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第63話:嫌な夫婦とオークと英雄

今回の登場人物

シュウノ:ハーレム主役だったが山羊男の被害を食い止める決意を固める

オーバル:セアフスの冒険者の代表に就任した利益追求主義なエリート冒険者

トレッチ:オーバルの妻で1等冒険者だが学生の頃に貧困層の暴動で家の雑貨屋が閉店したので進学できず弱者を憎むようになりました

ウード:ロジが率いたオーク狩りで悪友の盗賊の生き延びた知能があるオーク。オーバル夫妻に弟を余興で駆除されたので憎しみがあります

前回、シュウノはセイルとルナムを人質にしようとした盗賊のクジをアルシオンに撃退してもらいアルシオンは妻たちをクジから守ると約束しオークのウードを止めるように助言を受ける

そのセアフスシティに侵入して暴れまわっている眼能の剛体を授かったオークのウードをシュウノは追うのだった…


ウードは噴水広場を見つけ、そこを通ろうとする


「山羊男は最初にセアフスの噴水広場で暴れたって話だから俺も同じシチュエーションってことだよな?聖地巡礼だぜ…クジには悪いがもう少し楽しませてもらおうかね…あいつもまっすぐギノは探してないだろ。」


冒険者が3名程、ウードに飛び掛かるがウードは蹴りや打撃で引き裂くのだった


「ゴシャッ、グチョ」まるで最初にキャベツが暴れたように向かってくる人間を殺していく


ハンマーで殴りかかる冒険者の打撃を拳で殴ってハンマーの叩く打面を壊し胸を殴って空き缶のように潰して血が噴き出る


「これ以上は蛇足だな…さっさとオーバルとトレッチが出てくればいいんだが…弟のユーリも報われねぇぜ…気晴らしにもならん…エンカウント率が低いってことかよ…」


すると大柄の筋骨隆々の冒険者が現れる…それはセアフスの冒険者組合の代表になったオーバルだった


「よう?お前さんが噂のオークかい?3m級…オークとしては中サイズだがどういうことだ?5等が4等になるために倒す魔物のはずだ…こんな地獄絵図にはできないはずだぜ?」


オーバルの後ろから妻のトレッチも歩いてきた


「まったく…オークの仕業じゃないわね?冒険者がみんな雑魚だったから負けたって説明にならないわ…」


ウードは2人を見てにやりと笑う…


「よう…俺は覚えているぜ?お前らロジが率いた三千体のオーク狩りに参加していただろう?」


「その後、三千体の集落以外の離れた集落を任務外の余興で襲っていたはずだ…その中に俺の弟がいたんだ…お前らは忘れたかもしれないが一応、教えてやるよ。俺の弟は頭から尻までアジの開きみたいにそのでかい剣で切られた後にそこのお嬢さんの鞭でバラバラにされた…」


トレッチがあきれ顔で


「だから何?恨んでるの?オークなんか人や家畜を襲って食って生きるから殺されても当然でしょう?」


「そうだ…俺達は害獣だ…馬鹿で数が多くて魔王の方針で尖兵や捨て駒に扱われ人間にも害をなす存在だ…だが弟の集落はまだ人間を襲っていなかった…俺がいた集落はイテミスに命じられてセアフスの攻撃準備中だったから納得はできるがよ…」


「俺もこのまま泣き寝入りはどうしても納得いかなかったんで今回のイベントってわけだ…おたくらと同じだぜ?俺を咎められないよな?…」


「オークは危険で殺されるなら人間も危険なら殺されていいって話になるがどう思う?」


オーバルは大笑いしてウードに現実を話す


「お前さんは大間違いだぜ?社会が間違ってるってみんな言うけど日々の暮らしは変わりはしない。オークが筋が通ったことを言ったところで誰も世界も動かねぇよ。現実的にお前さんに理解も同情も集まらんと思うぜ?集まったとしても2日3日でみんな忘れるよ。」


「それに正しい意見で世の中が良くなるなら困ってる奴はいねぇよな?みんな間違ってだらだらして自分の利益や持論や都合が好きなんだよ。タバコの副流煙を気にしない迷惑な奴みたいにな。世界が変わらないならそれに合わせて得する側になるよう努力した方がマシだぜ?」


トレッチはうんざりした様子でウードをさげすむ


「ほんと雑魚はゴミね…ちょっと力が増したぐらいですぐに悪さする。暴力で自己表現する奴らなんか自分から死ねばいいのよ。お前みたいなのは八つ当たりや困窮で悪さをしているゴミを食ってる野良犬じゃないの。」


「そんな奴らの先なんか知れてる。巻き添えを増やしながら近いうちに無様に捕まるか死ぬ。皮肉ね…オークだけじゃないわよ?人間もあんたみたいなゴミばっかりよ。自分の可能性が無いのを人のせいにして怒鳴ったり暴れてるゴミ…」


「自覚して自分から死ねば誰の迷惑にならないのに。弱く生まれたら仕方ないけど自分から弱くなったり弱いことに甘えてる奴らはゴミ以下で生きる価値がない…結局、暴力で悪さしてる奴らは自分の内面の弱さに甘えてるのよ。」


「すまねぇ。トレッチはちょっと口が悪いんだ。要は俺達はオークは倒しても社会も認めてお金も貰えるがオークのあんたが暴れてもみんな、お前を嫌って駆除を依頼するってことだ…わかったかい?頭よさそうだから理解できるだろう?」


ウードは一本取られたと言う顔になり


「ククク…やっぱ勝てねぇな人間には…邪悪さはオーク以上ってことだろうな…よし、決めたぜ?俺はお前らを頼った市民も全部殺すよ…そしたらお前らを誰も認めず俺を刺激したってみんなから恨まれるよ。」



◆山羊男が噴水広場に現れた日◆


オーク狩りで披露した異能を使用しオーバルの体表は鋼のような黒と銀の中間の色になっていく


「俺の異能:黒鉄城は発動中、俺の体を鋼の強度と重さにしつつ動きは元の体のままを維持する…さらに体力強化魔法をかける」


オーバルは肉体強化の最上級魔法:怪力乱心を唱えた


「血肉湧踊のさらに上の肉体強化魔法…怪力乱神を特別に見せてやろう。」


「神、土地、海をその手で運び作りて…」呪文を唱え「怪力乱神」を発動した


オーバルの体は焼けた鉄のように薄く赤くなり大剣を片手にウードに切りかかった…


「トレッチ!俺がこいつのネタを探るから見てろ!」


ウードは闘技を披露する…


「俺もそれなりに生きてる…単純な効力だが肉体の意識して整った動きで無詠唱で発動する魔法…闘技も少しだが使える…それは例えるなら楽譜は読めなくても口笛は吹けるようなもんだ…」


「オーク族に伝わる闘技…それは鼻の呼吸を規則正しく体をぶらさず微弱な魔力を乱さないように行うことで発動する闘技…嗅視だ…それは匂いを視覚化する…つまりお前の動きを若干だが先読みしやすくするということだ…火の位置が変われば煙の動きが変わるように…」


「だがその若干は眼能:剛体を持つ俺には大きなアドバンテージになる・・・」


ウードはオーバルの汗の匂いなど視覚化し腕の動きを見ながら体を左右に揺らし後退しながらかわしていく


嗅視で視た様子は薄い半透明な気体が体の周りを漂っているようであり体を動かそうとする臭いの揺らぎで次にどこが動くが本当に若干だが視覚化できるのだ…


「あんたと似たようなことをスディッキュ領主って糞野郎が言っていた…奴隷は利用されるために生まれたから俺がそれを利用しても世の中に需要に応えているだけだと開き直っていたよ。冒険者組合が残酷な現実に甘んじているならお前らは冒険者じゃなくて既得権益者だ…」


オーバルは大剣を横に水平に切るとウードは拳を上から大剣に振り下ろし砕いてしまう


「バキィン」


「おい?全く…力比べの方が苦しく死んじまうぞ、オーク野郎?」


「ガシッ!」オーバルは折れた大剣を捨て素手でウードと取っ組み合いを始める…


「あんたは強いな…だが恐らく怪力乱神を使ったあんたはその下位の血肉湧踊を得意としていたイテミスくらいだな…最強の魔人とまで呼ばれたイテミスの体力は凄まじくそれに闘技で可能にするほど使い込んだ血肉湧踊をかけて上昇させていた…」


「あんたの本気はイテミスの体力と同じくらいだろう…風魔龍を得る前のイテミスなら互角以上に戦えたかもしれない…」


「その力で多くの敵を倒したのだろう…オークはあんたの敵ですらない…しかし、俺には友がいた…境遇を同じとする怪物がよ…」


ウードの周りに歪んだ空間が現れおさまるとオーバルを押し返し始めた


ギリギリと金属を曲げるような音が響きオーバルの腕の方向を変えるほどの力を発揮する


「ぬう…まだまだあ!」


ウードはあえてその状況を維持する…


「もっと力まないと俺は殺せないぜ?現実や社会がお前の味方なんだろう?だがお前は見落としていることがある…そいつらは危険な時にはお前の側にいないことだ…」


取っ組み合いは綱引きのように押したり引いたりする中でウードは姿勢を逸らしながらオーバルの腕を逸らしたり動かし続ける…腕がビキビキと音を立て始めた…


「お前の異能は鋼の強度に変身する異能のようだな?だがずっと押し込んだり引っ張ったりをしていたら頑丈な物質はある現象を起こす…内部の負荷による断裂や破壊…金属で言うなら金属疲労だ…怪力乱神の使い手は俺が知る限りこの世の魔法を熟知したと言われる魔王のノフィス様以外にはいなかった…」


「怪力乱神の欠点は魔力消費が激しいうえに弱い肉体で使用すればそいつは自壊する…お前の腕は俺との力比べで腕を何度もよじりすぎている…かなり負荷がかかったはずだ…だから俺が強く引っ張れば…」


ウードが3mの巨体の体重をわざと後ろに倒れるように傾けるとオーバルの腕の肘から先はちぎれてしまうのだった…


「バリッ!」


「ぐあああああ!」


「あんたは強すぎたんだ…だが他所の国の大きな虎はでかすぎて狩人の的にされちまって絶滅危惧種らしい…あんたも同じだな…」


「パシィン!」後ろからウードは鞭で叩かれて背中に裂傷ができる


「貴様…よくも!」


マシュマロテストはマシュマロでできたハムスターのような思念体であり握った鞭の上に浮き何らかのエネルギーを鞭に流している…

異能:マシュマロテストはかけた物体を柔らかくする能力。鞭に帯させてウードの剛体で強化された肉体でも引き裂くような傷を与えたのだった


「動体視力を強化する魔法『脅視』を自分にかける!鞭には柔らかい物やしなる物に筋力の特性を与える土魔法の『粘動』をかけ鞭の軌道もコントロールしながら相手に打ち込む!」


「おいおい…一対一の勝負に途中参加かよ…だがお前の戦いは後だ…それにその攻撃は俺には悪手だよ。何度か当てて異能の効力を高めるんだろう?それなら一回目の攻撃で耐性が俺にはつくからもう柔くならねぇよ。鞭も布を当てられるのと大差はねぇダメージだ。」


ウードはトレッチを無視してオーバルの足と首を掴んで頭上に持ち上げた…

そしてメキメキと2本を背中から腕を生やして4本の腕で両肩と両足を持ち替えてぶれないように掴む


「あんたは弟を上から真っ二つにした…おれはあんたの腹を真っ二つにするよ。」


「ぐあああ!…」


ウードはオーバルの腰を本気で引っ張り腰に頭をぶつけて板を割るようにオーバルを上半身と下半身を真っ二つに引き裂くのだった…


「バギバギッ!」


トレッチは絶叫して鞭を落とすのだった…


「オーバルー!!!…あんた…」


「どうだい?俺の弟をバラバラにしたのはお嬢さんの鞭だったな?このオーバルってのはあんたの彼氏か夫か?自分らだけ幸せでいれると思ったら大間違いだぜ。現実はいつでも俺達をどん底に落とす…戦意喪失したのかい?1等らしくねぇな。」


「さて…次はお前さんだ…俺はこの噴水広場でわが友への捧げものとしてリプレイを行おうと思う。それはお前をメイリアみたいに酒場になげて潰して殺すってことだ…」


「俺には心の友が2人いるがお嬢さんもさっき死んだオーバルも友人はいなさそうだな?人間からも既得権益層は嫌われるってもんだぜ?近くにいた連中も金や立場が大好きな血が通っていない連中ばかりだったんじゃねぇのか?」


ウードは突進して増えた腕でトレッチをガシッと捕まえると頭上に持ち上げた


「ううう…」無意識なのかトレッチの片目から涙が出てウードの腕に当たった…


「元気がねぇな?さっきまでのひどいセリフはもう言わないのか?本当は不幸が怖かったんだろう?それは犬が怖がって吠えているのと似てるかもな。さてウード選手はピッチャー振りかぶって投げましたー。」


「グオン!」トレッチを勢いよく酒場にめがけて投げつける…


「あああ!」


高速でトレッチが酒場に飛んでいく途中…


トレッチが飛んでいく酒場の前に大きな球体のプールが現れトレッチはそこにザブンと飛び込んで勢いが落ちた…


その水球は中心に行くほど粘度が上がり外側ほどさらさらした衝撃を緩やかになくする魔法だった


球体のプールは地面の近くでバシャッと下に広がりトレッチも落ちた


「はぁ…はぁ…これは水の中級魔法の救落水球(きゅうらくすいきゅう)…助けられたの…?」


「大丈夫ですか?…あいつが犯人か…キャベツを知っているな?こんな真似をするなんて…」


「文字通りだな?こんな真似をするって言葉は…だがそこのねえちゃんは死ぬ。メイリアは俺の友達が殺したそうだからな…ムカつくそこの糞女も同じ目に会わせようと思ったわけだよ。」


シュウノは敵意を向ける


「俺はもう悪口を言われたからって怒らない…仲間を侮辱されようとだ…だが遊びで殺すなら俺は怒る!」


「遊びで殺したのはオーバルとそのトレッチだぜ?オーク狩りの時に不必要な群れまで殺す数の競争でレースをしてたからな。だから俺がやっても褒められるべきじゃねぇのか?」


ならもうセアフスから手を引けとウードに返す


「もう十分だろ?これ以上なにがしたい?お前にもメリットがない…」


噴水広場でパシャパシャと水の音が近くで鳴る中、二人はにらみ合う…


「俺はギノって男をさがしてる。オークが街に出歩くと冒険者組合が俺を邪魔をする。だから俺が厄払いをしたってわけだ。ロジックがあるだろ?公私混同の部分もあるがね。」


「ギノ?やはり山羊男が背後にいるのか…お前は浮かんでいた盗賊の仲間か?キャベツに支援を受けたんだな?あいつは野放しにするとみんな死ぬぞ?キャベツは怒らせた奴や間違えた奴にやり直す機会を与えない。」


「ギノを知ってるなら教えてくれよ?それと、お前は囚人が更生したドラマで感動するのか?だれも他人のやり直しなんか見たくねぇよ。おれがやられても当然だとその女がぬかしたようにな。お前らも山羊男の気分次第でオークみたいに死ねばいいんだ。」


「わかった…お前はまだ暴れるんだな?オークの言い分だとそれが正しいのかもしれない。なら俺は間違える。助かることが間違えているのなら俺は進んで間違えるよ。お前は正解を求めて殺している泥沼に陥っている。お前のやり方ではオークは救われないはずだ。」


ウードはクックックと笑い救いに来たわけでなはいと語る


「流石は英雄だ。女に鼻の下を伸ばした人生を送っていたと聞いていたがしゃれたことを言うじゃねぇか?だが世の中に救いは舐めてる奴を脱落させる他に何がある?…みんな金持ちの破産とか飛びついてみるだろう?他人の不幸がみんなの幸せなのさ。」


「その理屈ならトレッチはお前が殺せよ?そいつは弱者が暴れたら悪なんだとよ?そんな女が助かることがお前の言い分とは逆と思うがどうだい?ノフィス様を倒したそうだがノフィス様にやり直すチャンスは与えたのか?山羊男を否定できないだろう?」


シュウノは命を助けるための戦いの方針を崩さない


「俺は主張をコロコロ変えるんだ。トレッチさんも助かれば考え直してくれるかもしれない。だが死ねばもうなんの先もないんだ…よくも悪くもならない可能性の終わりだ。お前は目先の正しさしか見えていないはずだ。」


ウードはシュウノに辟易し始め4本の腕をコキコキと鳴らし始めた


「俺も同じだがよ?結局主張を力で通すんだろう?原始人はグループがあって他のグループの原始人はお前らの種類以外は滅んだと聞いた。」


「俺は昔、オークを研究している人間に尋ねられて反対に俺が人間の先祖を聞いたことがある。人間の種族は1種類が現代までに広がっている状況らしい」


「理由は群れをつくることに秀でたお前らの先祖の原始人のグループが全て数の力で殺したからだ。だからオークとは滅んだ原始人と同じだ。たまたま現代でお前らと鉢合わせになったわけだ。」


「ノフィス様はロマンを語る魔王だったが冒険者はなんだろうな…自分の見栄のために戦ってるのか?だったら魔王も冒険者も同じってことだ。俺が勇者になってお前らをぶっ殺してやるよ。」

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