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第90話:英雄とそれぞれの日常

あるセアフスシティの宝石商の蔵で大量に宝石が持ち込まれていた


「社会不安の時は現物の方が現金より価値がある…今のうちにたくさん仕入れておきましょう。裏稼業の闇金で返せなくなったクズどもから担保として奪った金品も順調に集まっている。


秘書は申し訳なさそうに報告をした


「今月の闇金の取り立てがうまくいっていません。先月からそうでしたが徐々に上がりが悪くなっています」


「…表だけで稼ぐのは糞真面目な馬鹿だけだ…表の連中は政治家に都合がいい家畜だ。政治家は有事には平気で下々を見捨てて逃げ出す。真面目にやるだけ馬鹿を見るだけだ。だから闇金と銀行の違いもわからんクズどもからできるだけ奪う必要がある。」


「今月は上りが前月より悪いか…どういうことか説明しろ。クズどもも減っているのか?別の稼業も考えないとな…」


宝石商は部下を3名ほど叱責していると急に4人の宝石商は浮き上がった


「うあああ!なんだ?魔法か?」


盗賊のクジは姿を現した…透明化魔法を解除して現れたのだった


「現金輸送馬車を狙うより裏稼業の連中を狙った方が捜査はされにくい。俺は前に清掃員のおっさんに顔が割れちまって能力もみられたからね。表で盗むよりお前みたいなクズから搾取するドクズを狙ったほうがいいのさ。お前の宝石はもらうぜ?」


「貴様!返せえええ!盗人!殺してやる!」


「態度が悪いね。お前の裏稼業の帳簿も盗んだから後で憲兵の駐屯所のポストに入れといてやるよ。」


クジは宝石を全て浮かべて屋根も浮かべて宝石商は浮遊の範囲から外して落として尻もちをつかせてクジはそのまま空へ宝石と共に飛んで行った


「ククク…でも素直に笑えねぇな。ウードが連絡とれねえ。話の流れ的にシュウノにやられたのかな…ワルだから結果は結果だがよ…」


クジはセアフスの人気がない空き地に離陸し宝石を数えていた…


「いくら稼いでもウードが死んだなら嬉しくないね。盗賊仲間が殺されて似たような経験は何度もあるがよ…」


そうぼやきながら宝石を眺めているとカワラバトの風見族の男が降り立った


「おい?クジだな?俺はコベグという。お前らを探していた。透明魔法を使うから探すのが手間取ったぜ。」


「げ…仕事の話か?ギノはまだ見つからねぇよ…勘弁してくれ。」


「違う。記憶磁針というお前の居場所の方角を覚えるコンパスに覚えさせろと山羊男に頼まれてな…お前の血液をコンパスの針に垂らしてもらう。ウードもそうしたぜ?」


「記憶磁針は一個、10万ルオン(一千万円)もする高級の魔法道具だ。お前らが仕事を放り投げて逃げても困るって意味じゃねぇのか?それとも心配されているのか?」


クジは苦虫を嚙み潰したような表情を見せながら渋々、指をナイフで傷つけて血をコンパスの針に垂らした


「俺も山羊男に逆らうほど馬鹿じゃねぇ。だけどよう?困ったら支援もしてくれよ?セアフスは魔王を倒したシュウノ以外にも隠れた大物がいたみたいだからな…」


「盗賊さんよ?泣き言を言ってたらリボバルみたいに殴り殺されるかもしれないよ?でもアルガナ神は心が広いからな。ウードにも支援をしたからお前もきつそうなら俺から伝えてやるよ。お前は透明化魔法も使えるからウードよりは有利だろう?」


「後、知っていると思うがセアフスの風見族の仲間から聞いた話だとウードはやられた。お前も似た目に会わないように気をつけな。」


コベグは記憶磁針のコンパスを持って飛んで行った…


「ちくしょう…眼能は最高だが気分は良くないね。さっさとギノを消して俺もこの仕事から降りないとな…今後はどうするかね?ギノを殺したら山羊男と良い距離間で付き合うかね…場所も気にされたなら安心できねぇな。」


「今の俺は大金持ちだからな。だいぶ盗んで蓄えたから盗む必要もないかもな。今後は盗みから足を洗い金貸しでもやるかね。俺が助かったのは山羊男のおかげだがウードがいないとな…しょうがねぇな…仕事終わりに墓を立ててやるか」


「しかしギノはどうする?いい方法はないかね…こんだけ探してもいないのは権力者が隠しているからか?カタム領主を見張ってみるか…あの清掃員には注意しないとな…」



◆英雄の苦悩◆


要人用の特別療養施設にてシュウノは妻たちと朝食をとっていた

セイル・ルナム・トレッチの3人がシュウノを見て食べている…


「落ち着かない…なんて空気だ…プレッシャーしかないよ…」


セイルが立ち上がってお腹を見せる


「見てくださいまし…お腹がもうこんなに大きいですわ。お腹も蹴りますわ。もう生まれるかもしれません。つわりも重い…」


「ああ…楽しみだね。男の子かな、女の子かな。」


しかしトレッチが場の空気を壊す発言をする…


「へその緒が変異して雌雄同体のミミズがうまれるかもしれない。へその緒だけ毛糸の玉みたいに丸まって大きくなっているかも…」


ルナムはトレッチに苛立ちを感じた


「この前、こやつがギノを襲った時から思ったが精神状態が回復しないではないか。一緒にいたくないぞ?」


しかしセイルが笑顔でシュウノに振り向く


「わたくし…いつかこの不届き者どもを殺しますの…こいつらの骨を犬に食わせてあげますわ。。」


「私を含めるな。しかし私も子がいるからな。魔人の子を危険にさらすわけにはいかない。そのクレイジーな未亡人は早く正気にして出て行かせろ。ゾンビと変わらんぞ。」


ルナムの悪態にトレッチはゾンビの使い道があるとアイディアを語る


「私は出ていく時はセイルとルナムを殺してゾンビにするわ。それで家の前に置いて留守番や火事や洗濯をしてもらうわ。へその緒を洗濯ロープ代わりにして干してもらうわ。」


シュウノは限界がき始めた


「トレッチさんは気が落ち着く薬を飲んでください。しばらくしたら落ち着いて目が覚めますよ。それまでルナムとセイルも我慢して。お願いだからさ…」


「仕方ないな。おい?お湯と一緒に薬を飲め…セイルの子が生まれる時期になってきているから気を使うのだ。」


薬を飲んでトレッチはけだるそうな顔になり布団に寝た


「今日はルナムとセイルのことを教えてシュウノ。色々、知りたいの。」


「こやつはサイコメトリーで調べたくないな。危険すぎて近寄りたくないわ…」


セイルはヒステリーを起こし始めた


「キイエエエエエエ!もう限界ですわ!変な女がハイエナみたいに寄って来て!」


「ハイエナは雌でもイチモツがついている。だから私たちはハイエナではないわよ。」


寝ころんだトレッチの狂言にますます癇癪を起すセイルは大声を出した


「おだまりなさぁあああい!わたくしの人生プランを台無しにしてぇえええ!」


隣の部屋から罵声が聞こえて来た


「うるせえええええ!俺が隣にいるんだぞ!その鬼畜動物園をなんとかしろシュウノ!」


ギノの苦情がドア越しに聞こえてシュウノは泣き目になった…


「俺の人生滅茶苦茶だ…なんでこんなことに」


「みんな聞いてくれ。俺は君らに尽くす…だから俺を苦しめないで…」


トレッチはガバっと起き上がって走り周りドアを開けてギノを追いかけて行った


「うあああああああ!来るなアアアアア!兄ちゃあああああん!助けてくれ――――!」


「幸せの青い鳥~♪切り開いて真っ赤にする~♪ギノをピーラーで皮をむく~♪ドネルケバブみたいに~口から肛門に棒を突き刺して焼く~♪肉を削ってパンにはさんで犬に食わせる~♪」


シュウノはギノを守るために走って来てトレッチを呼び止めるのだった


「トレッチさんやめて!この前のことを忘れたの?」


廊下でトレッチにアイテムコンプから魔法道具を出現させた


「魔法道具:蛇足の鎖…魔力を流せば自在に動き巻き付けた相手をどんどん重くして鈍らせる…」


トレッチにジャラジャラと鎖が巻き付き動きが鈍り動かなくなった


「シュウノ。私も子が欲しい。私もセイルみたいになりたい…」


「トレッチさん部屋に戻ろう。俺がカタム領主に怒られちゃうよ…この前、見逃してもらう条件でトレッチさんが暴れたら処刑しろって言われてるんだ…俺にそんなことさせないで…」


「じゃあ、妻として認める?そしたらギノは諦める。パリウスは殺す。」


「ああ…パリウスさんは酷いこと手紙で書いていたそうだから恨むのはしょうがないけどパリウスさんは世界中が攻撃しても傷つけられないという異能を持っているから無理だよ。帰ろう…」


「うん…あいつは私を中古の人妻と書いた。哀れなバーゲンセールだって言った。蟻地獄だって言った。だから殺す。パリウスは4文字の名前だから4等分に切り刻む。耳穴に槍をぶち込んで串団子みたいに串刺しにする。それをオニオンフライみたいに油で揚げる。」


ギノは過呼吸気味でシュウノに苦言を告げた


「兄ちゃん…ずっとそうしてくれ…その狂犬を鎖でつなげ…俺の心臓に悪い…」


「グルルルルウウ♪お前を嚙み千切って細かくする~♪お前を刻んでパズル遊びをする~♪」


シュウノはトレッチを連れて行ってベッドに寝かせた…


「はあ…セイル。すまない。俺があがくほどセイルにプレッシャーをかけてるよ…」


「ふん…わたくしに精一杯尽くしなさいよ。ルナムもトレッチもわたくしの敵ですからね。」


シュウノは部屋を出た


ルナムを呼び出し外の庭のベンチに座った


「ルナム。夢でノフィスにあったよ…嘘だと思うかもだけど娘を頼むだってさ…魔王に頼まれるって可笑しな話だが俺は守るよ。無理でも先に俺が死ぬように心がけるよ。絶滅石器の使い方まで教えた…」


「何?…夢だから信憑性がないが私を心配していたか…シュウノ。お前しかもう頼れん。私の近くにいるのだぞ。トレッチもできるだけ正気に戻るように手を貸してやる。狂犬と一緒にいれんからな。」


シュウノは疲れ切っていた


「ヒロインがこれ以上増えたら俺は終わりだ…こんなハーレム展開なんか誰も望まないよ…」


そうぼやきながらギノのいる場所に向かおうとすると渡り鳥の手紙が飛んできた


「フィーロからだ。この前の返事か…どれどれ」


中身を開いて確認する


~王女フィーロからシュウノへ


あなたのたくさんの魔法使いの協力が必要な件

の話ですが是非とも会って話をお聞きしたいです

でも必要な時だけ私を呼ぶのは駄目ですよ。

都合がいいことばかり言っていると生き埋めにしますよ?

私はめどがついたらセアフスに行きます。

きちんとした説明をお願いします。


フィーロより


「よかった。来てくれるんだ…絶滅石器の説明を考えないとな…でも生き埋めって…なんで過激なことを言う人が多いんだ…」



◆獣畜の襲来◆


カタム領主が衛兵から連絡を受けていた


「セアフスの近くのビジ村で珍しいペットを密輸していた業者が惨殺されて食い殺された事件が発生しました…犯人の怪物は10mくらいの熊のような怪物で頭が複数のペットの頭がついた怪物だそうです。ちょうど熊の顔がなくてキノコのように犬や猫の頭が生えて人間の頭も一つ紛れているとのことです…」


顔をカタム領主は問題に頭を悩ませながら対処法を考える


「むう…魔物でそんな種類の奴はいない。もし山羊男の仕業なら恐らく虐待された山羊ということでペットを虐待していると判断した連中を殺しているのだ…その化け物の居場所が把握できたらシュウノに行かせる。奴が怪物を作ったのならペット業者や家畜の品種改良の皮肉ということだ…」


「全く、人間の醜悪さが怪物の餌食になるか…治せない病だな。」

「人間が醜悪なのは治らない。いつの時代も光と影と言う言葉でごまかして一向に治らない。それが山羊男から見たら気に入らないらしい…奴と人間は相いれない。人間は白の側に永遠に立てないからだ。だから奴の基準に合わせるのは人類の滅亡や去勢を意味するのだ…」


「光と闇など言葉遊びだ。善や悪という抽象的な言葉ではすまない。自制心が人類には必要だが自制心は本能にない…人間が生まれる限り醜悪さは生まれ幸せを得るために犠牲を増やすのだ。山羊男はそれを理解しないし許さない。奴が悪を全て滅ぼす気なら我々はおしまいだ…抵抗しなければならない…滅びてなるものか…例え我々が悪でもな…」

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