第31話:全ての動植物は神が創った…だが山羊だけは…
カタム領主は領主館でロジとイグナに山羊男の説明をしていた
「ロジ君…山羊男のことを教えよう。信じられないが民間人の男が飼育していた虐待された山羊が怪物になった存在らしい。これは我々が行った調査の結果だ。ツッコミは無しで頼む。」
「そして、奴は戦うごとに強くなる…死んだ連中は下手な手を打ったということだ。」
「君の異能は恐らく、この国の中では一番だろう。そこで国王陛下にお会いして山羊男の討伐を志願してほしい。護衛のロジャノ氏とパリウス氏も手を貸してくれるだろう。」
ロジは目を丸くして
「虐待された山羊?そんなしょぼい出身の奴がこんな大騒ぎを?そいつが新魔王を殺しちゃったんですか?おまけに魔族も皆殺しなんて古代の伝説の龍族が現代に復活したって聞いた方がまだ説得力ありますけど虐待された山羊って…」
カタム領主はやめろと注意した
「出所で見くびると死ぬという意味だ。重要なのは現状だ。山羊男がペット出身だろうと関係ない。」
イグナはメイリアが死んだことを思い出してカタム領主に苛立つが押さえて質問をする
「国王陛下に山羊男を倒す許可を取るという意味ですか?」
「そうだ。レセプトに行く道中に手土産に道中でA~Bの危険度の魔物を何体か仕留めると良い。私が後で生息域の資料を渡そう。」
「そして、これが私からの君の紹介状と嘆願書だ。これを君の手で国王様にお渡しするのだ。」
ロジは目が輝いて
「はい!このロジ・ジョット、命に代えても世界を脅かす山羊男を倒しますよ。最後はハッピーエンドにならないとみんな納得しませんからね!」
イグナはキャベツとロジが戦うことで破滅が始まると内心、危惧するのだった
カタム領主はおとぎ話を最後に話す
「私の故郷のおとぎ話だが神はすべての動植物をお創りしたが一種類だけ悪魔が作った動物がいる。それが山羊だ…山羊は悪魔が神の真似事をして作った。」
「山羊は過剰に増え続け自然を食い荒らし、神の庭を破壊し多くの動物たちが緑豊かな自然を失い土地も枯れ滅びに向かった。消費して増え続ける無自覚な破壊者だ…それに見かねた神は傑作である狼を庭の番人に定め山羊を噛み殺しそれ以上、庭が荒れるのを守った…」
「その狼とは君の事だ…ロジ・ジョット君…頼んだぞ。」
ロジは大はしゃぎで
「最高ですよ!その激励、一生の宝物ですよ!」
イグナは不安でとうとう胃痛が起きてしまった
(ロジは破滅の案内人だ。狼ではなく無関係な羊を狼に食わせるオオカミ少年だよ…)
****街に帰った冒険者達
オークの集落を陥落させた翌朝、冒険者達は隊列を組んでロジが乗っていた馬はティアニスが乗りセアフスに帰還した
シュウノはあまり納得いってない様子である
「ロジが、緊急の用事で先に帰ったのかよ…リーダーが先に帰っていいのかね…」
オーク退治に出発前に集まった高台がある広間でカタム領主が現れる
「君たちの活躍でオーク狩りが犠牲無く終了した。素晴らしい成果だった。今回の任務には観測があり、倒した数をカウントするバッチを渡していたね?」
「それで一人あたり100体を超えた者たちは冒険者組合に申請して等級が1段階上がるように手配しておいた。君たちの活躍に感謝する。今回は3000体も相手だから普通に100体倒した意味とはまるで違う。」
そう言うと冒険者達は喜びの声をあげる者が多数出たのだった
オーバルとトレッチという冒険者は二人で談笑していた
シュウノに目線が合い会話に入れようと話しかけて来た
「よお兄さん?俺達、こっそりキャンプ場から離れて逃げたオークを探してたら、オークのたまり場見つけてよ?ついでに始末してきたぜ。」
「そしたらトータル230は超えてよ。200人で3000体だから1名あたり15体倒せばいいのに俺達だけぶっちぎりだよな?」
「ちなみに一番、倒したのはそこのトレッチらしいぜ?数を相手にするにはトレッチが一番向いてるから今回のミッションはおあつらえ向けだったろ?」
トレッチは話にならんと顔を振り
「オークを倒しても強さの証明にはならないわよ…私は500体以上だったかしらね。私もオーバルも今日で1等ね…等級上げにはラッキーだった。報酬は2等から見て雀の涙だけど」
「シュウノだったわね?英雄様の記録を知りたいわ。」
シュウノは自慢にはならないと言いながら
「俺、負傷者を守ってたから3体しか倒してないよ。勝負事のつもりだったらガッカリしたかな?」
すると二人は笑い声をもらし
「あんたね。オークを逃がしたら余計、人が餌食になるのよ?それにノーマルオークぐらいでひっくり返る弱い連中に構う暇ないでしょ?そんな奴は最初から参加しなきゃいいの。みんな危険を知って来てるのよ?助かるために来たわけじゃないのに。可愛いわねフフフ。」
「兄さんは魔王を倒してやることが無いから弱者救済に目覚めたかい?そしたら今回の任務とは趣旨が違うと思うぜ?弱者を守りたいなら領主の子飼いになって住民を守った方がましだぜ?自由にやりたいから冒険者だろう?オークをたくさん倒さないと本質的な人命救助にならんだろう?」
シュウノは困った顔で
「そうですね…俺はもう英雄じゃないから…ただ自分が良いと思ったことをしてるから…」
「今日から俺達も1等だからな。兄さんも1等で満足してたら干上がっちまうぜ?俺達もパリウスとロジャノみたいにさらに上に認められるように精進しないとな。」
トレッチはシュウノに手を振って
「魔王倒したからってもう遠慮しないからね。私もシュウノと同じ1等だから対等に接するわ。あまり1等にふさわしくないことをしないでね。まったく…オーク狩りで1等になっても達成感はないわ。私が格下に見える…後でA級任務を見つけに行くわ。オーバルも来る?」
そう言って二人は人混みに消えていった
****清掃員と謎の人物
シュウノは帰り道で清掃員を見かけた。誰もいない路地で誰かと話している。
「困りますな。あなた方は普段は隠れているのに問題事が起きたらいつもそれだ。山羊男はあなたが対応すればいいでしょう?」
「そんなこと言わないでよ。私だけのせいでもないのよ?人間と私達のせいなら手を合わせるべきでしょ?山羊男は神ですら処理できないのは知ってるでしょ?弱点を見つけないと…」
「とにかく、現役の戦士がダメな時にまた来たらどうですかな?もっとも徳が低い連中しか見当たりませんが…」
シュウノが清掃員に声をかけると話していた人物は“フッ“消えてしまった
「お久しぶりです。誰かと話してたんですか?あれ、いない?」
清掃員は振り向いて
「君か?言葉遣いは前よりマシになったな。どうしたかね?」
「オーク狩りの帰りですよ。3000体の群れがいましてね。」
清掃員は成り行きで殺生をしなければならない現実に嫌悪感を見せながらも
「連中は確かに人間を襲って食う怪物だ。だが楽しんで倒すなよ?快楽で戦えば怪物と変わらん。」
「生きるために戦え。それで対等になれる。」
シュウノはオーク狩りの戦いを思いながら清掃員に興味湧いた
「あなたは清掃員なんですか?言葉に重みがあるというか…」
「失礼なことを言うな。戦士が立派で清掃員がそれ以下という意味か?強いものが偉いと思うなら私に話しかけるな。」
シュウノは慌てた様子で
「すいません…そんなつもりじゃありませんよ。」
と言葉に対して謝る
清掃員は仕事の休憩が終わるといって去ろうとする
「最近は実力主義の優勢劣徐が冒険者組合の空気らしい。魔人みたいな価値観になってきているのか?…困ったものだ。君も連中の価値観に染まるなよ?」
「あの、俺は負傷者を守ってました…」
その言葉に反応を示し
「私に言うのはなぜだ?それは見事で大儀なことだ。君のおかげで助かる人が増えれば君の人生も君だけ生きた訳ではない立派なものだ。私に褒められる必要はない。」
そう言って立ち去った
「なんだかあの人の言葉は重いな。」
そう感じるシュウノは少し気分がよくなり自宅へ目指して歩いていくのだった
しかしシュウノの自宅には凄まじい大問題が発生していた…




