第56話:ケセマ村に舞い降りた破滅の権化
今回の登場人物
山羊男:不満の化身で人間の価値観を調査中
リメシュ:奴隷としてケセマ村にいます
エクラル皇女:植民地主義の国のお姫様
ケセマ村は夜になり祭典も佳境に入る
エクラル皇女の目的である可愛い弟役の執事の奴隷のオークションがメイン会場で始まった
着席したエクラル皇女の隣にいた護衛の剣士の男が話しかける
「あの少年は買わない方がいいかと…前も窓から放り出した時にトプレヤ様も怒ったでしょう?衝動買いならおやめになった方が良いと思いますよ?」
「ストングさん。トプレヤ兄様はお父様と違って弱腰の怖がりですよ。怒っても怖くありません。下級人類を今更どう扱ってもわたし達の一族で咎があった話なんか聞いたこともない。」
「わたしがお母さまを殺した時はお父様も怒りましたけど…罰としてわたしが可愛がっていた弟執事を没収して虎の餌にされてしまいました…」
しかしエクラル皇女はリメシュに怒りが収まらず
「あの小童は絶対に買いますわ…予算は糸目をつけず…あまりルールを破りすぎると他の金持ちや貴族に品が無いと印象を悪くしますからね…ちゃんとオークションで買いますよ?しつけるのも練習したくなりましたわ…」
リメシュがステージに上がり軽装の服装で傷が無い体をぐるりと回り観客に見せつけてオークションが始まった
「それでは入札をはじめます!リメシュ・シューク…最低入札額100万ルオン(日本円で1億円)からスタートです。」
「1000万ルオンです…」
エクラル皇女が番号札を挙げて10倍の金額を叫んだその時だった
ステージにキャベツが布にかけられた透明化魔法の効力が切れて現れたのだった
「…予定より早く切れたな…問題ないが…」
「おい…俺は暴れに来ていない…お前たちに状況の確認のためにきた…一つ聞きたい…」
「お前たちは生きるために奴隷が必要なのか?」
「お前たちが家畜を食うのはまだ理解できる…だがこの村は生きることから大きく外れている…無駄に命を殺している…お前たちの在り方は人間としてどの位置にある?これが普通か?それとも前たちだけがやっているのか?」
リメシュは山羊男の出現に目が釘付けになる
「…ほんとうにいた…山羊男がこんな場所になぜ?…なんて違和感しかない姿だ…」
観客はパニックになり始めスディッキュ領主は汗をかく
「噂の山羊男?なぜここに…魔人を皆殺しにしたのは本当なのか?」
「おい貴様!すぐに出ていけ!ステージから降りろ!」
キャベツはスディッキュ領主の目の前に高速で飛行し目の前に立った
「お前が責任者か?どういう目的と意味でこの村を始めたか教えてくれ…不必要には暴れない…」
近くにいたストングが双剣を抜いてキャベツに切りつけた
「異能:ペーパーシザー…俺の周りの物体を薄い紙のような強度にする…さらに物体の厚さも無視して切る…」
エックス字にキャベツを切るが接着能力で傷をふさぎキャベツは殴り掛かかる
ストングは魔力を纏って防御する基本所作の魔装を咄嗟に行うが両腕を折ってしまう
「ゴッ」硬いものを殴るような音がして
「ボキボキ」と折れる音が腕の持ち主に伝わる
「ぐあぁあああ」
両腕がくの字に折れて泣きわめき倒れてしまうストングをよそに苛立ったキャベツは飛行を開始する
それを見た観客たちはいっせいにパニックを起こし逃げ始めギャングや戦闘員はキャベツに攻撃を開始したのだった…
「パァン!」
スディッキュの近くにいた男がマスケットを手に持っていた
鉛玉がキャベツの顔に当たるが分散能力で衝撃を散らされてしまい、もともと頑丈なのもあって傷もつかず反動でも動かなかった…
「お前らは魔族と同じだ…話ができない…これより先制攻撃を受けたので反撃を開始する…運よく生き延びた者に話を聞くとしよう…」
****地獄と化したオークション会場
キャベツは銃撃能力を行使し歪んだ空間の粒を大量に発射する
魔法や矢を打ちこんでいた戦闘員たちを次々に殺戮していく
「グチャチャ」と肉が削げる音を出しながら生きている人間がどんどん減っていく…
「このバケモンが!」
そう叫んだ男は砲撃能力のキャベツの歪んだ空間の砲弾が頭に当たり「バチャッ」とはじけ飛んだ
スディッキュ領主は耐えきれず外へ逃げて馬へ向かう
「マスケット銃ではできない銃弾の連射か?なんなのだ、あいつは…私があいつに何をした?」
「奴は悪魔だ…誰が連れて来た?まさかリボバルか?今はいい…早く逃げないと…」
馬へたどり着いて乗ろうとたら馬はライオンのたてがみが顔にあちこち生えて手足がライオンのようになっていた…
「バルルル…はら…めし…」
馬は獣畜に改造されておりスディッキュ領主の肩を食いちぎり血が大量に噴き出た
「うがぁああああ!」
「やめろ!馬が人間を食うわけがない!私は馬主だぞー!」
馬の獣畜は何頭も集まりバリバリと足から上へと食いちぎるのだった
「ヴァアアアアアア!!」
スディッキュ領主は馬噛みつき奪い合い引き裂かれながら引っ張られ夜の闇の中へ運ばれ消えていった
逃げた客やギャングや汚職役人たちもライオンの体系に近い豚に襲われて食い殺されていく…
「助けてくれぇええ!」
大きなチーパンジーのような体型の鶏が立ちふさがり羽の代わりに腕になった部分から伸びるかぎ爪で熊のように人間を引き裂いてはついばんでいた
「コッコッコ」
どこか愛嬌がある声を出しながら肉片をライオンのような牙で咀嚼していた
それは家畜による人間の捕食としか言えない状況だった…
****お姫様VS山羊男
キャベツは会場から戦闘員を全滅させると奴隷たちに話しかけた
「助かりたければここにいろ…獣畜にはお前らは襲わないように頼んである…」
そのとき大きな透明な石のブロックが組み合わさったような手にキャベツは捕まる
「そこまでですよ?魔王を倒したとか聞きましたが嘘ですよね?あなたは人間の国家を相手にできるとお思いですか?」
「お前はなぜ俺に攻撃する?俺は聞きに来ただけだ…お前も今すぐ攻撃を止めなければ殺す…」
エクラル皇女の護衛達が早く逃げるように進言する
「皇女様、早くトンネルでラグド帝国に逃げますよ!あの怪物の噂は本当です!」
キャベツは力んで自分をわしづかみにしていた石の手を振り払う
単なる力業で異能が跳ね返され石の手の指が二本ほど折れてしまう
「バキッ!」
「何?強く握りしめたのに…異能は跳ね返されると思念体がしばらく動かせなくなる…今のは軽度だが魔力も使わずあいつは…今度は魔力をもっと込めて攻撃します…」
キャベツは攻撃を受けたことで対抗能力が発動した
残った右手のフューチャーハンドで拳骨を振り下ろされるがキャベツの頭上に歪んだ空間が現れて積み木のように歪んだ空間が立方体になり屋根になった
ちょうど正方形の物体を両端に置きその上に長方形の立方体が乗っている積み木である
漢字の凹を反対にした形の物体の真ん中にキャベツは立ちフューチャーハンドの衝突を阻んだ
「ゴォン!」
積み木のような立方体の屋根はびくともせずキャベツは能力を把握していた
「お前の具現化に関係する攻撃を受けて俺も物体の仮想の立体化を可能になったようだ…お前も死ね…」
キャベツはエクラル皇女の真上に視線を移すと大量の立方体をばらまいた
長方形や三角錐や正方形や円筒の巨大な立方体を歪んだ空間が形作り落下したのだった…
ブンという音がなり歪んだ空間が形になり立方体が出現して真下に落ちていく
「ドン」「ゴン」「ズズン」
「うああああ!」
護衛達は下敷きになり潰れてエクラル皇女はすねあたりの両足が潰れて泣き叫んでいた
「あぁああああああああ!いた―い!!」
「お前は弱い…前に戦った長話の魔王のイテミスだったか?あいつならお前を指一本で殺せるだろう…俺はそいつとも戦い殺した…やはり人間側にはイテミスより強い戦士はいないということか…お前はなぜその程度の暴力で威張れる?」
「重さと硬さも調整がきくようだな?もう少し重くするか…」
エクラル皇女に乗っていた三角錐は傾き両足を完全に潰してしまい千切れてしまった
「あああああ!助けて…お願い…」
キャベツは首を傾けて
「お前が殺しに来て何で俺に助けを求める?」
「この前の殺し屋も同じことを言っていたな…男も女も同じだ…殺しに来る奴は浅はかで勝手だ…質問に答えたら考えてやろう…」
「お前のやり方は会場で見たが、飽きたらお前が殺した犬みたいに捨てるのか?獲得をするのが目的なのか?人間が使い切れないのに土地や金を欲しがり殺してはまた別の場所へ攻めるという繰り返しは歴史の本で見たがみんなお前と同じ思考か?」
「いたあぁい…お願い早く助けて…血が流れて死んじゃう…こんな時に質問って…人間は飽きるの…持ち物は古くなるからよ…新しいものがみんな好きなの…私の友達も…みんなそう…」
キャベツは歪んだ空間の立方体を消してエクラル皇女の足の断面に歪んだ空間を包み込むと接着能力で止血して服を巻いて能力が止まっても血が流れないようにした
「俺は前の殺し屋にもチャンスを与えた…お前にも一つチャンスをやろう…お前の仲間に助けてもらえ…正直、お前も殺し屋も生かす価値はないと思うが俺は余裕があれば命乞いは聞くべきだとは思う…だが一度だけだぞ?」
生き延びてブルブル震えている護衛にキャベツは振り向いて
「連れていけ…外は危険だがここに居たらお前らは目障りだ…行け…」
ストングは護衛を率いてエクラル皇女を背負い去っていく前に護衛が捨て台詞を吐く
「貴様…いつか戦争だぞ?ラグド帝国がお前を狙う…」
キャベツは理解できない表情になり
「そうなればお前らの国や国民は消えるからおすすめしない…早く帰れ…助けたのに挑発するのはお前の知性が無いと言う意味か?理解ができん…相手を脅せば自分も襲われる可能性が高まるだろう?」
****外へ逃げたお姫様
エクラル皇女は怒りの骨頂だった
足の痛みと山羊男に対する恨みで顔から汗と赤面が浮かぶ…
「あいつ…絶対に殺す…許せない…私の足を…」
しかしキャベツに聞こえたのか高速で飛んできておんぶされていたエクラル皇女の左顔を殴りとばし左側の顔の骨が卵の殻のように砕けて左目も潰れてしまう…
「バキョッ…」
骨と肉が潰れる音が鳴り、左顔がひしゃげて血まみれになった
「それは俺をこの先殺しに来ると言う意味だな?助けたのにそんなことを言うならここで死ね…」
「あああ!ごめんなさぁい…いたぁい…左が見えない…わたしの体を壊さないでぇ…あなたは真に受けすぎよ…」
両腕がおれたストングは恐怖のどん底になり先に逃げてしまった…
「あああ!もうだめだ!」
護衛達は抱え直し皇女に攻撃しないように頼む
「すまない!エクラル皇女様は見逃してくれ!」
キャべツは「後ろに気を付けろ」と指をさすとライオンに似た豚が走って来てエクラル皇女の周りを囲んで来ていた…
「俺を絶対殺すと言ったな?今してみろ…お前の話は嘘か本当かはっきりしない…嘘なら見逃すべきなのか?」
「俺は見逃すがもたもたしていたから両手が折れた男以外は逃げられなかったな…自滅だ…どうも人間は自滅したがる奴らがいるらしい…」
「ねぇ…お願い…助けて…女の人を殴るのは悪いことなのにあなたは何で悪いことをするの?」
「助けたのに自分でチャンスを捨てたからだ…お前は人間以下の知性だ…不思議な奴だ…退化しているのか?お前が殺した犬はどうなんだ?お前がすることは悪くないのか?」
エクラル皇女は自分たちを特別だと説明する
「わたしたちは…歴史を背負ってるの…わたしは学校では成績もよくて顔も奇麗で魔法も使えて異能もある…そしてラグド帝国の皇女なの…だから普通より上で貴重な存在なの…」
「だからあなたがやっていることはとんでもないことなの…なんでわたしをそんな風にできるの?私達は犬や人間より価値があるの…」
人間の価値観を理解するために山羊男はエクラル皇女に問答をしたくなった
「俺は家畜だから人間の価値観は詳しくは無いが人間の上の立場なら下の苦しみは把握するべきだ…お前は他人の痛みも苦しみも理解しないし自分の享楽にしか興味が無い…それが歴史というのなら便所の落書き以下だ…暴力と略奪を重ねるならお前らの誇り高い歴史とやらは無価値だ…」
「お前の話は気分次第でコロコロ変わり筋道が立たない…学校では知識を学ぶ場所のはずだがお前の場合は成績の見栄のための学校なのか?その思考では論理はお前にはわからないだろうな。」
「誰もお前など居て欲しいと思わない、おそらく居ない方がマシだと人間からも思われるだろう…金を使い悪事をするだけなら家畜の肥やしの方が畑には役に立つ…」
「顔がいたあぁい…あああん…違うもん…みんなわたしを凄いとか写真を撮ったりとか、取材するもん…あなたはそれを踏みにじった…あなたは足も潰した…顔も砕いた…うううう…あなたは最低よ…お姫様にそんなことしてはいけないの…」
「所詮、お前は生まれの境遇に甘えている思考停止だ…お前に注目していた連中は恐らくお前の上辺しか見ていない…お前の裏の顔を知れば多分、近づかないと思うぞ?それは動物園に見に来る客と同じだ…お前を見ているのではく自分の興味を満たしたいから見ている…」
「うううう…わたしの国でそんなこと言えば不敬罪で死刑だもん…あなたは悪い…わたし達がいないと…国民を導けない…わたしは怖いのはだめなの…あなたは怖い…お兄様助けてぇええ…ケホッケホッ…ああ歯も抜けた…ひどすぎる…あなたは非道で鬼畜よ…」
「お前は狂っている…お前はこの国で奴隷を売買に関係した犯罪者だろう?…こいつはなんだ?知能が低すぎる…本当に人間なのか?お前らの国ではお前の機嫌を悪くすれば死刑なのか?」
「なら国民を導くではなく恐怖で服従させ意図的に自由な思考を奪っている…お前らは他人の自由と可能性を狭めながら都合よく支配して贅沢する汚物以下の存在だ…」
「どうせ国民を子供の頃からお前らが偉大だと教育で都合よく教えているんだろう?卑怯で小賢しい連中だ…それは詐欺の延長でカルト教団が利用するために奴隷を増やす同じ発想だ…お前らを優遇する法律に甘えて他人を罰で脅している…」
「お前より能力も体力も魔人の方が上だ…つまりお前は魔人より弱いくせに優等だと主張している。お前は魔人の劣化版で一般の人間より知能が低い。超能力と地位があるだけの魔人からも人間からも及ばない存在にしか見えない…」
「魔人は強盗みたいな思考の奴ばかりだったが痛みに耐え戦う度胸はあった。お前には無い…お前に誇れる部分は無いはずだ…魔王のイテミスの性格はお前と似ていたが奴は戦いには技量もあり、お前みたいに泣きはしなかった…誇りも恥も技量も知能も無いのがお前だ…」
キャベツの指摘にエクラル皇女はギャン泣きする
「あああ…ひどい…わたしにひどいことを言う人はお母さまだけだった…子供を産んだくらいで偉そうに言って…わたしより弱いくせにわたしが八方美人で中身がないって毎回言ってきて…」
「…俺はお前の母親なのか?幻覚を見ているのか?ショック状態か…だがお前は教訓に気づくのがもう遅い…今からやり直しはできないし誰も期待しない…」
「…汚れすぎた服は捨てられるのと同じだ…価値観の基準が力や金銭や外見や生まれの立場の優劣なら、もう人間をやめて諦めて滅べ…二度と生まれるな…」
「いやだ…たすけて…あなたは一度助けたでしょ?だったらたすけて…見捨てないで…見捨てたら助けた意味がないでしょ…?わたしはお姫様なのよ?普通みんな助けるの…ひどいこと言わないで…」
「お前は命の犠牲に配慮が無い消費するだけの浅慮で下劣な浪費家だ…せめてものだが、お前を食いたがっている豚の餌になれば豚の役には立つだろう…そしてその肥やしは土を豊かにして草の糧になる…」
「神を見捨てたのはおそらくお前だ…何故なら神はどこに国でも善の意味だからだ…色々、見て回ったが人間共も亜人共も力と救いを神と考える者が多い…俺は神には詳しくないが恐らくお前は神に祈ったことがないだろうな…欲望や見返りを欲するとは真逆の思想だからだ…」
ライオンの特徴を持つ豚のたちはキィーと鳴きながら飛びかかり護衛達3名とエクラル皇女は引き裂かれながら食われるのだった
「うぁあああああ」
豚が20頭ほど集まりエクラル皇女の姿が見えなくなりバリバリと肉が雑に千切れる音が響いた
「ああああ!パパぁああああ!」
「そして俺は神ではなくお前が殺した犬の側の存在であり敗者の代表だ…今まで一番、知能がない人間だった…この気分はなんだ?気分がよくない…喉が詰まった気分だ…呆れか?」
「奴らが生きた年数と時間が他の者達への損失だ…似たような連中もたくさん早く死ねばいい…」
***後の祭り
キャベツはエクラル皇女に殺されたビーグル犬のノンちゃんの亡骸を食べていた
「観察するために何もしなかったからお前は死んだのか?…俺は見殺しにしたからあの知能が低い連中と同じか?だがあの連中を先に殺しても憂さ晴らしにしかならない…力を持つ者は常に選択と決定に悩むということか…せめて俺と一緒に人間どもがこの世が残るにふさわしいか見てくれ…」
山羊男は会場の檻をこじ開けて奴隷を開放していた
「あんた…なんで我々を…でも俺達は行先がない…金も戸籍もない者ばかりだ…」
「お前らを助けに来たわけではないが自由を捨てて売られて利用されるのなら自分から家畜になるという意味だ…お前たちはどうしたいのだ?」
「俺からのアイディアだが行く当てがないならこの村の施設を使って住めばいい…俺が改造した獣畜はお前らの頼みを聞くようにしておく…それで自由にしてみろ」
「…だがお前らがあの知能が退化した連中みたいに奴隷を肯定したらまたここを消しに来る…さらばだ…他人の自由は認めない奴は生きる資格が無いはずだ…」
解放された奴隷たちは山羊男を見つめて頭を下げる者もいた
「奴は神なのか?だがケセマ村の管理者たちは大勢殺した…裁きの化身なのか?」
しかし一人の少年がキャベツに石を投げる
「ゴッ」
それは後頭部に命中しキャベツは振り向いた
投げた少年はリメシュ・シュークだった
「ここまでやるなら全員殺せばいいではないですか…ローディグ王国もラグド帝国も全部殺してくださいよ…人間は醜くい歴史を繰り返すんですよ?終わらせればいい…」
「それについては10年間の猶予期間を与えている…今は経過観察のためそれはできない…この村を全体の評価には間違いなくできない…」
「人間が滅んだところで同じような種族が来たら似たような結果だ…それは外来種を排除して別の外来種がきたのと同じ話だ…」
「石を投げたことはどういう意味だ?呼び止めたいなら声をかければいい…なぜ暴力をする…?」
リメシュは怒りを目に宿し不満を投げかける
「あなたはずるいですよ…私たちが我慢していることを一人で済ませるんですから…私があなたになりたいですよ…」
キャベツは不快感を感じるが自分の立場の自負を教える
「俺はお前らと同じだ…敗者であって勝者ではない…人間の戦いも魔族の戦いも見てきたがズルばかりだ…卑劣な作戦や相手より強い超能力や道具を使った奴が威張る…俺はそれを崩しているだけだ…俺は勝っているというよりは相手を負けや自滅に追いやっている存在だ…」
「石をまた投げると罰を与える…人を傷つけるのはお前たちにもタブーのはずだ…俺はお前たちに傷をつけていないはずだ…」
キャベツが背を向けて立ち去ろうとするとリメシュがついていく
「なんだ?まだ何かあるのか?」
「あなたについていきます…何をするのか見たいです。あなたは自由にやれと言いましたね?だから私はあなたについていくのです…」
リメシュがついてくるのを嫌がり浮遊して立ち去ろうとするがキャベツの方向に歩いていった
他の奴隷たちがリメシュを呼び止めるが聞かずに山羊男を追う
「私はあなたのために死ねますよ?追いかけている最中に死ねばそれでもいいですよ…」
しかしキャベツは高度を上げて雲に消えて見失ってしまった
「お前の主義主張には付き合わない…人間は人間らしく犠牲を広げないように目指して生きればいい…それができないなら自ら滅べばいい…」
リメシュは空を見上げて呟く
「絶対に見つけますよ…どこに居ようと近くにいますよ…私の神様…」
****少年の先行き
リメシュはエクラル皇女が死んだ現場に立ち寄り獣畜に食いちぎられて残った手を発見した
「下等な人間とは違うと言ってましたね…しかし、あなたは足元より下になってしまいました。手しか残らないとはなんとも情けない高等人類ですね…見苦しい物を残すのは良くない…存在した跡を消してあげましょう…」
リメシュは掴んだ石で千切れた手に振り下ろした…




