第32話:魔王の遺産の滅亡魔法
シュウノは自宅に帰っていた
オーク狩りで少し疲れていた上にロジの力に不安が消えない
「あいつ、自分が異常な力を持ってる自覚あるのかな?それとも俺と同じか?」
ドアを開けるとセイルの声がない
「あれ?留守かな?」
そういって部屋のソファがある部屋に行くと魔王の娘のルナムとセイルがいた
「来たか、シュウノ…わが父ノフィスの仇よ。話がある。」
セイルは憎悪にかられた目でルナムを見つめるのだった…
「君は確か…魔王の城にいた…なんでここに…」
「私の要求は2つだ。私を養い安全を保障すること…そしてもう一つが…私とお前の子を成すこと…」
シュウノ“ブー”と口をふかすのだった…
****4時間前
セイルは機嫌よく洗濯ものをたたんでいた
「フフフ、はやくレセプトの実家に帰りたいですわ…」
ガチャっとドアが開く音がして
「あら?もうお帰りですか?」
「誰ですの?あなた?勝手に入ってきて?まさか泥棒?角がついてる…魔人?」
ルナムは玄関から入り込んでセイルの匂いをスンスンと嗅いだ
「お主、悪よの?酒に酔ったシュウノをシラフで誘ったろ?」
「なんですの?あなたは?」
ルナムは続けて
「妊娠は本当にしているがこの家に来る時に太り薬を腹に塗って膨らんだ腹で妊娠を誇張してシュウノを追い詰めただろうう?」
「他の女を諦めさせる気か?まったく、純愛に欠ける女だな。」
「さらにこの街に来るときに、汚職している役人の情報を掴んでそれで脅して検問を通ってきたな?ずる賢いのー。」
セイルは完全に頭にきて
「でたらめだー!!!」
と大声をあげるが
ルナムは安心しろと言い
「私は魔王の娘のルナムだ…最近、婚約者候補のたわけが暴走してな…山羊男に龍の力を得て意気揚々と戦いにいったのだ。しかし、山羊男は龍の力を超えてそやつを殺し、魔人の在り方に腹を立てて我らを皆殺しにしたのだ。」
「それをシュウノに教えるからしばらくこの家にいさせろ…よいか?断ればお前の嫌がる情報をシュウノにばらすぞ?私は匂いを嗅げばある程度、過去がわかるからな。」
「ぐ…、皆殺しにされたならあなたも巻き込まれればよろしくて?」
セイルは悔しそうに睨め付ける
「ふん、不謹慎なことを言う…本性が少し見えたな?避難を味方にも呼び掛けたが無視されてな。しかたなく自分だけ避難したのだ。」
「父上のスパイだった人間の役人がこの街にいてな…そのツテで地下通路から街に来れたのだ。」
「私に逆らえば山羊男に私の居場所を伝えるように仕掛けを組んである。魔人みたいにこの街も皆殺しにされるかもな。」
「チッ…わかりましたわ?シュウノにそれを教えてお帰りなさいまし…!」
****龍すら滅ぼせる禁断の魔法・絶滅石器
現在のシュウノの家の時間に戻りセイルは想定外の要求にかなりストレスを感じていた
「養って子を成せですって?ふざけるなぁあああああ!」
「ふざけてはいない。魔人の存続とシュウノの性格と財力を見ての判断だ。お主は女好きでか弱いものを助けるのだろう?なら私も守ってもらいたい。どの道、山羊男がきたら皆殺しだしな。」
シュウノは態度を切り替える
「いきなり、そんなことを言われても困るよ。俺はセイルと一緒に暮らしてるんだぞ?君は可哀そうな状況はわかるけど…」
ルナムはやれやれという顔になり
「話を短くまとめると、歴代の魔人中最強のイテミスが山羊男に喧嘩を売って殺された。私はイテミスが族長になれば結婚する予定だった。魔人の女は好き嫌いではなく強い立場の魔人と結婚する社会だからな。」
「山羊男は激怒して、魔人の存在を大虐殺により消し去った。私は事前に避難を呼びかけたがイテミス派は耳を貸さず、全員に呼びかける時間もないから戦いの中継中に逃れたのだ。」
「イテミスは器が無いたわけだったが才能もあり修練も行い貪欲に力を蓄える男だった。山羊男を押していたのに山羊男は戦い中でイテミスをどんどん上回る力の上昇を見せたのだ…イテミスが弱かったと決して思うな…まともに戦えばその者は死ぬぞ」
「もし私の申し出を断れば山羊男に私の所在を教える。さらに私が死ぬか危機を感じれば『絶滅石器』を発動する。」
「絶滅石器は土系統の最強最悪の究極魔法だ…。古代龍族を滅ぼした隕石を土の記憶から再現する禁術という言葉すら生ぬるい魔法だ。」
「魔王でも死ぬほどの魔力がいるので日をまたいで溜める必要もあるし着弾地点も自分の近くにしか落ちない欠点もある…自滅の魔法だ。父上の遺産でもある。」
「それでも逆らうか?」
シュウノは青ざめてしまった…
「山羊男のキャベツを呼んで絶滅石器を使うって俺が断ればみんな死ぬの?そんなのあんまりだ…」
****飽きられた娯楽雑誌
セイルは「嘘だ」と言うがルナムは鼻で笑う
「この状況で嘘ついて意味があると思うか?調べたければ私を殺してみればいい。みなが滅べば確認もできんが。」
シュウノは落ち着いてと言い出し
「考えさせてくれ…明日言うから頼むよ?」
「だめだ。今日の夜までには言え。私は待たせる男がすかん。」
シュウノは口を開けてルナムとは反対側のソファに座るのだった…
「なんで俺なんだ?俺は君の父親の仇だろう?」
「父上は魔王だが勝負師だ。自分の戦いの恨みごとはしない。私もそれに沿う。それにお主は魔人だからと言ってそこまで軽蔑もせんだろ?魔人は人間には反社扱いだからな。魔人はそう思われても当然だが。」
ルナムはセイルに目線を移し
「それにだ。お主達はすでに貴族に問題を起こしておるだろう?今更一つ二つなんだというのだ。」
「まったく。そんな風に楽しく生きていこうとしか考えないから行き当たりばったりでないのか?」
「ロジ・ジョットに世間も目移りしておるしお主も目立たずに済んでよかろう?まるで飽きられた娯楽雑誌みたいだな?英雄たちも。」
シュウノは悔しそうな表情になる
「おだまりなさい!お願いだからわたくしの新婚生活を壊さないでー!」
とセイルが冷静さを無くすがルナムは平然としている
「お前たちはまだ結婚をしとらんだろ?」
「お前たちも山羊男に下手に手を打てば魔族みたいに滅びるぞ?威張れなくなるのも時間の問題だ。人間は自分より強い種族が好かんだろう?魔族も同じだったが。」
シュウノは面倒を見るとは約束した
「…わかった。俺は今までの蓄えがあるから面倒を見る…だけど子共はちょっと…」
しかしルナムは愛想尽きた顔になり
「では山羊男に教えよう。魔人がこの街にまだいるとな。ちなみに私は匂いを嗅げばサイコメトリー(場所や人物の経歴を知る意味)ができるが戦闘はほぼできん。私に角はあるが肌色も人間でお前たちに近い魔人だ。」
「止めるなら今しかないが私がストレスを感じると絶滅石器が発動するから気を付けるんだな。私に隠し事はできんぞ?」
シュウノは慌てて
「わかった!もう好きにしてくれ!いうこと聞くから!」
セイルは「ちくしょぉおおおお!」と絶叫し
「このあばずれは、わたくしが見張る!絶対に見逃さん!」
シュウノは心の中で叫ぶのだった
(誰か…誰か俺を助けてーーーー!)
ルナムは勝ち誇った顔でシュウノの家に住み着くのだった
「こんなに甘っちょろい男が父上を倒したなどと信じられん。私が先にお前と会っておれば父上が勝ってたかもな。ロジャノとパリウスがいたからお前はそのおかげで立ち回れたかもだが。」
「さっき店で可愛い服が飾ってあったから後で買ってこい。イテミスと違ってお主は優柔不断で丁度いい。馬鹿じゃないから長く付き合えそうだ。」
セイルはルナムに激しい憎悪を向けシュウノをにらむ
「ちょっと…あなたもこいつにガツンと言いなさいよぉおおお!!!」




