第33話:山羊男の残留・離脱の多数決
登場人物
山羊男:不満の化身で対抗能力があり敵の攻撃や防御に対して能力を自己生成して蓄積します。以前、風見族に襲われて罰としてシルバナに住み着いてます
ピー太郎:オカメインコの風見族の青年
ラルエグ:鷲の風見族の青年
バロット:山羊男にすり寄るミミズクの特徴がある風見族
風見族とは鳥型亜人のこと。風の魔法を扱います。
シュウノとロジ達がオーク狩りを行っていたその頃
森の街のシルバナでは
山羊男のキャベツは森にある風見族の街のシルバナに戻ると風見族を全員集めるように指示を出した
風見族が緊張感を募らせキャベツが台の上に上がり衝撃の発言を行う
風の魔法で声が大きくなる木のリングがついた棒に向かって山羊男が思いを伝える
「以前、お前らに襲われて反撃としてお前たちの戦士と族長を殺したがロックオーク達も俺を襲い同様に罰を与えた。」
「襲った連中を殺し降参した者は許す条件で一時的に従わせた者が10名いた。」
「だがそいつらは俺が魔王に石を投げろと言ったせいで魔王に殺された」
「死ぬのは罰ではなかったのでこれは俺の責任だ…そこで俺はシルバナを離脱する。お前らには襲われたが一つの理由でずっと相手に責任を問うのは公平ではないと判断した。」
「俺としては人間や亜人の観察に協力してほしかったがお前達がその過程で傷つき死ぬと俺のせいになる…お前たちの罰は今日で終わりにする」
「今まで自分から頼みを聞いた者にはすまなかった。その者が命令で死ぬとまたもどかしいからな…それに他人に指図は正直、好きじゃない…さらばだ」
すると焦った様子でバロットが
「待ってくださいよー困りますよー、神木を折られたら隣の国のラグド帝国が攻めてきますよー」
「隣の国は昔から植民地を広げるのを肯定して、この森の土地を狙ってる人間を中心とした帝国があるんですー。ここを押さえればローディグ王国を攻撃できる中継地に使えるからですー。」
「かなり昔に攻めて来た彼らを撃退しましたが、神木が魔人と共に消えた今、ボク達は戦えませーん。魔王ノフィスが活動してた頃は攻められてラグド帝国も痛手を負っておとなしかったですが今後はわかりませーん。」
キャベツが不思議がり
「風見族は俺の事が嫌いだろう?お前たちの戦士を反撃で大勢殺したからな…神木もへし折ったから憎いのではないか?お前たちが先に襲ったせいだが…」
ラルエグはついに怒り
「勝手すぎる野郎だ!自分の理屈で大勢殺して好きな時に出ていくなんて結局お前も魔王か通り魔じゃねぇか!」
「お前にとって他人の命より筋が通った理由が重要なんだろう?」
風見族の他の者がキャベツに下手な言葉遣いをするなとラルエグを静止するが山羊男は…
「どうやら、風見族からはそう思われているらしい…だが、もしお前が俺だったらどうしていた?」
「俺から先にしてないのに襲ってきたやつを殺したことは咎められるのか?」
「理由があるだけでは納得しない者がいるいということか…」
山羊男は悪態をつかれてもまるで怒らない
どうやら攻撃をされなければ悪口や罵声や不機嫌を理由にしないらしい
「まともな理由が重要だ…それがなければ獣以下で無価値で存在する意味がない…」
「筋が通った理由が無ければ戦いはただの暴漢だ…それは人間やお前たちが先にしたからであり俺の責任ではない。お前たちが襲われたら抵抗せず相手の都合で死ぬのか?…」
「…俺が出て行って困る者がいるのなら…それではこうしよう。多数決で俺が出ていくか残るか明日まで決めるんだな…」
「残る選択をした場合でも、これからは命令しない…」
するとピー太郎が紺色の半ズボンをたくさん買ってきて戻ってきた
「すいません…戻りました…監視を頼まれたメイリア様を逃がしてしまいました…」
「お詫びにはなりませんが頼まれていた半ズボンを買ってきました…」
すると見たくないものを風見族は見てしまった…
山羊男が口を歯茎と上下に歯が生えた様子がわかる半開きにして喜ぶ顔を初めて無言で見せたのだった…
笑顔には見えないが喜んでるようには見えて不気味すぎる表情だった…
「ありがとう…と言えばいいのか?礼とはこういう意味か?」
「逃げた女はもういい…生き返ったのがわかればそれでいい…」
ピー太郎は背筋が凍るような恐怖に包まれた
「あ、あの、その、何の集会ですか?これは?」
オカメインコの頭の毛を不安そうにペタっと倒しながらピー太郎が聞くと
「俺が魔王と魔族を絶滅させた…その前に俺を襲った魔物達がいて俺が罰として魔王に石を投げるよう命令した魔物が意図せず10名死んだ。」
「その時の罰の内容に死ぬのは含まれていないから俺のせいでお前たちも同様に死んだら胸がつっかえる気分になる…」
「だからお前たちの多数決で俺が残るか去るか決めてもらう話だ…」
「俺は過去に支配者に苦しめられたから支配者などなりたくない。だがお前たちに罰として何度か命令しているから矛盾した立場だと魔王との戦いで気づいた…」
(こいつ…なんなんだ?独裁者になるつもりだと思ってたが…全くわからん。出ていくなら嬉しいが多数決って化け物が他人の意志を気にし始めたのか?)
(絶滅って魔人たちを皆殺しにしたのか?嘘だろ?…そんな奴が多数決で他人の意志を気にするって頭がおかしいのか?)
「また明日、同じ時間にここに来る…草原で草を食べてくるから何かあったら呼べ…」
そう言って歩いて山羊男は森の中へ消えていった
ラルエグは仲間から怒鳴られていた
「あいつは風魔龍の力を得たイテミスを殺したんだぞ?お前が舐めた口を聞いてキャベツがキレて暴走し、みんなが殺されたら責任とれるのか?」
「うるせぇ!悪口でキレなかったからあいつの性格の把握にはなっただろうが!あいつの機嫌を取って生きる気か?」
ラルエグは鷲が威嚇するように羽毛を逆立てる中、バロットが会話に入る
「みんなー聞いてー?多数決だったよね?僕たちシルバナの風見族はローディグ王国に属している。首都のレセプトのエリクトピ国王が僕たちを助けると思う?」
「山羊男が占拠したのにお金すら恵んでくれなかったんだよー?神木が魔人に盗まれるのを阻止するのに人間の兵も寄越してくれないし山羊男が怖くて人間はボク達を見捨てたんだよー」
「それにイテミスが神木盗んだせいで世界が魔族の物になりかけたんだよー?ローディグ王国は危機感がまるでない。山羊男がイテミスを殺してないと今頃、ボク達は奴隷か全員やられてたかもねー」
「だから山羊男にしばらくいて貰ってラグド帝国に手を出させて滅ぶのを煽った方がいいと思うんだ。魔人みたいに…どう?」
ラルエグは正気じゃないと吐き捨て
「俺は近くで魔族への殲滅を見たがキャベツは敵なら女子供も攻撃する。敵勢力と判断した者は皆殺しだ。それを正当な理由とやらがあれば平気らしい…あいつは理解を超えた怪物だ。誰もあいつを利用できない…お前は大勢、あの化け物が他部族を殺すのを煽る気か?」
しかし一人が…
「山羊男は観測に協力したら風見族だけは見逃すといったな?だったらそうしようぜ?支配的で暴力的という理由により不合格で消された種族が多いほど我々の住める場所が増えるぞ?どうだ、みんな?我々だけ魔族や人間や山羊男で苦しむのは不公平だろ?」
バロットはミミズクが笑うような表情で相槌を打ち
「そうだよねー?他部族を心配しても仕方ないよねー?他の部族はボク達を見捨てたしー」
気付けばバロットを中心にキャベツが残る派が多数に固まっておしゃべりをしているのだった
ピー太郎は憤るが今キャベツが消えても不利になる現状は理解する
「なんなんだ、これは?キャベツは俺達を大量に殺したんだぞ?だが…俺達は厳しい状況だ…神木も無いし人間も助けに来ない…」
「おい、ラルエグ…話がある。若い連中でグループを作るぞ…バロットの異常者とは違う派閥を作る…」
****ピー太郎の悪だくみ
ピー太郎とラルエグを含む10人ほど風見族を集め会話を始めた
「俺は今、ロジ・ジョットを山羊男と戦うように煽って仕向けてる…あいつはシュウノよりはるかに強い異能がある。」
「ロジが勝てば山羊男は死ぬ。相打ちでもいい。ロジが負ければ人間の方に気が向いてここを山羊男が離れる可能性も狙える。どうだ?」
ラルエグは姑息だがバロットよりマシと評し
「そのロジっていうのは使えるのか?」
「あいつは馬鹿だが異能は凄まじいらしい。さらに人間の権力者もバックアップもついてる。利用するならこの上ないぜ…」
ラルエグは不本意そうな表情でピー太郎に賛成し
「しばらく、バロット派の連中を勝たせよう。絶対に情報は漏らすなよ?」
ピー太郎はうなずきながら今はせめて情報を集めようと集会を閉会した
「今は耐えだ…どんな強者も失墜する時が来るさ…山羊男も勇者も魔王もな」
「ちょうどシュウノとイテミスがいい例だ。二人とも間抜けな賞味期限切れだ。」
****多数決の結果
約束の時間にキャベツが朝礼の舞台に上がり風見族の意志を確認する
「俺が去るか残るか意思表示をしてもらう…お前たちから見て右側が残るで左が去るだ」
「どちらかに寄ってくれ」
風見族達は左右に分かれ右側が多数派になるのだった
山羊男がシルバナに残るという希望を多数派は意思表示した
「わかった…お前たちが出ていけと言われない限りはここに居よう…」
バロットがキャベツに話しかける
「キャベツさん?以前通り、ボク達に色々、頼んでいいですよ?命令されても特に困りませんがお金で困る人も最近出ています。今度、ボク達が命令を聞くその見返りにあなたの力を当てにしていいでしょうかー?」
「それは、俺が族長に似た仕事をするという意味か?お前たちがそれでいいなら俺としても頼みたいことがあるから助かるが…だがその場合は俺の命令で死んだり不幸になっても自分の責任とは誓ってもらう。もちろん志願者のみだがな…」
バロットは目を笑いに歪めて
「それじゃ、あなたを支持する派閥の風見族のグループを作りましょうよー。そしたらキャベツさんを嫌がる人は近づかないでいいしその人たちに命令をしなくてもいいですよねー?あなたを嫌う人たちは放っておきましょー。」
「…確かにそうだが…リーダーになる気はなかったが、そっちの方がいいかもな…嫌がる者に頼めば魔王や支配者と同じだ…」
「今後は、俺に関係を持とうとする者だけと応対する…俺を嫌う者には極力関わらない…」
ラルエグは不満げに
「おい…筋を通したつもりか化け物?俺はお前には敬意なんかないからな?堂々となじらせてもらうぜ」
と強がるが
「別にどう言おうと構わないが俺と他の者との会話を妨害したら罰を与える…例えば羽を折りくちばしを割る…」
ラルエグは怖がり黙るのだった…
それをみてバロットは嘲笑する
「悪口だけ強く言えてもねー。それは威嚇して体を大きく見せる小動物と大差はないよねー」
ラルエグはバロットに殴りかかるがキャベツに睨まれて途中で諦めてしまったのだった
「ラルエグだったか?…なぜバロットを殴ろうとする?俺が原因なら俺に戦いを挑めばいいだろう?相手を選んで怒るのか?…これで解散だ。俺はいつもの部屋に戻る…」
「余裕が出たらシルバナと大川の間に俺の家を作ってそこに住むか…ここにいたら俺が嫌いな奴が俺を見る羽目になるからな…」
「無意味に俺につく者たちも同士討ちや攻撃した場合は過失の側に罰を与えるから覚えておけ…話し合いに暴力は不要だ」
ラルエグの口の悪さを気にしない様子を見てバロット派の風見族はキャベツにため口で色々頼みごとをする者まで出始めたのだった
まるでイソギンチャクとクマノミのような関係の様子である
「おいキャベツ?もっと最初から話してれば風見族とも殺し合いをしなくて済んだのにな?」
「そうだ…俺は最初から自分からは何もしていない…だが世界は俺を襲いたいのだろう?ならば全てと戦うまでだ…例え俺だけ残ろうとな…望み通りそいつらの主義主張とやり方で魔族みたいに消してやる。」




