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第66話:オークを退けた後の英雄とセアフスシティ

前回、ノーマルオークのウードを宇宙に追放して倒し、妻たちの元へ帰ったシュウノは盗賊のクジから妻を守ってくれたアルシオンに礼を言った


「あなたは本当の英雄ですよ…俺の妻たちを…人には見せられない状況ですけど…内緒でお願いします…」


「君は成り行きで妻が2人もできたみたいだな。妻を守ることだ…彼女たちのために人生を捧げろ。今のままなら君は2つくらい下の世界に落ちる。だが今からでも徳を上げる行動をすればダウンは防げるだろう。アグルスと同じくらいの世界にはいけるはずだ。」


「え?俺は落ちるんですか?こんなにみんなに尽くしてるのに?」


「君の行動など流れに任せての行動だ。所詮は楽な選択しかしなかったんだろう?今回のオークと盗賊で目を覚ますべきだ…私の未来視をすぐには信じなかったのは仕方ないが今後は妻が危険だと思ったらまっすぐ帰宅するんだな…冒険者組合に情報収集をしたくなるのは当然だが代わりに私が守る羽目になった。」


「君の思考が変わり始めたのも山羊男が出た後だ…恐らく今まで楽しい暮らししかしてないはずだ。君が徳をあげられるのはこれからだ。」


シュウノは徳のシステムに納得がいかないらしくアルシオンに訊ねるのだった

どのように測られているのか当然、不満と好奇心が湧いてくる


「あなたが倒した龍人は冥界に行かなかったんですか?たくさん死人や犠牲や苦しみをばらまいて無責任に死んだ奴が死ねずに処刑され続ける場所ですよね?世界征服をやろうとしたのに行かなかったのはどういう意味ですか?」


アルシオンは徳の評価については境遇も関係があると語り人間には不可能なほど公正に測られると語る


「生まれた時の状況も加味される。乱世の時代に貧者に生まれ教育も無い者が強盗になっても徳の評価は通常より下がりにくい。神は一人一人は見ていない。自動チェックで境遇も加味される。」


「龍人2人組は戦いの時代で勝てば良かろうの時代の戦士だった。だから当時の思想の影響も受けていたという理由で多少は大目に見られたのだ。だが冥界の少し上は弱肉強食の動物みたいな世界もあり二人は弱者の側で見下されたり餌食にされる側に転生して同じ境遇の罪人と一緒に何度も無力と失意を味わっているだろう。」


「小人のような種族に生まれて一方的に怪物に食われる世界もある。私が被害を広げる前に殺した点も冥界に行かずに済んだ理由でもあるがね。力は弱者をねじ伏せられるが免罪符にはならない…力を万能だと思い込むのが人間の弱さと愚かさだ…」


「山羊男と戦う気が君にはあるのなら私の秘密を明かそう…私は千年前に戦っていた時代に異能が使えていた…当時はマルチルートエンディングと名付けて使っていた。子供っぽいネーミングで言うのが今は恥ずかしいがね。」


「私の異能:マルチルートエンディング…それは私にかかる行動の結果を留保する…まあ不幸の借金みたいなものだ…それを戦いの中で相手に返し、自分の不幸を相手に肩代わりさせるという能力だ。」


「だから私は戦いではほぼ死なない。それで龍人も倒した。派手な技を使ってきたから奴らもすぐにそれで死んだ。銃を撃っている奴は弾の恐ろしさを自覚できないということだよ。」


「この話を君にしたのは君と一緒に戦うかもしれないから明かしたのだ。君と組む日が来たら一緒にキャベツを倒すためにお互いのネタを知る必要がある。君の異能はアグルス神から聞いているから公平に明かしたのだ…」


シュウノは山羊男について聞く


「山羊男の行動は神でも扱えないって言いましたよね?キャベツは徳とかどうなんですか?神と似たような存在ですよね?」


アルシオンは虚ろ気な表情を浮かべ山羊男について語り出した

それは神と人間の醜悪さの現れの化身であると改めて説明した


「きみは犬や猫に徳があるとおもうかね?あくまで人間や心がある命にしか徳は評価されない。動物の場合は大体、同じ世界で別の境遇でまた生まれる。たまに死後に飼い主について行って近くで生まれるがね。山羊男は徳では測れない。例え人間を全滅させても奴らには罪は無い。」


「なぜなら人類や神の咎の化身だからだ。奴らは我々の醜態の鏡だ。我々がまともな存在なら奴らは生まれていない。山羊男に罪は無いよ。」


「山羊男が死者になったらどうなるかは神も把握していないらしい…過去に2体死んだ例があるらしいがいずれも弱点を突いて倒している…1体は片足、もう1体は胃だ…だが別の山羊男にそれを試し倒せずに人間が滅ぼされたケースが何件もあるから慎重に戦うのだな…また連絡をするから今日はもう行くよ…」


アルシオンは眼帯を右目にはめてシュウノに背を向けて去って行った


「ありがとう…アルシオン…キャベツの弱点を探さないと…ギノさんにまた会わないとな…」


ルナムは壊れた家の後を心配し始めた


「おいシュウノ…あのおっさんは今はいい…だが家が根元から盗賊から離されて水道も出ないし家財道具も散らかっている…今度はどこにいけばいいのだ?」


セイルは快適な場所を早く用意しろとせかす


「とりあえずわたくしは今日は壊れた家に寝ますわ…明日までに私たちの居場所を準備するのですよ?」


シュウノは力なく答えた…


「はい…俺はみんなのために頑張ります…」



◆カタム領主へ報告◆


カタム領主は顔を青ざめて鳥肌が顔中に出て目が充血していた

持っていたお茶は小刻みに震えて手から落ちた…


「オークが冒険者組合施設を破壊して冒険者達を虐殺…盗賊は空を飛びセアフスで君の家を荒らした…しかもオークの話では山羊男の仕事と話しただと…」


「うあああああー!!もう終わりだー!奴がこの街に攻撃を仕掛けた―!」


カタム領主は額に汗を浮かべガタガタ震えながら恐怖のどん底に落ち弱音をまき散らして取り乱すのだった


「落ち着いてください!盗賊は逃がしましたがオークは倒しました…」


「すまない…取り乱した…はぁ…はぁ…いや…まて…わざわざチンピラに任せたのはまだ本気ではないということだ…ギノを自分にを二度と会わせないように頼んだのはそこまで破壊しようと考えていないはずだ…オークが独断で滅茶苦茶に暴れただけだ…


「しかし、オークはD級(兵士10人力)の魔物で3等の敵でもないはずだ…それを1等も2等も大勢殺すとは…代表のオーバル氏まで…山羊男は手下を強くできるということだ…悪魔だ…」


「ギノを死体にして渡すべきか?だめだ…奴の意図が私の予想から外れていたら困る…奴がコンタクトをとったときに要求を確認するべきだ…街に攻撃をしかけたらギノを渡そう…」


シュウノはギノを要人用の療養施設に軟禁している理由を察した


「カタム領主様…まさかギノさんを守る理由って…キャベツの機嫌のための生贄ですか?」


「色々だよ。山羊男を発生させた男は調べる必要もある…山羊男が欲しがれば引き渡す…使い方はその時に応じる。まさかあの男を心配して税金を使って最高の待遇の豪華な施設に入れたと思ったのかね?」


シュウノはやるせない表情を浮かべたが冒険者組合の惨状を思うのだった


「あの矮小な小市民のギノに言っておけ。貴様を守るために冒険者が大勢死んだと…そして生贄であることは伏せろ…」


「わかりました…ギノさんにはちゃんと言っておきますよ…犠牲と無関係ではないと…」


そしてシュウノは後ろめたいことをカタム領主に相談する…


「あの…ギノさんがいる施設に入れたい人が2人いるんですよ…私の身内でして…」


「何?どういう意味だ…あの施設は要人しか本来は治療目的に入れない娯楽も兼ねた療養施設だ…普通の病院に送ればいいだろう?」


シュウノはもじもじしながら目線をきょろきょろする…


「それが…私の妻で2人いるんです…一人は魔王の娘です…ノフィスの娘が自分を養えと…さもなくば魔人を全滅させたがっているキャベツに自分の居場所を教えるのと街を吹き飛ばせる隕石魔法をいつでも発動できると言っています…それで妊娠までしてしまいました…」


「か…かは…」


カタム領主は白目をむいて倒れた…



◆領主の怒りがピークに達する◆


カタム領主はお茶を飲んで落ち着こうとしていた


「貴様…妻が二人だと?一人は家出した名門貴族のルトプッシ家の馬鹿娘で君と隠し子を作って一緒にいた…次に山羊男に皆殺しにされた魔人生き残りのノフィスの娘が君と子を欲しがり妻になった…貴様、さては山羊男の一味だな?私を破滅させようとしている病原体かね?」


「すいません…セイルとそういう関係になって逃げれなくなって…ずるずるしていたらルナムまできて…こんなこと領主様にしか言えないんです…」


「言われた方はどんな顔をすればいいんか考えないようだな…だが貴族でも浮気や隠し子などバカ騒ぎを起こすクズどもは定期的にいる…君は例外ではない…だが怒るだけでは愚民の小市民と同じだ…私は領主だ…愚民の不始末の尻ぬぐいも仕事の一つだ…」


シュウノを睨んでお互い貸し借りは無しで行くと切り出し話を進めた


「山羊男の刺客を倒したのは見事だ…セアフスの冒険者の代表のオーバル氏ですら殺した化け物オークを君は宇宙に放り出すという奇策で退けた…あのまま放置したらもっと冒険者は死に私に会いに来て脅したかもしれない…その借りを返そう。」


「私は本当は貸し借りみたいな話は嫌いだ。その妻たちを連れてこい…馬鹿面を一つ拝んでおこう…だがギノの近くにいさせる…いいな?ギノが浮気を誘っても怒るなよ?」


シュウノは怒りかけたがこれまでの経験で怒るのは我慢できるようになっていた


「はい…連れてきます…ありがとうございます…内緒でお願いいたします。」


「こんなこと人に言えるか馬鹿者――!!!!」


カタム領主の口からお茶が吹き出しシュウノにかかった…



◆要人用の療養施設に行く妻たち◆


カタム領主にセイルとルナムをシュウノは連れて来た

領主はひきつった顔で妻たちに視線を送る


「貴様らか…私の街を滅茶苦茶にしにきた悪魔の尖兵共は…」


セイルは不機嫌にな表情を露骨に見せ手を振る仕草を見せ


「わたくしはそんなつもりはございません!シュウノと愛を求めてこの街に来たのですわ。無礼ですわよ?」


「無礼なのは貴様だ…ルトプッシ家に黙って身ごもり私にバレないようにセアフスの検問を通りおって…役人の弱みでも握ったのかね?この豚が…妊婦ではなく太っただけではないのかね?」


「キィー!!地方領主がそんなことを…」


シュウノはカタム領主に申し訳なさそうに謝罪して頭を下げた


「すいません…セイルは世間知らずなんです…セイル、やめてくれ。領主様がかくまってくれるからちゃんと礼儀はするんだ…」


「まったく…君の妻は妻ではなく野犬だ…まったく教養がない。保健所に送りたい気分だ。そして魔人の娘は本当だな…角がある…肌は人間だがな…魔人は肌色が人間離れしている奴らが多い…貴様は何のつもりだ?」


ルナムはカタム領主にフンと鼻を鳴らして上から目線の態度をとる


「簡単だ。生き残り後の代をつなぐ…魔人が絶えては私も哀しいからな。人間と混血でも魔人は残すつもりだ。絶滅危惧種は丁重に扱え。父上は恐れていただろう?私も恐れろ。」


「この害虫が…潔く滅べ…しかし、魔人と揉めても今はメリットがない…山羊男に比べれば人間も魔人も蟻の大小でしかないからだ…」


ルナムのおかけでオークを倒せたとシュウノが横に入る


「ルナムがノフィスの結界魔法をかけてくれていたからオークの時は助かったんです…ルナムも山羊男を倒すため手を貸してくれる味方です…」


カタム領主はルナムの存在に業を煮やす


「その隕石魔法とやらで脅すのは何だね?…まあ手札が無いから脅しにすがるんだろうがね。まるで賊だな。それでシュウノ君はペットにできたんだろうが私には通用せんぞ?」


「なんだと?なら山羊男に魔人がいることを教えるぞ?お前は山羊男は怖いんだろう?シュウノに危険なことはさせる腰抜けめ。」


「ぐうう…貴様、山羊男を恐れているのはお前もだろう?小娘が…まあいい…おいシュウノ!このアバズレ共を今度会う時までしつけておけ!無礼をした分、君を怒るからな!」


「ちなみに私も妊娠しているから出産も面倒を頼むぞ?療養施設が住処になってよかったわ。」


「貴様――!!おいシュウノ?お前は雄のモルモットか?この疫病神の病原ネズミ親子供はお前の病気の産物か?」


シュウノは泣いていた


「俺…死ぬほどかっこわるい…ネズミのパパだって…とほほ」


セイルとルナムは顔に怒りを滲ませる


「ちょっと…シュウノも言い返しなさいよ!!こんなこと言われて悔しくないですの?」


「おい…モルモットとネズミだと?シュウノ…子が馬鹿にされたのなら父としてちゃんと怒れ…」


シュウノはギブアップしかけていた…


「ハーレム主役をやめさせてくれ…頼む…誰が助けてくれ…」



◆要人用の特別療養施設のギノと妻たち◆


ギノは療養施設で他の患者の子供とキャッチボールをしていた


「おい坊主?下手だな。ちゃんと投げろよ?でも生まれが良いガキでも病気になってここに来るんだな。神様は人の生まれには関係ないかもね。」


子供はギノにボールを投げてギノがキャッチするがシュウノが来たことにギノは気づいた

ギノはわざと子供より遠くにボールを投げて子供に追いかけさせて追い払った


「クソじじいー!」と言いながら子供はボールを取りに行く


「よう。最近、来なかったな?カタムからの命令で人畜とか呼ばれた改造人間を調べていたんだってな。カタムの使いがたまに情報を入れに来るから聞いてたよ。」


「キャベツが改造人間をやり始めたって意味が分からんよな?山羊が怪人になって人間を改造して街に放流してるって話にならねぇよ。夢か幻か?」


シュウノは静かに顔に怒りを滲ませ戦いの現状を語る


「ギノさんを捕まえようとしたキャベツの刺客が2人来ました…一人は冒険者組合が邪魔になるからって冒険者達を大勢殺しました…そいつは冒険者に恨みがある知能が高いオークでギノさんを二度とキャベツに会えないようにしろと依頼を受けたと言いました…つまりあなたは殺されるかもしれないという意味ですよ…先にそのために死んだ人がいるって知ってください…」


シュウノは冒険者組合施設が倒壊しノーマルオークのウードに大勢、冒険者が殺された記事のある新聞を渡した


「カタム領主が要人に渡される特別な新聞をくれましたよ…どうですか?嘘と思いますか?」


ギノは少し恐れを感じたのか自信が無さそうに話す


「おい?あんまり怖がらせるなよ…兄ちゃんが退治したんだろ?もう来ないよな?」


「もう一人の盗賊は俺の家族を人質にとろうとして助っ人が追い払ってくれました。盗賊はまだ逃げてますよ。キャベツから力を貰って1等冒険者以上の力を持っていましたよ。家を造作も無く念力で浮かべました。…そいつは透明化の魔法も使いますからここにも忍び込まれるかもしれませんね。」


「…まあ、兄ちゃんがいるから大丈夫だよ。キャベツなんかただの山羊さ…山羊パワーなんか除草くらいしか使い道ないだろう?魔王を倒した兄ちゃんがいる場所が世界一安全さ…」


「殺されたオーバルさんは正面勝負では俺より強い人ですよ。俺も奇策だよりでオークを追放しました。倒したわけではありません。少しは他人の死を考えてください。」


「あああ!俺は市民だぞ?なんで飼い山羊に命を狙わなきゃいけねぇんだ?ふざけんなよ!俺は覚悟ある戦士とかじゃねえ!」


ギノが慌てふためく様子に苦言を入れる


「怖いならまだ正常ですね…殺された人たちもあなたと関係なかったのに死んだんですよ?俺もあなたを守る仕事ですからもっと危機感を持ってください。」


「あー!うるせー!戦えるからって説教するな!死んだ奴らは戦士だろ?俺と比べるのは間違いだろ?俺は寝る!」


ギノは庭から療養施設にグローブを投げ捨てて腹を立てながら歩いて行った…


「ああいう人が多数派だからキャベツが出たのかな…俺も同じなのかな…」


シュウノが哀愁を浮かべた目でギノを見ているとルナムが歩いてきた

お腹を触りながらシュウノに語り掛ける


「仕事もうまくいっとらんようだな。だがお前は健気だ。魔人の男には真似ができないだろう。」


「あの人を守るのが俺の仕事だよ。この前はルナムがかけてくれた『魔障』が役に立った…ありがとう。あれがなければ負けていたかもしれない。」


ルナムは心配が止まらないと言いながらも「また掛け値さないとな」とほほ笑む


「私も妊娠した身だ…お前が十分、私を守る男だと判断した…父上の遺産『絶滅石器』の秘密を教えお前に託そう…」


「なに?…本当か?教えてくれ!頼む…!隕石魔法の絶滅石器とは、なんなのか教えてくれ!」

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