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第47話:英雄と山羊男の飼い主

セアフスのシュウノの家にて


シュウノは目が覚めると魔王の城に居た

魔王ノフィスと戦った決戦の場所である


「ふふふ…よく来た…前は6人でリンチにされたが今日は1人だな…わしに挑むかシュウノ君…」


シュウノは混乱した顔で


「あれ?ノフィスは俺達が倒したよな?俺が剣で突き立てて止めをさしたはず…」


「小僧…わしとお前は結局負け犬だよ…わしは先に死んだだけだ…どうだ、その後の人生は?わしを殺して人間共にサービスを受けてバラ色の余生だったかね?…わしが世界征服をして名声と待遇を得るのと大差はないと思わんかね?」


「お前は魔人と魔物を率いて人間に進んで戦争をしただろう…なんで俺を悪く言うんだ?」


「戦争など下らん理由でも起こる…例えわしがいなくてもな…だが君は人間同士で戦争が起きたらどちらかの国に味方して片方を冒険者の魔力や異能で大勢殺せるかね?魔物や魔族は相手に出来ても人間は無理だろう?腐った権力者にすらルールに縛られて何もできないのが英雄共だ…」


シュウノはノフィスに質問を返す


「俺は今、山羊男に悩んでいる…お前ら魔人を皆殺しにしてる…いつ人類に同じことをするかわからない…おまけに山羊男を生み出したのは虐待した人間の飼い主なんだって…どう思う?お前は確か世界一の魔法使いだろ?」


ノフィスは苦笑してぼやく


「わしだってマジにショックだよ…わしを超える才能があった右腕のイテミスの馬鹿が山羊男に自分から喧嘩を売って魔族を巻き添えに殺されたんだから…魔人って救いようがないよね?わしもまいっちまったよ…」


「だが焼け野原の後でも時間がたてば草は生える…わしの娘がお前の家にきて子を成そうとしているだろう?それで魔人は絶滅から救われる…お祝儀は渡せんがな」


シュウノは顔が青ざめて


「お前…なんで知ってるんだ…やめてくれ…ルナムが勝手に上がり込んできたんだ…逆らえば山羊男をセアフスに呼ぶって…自分が死ねばお前の遺産の隕石魔法の絶滅石器を発動させるって…お前のせいだ…」


「ほう?ルナムは嫌いか?」


「違う…嫌いじゃないけど…セイルとルナムに挟まれて俺がボロボロだ…」


「わしの娘を貴様みたいな糞ったれの糞ガキに任せるのが本当に口惜しいが娘もお前を気に入っとる…嫌味ばかり言っても無駄だな」


「絶滅石器の魔法をどうやってわしが作ったかルナムに聞け…それで山羊男を倒す足しになるかもな…」


ノフィスの話にシュウノは顔色が変わり


「何?…何か秘密でもあるのか?」


「お前たちは生者だ…どうするかは生者のみが決定する…わしはヒントしかだせんよ…」


「お前とルナムの子孫が増えればその内、お前の子孫から魔王が出て世界を征服するかもな…そうなればわしも一矢報いたということだ。赤飯は炊いてやれんが子作りは頑張れよ。」


「う、うるせぇー!!魔王も山羊男も俺の時代で終わりだ!」



****目が覚めたら


シュウノが起きるとルナムが隣で寝ていた

セイルは子を作る様子を見張るため椅子に座ったまま寝ていた


「ノフィスと話していたのか?俺は…覚めない方がよかったのか…」


ルナムも目を覚まし目を合わせる


「起きたか。朝食をするか…今日も子を成すために付き合うのだぞ?」


「ああ…ルナムともやってしまった…セイルとも子もできてるのに…もう開き直るしかないの俺?」


「お主まさか泣き言を言うのか?私の子に情けない姿を見せたら私がお前を殺す…」


「すいません…もう弱腰なこと言いません…」


「セイルの馬鹿が寝ている間に私が作る…昨日はセイルが自分の生き血をシチューに混ぜて食わせたから任せられん…早く着替えてこい。」



****朝食の会話


シュウノはパンとサラダと目玉焼きを食べていた


「うん…朝食はこれくらいが丁度いいよ。ルナムも家事はするんだね?」


「私をなめるな…お前に金だけ持ってこさても気に障るからな…」


しかしセイルが遅れてやってくる


「わたくしも食べてよろしくて?あら…でもパンとサラダに目玉焼き…料理とは言えない簡素さですわね?ちゃんと夕食はつくれるのですか?」


「ぬかせ。私は料理に汚物は入れないから安心しろ。お前に飯の心配する資格はないわ。」


「わたくしが教えるまで美味しいといいましたよね?生き血が美味しいのではないですか?」


シュウノは胃液が逆流するような気分に苛まされ


「二人ともやめてくれ…俺が朝から胃が痛くなる…」


しかし二人は揃って


「どっちの味方だ!!」と怒鳴ってしまいシュウノは完全に委縮するのだった


「俺がノフィスに負けた方がマシだったのか?」



****飼い主に会いに行きたい


「ルナム、セイル…俺は山羊男の飼い主に会うためにカタム領主に掛け合ってみるよ。」


「飼い主の男性は質問攻めされて聞かれることは無いかもしれないけど俺も一度会いたい。今日はカタム領主にアポを取ってくよ。」


「ルナム、絶滅石器の事を教えてくれないか?隕石の魔法なんてそんなすごいのはノフィスでもできるものなのか?魔法の域ではないよな?」


「ふん。今教えても私の不利にしかならんわ。お前が信頼できる男と判断したら教えてやる。」


セイルはルナムの態度にご立腹で


「貴様は脅しの道具で気を引いて恥がないのですか?まったく…」


「お主も妊娠をネタにシュウノに詰め寄ったから似たり寄ったりだろ?自分を棚に上げるな、軽石頭め…シュウノは胸がでかい女がすきなのか?脳は脂質でできているらしいがセイルの脳は胸に持っていかれて駄目になっているらしいな。」


「ガァアアア!!侵入者の癖におだまりなさいよぉおおおお!!」


「ゲボ!」


シュウノはゲロを吐いた…



****カタム領主に面会の交渉


シュウノは家を出て領主館に立ち寄った

カタム領主に面会を求めるためである

カタム領主は休憩時間中に30分だけ応対してくれた


「なんだね?魔王を倒したことを自慢しに来たわけではないだろうね?私は忙しい。」


「以前、冒険者組合員の2等以上に色々、見返りの密約とかでセアフスに残って戦って欲しいとか言ってましたよね?俺もセアフスにいるから俺の頼みも聞いてくださいよ。俺は密約の報酬はいりませんがその代わり山羊男に関係する仕事をさせてくださいよ。」


「それはどんな意味だね?山羊男の気まぐれでいつでもどの町も消える状況だ…君は何がしたい?」


「あの、飼い主さんに会わせてくれませんか?なんなら山羊男の対策の仕事とかでもします…」


「君ねぇ…だが君は1等だ…腐っても鯛だ。そうだな…飼い主に合わせてやろう…その代わり月給1500ルオン(日本円で15万円)で飼い主の護衛をしてもらうがどうだね?1等は平均年収200万ルオン以上だから低すぎて嫌だろうな…それが嫌なら帰りたまえ…君にできることはない。」


「報酬が安いのは当たり前だ…彼の見張りは奴の近くにいて襲う奴から守るだけだからだ…だから暇な衛兵に任せているが君はどうするね?1年の更新制の非正規雇用だがな。」


「1500ルオン…それって新米兵の給料くらいですよね…それをやってる間に冒険者組合でミッションこなした方が遥かに稼げますが…やります…やるから合せてください…」


「俺が戦える間に少しでもキャベツに倒せる可能性が欲しいんです。」


「そうかね?すぐに辞めるのはよしてくれよ?では場所に案内させよう…今後は私も雑用を頼むが危険度によって少しは報酬を上乗せるから文句は言うなよ?最低でも半年はやめるなよ?」


「わかりました。飼い主に会わせてください…」


(ロジと偉く扱いが違うな…俺も終わった英雄ってことかな…)



****飼い主に会いに行こう


山羊男キャベツが山羊男になる前の山羊を飼育していた男

その名はギノである

ギノは要人用の療養施設で健康的な待遇で秘密裏に軟禁されていた


「酒とたばこはいつ許可が下りるんだ?おい看護婦のねぇーちゃん?俺はもう退屈だよ…」


「競馬に行きますか?近くで見れますよ?」


「…仲間とやらないとつまんねぇよ…酒をくれ」


「夕食後に適量のシャンパンしか許可は下りてません。明後日は週一のワインの日ですので我慢しましょう。午後からインストラクターと運動をしますよ?バトミントンも他の患者ともできますよ?」


「俺はお前らのペットかよ…でも家に帰って仕事もめんどくせぇな…娯楽をくれよ。」


「夕食は羊のステーキと海外から取り寄せたサラダですよ?あなたは恵まれていますよ。」


「カタム領主様があなたに命令が来ておりまして…また子ヤギを飼育して同じ結果になるか実験したいと申しております。」


「カタムもいかれてるな…本気で俺のせいで山羊男が出たと思ってる訳じゃないよな?権力者も庶民もド級の馬鹿だぜ。」


ギノはくちゃくちゃと高級ブドウのマスカットを食いながら不満そうな顔で雑誌を読んでいた


シュウノはギノに近づき挨拶をした


「あの…今日、面会の予約をしてたシュウノと言う者です。山羊男についてお尋ねしに来ました。」


ギノは呆れた様子でマスカットの茎をシュウノに投げつけた


「またいかれた馬鹿が山羊の話か…兄ちゃんはまだ若いのに頭がやられて哀れだね。俺じゃ無くて精神病院に行きやがれ、腐れなすび野郎。俺の視界から消えて勝手に死ね。山羊男に聞けばいいだろう?」


「お前の仲間のメイリアちゃんだっけ?女に先に戦わせて死なせたのか?それで助かるなんて英雄様は安全安心だねぇ?主人公補正で死なないってこと?でもお前はキャベツに恨みはないだろう?あいつは殺しに来た奴をぶっ殺すらしいから悪者は人間や魔人かもな。」


「そういやカタムが言ってたが風見族がお前を助けるために攻撃したせいで風見族が恨まれて気が奴らに移ったからお前が助かったらしいな?おかげでシルバナはあいつに占拠されたんだっけ?お前のせいじゃねぇの?お前だけぶっ殺されてればシルバナはああならずにすんだかもな。」


シュウノは憤るが堪忍袋の緒が切れるのを耐える


「山羊男がすでに死人を多数出しています。どういう理由で現れたか知りたいんです。」


(こいつ…死人が出ているのになんとも思わないのか?)


「お前、マジで馬鹿だな?俺が理由を作ってあんな奴が出ると思うか?お前が糞をしたら街が吹っ飛んだって言えば理由が思いつくのか?山羊男なんて嘘だよ。荒唐無稽で幻だ。その証拠に俺の目の前に今まで来ていない。」


「なぜなら俺はキャベツをいたぶったからだ。恨んでるなら俺を殺しにくるだろう?魔族を全殺しにしたのも嘘だよ。話がばかげている。お前ら山羊男で騒いでるなら全員馬鹿で起きたまま夢を見て死んでるぜ。死ぬのは狂ってる奴だけにしてくれ。」


「じゃあ俺と一緒にシルバナに行こう!山羊男に会いに行こうぜ?ギノさんもペットの飼い主ならそれなりにペットに責任はあるだろ?」


「おい?待てよ。面会だろ?俺を脅してるのか?まったく冒険者の若造は市民を見下してんだろ?魔力があるやつは普通の人間より強いからって俺に強く出れるんだな?俺に何かしてみろよ?カタムがお前を重罪人にするぜ?」


「山羊男は嘘なんだろう?確かめるのもいいだろ?メイリアが死んだのが嘘かどうか見に行こうぜ?メイリアは俺の目の前で壁に投げられて死んだがな…」


「兄ちゃん。俺はもう山羊にはうんざりなんだよ。ずっと聞かれて誰でも参るぜ?最近ようやく聞かれなくなったんだ。もう山羊なんか飼わねぇよ。そうだ!兄ちゃんが山羊男を育てて俺のキャベツと戦わせろよ?山羊をなぶったらまた出るかもしれないぜ?」


「ギノさんは山羊のキャベツをどの位、虐待したんだ?何年もか?」


「そうだな…4年は殴ったり蹴ったりしたかな…俺の離婚した妻が興味本位でどっからか連れて来てよ…1年は妻が飼っていたが俺の家財道具や金を持って消えたよ。」


「キャベツも連れて行けばよかったのに飽きてたって意味だろ?だからあいつを見ると妻を思い出してむしゃくしゃしてよ?できれば山羊の話を聞きに来る馬鹿も殴りたいよ。」


シュウノは呆気にとられた顔でキャベツの境遇を思う


「じゃあキャベツは5歳でずっと苦しんでたのか…みんな巻き添えだけどなんとも思わないの?」


「山羊を虐待したら化け物になって噴水広場で6人も衛兵を殺して風見族を一族単位と戦争して戦士を殺し降伏させ、果ては人間より力は強い魔人を皆殺しにするって夢物語と言うか狂人の妄想だろう?」


「俺にそんな話を聞くのが大人なら最底辺の馬鹿で小学校にもいけないよ。哀れな境遇で生きてる人っているんだね。」


「あとお前はガキの癖に生意気な口の利き方だな?学校や家庭で礼儀は教えんのか?レベルが低くてお前の親も駄目で兄ちゃんも可哀そうな出来損ないだね。お前はモンスター退治が好きな道楽好きな冒険者だろう?山羊で騒ぐならお前らも雑魚で能無しかもな。魔王も本当はいなかったのか?」


シュウノはギノを見て自分を思い出していた


「噴水広場に行く前の俺もこんな感じだったのか?問題事より享楽を優先するなんて…」

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