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第54話:山羊男はケセマ村に向かう

シルバナの族長の館にて


山羊男のキャベツは盗賊のクジに透明化魔法をかけてもらった布を手に持ちケセマ村に向かうとベルトラとバロットに伝えた


「今日、ケセマ村という場所に向かう…一人で行くからついてこなくていい…」


「その前に鱗清族の代表と風見族の代表と話しておくがお前らでいいのか?」


バロットはアルガナ党の代表は他の風見族からは自分が代理でいいと許可を得て来たと語る


「風見族の代表はシルバナの総意であるべきですがアルガナ村はシルバナ領の自治区なのでアルガナ党はシルバナの住民の意思を聞く必要はありません。アルガナ党に属する風見族の代表としてボクが話をききますよー」


ベルトラは族長の鮭の特徴を持つ鱗清族の代表のクラスパを連れて来た


「族長を連れて来たわよ?呪詛の実を取引しているモデファルっておっさんの話なら族長を呼ぶ必要があるの?」


その日の外はシトシトと音を立てながら雨が降っていた

外の様子を窓から眺めながら鱗清族の代表のクラスパは席に座り要件を聞く


「今日は雨ですな。何のお話でしょうか…モデファルという男の件ですか?」


キャベツは龍化した亜人の扱いを二人に聞くのだった


「お前らの仲間で呪詛の実を盗み食いした連中が何人かいたはずだ…そいつらの中に大量に食ったことで魔力が過剰に高まり龍に近づき知性が無い猛獣になり果てた奴がいた…」


「それをモデファルが調べたがっている。治療法が見つかるかもとは言っているが怪物を調べるということは怪物ができることを利用するという意味だ。亜人に人間のような学者がいればその必要も無いのだが、細かく計算や研究する奴は亜人にあまり見たことがない…人間は好奇心が強いからか?」


「だが研究データをお前らにも提供してくれるそうだから俺はドクターチームを送られるのは許可した…しかし、モデファルは研究設備がここには無いという理由で龍化した連中のサンプルを欲しがっている…」


「そいつらを引き渡すかどうかはお前らの判断も聞こうと思ってな…俺が勝手にやれば奴隷商人と似たり寄ったりになるからだ…お前らはどう思う?」


クラスパは表情に難色を示し…


「呪詛の実を今後、無理に食べさせて戦う怪物に仕立て上げる連中が出るかもしれません。あまり同胞はそんなことに渡したくないですね…」


バロットは積極的に協力したいと語る


「ボクはいいと思いまーす。なぜなら状況を確認しないと呪詛の実を何粒食べたら暴走するかとかも資料がないからです。コントロールが可能なら龍化も自在にできれば戦力もかなり向上できますよ。」


キャベツは部族の意見がそれぞれ違うと判断し話をまとめる


「ドクターチームに引き渡すかどうかはお前らが一族ごとに決めろ。風見族がいいと思うなら風見族を引き渡せ…鱗清族が嫌がるならモデファルに関わらないのもいいだろう…」


「だが、情報が漏れるのは徹底してふさげ…お前らが龍にになって暴れているなんて人間が聞いたらシルバナに武装した連中や正義を名乗る連中が大挙してくるだろう…俺が相手をするのも面倒だ…モデファルにも釘はさしておけ…」


クラスパは「良い話ではない」と手混ぜをしながら愚痴をこぼし退席してシルバナの族長の館から出ていくがその後姿を見てベルトラは不満げである


「調べさせるなら今がチャンスよね?モデファルが化け物を裏切ってまで龍化した亜人を調べるとは考えにくいし…風見族に遅れが出るわよ。私も人間に調べさせるのは嫌だけど資料が手に入らないのは損失よ…」


「ドクターチームとか言う連中に大金を渡して研究施設をアルガナ村に建設したらどうなの?」


バロットは研究とはなにかを説明する


「一人の天才がなんでもするのは漫画の話ですよー。ドクターチームは10人くらいで来てくださるそうですが細かく調べるなら大学やら製薬業界やらの協力が不可欠ですよ。」


「でもアルガナ村に研究所を建てるのは賛成です。幸い、呪詛の実の売り上げで大金が入ってきていますからドクターチームに資金提供して望む建物を与えるのはいいアイデアだと思いまーす。」


キャベツは騒がしくなる未来を案じて話の横から口を出し


「奴らは利害関係者で協力的だがモデファルやドクターチームに裏切ったら不利になる状況を作る必要があるな…俺がいなくなったとたん、ここを荒らす可能性もある。俺は今からケセマ村に向かうがお前らはそれを考えておけ…」


キャベツがシルバナを立ち去った後ベルトラはバロットに腹の内を探る


「あの化け物は王様になりたがる魔族や人間よりはボスとしてよっぽどマシよ。でもあんたは内心はどうなの?心酔して付き合っている訳じゃないでしょ?私はこの前、話した通りよ…亜人が主導権を握る国を得たいから付き合ってるの。」


「それをボクに聞きますかー?あなたは図々しいから今後聞かれないように教えましょうか…ボクはあなたもシルバナの古い伝統の慣例的な風見族も大嫌いですよ。彼より亜人を有利にしてくれる強者はいないでしょう?あなたは彼以外にすがる者がいないの間違いでしょー?」


「彼の近くでボクも采配を扱う側の立場が得られたのでよかったでーす。飛ぶ飛べないで狭い世界の序列で競う風見族のより彼がマシですよ。魔族が来たら結局、人間の強者か神木に風見族は頼りっきりでしたし。」


「彼が来た時に彼を襲った風見族の戦士が100人近く死にました。鱗清族は風見族の犠牲の後で安全確認して彼にすり寄ってきたから正直、嫌いなタイプの弱者どもでーす。」


「ボクは彼が危険かどうか安全確認もできないのに近くで彼のことを理解しようとしていたのに君らはリスクを取らないからねー。彼を嫌う風見族からもボクのことをキャベツについたノミとか貶されたのにねー。」


「もっとアルガナ党を呪詛の実で稼ぐ団体以上にしたいけど彼は支配には否定的な考えだから勢力拡大をアルガナ党が望むのは難しいかな。そこが魔人や人間とは決定的に違う点でしょうかね?」


ベルトラは龍化した同胞の話に戻し内緒話を始めた


「なんでもかんでも化け物に相談しなくていいでしょ?龍化した同胞はモデファルに引き渡すならあいつに黙ってやらない?龍化した亜人なんか使い道は戦闘や鑑賞しかない…今のままならチーパンジーや虎と変わらないわ。」


「それに、実験素材なら掟を破った連中がいるわ。呪詛の実の実験ならうってつけよ。」


「そうですねー。呪詛の実の盗み食いは厳罰ですからね。最近なんか風見族の悪ガキがシルバナから飛んできてアルガナ村の隠していた農園にきて呪詛の実を食べていたくらいですから掟を作っても破る者が後を絶ちませんからね。収容所の問題もありますよ。」


「風見族は100年前くらいの話ですが人間相手に風見族の同胞を見張り役に奴隷として売っていた話もありますからね。現代も龍化した風見族を渡せば似たような話になるかもしれませんねー。」


「バロット、今度来るモデファルに会ったら密談を一緒にやるわよ?モデファルは多分、戦争利用を考えているわ。だったら戦力向上のためにもお互い利用し合いましょうよ?裏切ったら人間共に狙われるような秘密をお互い抱えればいいわ。呪詛の実の栽培と販売の関係みたいにね。」


ベルトラの話にバロットは目をキョロキョロと考えたように動かし…


「そうですね。ドクターチームも身辺調査を徹底的にやって相手の弱みをできるだけ握りましょう。家族の情報を握るのは反社も憲兵もやることですからね。」


「山羊男のキャベツに指図して利用をすることはできないわ…だけどあいつが歩いた場所は道になる。舗装工事をしたようにね。私達はあいつの後ろからついていってあいつの前にいた連中が踏み潰されるのを利用するのよ。」


「あいつはケセマ村に行くって言ってたわね?あそこはどんな場所?この前あいつに殺された奴隷商人のリボバルって奴の巣なんでしょ?」


「ケセマ村は詳しくは知りませんが闇市がすごい村があるって噂は聞いたことがありますねー。ケセマ村がそうなんでしょうか。ケセマ村が消えるか残るかで賭けませんか?」


ベルトラは呆れた表情になりながら却下した


「あんたアホなの?あの理屈っぽい奴隷嫌いの化け物がそんな噂の村に行ったら前の魔人みたいに村ごと殺されるでしょ?賭けにならないわよ。」


「じゃあ僕は村が残る方に賭けますよー。ベルトラさんが有利でしょー?」


「ふん…1000ルオン(日本円で10万円)でならやるわ。」



****ケセマ村にお姫様がやってきた


キャベツがシルバナから飛び立ったその頃

悪代官スディッキュ領主が統治するケセマ村にて


ケセマ村のラグド帝国のエクラル皇女の来訪の祭典の準備が終わる前に予定外のことが起きた

スディッキュ領主がケセマ村に立ち寄る際の館にエクラル皇女が予定より早く来たのだった


ケセマ村とラグド帝国をつなぐ密入国のための地下トンネルを通り厳重な護衛に囲まれながらエクラル皇女は現れた


「これはこれは麗しい…世界美女番付で5本の指に入ると言われている現代の美の筆頭のエクラル皇女が来られるとは…しかし、どうせならサプライズの日に来てほしかったですな。待ちきれませんでしたか?」


大勢の護衛に囲まれ紅茶を飲むエクラル皇女はシルクのような美肌を持つ写真映えする見た目そのものティーンズ雑誌に載りそうな美女そのものだった


「わたしが行った場所はいつもパーティ騒ぎだから祭典も飽きていますよ。早く来たのは遊びに来たからです。可愛いものがいっぱいいる方がわたしには嬉しいですよ。」


「前の弟役の子が大きくなってしまいましてね…2年しか持ちませんでした。あんまり小さい子だと奇麗に成長するかわかりませんし困ってます。」


「前の子は自由に街に放ちましたから奴隷に仕事や自由を与えているわたしも人道的でしょう?」


スディッキュ領主はごもっともと相槌を打ち


「私が学生の頃、カタムという寮生がいましてね。その男は神話が好きでした。人間は神や天使といった上位の存在を好む。神や王に自分が選ばれたという話が大衆は昔から大好きですよ。」


「この世は一握りの者しか恵まれません。我々はその一握りの中にいるべきです。彼らが上位の者が好きなのなら我々がその上位にいましょう。大衆はいつも上位の存在の決定に沿いますよ。選ばれた側や権威が好きなのだから。」


エクラル皇女はスディッキュ領主の話に退屈そうに冷笑を浮かべる


「わたしたちはすでに人類など超えていますよ。どこの王族も権力者も強い魔法使いや異能者と家系を組みます。ラグド帝国の皇族は生まれた時に魔力の資質をほぼ全員が持ち、魔力がない一族の者は影武者みたいな役目です。わたしたちはすでに優等な品種なのです。魔人より強い魔力を持つ人間はまだ確認されていませんがいずれ人間側から出ますよ。」


「兄のクロイヤもローディグ王国のフィーロ様と結婚する予定ですからアルシオンの血筋も我が一族に組み込まれるということです。しかし、わたしたちが増えすぎても困ります。弱くて扱いやすい側が多数派でないと国は維持できませんからね。」


一本取られたとスディッキュは聡明なお方だと褒めたたえた


「どこの国の王族貴族も変わりませんな。エクラル皇女様はまだ、お若いのに世界の仕組みをよくおわかりでおられる。あなたが天使の座につくのなら私も寵愛をお願いしたいものですよ。」


「申し訳にくいのですがラグド帝国の水辺の近くの農地を私にくださりませんか?『楽園切符』という依存症の成分を持つ花を栽培したいのですがこの村で植物は片付けがすぐできないから摘発が恐ろしい。ラグド帝国のエクラル皇女のお膝元でこっそりやりたいのですが…」


「見返りにこの村であなたをいつでももてなしますよ。好きな奴隷でも魔物でも動物でも品物でも私がこの国からかき集めましょう。皇女様とて祖国ではやりにくいこともあるでしょう?ここをあなたの遊び場にするのを約束しますよ。」


エクラル皇女はスディッキュ領主の強欲さに呆れつつも別荘が外国にあることには興味があるらしく


「まったくスディッキュさんったらお下品なお方ですね…でもこの村を少し見て回って面白そうならそれもいいですね。外国に立てたわたしの小さな国というのも別荘には申し分ないです。」


「村を案内してくださいますか?あまり刺激が強いのはわたしも乙女なので苦手です。はやく可愛い男の子が見たいですよ…ローディグ王国の人種の男の子はどんな感じかよく見ておかないと…傷とかあったり肌が汚いとガッカリしますよ?スディッキュさんの力量をみますからね?」


「これは手厳しい…私も目利きには自信はありますのでガッカリはさせませんよ。笑顔でラグド帝国に帰られることでしょう。フフフ」


「あとお馬鹿なのも駄目ですよ?可愛げがあればいいですが長く見ていると腹が立ちますからね。ハムスターみたいな知能の人間なんかどこでも山ほどいますから商品に混ぜないでくださいよ?汚くて臭くて高いなんて3Kなんて誰もいりません。」


「前におねしょをした弟執事がいましたから怒って3階の窓から捨てちゃいましたよ。今まで3人いましたがどの子も長く可愛くはいてくれませんね。」


「人間なんか野良猫みたいにほっといたらどんどん増えて世の中が荒れますからね。わたしも執事一人もうまく扱えないからまだまだです。弱いくせにわがままで怒りっぽくて勝手に産んで増えるからお父様も管理が大変そうで同情しますよ。」


スディッキュ領主は苦笑を浮かべて大衆の扱いには困ると話す


「それはいつの時代でも権力者の悩みですな…ルトプッシ家も民の扱いには悩んでおりました。年々、ルトプッシ家も大衆迎合で弱弱しい限りです。」


「下級人類はアライグマと同じ気質ですから労働力としても扱いづらいです。労働用に交配の品種改良の実験もいいかもしれませんね。我々に管理されれば戦争も起きませんよ。言うこと聞くオークみたいな人間が増えればいいですよ。」


「わたしの国は教育予算もかけている割には優秀な人材があまり出なくて困りものです。所詮下級人類は不良品が多数派であることの証明ですよ。」


「皇女様。お言葉ですがあまり賢い者が増えても扱いは困りますぞ?奴隷も賢い者は反乱を考えて知能が低い奴隷から先走らせるようにね。世間ではカリスマとそれを呼びますがただの好感の心理を利用した飼い慣らしですよ。」


「所詮は、犬のような知能を持つ人間は奴隷同士でも利用されるという訳です。犬はそれすら心酔して先に死ぬことを美徳として思い込みます。利用されて死ねば志があろうとなかろうと犬死にしかならないのに死を美化する。だったら私たちのために命を投げ出した方がいいと思いますがね。」


エクラル皇女は窓の外の雨を眺めながら心の悲しみを雨と関係しているのかと話し出し…


「最近ですが私が飼っているビーグル犬が病気になりまして…私をわからなくなり撫でた手を噛んだのですよ…最初は懐いて可愛くても後から悪い結果になる場合が多いという意味でしょうか?花が枯れるように。」


「つまり下級人類は身の程を理解できない病気の者が多いという意味でしょうか?スディッキュさんの話を聞いていたら一つ違う点があると思いますよ?ボクサーに挑む一般人はいないはずなのに我々には反感を持つ人間がいるならそれは病気なのでしょう。内面は人間を終えている可哀そうな者達かもしれません。」


ラグド帝国の思考に興味がでたスディッキュ領主は階級について聞いてみた


「人間の序列とは皇女様はどのように決まると思いますか?それは天の采配ですか?私としては偶然とは思いたくないのですが…偶然なら私たちの裁量が無いと言われたことと同然だからです。」


エクラル皇女は部下からビーグル犬のノンちゃんを持ってこさせて籠を足元に置いた


「何億年も昔に龍の時代があったそうですね?彼らは魔人よりも魔力が高く肉体もどの生物も越えていた…もし神が優れた存在を応援しているなら龍がいつまでも残り人間の時代は来なかったでしょう。」


「神がいるならば才能と可能性がある者を見たいと思うのですよ。おそらく、龍は強いだけで可能性が無かったのかもしれません。人間の世界でもホームレスや困窮者が活躍する話はありません。王子様や王女様、勇者や美女などのきらびやかな者達の話が童話はいっぱいありますよね?」


「スディッキュさんがケセマ村で腕を振るい富を得ているならスディッキュさんの才能と可能性を世界が必要としているという意味ではないでしょうか?アライグマが繁殖して人間を噛みつく話なんか誰も興味を持ちませんよ。」


「私は学校でも成績は高いですからね。最近卒業して次は大学ですが難なくこなせるでしょう。偶然にしてはあまりに私達をひいきしすぎています。つまり私たちは活躍するために存在するのですよ。巨人の伝説では島を運ぶ話がありますが私達も可能性を振るうためにいるのです」


「可能性が無い下級人類はこの先滅びるでしょうね。人類が他の種類の原始人が複数同時に居たのに滅んだように。」


「所詮は進化に取り残されたグループは自然に消えていくというものです。わたしは強く美しく優秀なグループを志します。ですが魔力だけ使える魔法使いも中級です。下級がもし消えれば彼らが労働階級になってもらわないと困りますからどうしたものか…」


スディッキュ領主は驚き


「私をお褒めの言葉は嬉しいのですが魔法使いが中級ですと?エクラル皇女は魔力をお持ちとお聞きしましたが魔法使いではないですか?」


「魔法使いはローディグ王国では1等冒険者とやらになれないのでしょう?ほとんどは異能を先天的に持っている方とお聞きしました。わたしは魔法も使えて異能もあるからさらに上の優等という意味ですよ。魔法使いとも同じ格と思われたくないですね。」


「この国ではなぜ冒険者組合とやらがあるのですか?私の国では魔力持ちは公務員扱いで管理と監視を行っていますよ。好きにやらせれば異能持ちは自分を神と名乗り始めて国を欲しがります。」


「ローディグ国王一族の先祖のアルシオンが始めたからですよ。ローディグ王国では名もなき者が英雄になる憧れが昔からあるのです。冒険者組合は政治には関わらないのがスタンスです。国王でも解散はできないのですよ。」


「話は変わりますが最近では世界を脅かすあの屈強な魔人たちも謎の怪物の山羊男に消されたという眉唾な話が出回っているでしょう?世の中は想定外の要素で変わる場合があります。我々も気をつけねばなりませんね。」


「山羊男なんかいませんよ…そんな馬鹿な生き物がいるなら昔から大騒ぎになっていますよ。いきなり地面から石油が出た方がまだ説得力があります。」


するとノンちゃんがワンワンといきなり吠え始めた…方向をあちこちに変えながらゲージの中をぐるぐる動き回る


「想定外とはこれの事ですね…病気になってからいきなり奇妙な挙動をするのです…外に出したら余計に無軌道に動いて探すのが困りますし…」


エクラル皇女はだんだん怒りの表情にこわばらせ額に汗が浮かんでくる。飲み終わった紅茶に熱いおかわりを注いだ…


「でも…別の刺激を加えれば静かになるのですよ。集中できる他の何かがあればいのです。」


紅茶をゲージに勢いよくぶちまけて熱湯をノンちゃんに浴びせるのだった…


「キャイン…」


ノンちゃんは悲鳴を上げてうずくまり静かになった…



****その男は虐待された山羊から生まれた…


雨が降る中、自然にはあり得ない存在が上空から落下してケセマ村の付近に舞い降りた


「あそこか…この前、殺したリボバルだったか?奴が取り扱っていた奴隷がいるのだろうか…」


「ケセマ村で奴隷を売り買いしていると言っていたな…ローディグ王国は禁止のはずなのになぜそんなことをする?聞いて答えてくれればそれで済むが俺の顔ではまともに答えないかもな…」


「クジから透明化魔法をかけてくれた布は時間は透明でいれると言っていた…それで様子を見るとしよう…」


ちょうどその時、雨も降り止んだ。不浄の地が浄化を望んで歓迎するかのように…


「晴れたら見に行くとするか…人のやり取りや出入りが多い方が観察の意味がある…」


山羊男のキャベツは天気が晴れるのを待った後に布を開いて透明の魔法が発動し、その布を被ってケセマ村に入場するのだった…



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