうに」


「めっ。そんな簡単に人間を信じちゃ」


「そ、そうだな」


 なにか事情が......?でも喋れるならここにはいない筈だ。信じていいだろう。でも不幸だな。このキャラバンの頭はたまに俺達を食うぞ。そこら辺どうするんだろ。ははは。


「このキャラバンの事。教えてもらっていいかな」


「いや、俺も転生して数日なんだ。わからないことだらけだ。役に立てなくてすまないな」


「そう......ならいいわ」


「あ、あと喋り方教えてくれてありがとうな」


「いいのよ。て、貴方本当にメス?」


「身体自体わな。心は高校生の男子くらいだ」


「私はアラサー。一人暮らししてたんだけど突然の眩暈からの死。ありえないでしょ」


「過酷な仕事だったんか」


「そうでもないのよ。会社はホワイトだったし」


「ならどうして」


「こっちが聞きたいわね」


 あ、今ムスッとした。可愛い。話し合いはそれからも続いた。今後どうするか。喋れるのは俺とその子だけ。できるだけ一緒にいようってことは決まった。もちろんキャラバンの連中には内緒だ。余程の事がない限りは普通の鶏でいようって形にまとまった。夜。ルーンが頭に褒められていた。今回の取引はよくやったと。やったね。こんな出会いができたのもそのおかげさまだ。あ〜楽しみだな。喋れるなんて夢のようだ。今後は退屈せずに済みそう笑。


 ******


 暗転。朝。キャラバンが動き村を去った。それからはまぁー退屈だったわ。いつも通りの餌を入れて卵の回収をする男を横目に食べる俺達。去った。そうだな。次の街?村?までどのくらい距離があるんだろうか。まぁ鶏の俺達には関係ないな。静か。


「ねぇ。つまらないわ。なにか一芸して」


「そ、そんなのできるわけないだろ。いきなり空を飛べと言われてるようなものだぞ」


「ま、それもそうね」


「本当にこの状況に満足してるのか。喋れるなら檻の外にも出られるだろうに」


「いいのよ。今は。今が大事」


「そっか。できれば2人でここから逃げたいな」


「そんなチャンスあると思う?」


「ある。檻を開けたタイミングの隙をつけば」


「追っ手がくるでしょ。馬鹿?貴方」


「ば、馬鹿って。考えられるのはそれくらいしかないだろ」


「そうね。それが一番簡単か」


「追っ手には喋って取引する」


「珍しい鶏を諦めるとでも思っているの。やっぱり馬鹿ね。あんた」


「馬鹿。馬鹿うるさいぞ。それしかないだろ」


「うふふ。嘘。ありがとう。こんな私と出会ってくれて」


「い、いきなり気持ち悪いぞ」


「あーあ。そんな事言っていいのかなー。私。逃げちゃうよ」


「無理って話したばかりだろ」


「それは朝。檻を開けたタイミングで」


「俺の真似すんなよ」


「あはは」


「ははは。ありがとう」


「どうしたの。いきなり気持ち悪い」


「いや、普通に褒めただけだ。村には感謝。神はまだ見捨ててはいなかったってな」


「そうね。このままなにごとも無いことを祈るわ」


 揺られ揺られ......街に到着したらしい。荷物を降ろしたりなんやかんや。檻にいる俺達には関係ないけどな。ご苦労様なこった。


「頭。ここではどうするんです」


「取引だろ。交易品は貴重だ。ルーン。任せていいか」


「は、はい!もちろん」


「いい返事だ」


 荷を下ろしていく大柄な男性たち。そしてルーン。取引へと向かっていったのである。この街はなんていうところだろう。まぁ鶏の俺たちには関係ないが、知ったところでの話。数時間経って、終わったらしい。


「取引成立しました。いかがいたしましょう」


「よくやった。もう休んでいい」


「はい。頭」


 夜になり灯りは蝋燭とオイルランプのみ。暗いな。喋れる彼女はというと立ったまま寝てる。


「お、おーい。喋り相手になってくれ」


「ん。むにゃむにゃ」


「仕方ない俺も寝るか」


 瞼を閉じて時間が過ぎるのを待った。そしておはようの時間になり......

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