第53話:山羊男に会いに行く盗賊とオーク
今回の登場人物
クジ:盗賊で後がないかませ犬
ウード:クジの悪友の知性があるオーク
山羊男:不満の化身で世の中と人間がどんな存在であるかを観察中
ロジ・ジョットがビジ村から離れようとしていたそのころ
ケセマ村の盗賊のクジとノーマルオークのウードは…
以前、山羊男に会うためにケセマ村に立ち寄りリボバルに山羊男が襲ってきた場合に備えて逃がしてもらう保険を頼むがケセマ村にはローディグ王国の隣の国のラグド帝国の皇女が奴隷を買いに来るらしく、出迎えの祭典の準備を行っていた。
悪代官のスディッキュ領主にクジとウードは祭典の料理に振る舞うための家畜の世話係を命じられ豚の餌やりや小屋の糞尿を片付けて作業をしていた
「豚の世話をしないと肉を食うこともできねぇな。肉を食うのは世話役ではなくあのドクサレ一味とお客様だけどよ。オークは家畜なんて育てないだろう?
「家畜もいつか化けて出るかもな。山羊男がそれじゃねぇのか?クジは山羊男にぶっ殺されても文句言えねぇな…もう1週間もたったぞ?リボバルの野郎はまだ連絡をよこさねぇのか?」
豚がキーキー鳴いてクジの方を向き苛立させる
「うるせぇぞ…全く泣けてくるぜ…」
そう話しているとクジを呼ぶ声が聞こえた
セアフスで人畜の調査をしていたリボバルが帰ってきたのだった…
「クジ君?今から支度だ。山羊男に会いに行こう。保険の仕事は乗るよ。もし山羊男が私といい関係になれたら報酬は半分にサービスしてもいい。」
リボバルが機嫌よくクジに支度をすると声をかける
「おい?偉く機嫌がいいな?豚小屋にわざわざお金持ちの奴隷商人が来るなんてよっぽどだな?」
ウードが不審に思いながら聞くと
「ある情報を耳にしてセアフスで確認してきたんだよ。山羊男に体を弄られてペットの耳を付けた人間が前より従順な気質になって街に来ているらしい。詳しく聞いたらその者達は山羊男に改造されたと言っているそうだ。これは金になる…金脈だよ。ぜひとも意図や理由を聞きに行きたい。」
リボバルの返事にウードは不気味がり
「おいクジ?聞いたかよ…動物耳を付けるだってよ?お前も豚に改造されるんじゃねぇのか?」
「冗談だろ?その時はリボバルの旦那に逃がしてもらうさ…保険をかけるために来たんだからな…早く行こうぜ?豚の世話は今日で終わりだぜ。盗賊のクジ様に世のため人のための豚の世話なんかさせやがって…スディッキュは豚の糞以下だぜ…」
****シルバナの山羊男とアルガナ党員達
キャベツは鱗清族のチョウザメの特徴を持つベルトラと話をしていた
「ねぇ、あんたのために働いてるのだから何か私たちにしてくれるわけ?セアフスの人間をさらってあんたが人畜に改造して私達が送り返してるのよ?危険な仕事をさせる以上は何かもらえるの?給料も最近は貰い始めたけど金だけ欲しい訳じゃないのよ?」
退屈そうに山羊男のキャベツは新聞を置いてベルトラに話す
「お前は何が欲しいんだ?嫌ならこの話に乗る前に拒否するように伝えたはずだ。」
「あまり、労働に見合わない報酬ばかり俺に期待するなよ?それとも、お前らは過去に人間に負けたからと言って今の時代にぶり返したいのか?恨みで人間を攻撃するならお前らも人間と同じだ…」
ベルトラは近くにいるバロットに指をさして
「その腰巾着と同じ風に扱ってもらうわ…そいつがあんたについて遠回しに有利な展開に運ぼうと狙ってんのはあんたも知ってるでしょ?私は堂々と言うわ…私は人間を支配する国が欲しいの…」
「ほとんどの国の亜人は属国か自治区に住む側…私は反対にしたいの。亜人が人間の上に立って鳩みたいに飛ぶ方向を動かしたいわけ…」
「言っとくけどあんたがやってる人畜実験よりマシよ…私は別に根絶やしにするかどうかなんてこと考えてないからね…」
バロットは癇に障った様子になり
「いい加減にしろ…いきなり来たと思ったら生意気なことをベラベラと…国が欲しいなら自分で征服なりすればいいだろう?…風見族にケチをつけるな…図々しい魚め…」
キャベツはベルトラに首を向けて考えを述べる
「ベルトラだったか?お前と俺の差は無い。任意でお前は俺に協力したからだ…風見族も鱗清族もお前らの内面までは気にしていない…」
「互いにフェアな関係で俺はやりたいと思っている。ベルトラもバロットも俺にメリットを出すなら公平に俺もお前らにメリットを提供できるように心がける…」
「お前が望むのはそんなことか?ならばいいだろう…シルバナと俺を攻める国があったらそこを征服してお前らに管理させてやる…何が欲しい思えば所詮は土地と支配か…知性に欠ける動物的本能だな」
ベルトラはキャベツの発言にかなり苛立ちを覚え口を尖らせる
「自分が強いからって偉く悟った風に言うのね?みんな弱いから苦しむの…そして弱い順から奪われて笑われて勝ち馬に踏み潰されて忘れられるの。あんたが強くないとそんな風に言えないでしょ?」
「お前は勝ち馬に乗りたいのか?所詮、お前は人間と同じだ。俺が弱いと誰も相手にしないのは認めるが…お前の方針は俺から見れば蟻の巣の広げあいだ…いずれお前は今お前が言っていることを他人から言われる側になるだろう…だが俺はお前らの望みは否定はしない。」
「風見族と一緒に管理すればいい…それがお前らにとっての最大の報酬でいいだろう?シルバナも侵略から守られるしお前らも国を手に入れて満足なはずだ…もしどこもシルバナを攻撃しないならアルガナ村を大きくして国にしてローディグ王国から独立する方針を手伝ってやる。」
「お前をバロットのように扱えと言ったな?なら最初の仕事だ…お前らの族長のクラスパに大川の上流に風見族と鱗清族の大きな避難所を作れと言ってこい…攻められて避難しても遅いからな…」
バロットはベルトラに内心を暴露されたのが嫌だったのか困った顔で釈明する
「確かに下心はありましたがあなたが来た時からボクは一緒にいたじゃないですかー。悲しいこと言わないでくださいよ。ボクのことを悪く思ってませんよね?」
するとキツツキの特徴を持つ風見族がキャベツの部屋に入室してきた
「緊急です!緊急です!4人組の人間とオークの集団がやってきました!キャベツ氏に御用の様です!」
バロットは早口で聞き取れないと愚痴を言い
「ルクセさん…聞き取れませんよー」
キャベツは苛立ち来客の応対に悩みをぼやく…
「また、客か…最近、頻繁に会いに来て時間を取られる…代理人を探そうにもどこに行けばいい…」
ルクセはおしゃべりがた止まらず
「4人はまあまあ強いです!追い出そうとしたら会うまで帰らないといって取り押さえようとした者を透明になってボコボコにしました!」
「…バロット…今度は別の奴に報告をさせろ…」
ルクセはちょっと反省した顔で「え!私、早口でしたか!?」と素早くしゃべり、つばがキャベツにかかる
「…自覚があるのか?それともわざとか?…」
キャベツはルクセをぐるりと迂回して避けて部屋を後に4人に会いに向かった…
****助けを求める4人組
キャベツが外へ出ると4人が待っていた
盗賊のクジとオークのウードと中年の魔法使いのような男とエルフの女性だった
「何の用だ…俺と戦いにきたのか?…たまには善人と呼ばれる連中とも話をしたいものだ…」
クジは最初に声を出し
「あんた、イテミスと魔族を皆殺しにしたんだってな?噂が本当なら俺達はあんたの下に入りたいのよ。そこの風見族みたいによ?」
ウードは困った顔で事情を言う
「仲間は馬鹿で人間にこの先、絶滅させられる。俺達は先がない…弟も余興で殺された。俺だけ知能がマシに生まれてもそれが有利に働かない…魔人を滅ぼしても魔物を消さないってことは俺達を悪く思ってないってことだろう?」
キャベツは魔物についての見解を話した
「お前らは体力的に人間より強いものもいるが魔人のように不必要に暴れている訳じゃない。食べて生きるためだ。だから家畜を食う人間と同じという意味で見逃している…魔人が死に絶えて自由ではないのか?」
ウードは自由になるだけでは野良犬と同じと語る
「あんたみたいに強ければそんな風に言えるがほとんどはそうじゃないんだ…当てがなく野垂れ死ぬだけだ。俺達は人間からみたら害獣だからそれは理解しているが自分の境遇に納得して滅ぶなんて惨めなだけだろう?」
キャベツは困窮した存在がすがるということに興味を示し
「俺に来たということはまともに頼れる存在がいないということだな?俺が帰れと言えばお前たちは死ぬのか…?」
「しかし、似たような連中が大挙してきても困る…手を貸すには理由が必要にしたほうがいいかもしれない…」
クジはフランクな態度で話しかける
「ただで助けてとは言わねぇ…俺は泥棒でウードは人間世界を荒らすオークだ。ウードは好き好んで暴れたりしないが俺も含めてやり直すチャンスはねぇ訳よ。そこでだ…」
「あんたもその顔じゃ不便なことあるだろう?代わりに俺達が細かいことしてやるよ。つまりあんたがボスだ。わかりやすいだろ?あんたとはギブアンドテイクでいこうぜ?俺達にとっても後ろ盾としてあんた以上はいないからな。」
キャベツはクジの話に質問する
「ギブアンドテイクとはなんだ?どういう意味だ?」
ウードは言葉の意味を思い出しながら説明し
「確か、頼んだことに対して相手も公平に手を貸したり報酬を渡すって意味だよ。お互い利益になる公平な関係だ。そんな関係は現実では少ないがな。」
するとキャベツの表情に徐々に変化が起きて…
その場にいた全員が寒気を感じたのだった…
「なんだ、この気分は…高揚か?…感動や素晴らしいとはこういう意味か?」
その表情は歯茎をむき出し目は上を向いてギョロギョロ動き口を半分空けた表情だった…
「魔人も人間も勝手な言い分で支配や収奪が好きな連中ばかりと思っていたがそうじゃない考え方もあるらしい…」
「なぜ、公平な考え方があまり広がらない?やはり上下関係の文化か?まあいい…俺が求めていた価値観だ…俺は頂点に立ちたがる無自覚で暗愚な王になる気などないからな…俺は上にも下にも立たず、暴れる奴が来ない草原に行きたいだけだ…」
「“ギブアンドテイク”は“反吐がでる”とは逆の素晴らしい意味の言葉だ…」
「だがこの思想には欠点があるかもしれない…片方が持っている側にならないと相手が対等に接しようとしないし報酬を十分、相手に渡せないからだ…」
山羊男の思考に理解が及ばずエルフ以外の者は不気味がるのだった
中年の魔法使いは“リボバル“と自己紹介をして話に入る
「私は召喚魔法使いのリボバル…世界でも個人で召喚魔法が扱える稀有な存在です。召喚魔法は通常、複数人で送り側と受け取り側が準備と魔法を発動する必要がありますが私は一人でそれが可能です…」
「それは系統を一つに絞り長年の使用による研鑽によるもの…職人がハンマーとノミで図面も見ずに彫刻を掘るような芸当です」
「私は困ってきているのではありません。彼らが2人じゃ心細いと頼まれて金の匂いがしたから来たのです。私が興味あるのはあなたが放流したと噂の人畜です。あれはすごい。奴隷の革命ですよ…」
キャベツは不快感と寒気を感じるが話の意図を知るためにあえてリボバルの話を聞く
「俺は人畜を奴隷にするために改造して送っているわけじゃない…人間の人畜の扱いを見るためだ…まあいいが、金とはどういう意味だ?」
リボバルは自然な笑顔で飄々と語り出し
「奴隷は商品寿命が短いし、内面は購入者から見透かされてやっぱりいらないと返される場合もある…しかし人畜は持ち主になつくから内面の問題で購入者に反感を持たれることはないでしょう?おまけに動物耳もついていてマニアに受けますよ…」
キャベツはギノと似た空気をリボバルから感じるのだった…
「その耳が尖った女は誰だ?笑っているだけで何も言わないぞ…」
リボバルは得意げな表情で
「ふふふ…よくぞ聞いてくれました。彼女は永遠の若さを持つと言う希少な亜人のエルフです。エルフは通常、住んでいる森からほぼ出ません。でると寿命が急激に失われ外では犬の寿命と同じスピードで老化と衰弱が起こるのです…」
「つまりそのエルフの女性が住んでいる森からシルバナの森まで来た…つまり彼女の意志ではなく私が彼女の意志を奪っている状況なのですよ。」
「私は相手に何らかの貸や恩を作り、相手が返さなくなった場合、意志を奪って服従させる異能があります。この異能を私は“マスターライセンス“と呼んでいます。」
(私から離れすぎたら少しずつ解ける欠点もありますがね。定期的に近づければまたかかりますがその弱点は召喚魔法でいつでも契約対象を呼べますよ、フフフ)
「私は異能もある人間世界の超エリートです。召喚魔法も使え異能もあり、奴隷商人で世界中の顧客を相手にする稀有な逸材なのですよ。近年は奴隷を扱う国が減り風向きが厳しいですがね。」
キャベツはリボバルにかなり怯えた表情になるが話を続ける
「お前の話ではそのエルフはお前に操られて自分で考えていないのだな?」
「わかった…ギブアンドテイクの話に戻そう…お前たちは俺に何をしてほしい?リボバルは人畜の話は聞いたからいい…クジとウードと言ったな?」
「俺がお前たちに今、してほしいことは1つだ…1つにつき俺も望みを聞こう…」
「セアフスにいるギノという男を俺と二度と会わないようにしろ…それが死ぬ意味でも星から出ていくでも粉々になって土になる意味でもお前たちに任せる…できるか?そいつはただの一般人の男だ…」
クジとウードは呆気に取られて
「そんなことでいいのか?」とクジが言い
「どういう意味だ?」とウードは理解が及ばない
しかし、リボバルが疑問を我慢できずに
「あなたは魔族を消せる程、強いのでしょう?なぜ自分でしないですか?」
と聞くとキャベツが急に不機嫌になる
「お前は質問ゲームをしに来たのか?俺が質問したのはその2人だ…お前は後で話す…」
セアフスは最近、出入りが厳しいとクジがキャベツに説明する
「今、セアフスは検問が厳しいぜ?そのギノって奴は簡単でも街には2等や1等の冒険者や憲兵がいるから無理だぜ。」
ウードはその仕事は自分ではできないと弱気を見せる…
「俺はオークだから入る前にばれちまうよ。クジだけならともかくよ。」
すると山羊男のキャベツは仕事ができるようになればいいと提案する
「そうか…では力をやろう…俺が持つ力の複製を1つお前らにも使えるようにしてやる…報酬を先に渡すということだ…成功したらさらに渡そう…そうだな…仕事の支障になる弱る要素や老化も止めてやる…」
「バロット…メモを貸せ…俺の使える力を書くから好きなものを一つ選ばせる…」
「わかりましたー」
(そんなことまでできるのか?こいつらを見れば結果はわかるが…)
キャベツは書いたメモを3人に渡した
「その前に報酬を貰って逃げないかテストしていいか?お前、人畜を欲しがっていたな?人畜を改造する力が欲しいのか?…」
リボバルはキャベツの前に歩いて来て顔を輝かせて
「そんなことが可能なのですか?私にくれるのですか?」
キャベツは質問をする
「奴隷はこの国で売っているのか?場所はどこだ?」
リボバルは内緒ですよと得意げに話し…
「ケセマ村というラグド帝国との国境近くにある村ですよ。私はスディッキュ様と言う領主とも仲がいいのです。あなたとも仲良くなれますよ。」
「わかった…今度見に行く…」
キャベツは「俺を見ろ」と言い近づき
「力を欲すならくれてやろう…俺の力を受け取れ…」
「ゴシャッ」
次の瞬間、本気でリボバルを殴打して頭を粉々に吹き飛ばした
エルフの女性にバケツから水を被ったように肉片が降りかかりマスターライセンスの効果が消えて正気にもどっていく…
「あぁああああああ!!!あぁああああ――――!!」
と叫び声を上げて狂乱状態になった
リボバルが殺されクジとウードとその場にいた全員は背筋が凍り動けなくなった
キャベツはエルフの悲鳴に不快感を示し
「おい、バロット…来る前に俺につばをかけた女を呼べ…」
「わ、私は後ろにいましたよ…何ですか?私、死んじゃいますか…?」
ルクセは恐る恐る答えるが
「このエルフが落ち着いたらこいつの故郷に帰らせろ…それができたら見返りにお前が欲しいなら力をくれてやる…引き受けるか?」
「え?…まじですか?わかりましたー!」
キャベツはルクセの口が普通のペースになっているのに気づき
「お前は早口じゃなくてもしゃべれるな…わざとか?」
「癖ですよ!あんまり怖く言わないでくださいよ…」
****砂糖に群がるアリ
山羊男のキャベツは確認をクジとウードにする
「逃げなかったから合格だ…ギノの似顔絵を渡す…年は40から50の間の男で小太りだ…身長は俺と同じ…中柄だ。俺に二度と会わないようにしてくれるか?」
クジはリボバルが惨殺されたことに怯えながらも
「ああ、そんなことでいいのなら盗賊より簡単だぜ…殺しは普段はほぼしないがな…悪党同士なら何度かあるが」
ウードは疑いながらも
「あんたが力を渡すって簡単に言うがそれはどんな感じだ?俺はあんたの体力が欲しいぜ…」
キャベツはわかったと返事をしてウードに近づく
ウードはリボバルを殺した山羊男に恐怖を感じる
「動くな…集中する…お前は3mくらい背がある…少ししゃがめ…
キャベツは自分の腕の肉をつまんでちぎり指でこねて潰しながらグズグズした液体にする
ウードが恐怖で息が荒くなる
(こいつ…何をする気だ?俺を殺す気じゃないよな?)
キャベツはウードの左目にその液体を目薬のように歪んだ空間に包んで注いでいく
すると左目は充血したように液体が広がり黄色い山羊の目になっていくのだった
「終わった…俺と同じ体力の使えるはずだ…強い力に応対するほど上昇していく…」
「ただし、その目を潰されれば回復に10分以上はかかるはずだ…その間はその力は使えなくなる…」
「この前、死んだ魔王は恐らく体力なら世界一だっただろうが、お前の経験次第で体力なら奴を上回るはずだ…だが過信はするな…あくまで体力だ。異能や魔法を立て続けに受けても死なないと慢心していると足をすくわれる…」
ウードは試しに近くの岩を押してみると埋まっている部分まで抜けて簡単に転がすことができた
「ズズン…」
「す、すげぇ…あんた神様か?俺が俺よりでかい岩を押すか…力があっても踏ん張れる場所がいるな…」
クジは自分の番だと飛びつき
「おいウード、もういいだろ?次は俺だ…このメモに浮遊ってあるよな?これをくれよ?馬鹿力より物を運んだりできるからよっぽどマシだろ?」
するとキャベツはクジの右手を掴みウードの様に情報体を付与した液体を歪んだ空間と共に注入し右手の手のひらに山羊の目が現れた
クジは歪んだ薄い空間を発生させその中にウードが転がした岩を包むと浮かばせるのだった…
「マジかよ、俺も希少な異能を扱える側に仲間入りだぜ…練習がいるが…あんた最高だぜ…しかも体感的に魔力消費もねぇ…異能や魔法じゃないのか?俺も飛べるって意味だよな?」
キャベツは試すなら後にしろと言い
「問題があったら教えろ…その眼に俺が触れば俺がお前らのその山羊目が見た情報は知れる…」
「ギノがいなくなった様子をその眼に焼き付けてこい…俺は指図が好きじゃない…やり方はお前たちが自由にやってみろ」
「わかったぜ…ギノが死んだらさらにくれるだよな?マジであんたはありがたいぜ…俺達は魔力消費もないから異能を使う冒険者以上の力を得たってことだよな?」
「俺がお礼に名前を付けてやるよ…『眼能』ってのはどうだい?」
キャベツはその名前を受け入れ
「それが呼び名でいいかもな…行く前に透明になってきたと報告を聞いたが誰がそれをできる?布にかけてしばらく隠れるなんてことはできるか?」
クジはもちろんできると語り
「俺の光魔法の透明化の魔法を布にかけるってか?そうだな…布を開いたら発動するようにするのは中級魔法の“魔織“をする必要があるが俺も透明化魔法は長く使ってるからな。他の魔法は全然だめだができるぜ…疲れるが礼に2時間は持つように何とかしてやるぜ…ひょっとしてチップとかあるかい?」
キャベツはクジのチップを求める様子に曖昧だとムッとするが
「有料ならはっきり言え…金を払うから頼む…おいバロット…俺のための非常用の金で金庫に1万ルオン(100万円)があったろう?それをこいつらに払え…少ないか?多いならそのオークにもわけてやれ…お前の仲間だろう?」
「あんた、マジで神様だな…金までくれるのかよ。人間にもあんたみたいなのが増えればいいのにな…あんたにはいい知らせを届けにまたくるぜ。ギノっておっさんには悪いがな…」
「奴は弱者をなぶりものにして罰せられない程度に悪さをする小市民だ…お前らが何をしても奴には丁度いい罰になるだろう…」
クジとウードが立ち去った後で見ていた様子を見ていた風見族と鱗清族がキャベツに俺も俺もとかけよるのだった
「あいつらだけずるいですよ、私達は前からあなたの近くにいたのですよ?」
「俺に欲しいと言わなかっただろ?近づくな…近いうちに集会を開く…その時にお前らの話も聞いてやる…俺がしてほしいことをするならくれてやる…」
リボバルの死体が近くにあるのにまるですぐに恐怖を忘れてしまっているように見えたのだった…
****人を操る魔法
キャベツは族長の部屋でバロットに支配者について相談をしていた
「俺はリボバルと同じだと思うか?俺は人畜がどう扱わるか実験しているが…人間どもの奴隷商人と同じか?」
バロットはフクロウのように首を振りながら
「違いますよー。あの人はお金のためですが、あなたは人間がどう扱うか見るために人畜の放流をしているんでしょう?人間どもの醜いクズどもと慈悲がある者のどちらが多数派かを知るためだから全然意味が違うと思いまーす。」
キャベツは魔法や異能の支配について聞く
「バロット…意志を操る魔法や手段はあるのか?あるなら世界征服が簡単にできるはずだが…」
バロットはミミズクの飾り羽を動かしながら上を向いて考えた素振りを見せ
「現在まで意志をいじる魔法はありませんねー。聞いたこともない…リボバルがやってたのはおそらく、眠らせて操るに近いかもー。心から好きでやらせるとかは魔法では無理ですねー。薬で体調は変えれても心は変えれないのと同じですよー。」
「多分、心から従わせる魔法や異能ではなく、思考を停止させるに近い方法だったと思いまーす」
キャベツは上を向いて
「もし、魔法でそんな真似ができたら魔法使いも根絶やしだな…」
「支配して笑う側の存在など宇宙に必要ない…例え神だろうとな…」
バロットは焦った様子で懇願し…
「風見族は飛ぶために風魔法を使いますよー!操る魔法を使った奴だけにしてくさいー!!」
「…では見つけたら教えろ…そいつらは誰にとっても必要ないはずだ…」
「わ、わかりましたー…あの、この前のモデファルさんの件ですがドクターチームが来月に送ってくれるそうです。」
「フレムト共和国の異端児の学者が集まった研究者グループで亜人の魔力の増加による龍化を調査してくださるとのことです。」
山羊男は龍化した者への処遇に悩んだ様子で考えを話す
「風見族の代表と鱗清族の代表を呼べ…龍化したお前らの仲間を調べさせるのは俺の判断ではなくお前らの方がいいだろう?同胞の処遇まで俺に決められたくないはずだ…」
「龍化した奴らは知性が戻らない…調べて元の姿に戻せるならいいがずっと龍のままなら殺した方が奴らのためにはなるかもな…」
「その処遇についても考える必要がありますねー。風見族の族長はあなたが殺した後はいませんからね…ボクが代理でいいかアルガナ党員に聞いてきまーす。鱗清族のクラスパさんを呼んできますよ。モデファルさんもドクターチームと来てくださるそうです。」
キャベツは新聞の紛争の欄を読みながら考えるのだった
「研究者共が調べる以上は治療法だけでは済まないだろうな…龍の力を欲しがった魔人がいたくらいだ。俺が風見族に渡した呪詛の木も似たような結果になるのなら俺は魔人より悪い存在なのかもしれんな…」
「そんなことないですよ。風見族に恩恵をもたらしたのはあなた以上の存在は過去にはいないとボクは思いまーす。ボクから見たら高飛車なベルトラさんの方が魔人より嫌ですよ。人間共があなたを悪く言うのは仕方ないかもしれませんが。」
「だが人間に俺が害だと言う資格はないはずだ…人間は星を汚し、他の生物に明らかに有害だからだ…俺が悪いと言われる筋合いはない…」
「そう言えば魔王が風魔龍より上がいると言っていたな…創魔龍だったか?そいつは世界征服をしていたのだろうか?俺が存在する以上は世界征服を志す連中も滅ぼさなければならないということだ…それが人間共でも神でも俺が相手をする日が来るかもしれない…奴らは自分以上を決して認めないからだ…」




