第42話:龍人の存在とは
ロジ・ジョットがビジ村に向かう道中でアシッドドレイクと呼ばれる危険な魔物の群れを駆除したらその管理を行う大きな魔物の毒沼主の怒りを買い絶体絶命だった
その時、魔王ノフィスとの戦いにも参加しこの世界でパリウスと呼ばれる騎士とコンビなら世界一と呼ばれる片割れの龍人のロジャノがかけつけたのだった
「この、ロジャノは戦いには容赦はせん。静止を拒んだ以上は恨むなよ?」
「光魔法:罪照!」
ロジャノは羽から窓から太陽光が差し込むような光を毒沼主に照射した
毒沼主の体は表面がジュウジュウと魚を焼くような音を出しながら火傷のような傷が広がる
まるで日焼けをしすぎたようだった
「痛かろう?お主の魔力が高いほどその罪照はそれを糧に光と熱を発してしてお前を焼く…」
毒沼主は呆れたように手で顔をかきながら侮蔑の態度を見せる
「貴様ら…どこまでわしを見下せば気がすむのだ?このくらいで死ぬようじゃ魔龍との戦争もできんわ…貴様は弱者しか相手にしなかったのか?」
「呪魔法:怨敵追球…わしに攻撃をしたものを追う呪いの魔法玉だ…さらにその魔法玉の性質はわしの強酸の魔法に調整してある…大人しく死ねぃ…」
毒沼主の背中はマカロニのような短い管が大量に生えて来てバレーボールサイズの呪いの魔法玉がシャボン玉のように大量生産されてロジャノに飛んでいくのだった
「ポポポポ」と可愛らしい音だが色汚い茶色と紫の中間の色の呪いの魔法玉が飛んでいく…
ロジャノは高度を上げてシャボン玉を振り切ろうとするが呪いの魔法玉の速度は遅いがどこまでもしつこく消えず追い続ける
「…造龍でここまでの力を持つのは初めて見たな…わしも本気でやるほかあるまい…」
「しかし、造龍になぜ人格がある?兵器に性格など不要なはずだ…」
ロジャノは口から薄い光を扇が広げるように照らして呪いの魔法玉を消していく
「光魔法:清光浄化…魔法の反応を弱い波長の光魔法で乱し不安定にして消えるのを狙う魔法…」
降りてこないロジャノに毒沼主は苛立ちを見せ始めた
「呪魔龍様は気さくで柔軟なお方だ…わしのような兵を扱うような管理用ユニットは自分と同じ思考と性格の挙動をするインターフェースが搭載されている…それにより呪魔龍様が不在でも望む作戦や行動ができる…」
「わしに触るのが怖いのか?空から撃つしか能がないのか?まるで空から糞を垂らす鳩だな…」
「今日は特別だ…風呪魔法:忌音鐘を聞かせてやる…」
毒沼主が歯をこすり合わせるとシャリシャリとガラスをするような音が響き渡り飛んでいる鳥が落ち始めた
ロジャノは立ち眩みに襲われ高度を落としていく
「ぬぅ…聞いた奴の自律神経を乱す呪いの魔法か…」
イグナはいくつもの系統の属性魔法と呪いの合わせ技に驚いている
「属性魔法を確認しただけで水と土と風を呪魔法を状況に応じて使ってる…魔人以上よ。あいつは…世界一の魔法使いで全ての系統の魔法を扱えた魔王ノフィスくらいしかあんな風にはできない…」
ロジャノが十分高度を落としたあたりで毒沼主は攻勢に出る
口を開き舌を10本ほどロープのように変形させカメレオンのように射出してロジャノに巻き付けた
「捕まえたわ…食ってやろうか?わしは光魔法を使えんからな…ちょうどよかった…わしは食らった魔法を体内に搭載した生体魔導炉で培養できる…貴様を食らえば強い光魔法も使える…」
「だが、舐めくさった態度には焼きをいれんとな?わしの脳内の毒龍兵のパトロールの記録でさっき確認したが40年前にはすでに貴様は龍人になっておるな?貴様はいくつだ?」
「苦しんで死ね…炎呪魔法:怨恨火炎…ナパームのようにべったりと絡みついた炎が長時間、相手を燃やす炎の呪い…」
「ゴォオオオオ」
毒沼主の舌に油がしみ込んだロープが燃えるように炎がロジャノに進みロ、ジャノに届き火だるまになるのだった
「貴様、わしの年を言ったな?しかも人前で…許さん…許さぁあん!」
ロジャノは光の粒を身体から放出するように炎を払った
さらに毒沼主の舌を爪で切り裂いた…その爪は異様に伸びていた
「パシュッ」
「魔力を体外へと放出することで敵の魔法を防いだり排出する魔法使いの基本技の“魔装“に光魔法を加えた天祐…それは敵の魔法を自分の光魔法に変質させ中和や防護を狙う…それで炎は振り払った…次は攻撃に入る」
「光魔法:光爪!光の魔法で焼き切る爪だ…料理してやる!」
ロジャノは2本足で立ち熊のような姿勢で光爪で武装した両手を振り回す
まるで武器のベアークローを長くしたような様子で毒沼主の顔を切りつける
「ぐあ?調子に乗るなよ?水呪魔法:溶霧…全てを溶解させる毒液の霧を相手に吹き付ける…消えろ…」
「ブシュウゥゥゥ」
モクモクと毒の霧をロジャノにスプレーのように吹きつけるがロジャノは光の膜で体を覆って防いでいる
「底が見えたわ…貴様は物を壊すだけだ…毒沼主よ…長生きは終わりだ。呪魔龍の元へ行け…」
ロジャノは祈るように手を合わせると光の爪が一本の長い剣のように伸び毒沼主の体長を超えてしまった
「天から降りそそぎ光、我が手の中に収めて…」
「光大魔法:天地両断!」
ロジャは合わせた手を振り下ろし毒沼主を左右に両断してしまうのだった
「ジュン!」
焼き切るような音と共に毒沼主は縦にザックリと切り開かれた
「がぁあ!!この毒沼主…確かに長く生きすぎた…しかし…貴様ら…わしが言うのもなんだが敗北よりみじめな勝利を重ねて最後は悲惨な末路を遂げると予言してやる…」
「わしが呪うまでもない…人間は絶対に幸せにはならない…生まれた時からすでに不幸に呪われている…奪う側に甘んじて堕ちながら醜く腐り無様な最期を遂げるその時まで生き延びろ…それが貴様らにはお似合いだ…」
「見下し騙し殺し奪い…軽率で無知で思考が浅い…それが貴様らの未来永劫変わらぬ宿命だ…いや、違うな…遠からず滅ぶ…」
毒沼主は急速に肉体が崩壊し肉が崩れ落ち骨が残った…死んだ場所は悪臭を放つ毒の池になるのだった…
ロジャノは疲れた様子で龍の変身を解き人間の姿に縮んでいき若い女性の姿になった
「…古の怪物か…運悪くでくわしたか?わしが観測で来なければビジ村が壊滅していただろうな…」
「魔王ノフィスを倒した時に一緒にいたイグナ達も見えたな?ロジ・ジョットはどこにおる?さっきの造龍と戦った時に見失ったわ…」
****失態を演じた勇者たち
ロジはメイリアの近くにいて巻き付いた毒沼主の切れた舌を外していた
「すいません…メイリアさん。何もできませんでした…」
メイリアは横腹を押さえて切り傷をティアニスに治療してもらっている
「すまない、やはり死にたくないものだ…1度死んだから臆病になったかもな…」
ティアニスはロジに腹を立てている
「二度と、洞窟を攻撃しないでくださいよ?隠れているのが何かわからないと無関係な人が死にますよ?」
そんな風に言わないでというような表情で
「熊を退治にいったら怪獣が出るって想像できないですよ…今後は気を付けますよ…」
そうロジが言うとティアニスが毒沼主のように怒りを見せるのだった…
「ロジさん。一緒に毒沼主の出て来た洞窟にいきましょうか?私も来ますよ。」
「すいません!…もう気を付けますから!…マイ・ルールブックももう少しで戻りますね…ロジャノさんが遠くらかでも見える凄い魔法であの怪獣をぶった切りましたよ…すごいですね。ノフィスの時はどうだったんだろう?先輩いらなかったかもですね…」
イグナは流石に頭に来たらしく
「アシッドドレイクの駆除であの化け物が出たのは確かに想像できない…しかし、メイリアを助けに行ったのはどうなの?メイリアを助けに行って私たちまで死ぬところだったのよ?」
「そうですけど…メイリアさんがあの怪獣に殺されるなんて黙って見てられませんよ…金縛りみたいな相手の制限の技は今後は控えますよ…魔力量が僕より高い場合は魔装とかではじかれる可能性が露見しましたからね…」
ロジの気弱そうな返事にメイリアが一緒に謝る
「これ以上、謝らせても仕方ないだろう…私が足手まといならここで去る…ロジ、今度こんな状況になっても助けにきてはダメだぞ。芋づる式に仲間が死ぬのは避けないといけない。」
一同が話しているとロジャノが歩いてきた
「お主がロジ・ジョットか。わしとはほぼ初対面だが今回、お主がA級の魔物を倒せる実力があるかの観測役として国王陛下から頼まれてきた。しかし、空からアシッドドレイクの群れが雷で落ちるのを遠くから見てあそこだと思って進んでいた直後だったな…」
パリウスと並び世界一の戦士と称させるロジャノがやって来てロジは感激したらしく
「ありがとうございます。とんでもない怪獣が出て僕も完全に油断してました…今回は僕もメイリアさんもビジ村も助かりました。僕はロジ・ジョットと言いますけどロジの名前はあなたの名前にあやかってつけられましてね…僕が生まれる前からの伝説が目の前に来てくださるなんて…」
ロジャノは不機嫌そうに目つきが悪くなり
「おい?…年に関係するような話はするな…人が気にしていることをわざわざ言うのでないぞ?」
「す、すいません…」
(龍人って噂では老いないって聞いたけど気にするんですね…)
「話は変わるがイテミスはさっきの毒沼主より強いはずだ…情報ではイテミスは山羊男に殺されたらしい…魔人で一番強く、風魔龍の力まで持つ男でわしの義理の兄の仇だった。そんな調子で山羊男に戦えるのか?ロジ・ジョットとやら」
ロジは不安げな表情で申し訳なさそうに
「確かに、今回は怪獣からもボロクソに言われて僕もダサかったですけど…これから経験積んで山羊男倒せるように技量も高めますよ…順序がおかしいですよね?山羊男が見た目的に雑魚なのに怪獣が大ボスじゃなくて前座って…怪獣がラスボスでも違和感なかったですよ…」
「怪獣の癖に偉く、説教や論理的なことを言ってましたね?怪獣が相手を論破してもシュールにしかならないですよ…」
イグナは深く感謝を伝える
「ロジャノ様、深く感謝をもう上げます。我々も助かりました…」
ロジャノはかしこまるなと首をふり
「あまり、高貴な者を相手にする話し方をされても会話がしづらいわ。自然に話せ。これからお主達を観測して国王陛下に会う資格があるか確かめるからな。今回みたいに手を貸すのは無いと思え?」
「はい!今度は同じ間違いはしませんよ…でもビジ村にこのことばれたら怒られるかな?怪獣を怒らせて巻き添えになりかけたって…言った方がいいのかな?ミスを黙ってたら勇者らしくないし…」
ティアニスが怒りに顔を歪ませて
「村人とトラブルになるでしょう?これ以上、面倒にするなら殴りますよ?」
「す、すいません!ああ、スタート悪いですね…ティアニスさん、僕を怖がらせないでくださいよ…」
ロジ達が毒沼主の池を確認もかねて通り過ぎた時にそれは起こった
「くさいっすね…怪獣が溶けて死んだ場所が毒の沼に変わってしまったんですか?」
毒の沼から毒沼主の目玉が浮かび毒沼の汚泥と共にロジに飛び掛かったのだ
「…道連れだ…小僧…貴様だけは許さん…呪魔法:怨骨腐肉…自分が最も恨む存在を自分の死体に攻撃させる道連れ魔法…わしの腐肉に溺れて腐れ死ね…死ねぇえええええ!」
「ビチャア」ヘドロのような肉塊が勢いよく飛び掛かるが…
ロジはカタム領主から貰った水心の盾を使い水の薄い膜の結界を張った
「パシャァア!」
「た…助かった…ちゃんと水の魔法の結界が盾から発動した…僕をボールで包んだように水の膜が覆ってる…」
汚泥は水の結界に阻まれ洗い流されるように地面に落ちてしまった
「…おのれ…運にはわしも勝てんのう…いつかお前の運が仇になるか尽きるのをわしは祈ろう…」
毒沼主の眼は悔しそうに涙を流すように崩れて溶けていった…




