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第69話:勇者はそれっぽい龍の力で戦う

ロジャノは荒野にいた龍の骨の報告を宿屋に帰りロジに説明した


「龍の骨の話は本当だった。骨食肉(こつしょくにく)がへばりついて動いていた。後はお主が対処してみろ。深くは調べなかった。」


ロジは好都合と顔を輝かせるが疑問も浮かぶ


「A級の危険度の骨食肉と呼ばれるスライムがいた…しかし湿地帯に住む奴が荒野で龍にへばりついて動いている…どういう意味でしょうか?」


「それを調べるのがお主の仕事じゃろう?はやくせい。」


ロジはチームを朝から呼んで支度をした

しかしメイリアはダルそうだった


「そうだった…メイリアさんは朝が苦手なんだった…」


「ロジ…私は眠い…もう行くのか?」


「早く行かないともう居ないかもしれませんし…最悪、キャンプしますよ?さあ行きますよ?」


ハーレムチームは荒野に移動を開始しそこに着いたが足跡しか残されていなかった


「足跡があればどこにいったか分かりますよ…でもこの方向は地図ではアスト村の方向ですね…襲わなきゃいいですが…」


しかし、地面の穴があちこちにあることに気づく


「この穴はなんだ?」


メイリアがそう思って近づくとミンチのような肉のかたまりがビュッと飛び出した…


肉塊からクモヒトデのような触手が生えて尖った折れた骨が触手から何本も飛び出している

魚の骨から小骨が生えているように触手から色んな生物の骨が取り込まれて凶器として利用されていた


「ビュンビュン」縄跳びを振り回すような音をならす


それをメイリアに打ち付けた


「ブォ!」


メイリアは避けたが地面に「バァン!」と鞭を打ち付けたような音がなった


「骨食肉…スライムのモンスターでも特に危険な奴だ…獲物の骨を武器として利用する怪物だ。」


骨食肉はザトウムシのように立ちあがり何体か集まりロジ達を囲んだ


「連携をとるなんて…どういうことですか?スライムは本能任せで分裂や統合をするだけの存在だ…こんな風にチームでハンティングをする知能はないはずですよ…」


「ボコッ…パラパラ」


荒野の地面が盛り上がって龍の骨が現れた

15mくらいの2足歩行の龍の骨であり骨食肉がへばりついていた


「ふふふ…どうですか?私の研究は?」


龍の骨の口が開くと昔の蓄音機の音をだすラッパのような現代の道具が口に内蔵されていた


「人…?なんですかこれは?あなたが操っている?」


ロジが聞くと学者が頭から窓を開けて顔を出した


「ふふふ。この魔法生物研究者…リキルドの成果をご覧あれ…」


リキルドは少し髪の毛が薄くなった中年男性だった


「やめてくださいよ。あなたは人間ですよね?なんでこんなことをするんですか?」


「私の研究はスライムを操ること…人間は金をくれませんでしたが魔王のノフィスは金をくれて研究を支援してくれました…その成果がスライムの行動を抑制することですよ。ノフィスも私の研究成果を褒めて使ってくれました。」


「そして龍の遺産を見つけましてね…龍骨立体印刷機を見つけたんですよ…それは龍の時代の兵器工場…造船所ならぬ造龍所ですよ。造龍とは龍が作った人造人間ならぬ龍造龍なのだ。造龍は龍族同士の戦争に使われていた戦闘生物…龍を模した生体ロボットに近い存在なのだ。」


「骨組みを立体印刷して別のラインに送り肉付けする施設を見つけましてね。フレームである骨を作る施設だけはなんとか使えるようにしたんですよ…ですが骨だけでは動かない。そこで骨食肉をつかい動くようにしたのです。」


説明が長いことに苛立ったロジは要点を聞くがリキルドは意に介さない


「なんですか?この状況にその説明が関係あるんですか?」


「戦う相手のことは知るべきだ小僧。骨食肉とは筋肉の特性に変身するスライムの中でも驚異的な危険種だ。それを活用したのです。」


「戦いたい訳じゃありません。この成果をお偉いさんに見てもらいたくてね。それで研究を認められたい。昨日、私をコソコソ、白い龍が見に来ていたのは気づいてましたよ。この国で龍といえばロジャノの婆さんしかいない…誰が来ると思えばあなた達だったということですよ。」


「ちなみにこの骨は建造中に止まっていた焦土主とよばれるモデルの造龍の骨だ。完成していれば並みの龍なら大勢殺せる高級モデルだったらしい。」


しびれを切らした様子イグナは口調を荒くして相手の意図を問う


「だったら私達をそのスライムで囲むのはなぜ?脅す必要がないでしょ?」


「私は魔王軍と関わったせいで指名手配中だ。そこで君らも捕まえて研究成果も見せて恩赦と亡命を認めてもらおうかと思う…このアイディアはどうだろうか?」


ティアニスは呪魔法を使いスライムたちを足止めする


「呪魔法:失欲…本能を鈍らせ無気力にする魔法…知性がない魔物程、効果が高い…」


スライムたちは魔力を風のように浴びて素早く動く挙動が鈍っていく…


「ふん…焦土主の力を見せてやろう!」


焦土主は両手をイグナに向け手首の上の管の穴からバルカン砲のように火球を連射した


「ボボボボボボ!」絶え間なく連射されイグナは結界魔法を行うが結界に溶けた鉄のように魔法の弾がへばりつき視界が見えなくなる


「炎魔法:守護炎陣…炎魔法の結界術で炎魔法を受ければより強度が増す…だが奴の砲撃は炎魔法以外も含まれている…恐らく、土系統か?」


「まずい…あっちは機動力もある…あのレベルの火力があるなら不利だ…」


「ほお…小さい人間風情が炎土魔法:溶鉄球に耐えるか…ならこれならどうかな?」


焦土主のあばら骨がバシャッと花のように開くと胸にエンジンの排気筒のような骨の筒がずらりと並んでいた


「炎風魔法:熱空焼…狙った場所に強烈な熱風を吹き付ける焼殺魔法…受けて見ろ!呼吸するだけでも肺が焼けて死ぬ危険な熱風魔法だ。」


焦土主の胸からドライヤーの風のように「ブオオオオ!」と超高温の風を送風する


ティアニスは魔法の威力を低減する呪魔法の結界をイグナの前に展開する


近くにいた結界の外にいた骨食肉は発火点を超えて燃えるのだった

ハンバーグが焦げるように水分が抜けて燃えていく


「呪魔法:呪威必衰…壁のような領域を出し通過した魔法の魔力をフィルターのようにこしとり威力を減らす妨害結界…これでイグナさんと一緒にかければ防げるはず…」


ブゥン!と霧のような魔力の空間を広げ熱風の威力を阻害する


「あー!もう!めんどくさい!突撃だ!」


リキルドは操縦し焦土主がイグナ達に突進を始めた…


「そして未来の技術を見せてやる…マスケット銃は現代でも開発が研究されているが龍骨立体印刷機をつかい応用した私の追加要素…龍牙弾だ…」


「造龍の牙を大量生産し、龍骨工場にあった兵器設計データから立体印刷して搭載した連射銃だ。名付けて龍牙銃だ…過去にも似たような発想はあったのだよ。龍相手に銃は効かんが私が人間用に応用してカスタムし増設した…弱めて連射を効くようにしても人間相手なら十分だ。」


焦土主の親指の反対側の方にも指の形をした銃口の骨がありそこから龍の歯を大量に発砲してきた


「炎土風魔法:火薬気…火薬の性質を気体に持たせてガスのように爆発させる超高等魔法…それを龍の牙を射出に使うということだ…」


「通常なら複合の魔法は複数人で訓練して分量や一致団結の意思で行うが造龍は魔法すらオートメーションで行える組込みシステムがある…」


「タタタタタタタタタタ!」規則正しく龍の牙が連射されて結界に負荷をかけながら焦土主は突進していく


ビシビシと結界に当たりイグナは持ちこたえられないと悲鳴をあげる


「うぐ…結界が持たない…捕まえる気がないのか?殺す気かあのじじい…加減がわかってない…素人か?戦いを知らん奴が重装備を持っている感じだ…」


リキルドは龍の時代は人間が思うような美しい種族ではないと哀しみを吐露する


「そして造龍の骨は並みの素材ではない…なんと私が焦土主を発掘したときも骨細胞は生きていたのだ…骨細胞は常に自力で補修を行っており強度も落ちていない…凄まじい技術だ。現代の素材の強度も軽く上回っている…だが造龍所の稼働には悲しい現実があった。」


メイリアはティアニスとイグナに近寄る骨食肉を剣術で守っている

メイリアの山羊耳にも少し骨食肉の触手のかすり傷がついて血が出るがかわした上で触手を切り捨てる


「ザシュ!」


「うぐ!あの肉がへばりついた骨のおもちゃ以外にも骨食肉が集まってくる…あの男に骨食肉が操られているのか?」


「私は工場の仕様を調べて分かったことがある…工場は大量の魔力が必要だ…魔力は創魔龍が世界中に供給する方法を作るまで龍が体内で魔力を生産して自力で賄い行使していた…」


「つまり創魔龍が魔法世界のインフラを施す前の時代の造龍施設には大量の敵の捕虜の龍を潰し殺して魔力を取り出して稼働させていたのだ…私も龍骨の牙や腕に増設した龍牙銃の機構を作るだけで大量のスライムを燃料に使用した…」


ロジはマイ・ルールブックをブン!と手元に出しプロフィールページを開いた


「この前の毒沼主の後で新たにできた自分の項目のページ…それは自分の異能や肉体の状況を自分が知る限りの書き込みを行える…あまり無理なことや抽象的なことは無理です。」


「今回は、前に毒沼主を倒した龍人のロジャノ様を僕は見ました。彼女は龍に変身できる龍人…今回は僕のページに龍人の力を使うと書きます。」


プロフィールページに<龍人になる>と書き込むとロジの周りにパラパラと白い紙のようなものが現れてロジを包んでいった


「ズオオオ!」ロジはペーパークラフトのロジャノの変身した姿に紙でできた龍の姿になった


「あれ?僕は変身していませんね…紙の龍の中に僕が浮いている感じだ…紙の人形の空洞の中にいる感じですね…肉体変化まではまだできないということか…」


「まあいいでしょう。これで動かしてみますよ?」


イグナ達が10mくらいになったロジが中にいる紙の龍をみて唖然としていた


「なによ?あれ?」


「もう何が正常かわからないですよ。」


ロジが紙の龍を動かすとズン!と音を立ててこけた


「ありゃ…かっこ悪いですね…いきなり使うのはやっぱり駄目ですか…」


リキルドは驚いたが攻撃を継続して龍牙銃をロジに向けて放つが弾が紙の龍にはへこみはするが中まで通らない


「タタタタタ」とうつが「チュンチュン」と龍の牙がはねてしまい思うように攻撃が通らないことに唖然とする


「なんだ?奴は?異能の域ではない…龍人ならもっと生き物の質感のはずだ…小僧は何者だ?」


ロジは手足を動かし始めた


「強度も龍化したロジャノさんとそう変わらないっぽい…僕のモーションに反応しますね…モーションキャプチャーに近いですか。目を閉じれば龍の眼の視界になる…これで行きますか…」


ペーパークラフトの龍は焦土主に走って体当たりをしかけた


「ドォン!」紙の龍が骨の龍に覆いかぶさるように倒れた


「うあああ!揺れる!おえええ!」


ロジもリキルドも似たようなセリフを言いながらお互い倒れた…


「おのれ…あの小僧…焦土主を傷つけおって…ちくしょう…右手が折れたか…まあいい…」


「炎魔法:炎爪!…中級魔法だが焦土主が使えば巨大な刃だ…」


焦土主の左手の指から火炎放射のような刃が噴出し紙の龍を切りつけて破く


「バリバリ!」


「うああ!ちょっと破らないでくださいよ!」


胸が破れて浮かんでいるロジを発見したリキルドはにやりと高笑いをする


「ふふふ…お前は捕まえて研究材料にしてやる…ちょうどスライムを寄生させて操る研究も始めてたからな。お前を飼い慣らしてやる!」


しかしロジがロジャノが使った光魔法を反撃に使う


「光魔法:光爪!あなたも猫みたいにひっかかれればいいですよ!」


ロジが腕を振ると紙の龍の右手からベアークローのように光の爪が伸びて焦土主の左腕を切り裂いてしまう


「ぬあああ!やめろおおお!私の研究の結晶なんだぞー!」


ロジは紙の龍を飛行させてヒップドロップで焦土主の背中にぶつけた


「バリィン!」目の穴のガラス張りの窓が割れてリキルドは絶叫する


「うあああ!おえええ!」


二人ともまた似たような声を出して泥仕合の果てに重なるように倒れる


「おぼえてろー!次はこうはいかないぞー!」


「ボシュッ!」焦土主の首が外れて飛んでロケットのように飛んで行った…


しかし窓ガラスが割れているので風をもろに受けてリキルドは苦しむのだった


「ぶあああ!ちくしょう!あの小僧!許さんからな!」

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