第43話:山羊男VS正義の味方
今回の登場人物
山羊男:不満の化身で神でも悪魔でもない存在。救いより見捨てられる者が多い世界に現れやすいらしく祈りより不満が多い意味で神でも勝てません。
バロット:山羊男に付き添う風見族の男。鳥型亜人の風見族は過去に山羊男に攻撃してしまい大勢、反撃で死にましたが山羊男の公平さを求める性格に目を付け協力関係になろうと腰巾着になりました。ミミズクに似た特徴があります。
シャト:正義感溢れるなろう系そのものの正義の氷系能力者
ロジ・ジョットがセアフスから旅だった少し後
その頃、森の街のシルバナでは
山羊男のキャベツは引っ越しを考えていた
風見族が住む森の街シルバナと鱗清族が住むシルバナ領内の大川の間の位置に移動をする計画である
「シルバナを出る訳ではないがこの族長の館とお別れの準備を始めるか…風見族はシルバナに俺が残れと引き止めたが族長の屋敷にいると反対派の風見族が不満を募らせるからな…」
バロットがその件ですでに手を打っていると話す
「すいません。勝手ですがすでにその話を聞いた時から準備をしていましたー。呪詛の木をあなたが作成した後からアルガナ党というあなたとお付き合いするための支持者の団体を結成しました。」
「その件で鱗清族にあなたに頼るために来たと言って大川に来ましたから小さな家をシルバナの売れない材木を貰って党員と一緒に建てております。大川とシルバナの間にと希望でしたのでそれに沿う場所にしました。」
「そこはアルガナ村になる予定であなたの引っ越し先になると思いすでに作業中ですー。もちろん洪水が来ない場所に計算済みです。我々もあなたの近くに住む予定ですがよろしいでしょうかー?」
「シルバナとは違う掟だとシルバナの皆さんにあなたが宣言してくれれば助かります。ちなみにアルガナ党員には掟はありますがあなたがすることは全て合法なので我々の掟は気にしなくてもいいですー。呪詛の実の売り上げが良ければどんどん家を大きくする予定です。」
キャベツはバロットの手筈の良さに不信がりながらも
「…手際がいいな…だが俺にメリットをもたらすなら否定をする意味も無い…俺もお前らの態度に合わせるだけだ…俺も人畜実験の協力の見返りにお前らに手を貸さないといけないからな…」
「収穫した呪詛の実を試供品として提供したところ注文も入り、出だし良好ですー。しかし、問題が発生しまして…カケマという裏切り者が初期に実った呪詛の実を3000粒以上は盗んで逃走しました。我々が対処するつもりですが報告しておきます。」
「呪詛の実の関連で面会の希望者がおられます。フレムト共和国のモデファルさんという呪詛の実の中継をしてくださる貿易商が今度、あなたに会いたいそうです。すでに呪詛の実の旨味を嗅ぎつけた連中に絡まれて困っているそうです。今後は外国勢力もまとわりつくと危惧しています。」
「言いにくいですが呪詛の木を増やしてくださりますか?農家の方たちがコーヒー豆の木より呪詛の木の方がいいというお方が増えています。よろしければ管理の都合も考えてアルガナ村の近くに呪詛の木を植えたいので、すでにコーヒー豆の木を運んでおります…注文と出荷の数が間に合いません…」
キャベツは首をかしげて
「呪詛の実の管理はお前らがやれ…裏切り者は俺に迷惑にならないならどうでもいいが俺の邪魔になるなら俺が手を打つ…お前らがどうにかしたいなら好きにしろ…」
「呪詛の木はアルガナ村とやらに俺の家ができたなら見返りに改造してやる…いや、人間を捕まえておく施設を先に優先して立ててくれ…俺の家は後でいい…人畜実験を優先しなければならない…」
「モデファルとか言う奴は武力が無いから困っているのだな?お前らの仲間で血の気が多い奴のリストを作って俺に見せろ…そいつらに戦闘訓練をさせて呪詛の実も好きなだけ与えてモデファルの部下につけてやる案はどうだ?…個人ごとに呪詛の実の摂取した数を細かく記録を取った方が良いかもな…」
バロットは自分の考えをその案に意見をする
「そうですねー。自制心が無い奴を送るとまたカケマみたいに裏切り者がでますから監視をしあうように人選をしないとけませんね。我々も暴走した裏切り者のために強い処刑部隊をつくらないと…」
「活動資金がたまったなら、いよいよ人畜実験を開始する…人間どもが存続する資格があるかどうか家畜の俺が見極めてやる…自然界の生物は人間に限らず残酷だ…人類が絶滅しても似たり寄ったりが別の支配種族になるなら滅ぼす意味も無い…」
その会話の最中に外で騒ぎ声が起き始めた
「パキパキ」そう凍り付くような音が鳴り響いた
「…またか…魔人は根絶やしにしたのにシルバナを攻撃する奴らがまだいるのか?」
****正義のヒーローと山羊男
キャベツが外へ出ると氷の柱が何本も地面から立っていた
シルバナには雪は降らないのに樹氷になっている木もあった
「おい…でてきやがれ化け物…俺が相手だ…」
その男はいかにも氷の魔法使いというような格好だった
氷が先端に浮かんだ杖を握りしめていた
キャベツは顔をしかめて文句を言う
「…相手とはなんだ?俺になんの用だ…」
「俺の名はシャト…正義のために貴様を倒しに来た。」
風見族達は口を開けて呆れた顔である
「おい?なんだ、あいつは?今更かよ…」
「なんで追い返さない?門番がいただろう?」
「面白半分だよ…キャベツと会わせたらどうなるか悪ふざけで通したらしいぜ?」
キャベツはシャトに質問をする
「正義とは自分が正当だと主張する人間の自己主張のことか?それを俺に言って何になる?俺は家畜で人間の価値観に合わせる必要がないぞ?なぜ俺に正義を言う?」
シャトは英雄について語る
「ヒーローはいつも遅れてくるのさ…正義というのはな、貴様のように力で支配する存在をぶっ飛ばすって意味だ。」
キャベツはシャトに説明する
「俺は以前、多数決で俺が残るか出ていくか風見族に決めて貰った…もともと風見族に襲われたから制圧したが一つの理由で延々と居座ると気分が悪くなったからだ…それで出ていこうとしたら引き止められたからそうした。だから俺は支配も無理強いもしていない…」
シャトはそれに異を唱える
「力を見せつけたら誰でも服従させれるさ…魔王を倒した後に魔人を大勢殺したんだってな…悪くない魔人もいたはずなのに…」
キャベツは苛立つがまだ手出しをしていないからと見逃し
「…お前は何をしていた?イテミスだったか…奴は十分人間世界を滅ぼす力と支配的な性格でお前らにも危険だったはずだ…魔人を消したのは再発防止だ。文句があるならお前が魔王を消して魔人を支配して大人しくさせてればよかっただろう?俺が魔王に襲われていた間は何をしていた?」
見ていた風見族と鱗清族は笑い始めた
「…俺達、別に困ってねぇよ?お兄さん。勝負はやめた方がいいぞ?死体を片付けるのは俺達だぜ?」
シャトは哀れみを浮かべた目になり
「貴様、風見族や鱗清族の魂を洗脳なり支配なりしたのか?この悪魔め…」
キャベツは歯茎をむき出しにして怒り始めた…
「…魂とは思考のことか?なら脳と呼べ…ややこしい。正義やら悪魔やら俺のわからない話をするな…お前の話は抽象的で内容の説明になっていない。」
「正義と悪について教えろ…確かに俺はお前らが使う魔力とやらを超えた力があるが今こうして話しているように自分から襲うためにはほぼ使わない…どこが悪魔なんだ…」
シャトは正義について話し始めた
「正義…それは弱い側を救うことでお前みたいに大勢殺して威張る奴を許さない気持ちだ…化け物にはわからないだろう?」
キャベツはシャトに共感をみせる
「それはわかる。俺自身も飼い主から暴力を受けて存在を憂さ晴らしの道具にされた。だから弱い立場の苦しみはある程度わかるつもりだ。ついでに飼い主も許さない気持ちもわかる。そして俺に殺意と暴力を向けた者はすべて抹殺するということだ…お前はどうだ?」
「俺は弱い立場に生まれた…誰も助けなかったが弱い立場の者を助けるのが正義なら多くの者はそれをしていないか興味がないということだ…つまり、お前に弱者を救う力はおそらくない…」
シャトはだんだん話疲れた様子になり
「話していて、わけがわからん奴だ…お前は征服者なんだろう?」
「それは最初に話しただろう?気になるならシルバナの連中に尋ねてみろ…それに俺は迷惑にならないように引っ越す…執拗に追いかけたら俺が困ることはわかるな?人間同士でもマナーはあるはずだ…俺にもマナーを守ってほしい…」
シャトは自分のしていたことを明かした
「俺はラグド帝国でデスペラード(無法者)を捕まえる仕事をしていた…」
「フリーの賞金稼ぎさ…賞金は弱者を救うためにも使う…これが正義だ」
「俺は水の魔法を扱い、水から氷へと自在にできる異能がある…このアイス・スクリームと呼ぶ異能を持つ俺には天命がある。それは力がない側を救うことだ。」
「氷を扱うのは水の魔法の範疇だがアイス・スクリームは魔法を超えた氷や冷水の扱いができるぜ…」
キャベツはそのサイクルに疑問をいれる
「お前のやり方は獲物を捕まえるやり方だ。賞金首がいないとお前の存在は成り立たない。賞金首は社会にとっての脅威だが治安を守りたいなら賞金稼ぎではなく警察組織になればいい。報酬のためにしているなら金のためと言えば良い…」
「魚釣りをしても魚のためでも環境のためでもなく自分のためだ…賞金稼ぎでなぜ弱者の救済になる?金を寄付しているのか?犯罪者を捕まえて事件が減っているというのなら筋はあるが俺を倒しても犯罪事件の減少にはならないはずだ…お前は何がしたい?名誉がほしいのか?」
「それとも俺は賞金首か?ラグド帝国が俺に賞金をかけているのか?シルバナは風見族の自治区だから風見族のルールがある…せめてローディグ王国の言い分できたらどうだ?シルバナが属しているのはローディグ王国だったはずだ。」
シャトは言葉が詰まってしまい
「…気分が悪くなっちまった…正式に大義が…いや世界を守るための理由ができたらまた来るぜ…逃げるなよ?」
「帰るのか?お前から来て帰るなら逃げたのはお前だ…そして今度きたらお前の国を調べに行くぞ?賞金を懸けていたら取り下げるまで攻撃を繰り返す…」
「…人間の正義についてなんとなくわかった…自分の行動の安心感や快感を正当化する言葉らしい…そして自己主張が強い者や長話の者は総じて話の内容が無い…」
「相手を言いくるめようとして言葉遊びを相手に浴びせる迷惑な存在だ…それはガムを噛んで相手に吐きつける行為と変わらないはずだ…」
シャトは風見族と鱗清族にくすくすと笑われながら立ち去っていった…
「なんで化け物に言われてこんなにモヤモヤして俺の気分が悪いんだ?化け物は悪者で俺達を苦しめる側だよな?それでやっつけれずに言いくるめられたら何もスッキリしないだろ?あいつは何のためにいるんだ?俺達がやっつけるために化け物はいるはずだ…」




