第46話:かませ犬達の山羊男に会いに行く準備
今回の登場人物
クジ:ピンチの盗賊
ウード:知性あるノーマルオークで10人力はありますが魔物としては弱い方
以前、魔人フェジェを裏切りマジカルラボの鍵を盗んだことで追われていた盗賊のクジとセアフスのオーク狩りで全滅したノーマルオークのウードが山羊男のキャベツに助けを求めるためにシルバナに行くつもりだったがキャベツに襲われる懸念があるため保険を掛けるためにある村に行こうとしていた
「おいウード?直接行かねぇぞ?山羊男がもし凶暴で俺達を殺しに来たら無駄になる。俺はセアフスでフェジェの部下として金を盗むために潜っていた。フェジェはロジ・ジョットに始末されたらしいぜ?俺はラッキーだがフェジェの身の回りは徹底的に調べられて俺はフェジェの関係で指名手配だ…フェジェから逃げるときに冒険者に顔を見られたせいか?」
「どの道、俺は表の世界に行ったらやられるぜ…俺が盗んだマジカルラボにフェジェがセアフスで強盗や詐欺で集めていた金は貯めてあるが金だけいくらあっても俺はいつか追っ手に殺される。魔人でも冒険者でも俺を見たら捕まえるか殺すだろうぜ。」
ウードはそれで?という顔で
「俺は属していた群れも弟のユーリも冒険者共の街の安全と平和のためにと立派な理由で殺されて逃げている。俺はノーマルオークでお前は盗賊だ。山羊男にビビッて逃げても人間がいる世界に俺達は居場所がないだろう?保険とはどういう意味だ?」
クジは念には念をだと教える
「ケセマ村に途中でよるぜ?召喚魔法の達人で異能まで持つ天才魔術師であり奴隷商人のリボバルの旦那に金を積んで一緒に来てもらう。ピンチの時は俺達と一緒に召喚魔法の逆の送還魔法でワープしてケセマ村に逃げるって意味だ。山羊男が猛獣なら困るだろう?」
「クジ…さっき俺が寄り道でお前から離れた時にアシッドオークっていう毒の汗を流すオーク族の集落に俺達の全滅した話をしに行ったら俺達の指導者層の魔人…つまり魔族が山羊男に皆殺しにされたらしい…」
「魔物の俺達を見逃している理由は不明だが魔族を消す前に人間や亜人の奴隷を魔族から逃がしたらしい…怒らせなければいいんじゃないのか?奴隷商人を連れて行ったらやばいんじゃないのか?」
なんの準備もしないことは悪党らしくないとクジは言い張り
「それならリボバルの旦那が黙ってればいいだろう?それに怒られるのならリボバルの旦那だけだぜ?逃げ口は用意しとかないとな。お前も助けを求めて山羊男に殺されたくないだろう?」
ウードは困惑した顔で納得し
「ケセマ村には俺はいかねぇぞ?魔物は入れんだろうしな。あそこはどんな場所だ?噂じゃ悪党の掃き溜めだと聞いたが…」
「ウードも入れるぜ?俺が話を通してやる。村はガキはいねぇ。ギャングとシークレットビジネスを営んでる腐れ役人しかいねぇぜ?間違えた…ガキもいたな。商品で子供も女も魔物も猛獣もいるぜ?売れないから老人はいないんだった…」
「クジ、リボバルって野郎は俺達みたいに明日を生きるためのワルでもないだろう?余計だぜ?悪党に等級なんてつけてもクズの差でしかないけどよ…頼るならマシな奴いねぇのかよ?」
****ようこそ!ケセマ村へ
クジとウードは村の門番へ金を払い手続きしていた
そこは牧場を営む村に見えたが人間が運動場を軍隊の訓練のように走らされていた
「クジ?あれはどういう意味だ?なんで走ってる?運動会の練習か?」
「お前は賢いオークだからわかるだろう?体力がない奴隷は売れないから鍛えてるんだよ。養豚場で残飯はあげないし密室に入れている訳でもないのと同じ理由だ。」
クジは情報を集めるため金を払い情報を取り扱う店で色々、聞いていた
ウードは村にサーカスや祭りのように飾りを準備している従業員たちを見つけた
「なんだ?悪党たちが柄でもないパーティでもやるのか?おい、あんた達、仕事の間にすまんがこりゃなんだ?」
飾りをつけていた男がオークを見下したような目で見ながら
「ラグド帝国からエクラル皇女が来られるんだよ。スディッキュ領主様がその時のために歓迎の祭典をするんだよ。ラグド帝国の皇女様だぜ?バケモン?問題起こすなよ?やったらすぐにぶっ殺すからな?」
「おいクジ?なんで隣の国の皇女様がこのドクサレ村に来るんだ?俺がおかしいのか?」
「さっき聞いたけど弟が欲しいらしいぜ?弟と執事ができる奴隷が欲しいとスディッキュに注文していたらしい。それでガキら何人か仕入れて執事仕込んで売る気らしいが祭典に余興がないからオークションでやろうってスディッキュの考えさ。エクラル皇女も頭がおかしいぜ。」
「俺は魔物だが気分が悪くなってきた。オークが人間を食うのは何度も見たが…俺は気持ち悪いから食わなかったがお前らも魔族と大差がねぇな。賢い分、魔族より力任せではなく金で行動するから余計恐ろしいぜ。」
クジは文句言いに来たわけじゃないとウードに怒る
「おいおい?俺がしたわけじゃないから連帯責任にするなよ?お前も神になってノアの箱舟なんかしたいわけじゃないだろう?村の運営している奴らに言えよな?」
その時、「パァン」と銃声が響いた
ウードは怯えて振り向いたらスディッキュ領主と呼ばれていた男がマスケット銃(改良された火縄銃のこと)を試し打ちしていた
「素晴らしい…南の国の最新技術か…魔法ではなく火薬を火打石で叩いて筒の中で爆発させ鉛弾を発射する道具…」
「密輸して買ってみたが素晴らしい…国王に紹介できないのが残念だ。この村で密造して売ってみるか?一丁は分解して解析をしてくれ。」
スディッキュ領主は護衛と一緒に柵の中に入り檻からオスのライオンを眺めている
すると部下の一人が紐を引いて滑車を経由して檻からライオンが解き放たれた
「今度はなんだ?ライオンがいる柵で囲まれた運動場に自分がさっきの道具をもって部下に守られながら構えている…ハンティングのつもりか?」
「おい…あのおっさんはなんでライオンと遊んでる?意味が分からん。ライオンを食いたいのか?」
見物人がウードに教える
「ありゃスディッキュ領主がマスケット銃でアトラクションを考えてだな…観光客に動物園の余りのライオンを引き取って的にする企画を考えて今実演中さ。ライオンは猫と同じで雄も雌と同じ比率でたくさん生まれるのにオスは戦いに強い1頭しか群れを持てない。だから動物園の展示スペースもないから居場所がないのよ。」
「だからスディッキュ領主が有効活用してるのさ。動物園もライオンの厄介払いで大助かりさ。オークはマスケット銃じゃ殺せないから安心していいぜ?喋るオークは珍しいな…ここで暴れるなよ?」
ウードはライオンを憐れむのだった
「冒険者に何もしていなくても余興で殺される俺達、魔物と同じだな。形が違うだけだ。」
ライオンはスディッキュ領主に近づき吠えた瞬間にパァンと眉間を撃たれて倒れた
「お見事です!」
パチパチと拍手がなる中スディッキュ領主は馬に乗り別の場所に移動していった
クジもさすがに気分が悪くなったのか
「早くリボバルの旦那に会いにいくか。深入りしたら俺達もぶっ殺されるぜ。」
****山羊男に会いに行こう
リボバルはケセマ村の大きな建物に居た
そこは牛小屋のように大きな建物で牛の代わりに人間が学校の教室のような部屋に入れられて食事や読み書きや筋肉トレーニングをしていた
まるで刑務所と教育機関が組み合わさった場所だった
「クジくん…久しぶりだね?手紙で私宛に呼んでいたね?保険の話を聞かせてくれ…30万ルオン(日本円で3000万)もくれるのかね?私にとっては3か月、働けばなんてことない金額だが1日の稼ぎでは少しは美味しい。それに君には以前、奴隷を運ぶときに透明化魔法で手伝ってもらったから借りもある。サービスするよ。」
リボバルと呼ばれる男にクジは後ろめたそうに挨拶をした
「旦那…お久しぶりです。実は俺、ピンチでして。フェジェから金を盗んだ時に俺も巻き添えで指名手配ですよ。その前にフェジェを俺がぶっ殺せればよかったんですがあいつは毒に耐えやがって反撃されましてね…逃げる途中でフェジェを追っていた冒険者に顔を見られちまって…」
「指名手配?それならこの村でも底辺の仕事しかないかもしれませんな。足がついた悪党は我々の業界でも扱いが難しい。」
「リボバルの旦那?俺はこの村に住みに来たわけじゃないんですよ。山羊男の傘下に入ろうと思いましてね?最近、魔族を根絶やしにしたり風見族を自分から媚びさせたり短期間で凄まじい活躍っぷりじゃないですか?」
「俺も風見族と同じ立場になろうと思いましてね?風見族も信仰してる神木をへし折った山羊男に鞍替えするぐらいだからきっと人望もあるんでしょう。」
リボバルはクジの話に興味を持ち
「少し、山羊男に情報を集める。その後で判断をする。強者のことは少しでも情報が必要だ。しかし山羊男に人間がすがるなど君も頭のネジが飛んでいるね。君は普通とは違う運命になりそうだ。君には借りを返す意味でしばらくこの村での衣食住の面倒をみよう。保険の話は後で返事をする。」
ウードは冗談だろという表情になり
「おいクジ?この村に泊まるのかよ?気が変になるぜ…」
「1週間くらいは我慢しろよ?俺と漫才をしてる場合でもねぇだろ?ウードは3mも背があるくせに内面は俺よりチビだぜ…」
リボバルはウードに興味を持ち
「知能が高いオークか…困ったら私のところへ来なさい。珍獣が好きな富豪のマニアがいる。売ってあげるから生活には困らないぞ?」
「ノーマルオークの俺が言うのもなんだがあんたたちはアブノーマルだ…バベルの塔って知ってるか?まさにこの村がバベルの塔だ。いつか雷が降る…高い場所ほど雷が落ちるもんだぜ…」
****人類への呪い
クジがリボバルの施設を見ていると檻越しに少年と目が合った
「やべぇ…俺を覚えてるか?忘れててくれたら嬉しいが…」
その少年はかなり嫌なものを見る目でクジをにらむ
「私を売ったのは親でおじさんは運んだだけだからおじさんじゃなくても他の人が私を運んでましたよ…でもおじさんも悪いことしないと生きれないから死んでるのと同じですよね。」
「リメシュ君?だったかな?リメシュ・シューク…お前、俺よりマシだぜ?俺はガキの頃にスラムに捨てらたんだぜ?泥水も飲んだことがない貴族生まれのガキが売られたからって俺を憎むなよ…俺よりいい暮らしで生きれるぜ?」
ウードはあきれ顔で
「おい?どこまでリボバルと関わってた?あんまりやりすぎたら俺もお前を見捨てるぜ?」
「違うぜ…リボバルがシューク家って魔王ノフィスの戦火で領地を失って落ちぶれたからシューク家が売り飛ばして俺がフェジェの手下に潜る前に少し運ぶのに手伝っただけだよ…俺が売り買いしてねぇ…お前もイテミスだっけ?逆らえなかったんだろう?それと同じだよ。」
リメシュはクジに問う
「おじさんは助かってますか?この村に来たってことは足を洗えないまま生きているということですよね?私が売られてシューク家は助かったか教えてもらえますか?貴族で下の弟で下位の者は平民より立場が悪いのはザラですからね。私は特別可哀そうでもありませんよ。」
「あんまり嫌味を言うなよ…好きで盗賊になってねぇぜ。シューク家は後で調べてやるよ?それにお前、隣の国の皇女様が買いに来るって言ってたからその時のためのガキか?執事の服着てるじゃねぇか。訓練中だったか?皇女のショタ趣味に付き合ったほうが盗賊よりマシだぜ。」
「私は魔族の話を噂で聞きましたが人間も山羊男に消されればいいと思います。それで醜い生を続けずに清く生きれた人も天国に行ける。」
ウードはその言葉に不快感を持ち
「坊主、オークは年老いたり傷ついて戦えなくなったら死ぬ前に自分を材料に分裂してオークを増やす…人間や家畜を襲い食らう人間にとって害獣そのものだ。
「だが俺が生まれなければよかったとは思わない。生まれて生きたことは肯定されるべきだ。たとえ全体的に醜悪な歴史だとしても自分のことは自分で肯定できるぞ?自分の人生をよくしたいとは思えるだろ?例え悪い状況でも首は上は向けるんだぜ?」
「魔人は俺達よりずっと強くオークをこき使う側だったが全員死んで良かったって生きてるから言えるんだぜ?天国に期待しても惨めなだけだ。生に諦めているのと大差がない…」
「俺は生き延びて余興でオークを殺した冒険者共に一矢報いてぶっ殺したい気分だ。お前も生き延びてお前を売り買いした奴らをぶっ殺せばいいじゃねぇか…クジもムカつくならぶっ殺せよ…」
「坊主を助けることは俺にはできない。俺がこの村を装った犯罪結社に殺されるし坊主もいい目にはならない。言葉かがけだけだが坊主も俺と同じだ。暗い人生かもだが上を向こうぜ?そしたら天が見えるかもしれねぇ…」
クジは慌てた様子で
「おい?俺を殺すようなことを煽るなよ?俺がオーク狩りからお前を逃がしたのを忘れんなよな…じゃあな坊主。俺は生き延びるぜ。山羊男にこれから会いに行くのよ。お前もまだここにいたなら土産話は聞かせてやるぜ…」
リメシュはクジをぎょろりと見て
「おじさんも僕がいつか運びますよ…叶うなら墓穴がいいですね…いや、スラムに捨てられたといいましたからスラムにおじさんの死体を捨てますよ…生まれた時にスラムに捨てられて死ぬときにスラムに捨てられればおじさんも首尾一貫でいいでしょう?」
「ちょ…まてよ…エクラル皇女は世界でも指の数に入る美女らしいからな…頑張ればリメシュも結婚できるかもだぜ?俺を恨むなよ。心は広くだぜ?それに俺はおじさんじゃねぇ。今年で26だぜ…おいウード、恨まれちまったじゃねぇか…お前のせいだぞ?」
「お前は地獄にもいけねぇな…たまには自分のせいだと思いやがれ、馬鹿野郎。」
リメシュはさらに苦言を漏らす
「奴隷を買いに来るお姫様とはどんな人でしょうね?税金で奴隷を買うなんて…盗賊のおじさん以下という意味でしょうか?おじさんみたいに盗む危険も背負わずお金が入る立場の癖に奴隷を密入国して買いに来るんですから…みんな死ねばいいですよ。でも悪い人は生きたがりますから困りますよね。」
****悪党の哀愁
スディッキュ領主はリボバルとクジたちを呼び出した
「今、私は大変人手が少なくて困っている…ここはラグド帝国と国境が近くエクラル皇女は地下の秘密トンネルを通ってこられる…祭典に間に合わせたいから奴隷の売買を任せているリボバル君の手下も労働してほしい。猫の手ならぬ盗賊とオークの手も借りたいという意味だ」
クジは何ですか?と伺い
「…君は豚の世話をしてもらう…暇だろう?嫌ならここで処刑だ…マスケット銃の的かライオンと戦う剣闘士の役をしてもらう…豚や牛は祭典で振る舞う肉料理にする…ここも村だから家畜くらいはいる。」
「待ってくださいよ?売る前の奴隷にさせればいいでしょう?豚の世話って…」
リボバルは仕事の期間を聞く
「祭典の準備まででお願いします。彼は私の客です。私も部下を貸しますから死なせないでください。クジ君、私が君の件を調べ終わるまでスディッキュ領主のために働きなさい。君の目的の前に死にたくないだろう?」
「最悪だぜ…家畜の世話かよ…ウードの言った通り保険なんかしないで一か八か試すべきだったか?」
ウードはスディッキュ領主に質問する
「俺はオークで人間の事情はよく知らんがローディグ王国の奴隷制度は確か先代の王の時代で終わりだっただろう?領主さんは王国の使徒でこんな真似をなんでする?あんたは外道だから俺がこんなこと聞いても怒るなよ?」
スディッキュ領主はフンと鼻をならし
「私はルトプッシ家で長年働いてきたが全く上に行けない。世の中は蟻地獄のようなピラミッドだ。上にあがれると人参ぶら下げて向上心を煽って馬車馬に利用するのが上層に住んでいる連中だ。」
「だから私とそいつらは同じなのだよ。連中が居座って真面目な連中を食い物にするなら私も好きにするということだ。奴らは上納金を我々に要求するくせに私たちにはねぎらいも無く偉そうに命令するだけだ。それに奴隷制度で儲けていた連中は法律では納得しないよ。」
「それは社会から健康に悪いのに酒やたばこが無くならないのと同じだ。オークも魔人に使い捨ての駒にされていたならわかるはずだ。私は過疎になって終わりかけた村を奴隷制が残っているラグド帝国と提携して闇市にして生き返らせた。」
「どの世界にもイレギュラーはいる。君が賢いオークであるように家出して行方不明になった本家のルトプッシ家の恥さらし…セイル・ルトプッシのバカ娘がいる。私とどちらが馬鹿だと思うかね?私もルトプッシの名を持つ者として尽くしたが本家も馬鹿ばかりだ。所詮長続きした組織は腐る運命だよ。」
ウードは魔人について考えが浮かび
「あんたたちは新しい魔人たちかもな。賢さは魔人以上だ。魔王のノフィス様以外の魔人は強くて馬鹿ばかりだったぜ。だがあんた達は魔人と違って賢くて暴力より数字で行動する。」
「あんたたち人間が本物の怪物だぜ?俺が雑魚なのも納得だぜ。MVPだよ。」
スディッキュ領主は笑い飛ばし
「ならば魔王にでもなるか?私なら倒されないために隠れるがね。勝てば暴君でも強いと歴史に名を遺す。過去に大きな帝国や征服者が虐殺してもその子孫たちから英雄と言われるようにな…」
「昔話を聞かせようか?ローディグ王国は優れた印刷技術で過去に戦争していたフレムト共和国の偽札を大量にその国にばらまき経済破壊を行いつつ農地を攻撃して大量の餓死者を出した。」
「しかしローディグ王国の国民はフレムト共和国の領土を奪い賠償金を押し付けた戦勝記念日に大盛況のお祭りまでした。国民など他の国の子供が大勢死んでもスポーツや戦争の勝利で笑うものだよ。」
「所詮、大衆とは受益者に甘んじて勝ち馬に乗る存在だよ。かつて奴隷制度があった時代には国民達もそれが当然だと言っていたはずだ。奴隷の人種は神が自分達のために作ったという教会まであったそうだ。人間など空気に合わせる気分屋ばかりだ。君達の知能がないオークと変わらないよ。庶民様共は。」
「だから我々がいいように利用しても奴らは何も感じないよ。政治の話題を始めたと思ったら有名人の浮気の話題にすぐ食いつく低知能の猿の群れだよ。愚劣で自覚が無い愚民だ。彼らにはお似合いの称号だよ。」
ウードは苦言を言って話を終わりにした
「魔王に限らんが暴君やその家族のその後は大体の場合は悲惨だぜ?俺もワルだが強い魔人ですら皆殺しになるのがこの時代だ」。」
「俺はクジと同じ場所で豚の世話をするよ。あんたはライオンでも撃って遊んでるといいぜ。ライオンに噛みつかれないように気を付けろよ?あんたはわざと恨みを買う側だ。」
スディッキュ領主も最後に持論をウードに高説した
「君はその盗賊崩れより賢そうだな。進んで豚の世話をするとは献身的なオークだ。君みたいなオークがたくさんなら人間も労働不足にならずに済むのにな。フフフ」
「私はライオンを撃つ側だ。庶民共もライオンよりマスケット銃がすごいと感心するさ。所詮敗者の痛みより勝利や力に関心を寄せるのが愚民どもだよ。動物園でライオンは楽しそうに見るが余りのライオンがいるなんて考えないのがお客様だ。私は殺処分する動物園よりはライオンを役立てている。」
クジは不満げにスディッキュ領主に異見する
「それと俺が豚の世話をするのと何の関係があるんですか?ケセマ村に入る時に少なからず金は払ったんですよ?観光客にあんまりでしょう?」
「運命は信じるかね?君は盗賊に堕ちてこの村に来た。つまり私に利用されるために生まれたということだ。奴隷たちも商品になるための運命で辛い境遇で生まれてここに来たのだよ。そう言わざる得ないほどこの世に不幸な境遇が満ちていると思わんかね?」
「そして神は人間を間違いなく作っていない。もし人間を作ったならこんなに間抜けで欲張りで無知で衝動的な馬鹿を多数派になるように作るわけがない。それに比べてこの村は合理的に作ってあるだろう?私は神より作るのがうまいかもな。
「馬は馬らしく人間は人間らしくだ。神罰なんて弱者の負け惜しみだよ。最初から神罰を悪党に当てれば犠牲者などいないはずだ。」
「それに神罰が当たっても犠牲者が救われるわけじゃないから喜ぶのは部外者共だ。因果応報も所詮は間抜けな大衆の娯楽だよ。勧善懲悪などチープなのに何度も大衆には好まれるのは奴らが本物の馬鹿で想像力が無いからだ。」
「私は馬に乗る側になるよ。私まで馬鹿になると乗っている馬まで死んでしまうからね。君らも自分の立場を受け入れて私のために役に立ちなさい。」
クジはケセマ村に来たことを後悔したのだった
「リボバルの旦那?早く調査を終わらせてくださいよ?まったくこんな糞野郎にこき使われて泣けてくるぜ…直接、シルバナに行けばよかった…」
「まったくだぜ…俺もオークでお前は盗賊なんだから保険があろうが、どうせいつの日かぶっ殺されるぜ。山羊男に会うくらいは腹を括れってんだ、チキン野郎…俺もクジに巻き添えだからこの前のオークの集落から逃がしてもらった借りはこれでチャラだぞ?」




