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第80話:山羊男に逆ギレする遺族

今回の登場人物

山羊男:不満の化身で神とは別の系譜の存在。人間が自ら生み出した汚染物資に弱いように神でも勝てません。

ラグド帝国:植民地主義の国

アルガナ党:現在、鳥型亜人と半魚人で構成された亜人の党でバロットとベルトラがそれぞれの代表


ロジ達がローディグ王国のレセプトに着く少し前


風見族の森の街のシルバナにて


山羊男がシルバナに来てアルガナ党に属さない風見族を集めて今後の方針と対応の話を始めた


「シルバナと大川の間にあるアルガナ村に俺の家ができた…今日よりシルバナの族長の家は放棄する…今後もお前らの相談は聞くから昔どおりに族長を決めておくのだな…俺が殺した後は出ていないはずだ…」


「お前らの要望通りラグド帝国が来たら戦うが避難訓練をしておけ…あとでアルガナ村の連中が避難場所の説明に来る…避難所には畑にジャガイモを植えて山菜も自生するようにしてある…」


「ラグド帝国のエクラル皇女だがケセマ村に俺が調査した際にケセマ村の犯罪組織と一緒に俺を攻撃したので戦いになり俺はその気ではなかったが俺の意に反して自滅した。」


「ラグド帝国がどう動くかわからないが危険は高まったと考えるべきだ。今後は旅行など控えろ…そして人間が来たらスパイと思え…奴らは困ったふりをして近づくのが常套手段だ…遭難したとかで来ても捕まえてアルガナ村に報告するかお前らの判断で処分するのをお勧めする。」


ピー太郎の仲間の鷲の特徴を持つ風見族のラルエグが羽毛を逆立てながら腹を立てて噛みつく


「今日はバロットはいねぇな?お前が好き勝手に殺したせいで他人が危険になったってことだぞ?どうするんだ?責任はとれるのか?」


「他人にどうするや責任を聞いても何の意味も無いし相手にも何もできない場合がほとんどのはずだ…俺が拒否すればお前らは困るだけだ…無意味に俺の邪魔をするならお前らを見捨てる。ラグド帝国とは邪魔しなければ戦ってやる。そして手を出したことに関わった奴らは全て殺す。」


「戦後処理については俺が勝てたならアルガナ党の風見族と鱗清族に管理させる方針だ。支配させるのは好きではないがラグド人がまた暴れても困る。魔人みたいにラグド人を消してもいいがまだ人間は残すか消すかの審査中のため今回は全滅までは勘弁するつもりだ。」


「お前らもアルガナ村に寄るときはアポをとれ…あそこはシルバナの土地だがお前らから俺のやり方を認めて貰った場所だ。勝手に出入りをするな。なぜならラグド人になびく風見族がいてもおかしくないからだ…スパイ対策としてルールは守れ…」


前族長の娘の九官鳥の特徴を持つ風見族のポーチは目を見開いて睨むのだった


「…殺戮野郎が…好き放題いいやがって…でも今は我慢だ…弱る日が来るまで待ち続ける…」


ポーチはキャベツが歩いて帰ろうとしたときに試しに蓄音機でレコードを鳴らす

マレロニーのぷにぷに肉球天国・極上至福の歌詞が流れ始めた…


「みんな~レコードを買ってくれてありがとー!それじゃあいくよー!」


「…奴の声…まずい!」


マレロニーの声が聞こえた瞬間にキャベツの耳はピンと立ち顔を引きつらせながら走って逃げて行った…


ラルエグは呆れてポーチを咎めるのだった…


「こんな狂人の歌のレコードで化け物が逃げるなんてバカバカしいにも程があるな…そのレコードはよせ…」


「うるさいわね!お前も怖がられるようになんかしてみろ!見掛け倒しの鷲野郎が!狩もできない鷲なんか鷲じゃなくてチキンよ!」


「チキンって…」


ラルエグは傷ついたように口を開けるのだった…



◆アルガナ村の家に帰った山羊男◆


「マレロニーの声がしたが空耳だったか…音も割れていたしレコードか?俺にいたずらしたい奴がいるらしい…もう考えたくない…どうでもいい…」


ケセマ村で獣畜に食われて死亡したエクラル皇女が掲載されていた雑誌を山羊男のキャベツは読んでいた

モデルのように服を着て散歩しているシーンが収められていた


「エクラルは皇女で人間基準の美女らしく世間からも注目の的だった…だが奴は密入国して未成年の奴隷を買おうとしていた…おまけに奴隷の少年に恐怖を与えるためにペットの犬を病気になって不要という理由で異能とやらで殺し、さらに俺を不意打ちして殺そうとした…」


「命乞いを聞いたが結局、帰り際に俺を殺すと脅し、俺が顔を殴って左顔の骨を砕き問い詰めたら自分が特別だからこんなことしたら駄目とほざき逃げ遅れて獣畜に食われた…」


「権力者はエリートから連なる連中のはずだ…なぜこんな奴が偉くなる?」


風見族のバロットは人間や亜人の社会について解説する


「それはですねー…どの社会も驕りが出たり身内をひいきしたりするからです。人間だけじゃありません。血族政治は古来の基本です。理由は選ぶのが簡単だからです。そして文化というものは伝統と聞こえはいいですが硬直化という意味です。」


「いつまでも力と立場を握りたがるのが弱い生き物の性根です。多分、あなたほど力があれば理解できないと思います。ラグド帝国はそれの繰り返しでアホな国になったんだと思いまーす。」


鱗清族のベルトラはそこまで単純ではないと意見を言う


「武力をもつ連中が金や権力や土地を独占したら人間は逆らえないの。現代でも独裁者が病気になるまで肥えても民衆が立ち上がる国は少ないわ。間違いに逆らうのは力が無い側には無理なのよ。」


キャベツは考えた様子でベルトラに目線を向けた


「つまり、ラグド帝国にまともな奴がいても実権を握る実力や立場が無い状況が続いている…ということだな?国民はラグド帝国の植民地主義にどれほど賛同している?連中は魔人同様危険な集団になっているという意味か?」


「どこの国も戦争に勝てば喜ぶのが国民でーす。スポーツの熱狂にも似てますかね?勝ち馬に乗るのはどの種族も同じでーす。」


バロットの言い分にベルトラは理由を足す


「集団になると強い側に着く…昔から勝てば官軍負ければ賊軍の繰り返しよ。戦争もある意味、国民のご機嫌取りの側面もあるわ。勝てばその国の政権の支持率が上がるのは世界の常識よ。」


「でも国民が意図的に愚民でいるように情報を伏せたり、教育を滞らせる国もある…馬鹿が多い方がトップも助かる場合もある。管理しやすいために民草の足を引っ張られている場合もあるの。」


「理由や因果関係を気にする連中は少ないと言う意味か…人間という種は世界を支配する資格はないと言う意味だ…俺が過剰な支配者を消す必要があるな…それは支配に甘んじる暗愚な暴君だ…魔人だけ消して人間だけ優遇する気はない…」


キャベツは窓を向いて人間の世界に愚かな繰り返しの末を考えるのだった…


「何も考えず、無自覚に権力者になびく国民と肥大化する特権階級が人間の歴史なら蟻より悪い意味かもな…まともな思考が人間に出来る者がいるのは知っているが全体的な傾向が愚かなのなら強い生き物としてみれば龍族と似て無価値だ…」


「お前らに頼みがある…ラグド帝国と戦うのに反対の奴を連れてこい…話を聞く…そして俺はラグド帝国には先制攻撃をしない…奴らがシルバナを攻撃した瞬間が終わりの時だ…命乞いは聞かない…残らず消す…家族ごとな…」


「だが、俺やお前らも間違えればその救いようがない連中の仲間入りということだ…自分は違うと思い込んで同じにならないように気を付けないとな…」


「全ての存在は行動を問われるべきだ…だが世の中は行動の鏡になっていない…だから愚行を客観視できないのだ…俺達も自分の在り方がどうあるべきが常に考えるべきだ…」



◆ラグド帝国の家族◆


ラグド帝国の宮殿にエクラル皇女を護衛していた男、ストングが召喚されていた

ケセマ村でキャベツに切りかかり両手を折られて命からがら逃げだした護衛である


ラグド帝国の玉座に椅子に左右に長男のクロイヤと次男のトプレヤが座り真ん中にハコア皇帝が座っていた…

ハコア皇帝は目を手で覆いながら話しかける


「お主…余の愛娘の護衛であるな?…なぜお主が生きておる…護衛が生きて守り先が死ぬの奇妙な話ではないか?」


ストングは緊張感を感じながら話す


「私は手を折られて戦うすべがありませんでした…エクラル皇女は両足を失い他の護衛の背に抱えられその後、山羊男の追撃で顔を砕かれ倒れました…私はもはや打つ手がなく逃げました…腕が動かないのにどうすればよろしいでしょう…」


「そうだな…そう聞くとお主に非は無いな…」


クロイヤは涙を浮かべて手を握りしめる


「私の妹が死にました…あの無教養で恐れ知らずの怪物のせいで…この怒りをどうすればよろしいでしょうか父上…」


その様子に困惑しているトプレヤが進言する


「妹は行方不明にしましょう…国民に密入国して奴隷売買していて怪物に殺されたなんて恥というものでは済みません…遺体は怪物の眷属の獣に食われたんでしょう?…見つからないことをせめて利用しましょう…」


ハコア皇帝は手を目から離しストングを見つめる…虎のような鋭い視線で語り掛ける


「何でも隠していると嫌になる…押入れや物置に物が多すぎると何が入っているかわからない…誰も信用しなくなる…」


「定期的に捨てる物を出さないといけない…エクラルは恋仲ではないがお主を好いておった…そこでだ…エクラルを頼みたい…」


ストングは理解できない表情で焦りを感じる


「つまり、どういうことでしょうか…」


「余の家系は2代前まで、余の一族が結婚前に死ぬと一緒に生贄を殺し棺に納めるという葬婚というものがあった…」


「今回は特別にお主をその役になって貰おうと思う。娘を頼むぞ?」


ストングの足は地面に突然沈んだ…穴が空いて二本の脚はそこに落ちたのだ

穴は縮み足が動かなくなった


「ああ!何をするのですか!」


ハコア皇帝は屋根からロープを引くと壁のカーテンが開かれて虎がガラス張りの外でうろうろしていた…


「余のペットの黄色助という虎だ。エクラルが獣に食われたのならお主も虎に食われてもらう。」


「やめてくださいよ!非は無いとおっしゃいましたよね!?」


「生贄は古来より名誉なことだ…進んで心臓をささげた国もあるそうだ…ありがたく思って欲しい。」


「余の家系は魔力持ちなら異能がほぼ出るようになってきている…権力者はどこの国でも魔力持ちと異能を持つ者と家系を組むからだ…やがて一族に反映されるのは想定の範囲内だ…」


「余の異能は少し地味でな…狙った場所に穴を空けるというものだ…壁や足場に穴を空けて捕える…異能:虎穴入門と呼んでいる…」


ハコア皇帝は虎穴入門でガラスに穴を開き虎の黄色助は飛び出した

虎はストングの近くにより匂いを嗅ぎ始め…


グルルル…と低くうなりあまり叫ばないで首に噛みついた…


「あああああ!カヒュ…」


(…勤め先を間違えた…)


バリバリと音を立てながらストングは食われてしまったのだった


クロイヤは涙を布で拭き取り


「山羊男をただで済ません…私がなんとしても仕留めます…」


トプレヤが露骨に嫌悪感を向け


「兄上、あなたは最強の魔人と言われたイテミスより強いのですか?奴は魔人をイテミスも含めて全滅させた怪物ですよ?ケセマ村も消したのなら真実味もありますよ。」


「弟よ…ギャングと国の違いはわかるか?それは力の差だ…弱ければ国ではなくギャングなのだ…ギャングは悪であり強いギャングが国をつくる正義になる…我々は奪う側の強者なのだ…山羊より虎の方が人間には人気がある…強いからだ…山羊より弱い虎など誰も虎とは認めない…」


「我々はチームワークで奴を叩く…魔人は個人の強さに頼りすぎた…だから歴代でも人間に最後は負け続けたのだ…ノフィスは組織の扱いはかなりやり手だったがな…」


ハコア皇帝はトプレヤに平和について話す


「平和は握手ではない…相手に攻撃したら死ぬと思わせることだ…それが平和だ…だがそれを山羊男がやっている…どうしたものか…できれば捕まえたいが…下手に手を出すわけにはいかぬ…」


「そうだな…二人でローディグ王国に行け…なんとかローディグ王国に奴を刺激させる方法やアプローチを試すのだ…ちょうどフィーロとクロイヤの結婚も控えておる…視察という名目で行ってこい…トプレヤは工作は得意だろう。クロイヤの後ろから行え…」


「シルバナはローディグ王国領だから攻撃したら侵犯になる…連中と山羊男が揉めるようになんとかしてみろ…そして面白いネタがある…呪詛の実と言う物がフレムト共和国で最近出回っているらしい」


「山羊男が出始めてこんなものが出た…そして風見族は金遣いが荒くなっているらしい…それなら関係が無いほうがあり得ないかもな…調べて事実ならローディグ王国に飛びつかせれる情報かもしれんぞ?」


虎はストングを食べ残して自分の部屋の窓の穴に戻っていきハコア皇帝は穴を閉じた


「父上、死肉にハエが寄ってきます…私が片付けましょう…」


クロイヤの足元から透けた白い正方形のマス目が広がりストングの遺体を覆った


シュウウ…遺体は徐々にブスブスと消えていった


「この私、クロイヤの異能:イレイザーツール…発動に時間が少々かかりますが分子レベルまで分解して消し去ります…あの山羊もこの世から消しましょう…」



◆ローディグ王国へ出発◆


クロイヤとトプレヤはパレードに参加して出国を見送られた

歓声が響き花吹雪のよう祭りのような光景を見ながら馬車から二人は手を振る


「弟よ…こいつらはなんだと思う?カルト教団の信者と同じだ…我々が勝つことしか期待しないサルどもだ…負ければ糾弾して国の恥だと叫ぶ蛆虫共だ…」


「スポーツ選手のプレイに野次を飛ばす視聴者は見たことはあるか?プロでもないのに客観的に見た気になっている出まかせの小粒共だ…そいつらの期待に応えなければならないのが我々だ…」


トプレヤは困った顔で未来を不安視する


「兄上、妹は馬鹿ですよ…その馬鹿のために国を危険に兄上も父上もさらす気ですか?昔から兄上も父上も妹に甘い…母上を癇癪で殺した妹ですよ?」


「毎回、未成年の可愛い弟役の執事も大金で買ってきて成長して可愛くなくなった理由で街に放ったり、別の執事がおねしょをしたとかで怒って3階から捨てたりして…兄としてどんな気分だと思いますか?」


「愚弟ながら進言しますが世界史において愚民が多数派など言うまでもない…それは権力者も含めてですよ…なぜなら原始人の頃から騙される側を率いて人間は統治してきたからだ…愚かでないと国にならないのですよ。」


クロイヤはトプレヤの話を聞きながら腕を顎の支えにして外を見る


「我々は人類の1%の側のはずだ…それを脅かすのが山羊男だ…誰が奴を止める?妹は確かに教育が足りなかった…学校では優等生のはずなのに馬鹿な真似をした…なぜだ?」


「僕の感想ですが妹は学力ではなく常識や判断力が足りなかったのだと思われます。誰でも一目瞭然ですよ…火は危険だとみな知っているのにわざと放火する犯罪者もいます…」


「そうだな…愚兄にならぬように世界中の歴史書は目を通した…歴史上で権力者の家系の暴挙はたくさんある…。我々の一族も例外ではないということだ。妹が死ぬのは悲しいが脱落したということだ…だがお前と私が賢明ならやり直しはきくはずだ…」


「その賢明な側になろうではないか…少しでも愚かな子孫が減るようにな…昔は不適格とされた王族の子は間引かれて殺された話も数多くある。私の子が愚息なら殺す…強者の子孫に愚か者は不要だ…妹への甘さは今後の方針に活かそう…それがせめてもの手向けだ。」


「今日より私の代からは身内も狼藉者はどんどん殺すと誓おう。身内を殺せて真の強者だ。家族を殺せるものは卑劣な者かあるいは真に強い信念があるかともいうからな…権力者は後者になるべきだ…」


トプレヤはラグド帝国の在り方に危機感を感じるのだった


「おそらくイテミスも似たような話を部下にしていたでしょう…山羊男はいずれ世界の敵になり我々もいつか戦う日が来る。それが早まったと思い今回にあたりましょう…」


トプレヤの愛刀の雷龍牙はカタカタと知らぬ間に揺れていた…



◆具体的な策◆


馬車はラグド帝国を出国し国境の検問所に近づいていた

クロイヤはフィーロ王女に会う前にトプレヤにどうするか話を聞いていた


「私は国王に正直にケセマ村の話をしようかと考えている…スディッキュ領主の商売の証拠は妹が関わり始めた時に調べ始めていた…それでスディッキュのせいで妹が死んだと吹っ掛けるつもりだ…お前はどう思う?」


「悪手ですね…相手を怒らせます…それよりは大金を3流メディアどもに渡して山羊男の脅威を民衆共に流して恐怖と討伐したいという感情を煽ったほうがいいと思います。」


「流石だ…お前の方が下の扱いは得意だ…だが私は父上より先に呪詛の実がフレムト共和国から売られていると情報を掴んだ…証拠はまだだが状況証拠でシルバナから運ばれていると世界中のスパイ共が睨んでいる。フレムト共和国で調査していた他国のスパイを拉致して拷問して吐かせた…」


眉唾な情報に不信感をみせる弟にクロイヤが利用できないか案を巡らせる…


「食べれば魔力が上がると言う詐欺商品ではないのですか?実在したのですかね?」


「スパイが実際に買って食べて効果があったと言っていた…実を調べたら細胞が自壊して無意味な果肉になるらしい…高度なプロテクトだ…出所さえつかめばシルバナで生産されていると世界に暴露すれば世界中が奴に手を出す…火中の栗を拾わせるということだ…」


トプレヤは身震いした…


「それで世界中が逆に殺されなければいいですがね…」


「今まで怪物はたくさん歴史上に存在したが人間を滅ぼせた怪物はいない…魔王が何度か現れてもいつまでも世界を征服できなかったようにな…人間が負けた時代はない…国同士ではあるがな。」


「東の国では大奥というものがあるらしい…似た話は世界中であるが君主が妻をたくさんもつには理由がある…名門の血筋でも子孫の素質がほぼガラクタで使える奴が少ないそうだ…優れた存在が多くを育てその中から原石を見出す…それが権力者の跡取りの選び方なのかもな…」


クロイヤは鞄を開いて立派な勲章をトプレヤに見せた


「世界の技能大会にお前も出ていたな?剣術の世界トーナメントだ…魔法や体力差をできるだけなくし公平なる技能戦の大会だ…お前は去年、銀メダルをとった…」


「そして私は魔法使いの大会…魔導士協会が開く魔法使いコンテストの若手のランキングで1位を今年にとった…魔法使いは経験が長いほど強力になる傾向があるため私が世界一という意味ではないが若手では箔がついたエリートだ…3系統の属性魔法の上級魔法が使え異能もある…」


「兄上は希少な存在です。2系統の属性魔法を使う魔人も少ないのに3系統も使え異能もある…」


「だが私はバラバラに使うのは逆に苦手だ…混合魔法で使うのがほとんどだ。魔力量も魔人より低い…人間の限界だがお前と組めば間違いなく最強に近いはずだ。水・風・雷の混合魔法…嵐の魔法をいつの日か奴に見せてやる…それが私の怒りだ…」


「トプレヤは腕っぷしは私より強い…お前の時を早める異能:オーバークロックもある…お前の剣術にそれをかければ奴ですら手も足も出るまい…」


「試合と殺し合いは違いますよ。まずは情報戦と行きましょう…兄上も婚約者のフィーロ王女を怒らせたり不安にさせてはいけませんよ?」


結婚の話に苦笑を浮かべてクロイヤはテーブルの紅茶を飲みながら不安を語る


「ああ…未来の妻も不機嫌にするようでは国の君主は勤まるまい…手に負えない愚妻なら暗殺するがな…我ら兄弟はすでに原石から磨かれた宝石だ…」


「人材の話でよくダイヤの原石という言葉がある…100年に1度や人材の希少性の話はずっと昔からある…人間は生まれる奴がほぼ凡才かそれ以下だという証明かもな…くず石がないと宝石の価値がない…道端の石がダイヤならダイヤの価値が無いように…」


「くず石に同情しても何もない…奴らも救われないし我々の時間も無駄だ…奴らは無自覚で無知のまま馬車の外にいる奴らのように騒いでいればいい…我々は動物園の世話役だ…」


気を悪くし始めたトプレヤが人間不信になっていると釘を刺す


「兄上は上も下も警戒しすぎて少々、人間不信になっていますよ。僕は逆にパンダ役になれるようになりますよ。進んで笑われ見世物になりましょう。あまり警戒してばかりだと周りも安心しませんよ。」


「お前は人がいいな…だが権力者の世界では善人など無力なゴミ以下だ。善人にはなるなよ?…奴らに感謝はされても文句は言われる筋合いはないはずだ…もし我らが明日いなくなれば恐らく善良な市民などすぐに他国にやられて滅ぶ。餌を食うだけの動物には理解できないだろうがな…」


「民を守るのが上の務めと世間ではもっともらしい言葉で上の者の在り方を語るが実際の統治や防衛は泥臭い話ばかりだ…民も大半は人任せで汚れ役を貶す保身ばかりの不立派なゴミども…民とやらが嫌う腐った権力者も愚民共もそう変わりがないはずだ…」

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