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第81話:白蟻と人間は同じなのか?

今回の登場人物

クロイヤ皇子:植民地主義国のラグド帝国の長男で舐められないのが権力と考えます

トプレヤ皇子:クロイヤの弟で山羊男に危機感があります

ローディグ王国の首都へ向かうクロイヤとトプレヤを乗せた馬車は国境を通った後は平原の道をガラガラと移動をしていた

トプレヤは道端の案山子を見つけた


「収穫が終わった農地で案山子がたたずんでいる…のどかですね。」


「あれこそ王の在り方かもな…ずっと立って終わりまで見届ける。それまで倒れない不動の存在が私は王だと思う…」


「兄上。鉄道の開発は早く進めばいいですね。蒸気機関車が行きわたれば移動も困りませんよ。」


「山羊男と戦う前にウォーミングアップをするつもりだ。護衛も精鋭の6人しか周りにつけていない。誰か来ればいいが弱い相手だと腕慣らしにもならん…」


「困ったものだ。戦地では運の要素も絡んで修練にはならいが修練では戦地を経験できない…いい方法があればいいが…」


ローディグ王国の国境を越えてしばらく移動したその時に変化が起きた…

馬車の通る道の先が割れ馬達は立ち止まったのだ


クロイヤが馬車のドアを開けて外を見ると30人ほど部隊が囲んでいた…


「どこの国かわからんな…殺し屋や暗殺組織に狙われるのも我々の仕事だ…地面の下は護衛が調べる魔法をかけながら移動していたから火薬を埋めたトラップは通じないと思ってこの作戦か…」


部隊はクロイヤの顔を確認すると雷や火の魔法の弾を一斉に打ち込んだ…


「ブォオオオ…」


しかし馬車の周りにリング状の雨と風と雷がぐるぐる巡っている短く太い筒のような暴風にはばまれ防がれてしまう…


トプレヤは剣を構えて飛び出そうとしたがクロイヤが制止した


「私にやらせろ。トップの役目は汚れる仕事だ…東の国の神話で便所の神に進んで志願した神が他の神から認められたと言われている。権力者がそれだ…」


「わかりました。危険になれば僕がでましょう…」


馬車の周りを馬に乗って囲んでいた護衛達は「ご武運を」と声をかけ馬車のドアを外から開いた


クロイヤは馬車から降りて敵陣に近づくと指揮棒にも似た杖を持ち魔術を行使した


「風水雷の混合魔法…嵐魔法:打杭雨(だこうう)…強力な衝撃を放つ大粒の豪雨を相手に打ち付ける…」


馬車の周りの暴風は大きく広がり雨水を洗濯機の遠心力で水を飛ばすようにまき散らした


「ザアアアアアアアアアアアアアアア」


鈍い張り手を当てたかのようにバチバチと強い衝撃の雨水が当たる…小さい野球ボールが高速でぶつかるような痛みが走る…


「ぐう!…だが目くらましで痛みを与えるだけの魔法だ…結界でしのげる」


しかし暗殺者の体に変化が起きた…大量出血をし始めたのだ…


画像編集ソフトの消しゴム機能のような高さと横が1センチの正方形の四角いマス目が暗殺者の体に何個もシールのようについていた


そこからブスブスと分厚い氷の上に真っ赤に焼けた四角い鉄のキューブを置いたかのように服や肉を消し四角い穴を徐々に空けていた…


「うあああ」


雨粒の中には分子レベルでの分解能力の異能:イレイザーツールがかけられていた…

マス目の正方形が水のなかに浮かび衝突の際に敵兵にセットされていたのだった

雨がやむと痛みと出血で弱った暗殺部隊はうずくまっていた


「クロイヤ様。お見事です。」


そこをクロイヤの護衛達が剣を抜き、刺し殺していく…


「褒められるほどでもない。お前たちも私にやらせてくれて感謝する。過保護過ぎても付き合いづらいからな。異能と魔法の組み合わせなど愚者でもできる発想の範疇だ。こいつらが粗悪な不良人材だから訓練にもならなかったかもな。」


クロイヤがうずくまった一名の前に立ち質問をした


「私は殺しに来る奴にはちっとも怒らない。それが上の世界なら普通だからだ。むしろ狙われるほど重要だと思われて誇らしくもある。だがお前たちはこの業界にいる以上は誰か手先だ。」


「上にも顎で使われるだけ…仕事にも失敗する…お前たちは生まれる価値もなかったと思わないかね?お前が人間より劣る人の形をしたゴミだと自分から叫べ…そしたら生かしてやる…」


「お前より偉くて強い奴が現れたら似たようなことを聞かれるぜ?お前はなんと答えるだろうな…」


暗殺者の返事にクロイヤは少し悩んだ様子で自分の顎を掴む


「熊は現実にいるのに店で威張って店員に怒っているゴミムシや民主的な国で無意味で馬鹿なデモ隊がいるようにだ…地震や津波が明日来ると考えない…弱い魔法使いの癖にお前が私を恐れず来たようにだ…」


「いや…ゴミ以下だな…生きていても浪費しかしない…お前の国ではゴミにも人権みたいな形だけの法はあるんじゃないか?だが虫にはプライドも人権など必要がないな…人権など所詮は机上の空論だ。どこの国も無能以下の権力者が大勢殺しても税金を浪費しても裁かれるのは少ない。」


魔力持ちの人間は通常の人間より体力が高い…しかし弱れば人間と条件は同じである


「うが…」


クロイヤは暗殺者の首に足を置きグシャッとふみつぶして首をちぎった…


「人間など虫と変わらん…ほとんどが自覚もなくやりたいようにしたいゴミばかりだ…危険を暗殺者に任せて権力者は隠れる…まるで女王蟻と兵隊蟻の関係の白蟻という害虫だ…」


「私が人口調整で家を荒らす白蟻を駆除してやる…白蟻はゴキブリの親戚だからな…その証拠に虫だから簡単に首がもげる…」


「お前が私を殺しに来ても私がお前を殺しても何も起こらない…いつもの日が繰り返される。神が殺す奴を止めないのと同じで逆に助けもしない。なにも咎などないのだ…決まり事など無意味だ。お前がよその国から暗殺しに来たように誰もルールを守りはしない。」


クロイヤは千切れた首の顔をボールのようにゴロゴロと蹴とばした


「人間などほぼいないかもな。人間だと思いこんで名乗る無駄にでかい虫が大半だ。思慮深い者は少数派であり多くは自覚ができない哀れな低い知能の群れだ。虫が自分を虫だと思わないように。」


案山子を見つめ何か思いついた様子になり


「良いことを思いついた…ゴミのリサイクルが必要だ…お前も役に立つ方法がある。」


クロイヤは小さな嵐の渦に生首を乗せて案山子の頭を吹き飛ばし風でくるくる回しながら生首を棒にさして向きを整えて飾り、額に電流の魔法で“MONKEY”と文字を焼き付けた


「カラスにでもついばんでもらうといい…案山子は王だと思ったがやはり作り物だな…木偶人形で役に立たない人間を案山子とも悪口がある。人間気取りのごみ共には丁度いい呼び名かもな。」


「死体はそのままにしておけ。世間様に嘲笑されて恥をかいてもらおう。魔力持ちのくせに一人くらいは私を殺せる力量の奴がいないとは…大人しく一般人に威張っていれば噛みつく相手を間違えずに済んだものを…」


「お前たちを産んだ親も汚物を産む汚染源の公害だ…自己嫌悪になって自分から死ねばいい。」


靴についた血をイレイザーツールのマス目を広げてブスブス消すとクロイヤは馬車に向かって歩き出した


「生ごみには自然にゴミムシが群がって面白おかしく話のネタにする。ゴミムシの話題になって喜んで貰え。」


トプレヤはその様子を見て気を悪くするのだった


「兄上は機嫌を悪くすると相手の非を突きすぎるから悪い癖ですね。暗殺者だからどう死んでも彼らの責任ですが僕なら不必要になぶりませんよ。」


その時、何か言葉が頭にうっすら感じるのだった…


(…あの馬鹿を…山羊に…近づけるな…全員…死ぬ…)


「なんだ…?一瞬…僕の心の声かな…魔が差すということでしょうかね…」


愛刀のみ気が付かない内に雷龍牙がまた少し震えるのだった…



◆白蟻なら恐らくしないこと◆


馬車が過ぎ去ってしばらくした後である集団が困った顔で通って来た


「頭。次はどうしますか?野盗も追われながら襲わなきゃいけないから首が回りませんね。」


「とりあえずケセマ村に行こうと思う。憲兵が近寄らないらしい…噂じゃスディッキュ領主も含めて皆殺しにされたらしいが…ん?」


5人ほどの野盗は暗殺部隊の遺体を見つけ案山子の生首をリーダーが見つめる


「戦いの後から見て魔法使いだな。俺達、普通の人間より生まれが強い奴ですらこんな目にあうのか。おい…お前ら墓を作るぞ…穴を掘ってやれ…」


野盗のリーダーは生首を案山子から外して額のMONKEYの文字が見えないように首のスカーフを外してまいた


「俺達はクズだが墓を作ってほしいからな…だから俺達もこいつらに墓を作ってやろう…」


野盗たちは道から少し離れた場所に穴を掘って遺体を埋めて岩を墓石代わりにおいて立ち去ったのだった…

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