第82話:山羊男と錯乱した父親
山羊男のキャベツが風邪から回復した少年のリメシュと一緒に朝から食事をとっていた
キャベツはタンポポのサラダを食べていた
「お前はもう健康のはずだ…ケセマ村に帰れ…」
「嫌ですよ。あの村は嫌いです。私を奴隷として売り買いした連中が死んだ場所ですからあそこに暮らすのは気味が悪い…あなたも私を助けた以上は後のことも考えてください。私はあなたの役に立ちたいのです。」
「我儘を言うな…俺はお前などどうでもいい。ただの人間の子供だ。俺にとって大人も子供もなんの差もない…人間の多くは群れを成すことで破壊的なケダモノになるバッタのような存在だ。」
リメシュは食べるのを止めて嘘だとキャベツに言い放つのだった
「あなたはケセマ村の奴隷を救った。本当に人間を虫だと思うなら悪党ごと消していたはずですよ。あなたは救う側になりたがっているはずだ。私を看病したように…自分の良心にあなたは背を向けている。」
「お前は何がしたい?俺は人間を育てる気なんかない。お前は人間の社会に帰るべきだ。」
「言ったでしょう?あなたの近くにいたいと…ケセマ村では執事の訓練もしました。それは恐らくあなたの役に立つための天の采配だと思うのです。」
「お前も人間だ。乱心しているだけだ。それならしばらく俺の手伝いをしろ…それで飽きさせてやる。その時は帰れ…」
リメシュは喜んで笑顔になるのだった…
「はい!何でもしましょう…でも死ねと言われるのは嫌ですね。あなたの近くにいれないから…」
◆社会実験レポートの整理◆
キャベツは自宅の資料室で人畜実験のレポートをまとめていた
「セアフスシティの人畜の扱いについて観測員の風見族達からレポートが届いた…リメシュ、悪い扱いと良い扱いに分けておけ…後で目を通す。俺は先に人畜に対するセアフスシティの政策や人畜に対するケアやセーフティネットのレポートを読んでおく…」
「はい。上様…かなり量が集まってきていますね…セアフスシティを実験場に選んでよかったのですか?」
「あそこは過剰に支配も貧困も少ない平均的な街のはずだ…独裁者が牛耳っている訳でもない…社会実験には丁度いい…」
「人畜実験は人間が魔人と同じか調べるテストだ…自分より下位の扱いやすい者が現れたら人間は威張って支配するかどうかだ…」
「魔人は強盗的で強弱で他人を見下し、強い者にはへつらい支配を当然と掲げたから年齢に関係なく消した…奴らは歴史的に何度も繰り返したから生きる価値は無いはずだ…人間も同じか知りたい。」
「だが人間は、奴隷制を廃止した国もある…魔人と似ているが犠牲を減らそうと悪い流れを変える動きもある…多くは暴力で最後は決めるがな…だから奴らを知る必要がある…」
「俺は家畜だから人間をどうするか決めても咎は無い…奴らは家畜を食う以外でも不必要に殺すからだ…それに連中は俺が何もしていなくても殺し屋を送った…奴らに責める権利はないはずだ…」
リメシュはバロットとベルトラがいないことを聞く
「今日はあのお二人はおられないのですか?いつもこの屋敷におられますのに…」
「奴らは今、アルガナ党の各部族のリーダーに選ばれている…下の者からの対応で忙しい…」
リメシュは以前からアルガナ党に不満があるらしくキャベツに漏らす
「上様はアルガナ党の連中はいいのですか?上様を利用して勢力拡大を狙っている連中ですよ?」
キャベツはリメシュを睨んで叱責する
「すがった点ではお前と同じだ…自分と違うと思うな…奴らは一族の古典的なやり方にもなじめず伝統にすがっても助からないと判断した連中だ。だから俺に頼った…だが新しい一派が起こる時は俺に限らず似た理由のはずだ…金なり土地なり力に群がり新しいルールの集団になる…」
「鱗清族に聞いたが亜人が人間より優位な時代があったらしい…今とは逆だが一時期、人間は魔法を使える亜人に跪いていた時代があったそうだ…」
「しかし人間が文明や魔法を扱えるようになると組織力と開発スピード、貪欲さで優る人間に抜かれ多くの国では人間の属国や下層として支配される種族になったと聞いた…つまり人間も亜人も見た目が違うだけの同じ存在なのだ…」
「アルガナ党を組織しろと命じた訳ではない…連中が始めた組織だが俺とは協力関係という状況だ…互いのメリットで動いている…俺のために一方的に奉仕を要求すれば人間と同レベルの存在に俺はなってしまう。」
「俺は人間の政治の話が特に嫌いだ。目的からずれて無駄で足の引っ張り合いや派閥の噛みあいで絡まった紐をほどこうとしてもまた絡まるような愚行を繰り返しているようにしか見えない。俺はできるだけシンプルにやる…」
リメシュはキャベツの思考に感銘を受けるのだった
「やはり上様は愚かな支配者とは違います…上様が世界を支配すれば理想郷になられるのに神の慈悲でそれをなさらない…人間にはありがたい存在のはずですよ…」
2人が話していると玄関からチャイムがなった
アルガナ村の鱗清族の門番が近寄ってきて困った表情でキャベツに尋ねて来た
「…すいません…また異常者が来ました…」
キャベツは恐怖に満ちた顔になり
「マレノニーか?家に隠れるから俺がいるとは言うな…村の中に絶対に入れるな…」
「違います…棺桶を持ってきて生き返らせろと騒いでいる男です…客は不用意に殺すなと命じたのはあなたです。何とかしてください
◆山羊男と悲しみ狂った男◆
その男は貴族のようなまだ30代後半といった見た目の男だった
棺桶を馬車から強引におろしてガタンと音を立てて引きずりながらアルガナ村に入ろうとしていた
「おい、入らせてくれ。ゴートマンがいるんだろう?私の娘を生き返らせろ。メイリアを生き返らせた噂が本当か調べにきたんだ。どうなんだ?」
キャベツは歩いて来て男の前に立った
「なんだ?生き返らせるのは人間が嫌がることではないのか?どんな理由で生き返らせたい?」
「私の名はリクオル…私の娘はまだ16歳なんだ…だが病死したんだ。死にたくなくても死んだんだ。」
「お前の身なりだが貴族だろう?兄弟や姉妹を作ればいい…一般人よりは子孫を持ちやすいはずだ…」
リクオルは正気じゃなさそうな様子で棺を空け
「ほら、まだこんなに血色がいいだろう?肌も奇麗だ…将来が楽しみだったのに…いやまだ死んでないぞ?寝ているだけかもしれない…」
棺桶の女性の遺体の手を持ち上げて握手したり手を振らせてキャベツに見せつける
「何がしたい?俺に死体なんか見せても何の意味もない…早く帰れ…メイリアは俺を襲った罰の意味で人畜にして実験したがお前の子は寿命で死んだ…お前も寿命が来たら死ぬから生き返らせる意味も無い…いずれ死ぬ意味には変わりがない…」
「寿命ではない!病だ!病でないならまだ生きていたはずだ!そして意味はあるさ。お前には愛情がわからないだろう?それは相手に居てほしい…幸福になってほしいという意味だ。だから娘のミレは生きるべきなんだ…死んでない…くひひ」
「生きれば幸せかは間違いだ…俺は家畜として生きている間は暴行を受けて楽しいとは思わなかった…幸せとはなんだ?」
「幸せは私の思い通りになることであり、その中に含まれることが娘が幸せになることだー!!」
山羊男は幸せの意味に困惑した
「望みが叶う…それは望んだ結果が現実になる意味だ。わざわざ幸せという言葉がある理由はなんだ?つまり悪いことが起きないという意味がお前の幸せなのか?娘の死はお前にとって悪いこと…それは娘のためではなくお前の娘が死んでいない状況を望んでいるということだな?」
「そうだ…私の娘は死ぬべきでなはい!それが現実なら現実が間違っている。」
「現実は正解も間違いもない。俺達に時間経過の結果を突き付けるだけだ。しかしメイリアは生き返らせたが死体を人畜にして生き返らせたケースはまだ1件だけだ…」
「本当は男性の死体がよかったがまあいい…実験してやろう…しかし死体の状態は頭が無事なことが前提だ…死後にひどく痛んでいた場合は出来ない…」
山羊男の返事に気味が悪い笑みを浮かべながらリクオルは歓喜した
「やってくれるのか?お前は教会に行け…そして神だと名乗ればいい…お前なら説得力があるだろう…娘は聖母扱いされても困るがな…くふふ」
「お前は狂っている…人畜にするためには俺の情報体を書き込み改造するが俺のこだわりがあって動物の特徴を付けている…それは家畜という意味だ…お前の娘もそうなるがいいのか?俺は人間に家畜やペットの苦しみを教える意味で人畜を作った…」
「家畜?そんなものにはならんさ…なったとしても私が大事にしてやる…ふふふ」
外の騒ぎを聞きつけたアルガナ党の代表の風見族のバロットと鱗清族のベルトラが村の入り口に近寄る
山羊男の行動は常に常陽事項として耳に入れないと彼らも代表として気が休まらない…
ベルトラはリクオルの様子を見て吐き気が湧くのだった
「私も狂ってるのかしら?あの化け物に近づく奴はいかれてるってこと?」
不快そうにバロットはリクオルに目線を向ける
「意味不明な奴は殺した方がいいと思うですが…あのお方は狂人に好かれて引き付ける宿命を背負われているんでしょうか?」
見ていたリメシュはどうなるのか興味が尽きないのだった
「上様が哀れな来客の対応を…やはり神の祝福を成す側だったということですかね。見届けなければ…」
「上様もあのお客様の言うように神を名乗ればいいのにあのお方は慈悲深く謙虚なお方だ。ですがあまり有名になりすぎると来客対応で私に構ってくれなくなりそうですから今のままでもいいですがね…ふふふ」
◆特別オーダーメニュー◆
リクオルとキャベツは実験などを行う建物に馬車を運んだ
キャベツはミレの遺体の状態を確認していた
「…死因は破傷風か?怪我をして病気になったのか?」
「ボーイフレンドが暴力を振るったのだ…後で私がボウガンでこっそり撃ってやったがな…ひひ」
「人畜の特徴を付けるのに何か希望はあるか?無いなら俺が勝手にしてみるが…」
リクオルは馬車から籠を持ってきた
「ロップイヤーという兎だ…娘が飼っていた…なんで動物の特徴を付けるかは不満だがそれでないとやってくれないなら仕方ない…名前はガルだ。これでどうだ?よく娘に懐いて構って欲しそうな挙動をしていたんだ。」
キャベツはロップイヤーの兎を手に持ち撫でて感触を確かめている
「以前、この兎は肉を食べたことで遺伝情報は持っている…血を飲むだけで十分だ…おいベルトラ…採血して血を持ってきてくれ…」
「本気でこの狂人の言うことを聞くつもり?」
ベルトラは嫌悪感に満ちながら注射で採血をしてキャベツに渡した
キャベツは注射から血を口に垂らし飲んだ
「いいだろう…お前の望みが叶うか別としてやってみよう…死人から人畜が確実にできるなら俺も死者すら扱えるということだ…あまり望ましくはないだろうがな…」
キャベツは腕の肉をつまんで毟り握るとグズグズした液体になり歪んだ空間で包まれていた
遺体の腕にカミソリで傷をつけて液体を注入し作業を始めるキャベツだったが
「あまり傷をつけるな…ああ可哀そうに…」
そう言うとリクオルは自分の腕の同じ場所にナイフをさして傷をつけるのだった…
「…なんだこの気分は…寒くなる気分だ…お前に対する恐れか?」
キャベツはリクオルを見て少なからず憐れみのような気持ちが湧くのを感じた。それは狂人に対するやるせなさだったかもしれない
「お前はここに泊まれ…ラグド人やローディグ人のスパイ対策のために人間の出入りは本来厳しくしている。俺がお前をここまで付き合ったのはお前が嘘つきではない本気の男だと感じたからだ。」
「だから俺の言い分も聞け。変化があったら俺の家に来い…それ以外の場所にうろちょろしたら殺す。」
「フフフ…お前は真摯な男だ…私はお前が気に入ったぞ。ゴートマン…末永く付き合おう…」
二人が話をしているとリメシュがリクオルのために食事と水を持ってくるのだった
「お客様。お食事をお持ちしました。上様との応対中に飢えてお亡くなりになられても困りますのでテーブルに置いておきます。ベットも隣の部屋に用意しましたのでご利用ください。」
◆体だけ生き返っても…◆
遺体のミレは生きていた頃のように肌の血色が戻り兎の垂れた耳がついていた
しかしまだ意識は戻らない…
「メイリアは翌日に目を覚ましたらしいがこいつはまだだな…死後、何日たっていた?メイリアは死んだ2日後には改造したから時期も関係あるのか?」
「2週間は経っていた…死後、すぐに、にやり手の魔法使いに金を積んで防腐措置を徹底した…お前の情報を片っ端から集めたからな…生きている感じだ…最高だ…遺体ではない…このまま目が覚めなくても私が世話をするさ…ふひひ」
リクオルはミレが起きるのを待つために
3日が経過して様子を見るが呼吸はしているが意識は戻らない…
キャベツは興味を無くし本を運んで新しい家に並べているとリクオルが激怒した
「もどらない!!なぜだ?起きない場合もあるのか?」
「メイリアの遺体はお前の持ってきた遺体よりひどかった…片腕も千切れていたし顔も潰れていた…だが俺が修復して似た処置をしたら生き返った…どうやら時期があるようだな…早く人畜にすれば生き返るということか?参考のデータになったからよかった…」
リクオルはさらに狂気を深める
「娘が帰ってこないならその肉体は息をしているだけだと言うことだ…それでは他人が世話をしないと死ぬ…食事も噛む意思が無いなら流動食を与えるしかない。」
「そうだな。わかったら帰れ…意識が無いと食事をさせるのは難しいかもな…また死ぬと言うことだ…お前の頼みは聞いた…」
リクオルは狂気的なアイディアを提案する
「それではこのペットの兎のガルの意識をミレに移して娘が帰ってくるまで体を生かす番人になってもらうのはどうだ?ガルも最近は寿命で弱っているからな…一緒に生きれて不幸にならないはずだ…」
「お前は人間から見ても恐らく錯乱者の類だろう…遺体をこれ以上弄ぶなと言うべきだが俺も人畜を作った側だ…お前を批判する資格はない…」
「俺がこのままお前らを帰らせても恐らくお前も兎もその精神では遠からず生活できずに死ぬだろう…断るべきだがここまで付き合った以上はその実験はしてやろう…だが間違いなくそれは不幸な結果になるだろう…」
◆初めての試み◆
キャベツはロップイヤーのガルを持ってきて傷をつけて自分の肉を軽く毟りグズグスにした液体をガルに注入した
「お前が口を聞けるなら俺を恨むかもな…俺もギノと同じかもしれない…」
ガルを歪んだ空間で包むとドロドロに溶けだしていきキャベツは不要な部分の毛や食べ物が入った内臓などの液化した部分は捨て卵の大きさの液体の塊にした
「兎の脳や遺伝情報を生かしたまま液体にしている…これを脳まで届けて同化と同期を試みる」
「遺体の脳には記憶が刻まれているだろうから上手くいけばペットのガルも娘の記憶は把握できるかもな」
「簡単に説明すると兎の脳を情報体にして人畜の脳に吸収させる実験だ。これより開始する。」
再び腕に傷をつけて液体になったガルとキャベツの情報体を注入されたミレの遺体だった…
◆次の日の変化◆
バロットは苛立ちを隠せなかった
「あの人…いつまでいる気ですか?アルガナ村に居てほしくないですよ…」
キャベツはバロットに目を細めて叱責をした
「あの男もお前らも変わらん…欲しいものが違うだけだ…お前らだけ違うと思うならお前に他人と自分を評価する能力が欠けているということだ…」
「もうしばらく見ていろ…あの男がどうなるかも俺は気になってきた…死人とはそんなに人間に魅力があるのか?生きている人間を見た方がマシな気もするが…」
キャベツが家から出て昆虫採集に森に行こうとすると後ろから狂人の猛々しい喜びの声が聞こえる
「おい!起きたぞ!お前はやはり神業を持っている…娘が生き返ったぞ!」
キャベツがリクオルについていき病室の様子を見に行くと人畜となったミレがブルブル震えて丸まっていた
「…俺…はなんだ?なんで…ミレなんだ?…若い男に山で殴られている…飼い主の思い出か…?」
「私がわかるか?お前の飼い主の父親だ。娘の記憶がわかるんだな?お父さんが悪者をやっつけったぞ?ふはは」
興味深そうにミレを見つめているキャベツは意思が人間の思考が可能になった兎のガルの方だと感じた
「どうやら、人間の意志の方は戻らないようだな…脳の健康が意志という意味ではないのか?脳以外に意志に関係するものがあるということか?」
「…てめぇ…俺を人間にしやがったな?しかも飼い主に…俺は…こんなになりたかった訳じゃねぇぞ…俺は雄の兎なのに…」
「…どうやら言葉がわかったなら遺体の脳の記憶はわかっているということだな…お前は俺を憎む権利がある…気が済むまで攻撃するがいい…そしてお前は人間ではなく人畜だ…人間に兎の耳はついていない…」
「…お前はバケモンだな…人間以上の化け物だ…俺はおまえの好きにされた…」
「生きるのが嫌ならお前を俺が殺してやる…ガルだったか?雄の兎が人間に近い姿なら嫌になるかもな…」
ガルはぎこちない表情で困った顔になり
「俺はここに住む…お前を殺してやる…無理なら死ぬのを見届けてやる…お前はどうしょうもない怪物だ…だが俺が死ぬのは飼い主が恐らく嫌がる…俺も飼い主には死んでほしくなかった…」
「お前は飼い主が好きなのか?俺とは逆だな…だがアルガナ村には住まないほうがいい…労働もしないと生活の保障がない。俺への攻撃が無駄だと思うなら出ていけ…それと生活についてだがお前はリクオルに頼らないと恐らく死ぬ…さっさと出ていけ…」
「勝手なことを…てめぇは最低の怪物だ。」
ガルはまだ16の女性の姿でハサミを握りキャベツに突き立てるが無抵抗で受ける
「カツ」…ワイヤーの束に刃先を当てたような感触が手に伝わり傷も入らない様子にガルはキャベツを殺すことを諦めるのだった…
「糞が…死なねぇのかよインチキ野郎…」そうガルが呟くとリクオルが大喜びで拍手をしていた
「奇跡だ!娘が動いた!やはり死んでいなかったんだ!娘は帰ってくるはずだ!それまでガルが娘の体の面倒をみてくれ!ガルは私がペットショップで娘に買ってあげたんだ…お前もミレから面倒を見て貰ったなら恩返しに戻ってくるまで娘の面倒を見てくれ!」
山羊男はリクオルの喜ぶ様子に飽きたのか立ち去るように言い捨てる
「早く帰れ…貴族なら立場があり放棄すると財産を失い収入がなくなるはずだ…問題が起きたらまた来い…経過には興味がある…」
顔をしかめてガルは憎しみの眼を向けながら
「お前ら許さねぇが…しばらくは我慢してやるよ…俺を材料にしやがって…リクオルはボーイフレンドが悪さしなかったら狂ってなかっただろうから飼い主に免じて付き合ってやるよ…ミレは父親の不幸は望まないだろうからな。野菜スティックは毎日、持ってこいよ?」
そう言いながら馬車に乗りリクオルは大喜びで帰るのだった
「生き返る人間は神になるという話がある…お前は神の子だ…ガルが生きればミレの体も生きるということだ…帰ってくる日が待ち遠しい」
「あいつら…棺桶はおいていったな…だがこれは箱だ…掃除道具を入れる箱になるか?」




