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第76話:英雄は隕石を呼ぶ準備を行う

前回、ルナムから絶滅石器の術式を刻まれた羊皮紙を受け取ったシュウノはその発動のために膨大な魔力が必要なことを知る。そのための準備を考えるためアルシオンに聞くことを考えるのだった…


シュウノは羊皮紙をアイテムコンプでしまった後に要人用の特別療養施設の倉庫のサボリ部屋からルナムと一緒に抜け出した


「ルナム…しばらく俺は考える…何か案が浮かんだら連絡するよ。」


「ああ…正直、絶滅石器は欠点が多くて役に立たないと思ったがないよりはましだろう…ご武運をという奴だな…」


ルナムは魔人の角を隠すために頭をターバンでまいて廊下にでる


するとセイルが目をギラギラ光らせてシュウノを発見し荒い足取りで詰めよった


「シュウノ?その雌猫と何をしていましたの?わたくしに内緒ごとですか?」


「お主な…重要な話もあるくらい大人ならわかるだろう…あまりシュウノを困らせるなら妻の素質がないぞ?」


「そうじゃありませんよ!わたくしがシュウノから預かった金で投資してた株と缶詰工場の運用を報告しておきたくてですね?」


「株は12銘柄中、現在7銘柄が含み益で5銘柄が含み損です。長期投資でまだ売却していません。そして買収していた缶詰工場の需要が急増して資産価値が2割増ですわ…500万ルオン(5億円)投資して現在5%の価値増加ですわ…株はまだ売るまではわかりませんがね。」


「+25万ルオン(525万ルオン)になりましたわ。どうです?そこのニートよりはわたくしのほうが役に立つでしょう?」


シュウノは感心するがルナムと比べないでくれと頼む


「セイル。金策を考えてくれてありがとう。セイルは要領や先を見る目があるから先が明るいよ。でもルナムも戦いでは手を貸してくれている…邪険には扱わないでほしい…」


その様子にルナムも鼻で笑いセイルを煽る


「そうだぞ?いくら数字を語ってもシュウノが相手をしているのは魔人を大勢殺した山羊男だ。金で奴は倒せん。生活の足しにしかならんとわきまえるんだな。贅沢しすぎてもお前のでかい胸みたいに腹も出て来て肥満になるぞ?」


「キィイイイイ!お前は絶対に殺してやる!ここは病院だから薬も刃物も手に入りましてよ!」



シュウノは泣きそうな顔で頼む


「やめてくれ…ここは要人が療養にくる場所だ…目立つから二人ともやめてくれ…」


それをキャベツの飼い主だったギノが見ていた


「おい兄ちゃん?その姉ちゃんたちはなんだい?ガールフレンドかい?」


「おいおい…俺の護衛が女を連れ込むなんて仕事する気あるのかよ?そんな勤務態度で今までよく冒険者やれたな…違うな…冒険者は女と遊んで楽しんで冒険する世の中を知らない糞虫ばかりだから兄ちゃんは世の中を舐めれるんだろうな…」


セイルはギノに怒りを向けた


「なんですの?この小汚い男は?Tシャツに半ズボンにスリッパ…貴族の服装じゃありませんね…この方がわたくしの亭主の護衛対象の男?」


「なんだこの豚女…初対面にその態度かよ…お前の妻か?兄ちゃん?こんな豚なんか芸も覚えれねぇな。兄ちゃんも若いのに妻を早くもつと苦労するぜ…」


「豚…キェエエ!シュウノ!こいつ今、豚といいましたわよ!許しませんわよ!」


「うるせぇなあ…もう一人はなんだ?この豚の女友達か?あんまり俺の周りを騒がしくしたらカタムに言いつけてやるぞ?豚の世話の様子なんか俺に見せるなよ?」


シュウノはギノに憤るが職務を守ろうとする


「ギノさん。セイル達をあんまり侮辱しないでください…部屋を近くにカタム領主が貸してくれますからギノさんの近くの部屋にセイル達が住みます。わざと怒らせないでください。」


「そうかい?俺もタイプじゃないから安心しな。若けりゃいいもんでもないしな。豚でも牛でも静かで臭くないなら隣でもいいよ。」


「あなたが加齢臭で臭いですわよ!みっともない…」


「豚語は人間にはわからないね…養豚場に行った方が俺はいいと思うがね。兄ちゃんも養豚場に勤めなよ。」


「うがああああ!!!!この野郎―――!シュウノ!わたくしはこいつを殺す!」


珍しくルナムは大声で怒った


「シュウノを困らせるなぁああああ!」


「二人ともうるせぇな…豚と牛だね。牛もヴォ―ヴォー叫ぶからね。家畜小屋だよ。俺の山羊の方がまだ静かだったね。兄ちゃん?こいつらにしつけときな?俺を困らせるなって。」


「そして牛もお前の関係者か?妻が二人は貴族ならよく聞くがね…兄ちゃんもかい?モテる男はつらいね~。教養がない家畜にまでモテて俺なら遠慮するよ。」


シュウノは怒りをギノに湧きだすが耐えるのだった


「ギノさん。今日の俺は休みです。今後は彼女たちが近くにいますから喧嘩しないでくださいね。」


「貴様…私を牛だと言ったな?許さんぞ?この矮小な愚民が…」


「おや?牛が何か言ってますな…牛はゲップで環境を悪くしているらしいからな…大食いでゲップを吐き空気を汚す…家畜として駄目じゃねぇの?お前は食えない家畜だから普通なら産業廃棄物かもな。」


「おのれ…いずれ後悔することになると思え…」


「牛語もわかんないね。俺も練習しようかな?モ~モ~…ウシガエルの方が伝わるかな?俺じゃ伝えるのは無理っぽいね。」


「今日は面白かったよ。家畜のトークショーで笑わせてくれたからね。兄ちゃんは動物の調教の素質があるよ。山羊も教えれば芸も覚えるらしいからね。豚や牛もそれができるって証明できたから兄ちゃんは天才かもな。だが病院だから子豚や子牛はここで産んだらだめだぞ?産気づいたら家畜小屋に行けよ?」


ギノは自分の部屋に頭をかき歌いながら去って行った…


「ぼくは悲しい~♪ 子牛が食われて悲しい~子豚も食われて悲しい~貴族は美食ばかりでひよこや子牛や子豚を食うから~♪ ルンルン☆悲しみより美味しさの需要のため~♪ 悲しみはこの世の美味の影~生贄の敗者のおかげで食卓が美味しい~♥」


セイルとルナムはお互い見つめあってうなずいた


「奴を殺す…二人でだ…間違いなく確実に殺す…右半身と左半身を半分ずつ殺す…」


「やめてくれ…俺を困らせないでくれ…ギノさんが死んだら俺達は追い出される…」


ルナムは今まで見たことがないような表情を見せる…冷たい無表情で憎悪をたぎらせた


「奴のせいで山羊男が生まれ魔人が皆殺しにされた。それなのにあの男にコケにされた上にあんな歌を歌ってリラックスしている…私のはらわたが沸騰するほど煮えくりかえっている…あの男にも味わわせたい…奴は魔人以上の病毒だ…庶民の無関心という邪悪だ…」


それに続きセイルも犬のように眉間にしわを寄せる


「あの男に好きに言われても何もできない…なんですのこの気持ち?無力感…流石は山羊男を育てた男ですわ…まさに山羊男の影ですわ…構図が似てますわね…山羊男は強すぎて手を出せない…ギノは権力者に守られて手を出せない…うがぁあああああ!!殺してやるぅうううう!!」



◆酒場に行き相談◆


シュウノは妻を置いて療養施設を出て以前、アルシオンとは話した酒場でマスターに相談していた


「もう、山羊男の関係の話はクズしかいないよ…ドブの中だってわかっていたけどここまで飛び火するとは…」


「ギノはきっかけに過ぎない…彼はふたを開けたんですよ。地面を掘るだけでは石油はでない…多くの者がギノのような態度を下へ下へと回した結果、山羊男の発生の因果が生まれギノの家からそれが出たに過ぎない…あなたは問題をまだ見えていない…」


「その話はアルシオンさんから聞いたよ。マスターはアルシオンさんとどんな関係?」


マスターはグラスを吹きながら首を軽く振った


「規定で部外者には言えません。あなたが聞いているのは狂言と同じですよ。」


するとアルシオンが入店してシュウノの隣に座った


「未来視は当たった…マスターの未来をみて君が来るのは見ていたからな…私に相談で来る未来だった…私がマスターに呼ばれる前に来たから未来を変えたということだ…」


「アルシオンさん…こんにちは。この前はありがとう。未来視って最強ですよね?」


「違う。未来視は不確実で可能性が多い相手程、未来の選択肢が増えて見えなくなる。だから山羊男のような大きな力を持つ奴は見えにくいということだ。そうなる可能性が大きい未来ほど見やすい能力だ。あまり期待するな。」


「未来視は行方の山羊男:パセリから貰った力だ。今まで使っていなかったがキャベツを倒すまでは活用しようと思う。何の用だね?」


シュウノはルナムから預かった絶滅石器の相談をした


「ノフィスが恐怖から魔法の術式を発生させる異能で隕石からすり抜けて生き延びた龍から絶滅石器という隕石魔法を作った。」


「その絶滅石器を使用するには膨大な魔力がいるのとボケた龍からすり抜ける魔法をなんとか使えるように頼みたいんだ…でも両方とも考えが浮かばない…それを相談したくて」


アルシオンは呆れた様子でシュウノを睨む


「君は魔王を倒したんだろう?二つとも選択肢は君が持っている。絶滅石器は君と親しいこの国の権力者に頼むしかない…ボケた龍は龍に詳しい者に聞くしかないだろう?」


それを聞いたかつての英雄は考えが浮かぶのだった


「フィーロ王女に頼むか…ノフィスを倒してセアフスに引っ越して以降、会ってなかったな…そういえば昔、旅をしていた頃にフィーロに飛んでいく渡り鳥の手紙は2通まだ残ってたな…聞いてみるか…」


「ボケた龍はロジャノさんに聞くしかないよな…龍人のロジャノさんが詳しいだろう…確かイグナの連絡で今、ロジ達の観測で一緒にいるってあったな…イグナにボケた龍を聞くように手紙を書こう…」


「この前のオークとの戦いで愛用していた護符の剣も折られたし飛翔の槍も地響きの槌も失ったから武器も揃えておかないとな…」


「ありがとう。アルシオンさん…あなたは真の英雄ですよ。フィーロか…そう言えば王族がアルシオンさんの子孫って本当なんですか?」


アルシオンはグラスの酒を飲み干し昔を思い出すのだった


「あまり聞かれたくないが私が英雄と呼ばれていた頃は君と似ていたよ…君の妻のように厚かましい女性と英雄としての手柄で遊び惚けていた私の優柔不断さでできた子だ…」


「私が殺した龍人2人は世界を結構、荒らしてね…当時のローディグ王国は別の名で王族は逃げ出して不在だった…私はその当時の金持ちの女性を妻に持った…後に私の子は大きくなり手を離れた後はこの国の王となる豪族に目を付けられその血族と結婚した…」


「私のせいで子の未来を狭めてしまったという自責の念はあるね。あまり性根がいい子でもなかったが私自身が駄目な親だったから言えないね…君も気を付けておきなさい…」


その言葉が重くのしかかるがシュウノはあがくことを誓うのだった


「俺も子が生まれたらどうなるか想像もつかないけど自分が動ける間はあがきますよ…アルシオンさんの言葉は忘れず参考にします。」



◆英雄は手紙を当てた帰りに…◆


シュウノは酒場のマスターに頼み個室に移動するとアイテムコンプから渡り鳥の手紙を出しどう伝えるか悩みながら書き始めた


~フィーロ王女へ~


久しぶりだが頼みがある。

山羊男を倒す手がかりを見つけた。

だがその手段には魔法使いの協力がたくさん必要だ。

二人きりでその内容を話したい。

その手段を教えるから俺と会って欲しい。

しかし、俺は業務でセアフスを離れられない。

これを頼めるのは君しかいない


シュウノより


「これでいいかな?無視しないかな…次はイグナだな…」


~イグナへ~


セアフスの近況についての報告


・山羊男がオークと盗賊の2名に自分の力のコピーを与えて飼い主の命を狙った。


・盗賊は浮遊の力では俺の家を襲ったが助っ人のおかげで撃退した。


・オークは凄まじい体力でセアフスを守る兵と冒険者を大勢殺し、セアフスの冒険者の代表のオーバル氏を殺して冒険者組合支部の施設を倒壊させたが俺が宇宙へ奇策を使い飛ばした。


・俺には協力者がいる。その人物が強力な魔法を俺にくれたが使えば隕石の威力で自分も吹き飛ぶ。


・隕石魔法を無事に扱うためにダメージからすり抜ける魔法を使えるというボケた龍が必要だ。


・ボケた龍を探して欲しい。ロジャノさんにも聞いて欲しい。すり抜ける魔法をぜひとも使えるようになりたい


シュウノより


「これでいいか…。さて帰りに食材でも買いに行くか…ルナムがスーパーで買ってこいって言ってたからな…」


英雄は渡り鳥の手紙を飛ばすと買い出しのために哀愁漂う背中を見せながらトボトボと歩いて行った。



◆衝撃の特価セール◆


シュウノはスーパーの店内を徘徊していると愕然としていた


「なんだこりゃ…ゴートマンキャベツセールだと…」


山羊男キャベツの等身大人形がスーパーマーケットの野菜売り場に野菜のキャベツを両手で差し出すようなポーズで持っておりその背後の台には野菜のキャベツが山積みにされていた


「1玉2ルオンセール(200円)…こいつは何人も殺した怪物だぞ…魔人も大勢殺した…店長は狂ってるのか?」


しかし客は野菜のキャベツを購入しに集まっている…写真機を持ってきている客までいた…


「ふざけやがって…でも文句を言おうにも言う相手がいないよな…」


近くには山羊男がはいていた同じ紺色の半ズボンも売られていた…


「ああ…もうめちゃくちゃだ…世界も人間も壊れている…」


英雄の溜飲がこみあげていると店員が人形の首にネックレスのように紐を通したメッセージカードをかける…


[ビックリ大特価!栄養満点!緑の恵み!僕も大好きグリーンボール!]


あまりの光景にシュウノは唖然とするのだった…


「世間では山羊男のニュースは情報統制で噂くらいしか広がっていない…こんな風に思われているのか?みんなギノさんと同じか?」


山羊男の人形は本物とは決定的に違う点があった

それは山羊男キャベツの等身大の人形は笑顔だった…不気味ににこやかな笑顔だった…

本物は一度も笑ったことはない表情に一層の不気味さを醸し出していた…

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