第29話:チートを試される側
****オークの大群の様子
オークのキャンプは平原に簡単に立てていた。林から木を拝借して骨組みを組んで布を張ってるだけという感じだった。
そこに以前、イテミスに山羊男の状況を報告していたオークの『ウード』がノーマルオークの首長に話をしていた
「お頭、イテミスには殴られたがロックオークを助けに向かった。これでロックオークの八つ当たりにはされないと思うがここに全員集まると危険だ。」
「いくらイテミスの命令でも愚直に従えば全滅しやすい。分散して仲間の逃げれる余地も残すべきだ。」
しかし、ノーマルオークの首長は
「おばえはばがが?おれたちはごじぬけじゃねぇええ!!」
ウードは3mで首長は8mほどもある。首長とは体格差があり長生きしたようなしわも顔に浮かぶ
首長はウードを捕まえてボールみたいにテントから外に投げてしまった
「ぐああ…」
ウードは痛がりながら転がり、起き上がると歩いて自分のテントに戻ってしまった
「イテミスは傲慢な馬鹿だがオークは知恵がない馬鹿ばかりだ…」
「馬鹿も種類が豊富すぎて俺はどっちなんだ?なんで俺だけ賢くなっちまったんだろうな…」
ウードは血を飲みに狩でかった猪や鹿の解体の場所に向かったが空の異変に気付く
「なんだ?急に雨雲か?さっきまで晴れだったのに…」
****オーク狩りなど朝飯前
ロジはオークの集落の離れた場所からマイ・ルールブックに風景と地形のスケッチとしながら天候の項目を書いている
「よし、集落を確認しましたね。細かく詳細に書くほど実現性が上がる。これから『衰弱冷雨』という水の大魔法を行います。」
イグナはばかげていると吐き捨て
「その魔法は水の達人魔法使いが雨天時に大勢集まって発動する上級魔法だぞ?今は晴れだし水の魔法もお前は使えんだろう?マイ・ルールブックでそこまでできるのか?」
「まあ見てくださいよ。僕も昔、魔王軍の魔人が使ってるの見たことありますからね。おっかない魔法でしたけど今回は僕がやりますよ。」
ロジはマイ・ルールブックが実行が始まり天候が変わり始める
「衰弱冷雨は冷たいマイナス温度の凍らない雨を降らせて相手の体温を下げて弱らせる広範囲の大魔法ですからね。」
「オークが弱ったところをお願いしましよ。オホホ」
雨が降り出しノーマルオークの野営地に冷水が降り注ぐ
「ザァアアアアアアアアアア」
「ブォオオ」
悲鳴のような声をあげるオークをよそにウードは異変に気付く
「攻撃だ…大魔法使いか?」
その時、空間がぼやけてある男が現れた
それはかつて魔人フェジェから逃げた盗賊のクジだった
「おいウード。元気か?久しぶりだな」
「クジか?なんでここに?オークに食われるぞ。」
クジはウードに透明化魔法をかける
「我、神の見守りより見放されて…透影!」
呪文を簡易的に済ませて逃げるように促す
「お前はダチだからな…セアフスがお前らを皆殺しにする気だよ。魔族がお前らにセアフスを攻撃するよう命令されたから不憫だよなー?」
「お前だけでも一緒に逃がしてやろうかと思ってよ?ちょっと前の仕事で魔人のフェジェに盗みに行ったら仲間を殺されちまって俺も狙われてる。」
ウードは呆れながらも
「フェジェはイテミスの手下だぞ?お前、どこに逃げても殺されるぞ?…まあ今はいい。来てくれてありがとよ…俺の話なんかオークは聞かないし俺だけでも逃げるか…」
クジとウードは透明になり集落を出るのだったがクジは行先を教える
「山羊男に会おうぜ?あいつはシルバナにいて暴れまくってるんだろう?」
「山羊男だと?あいつは俺達より上のロックオークを大勢殺した怪物だったが…イテミスの馬鹿が殺しに行ったぞ…」
クジは好都合といい
「そのイテミスを逆に山羊男がぶっ殺したら魔族の追っ手は俺に来ないって意味だよな?だったらそっちに賭けようぜ?」
ウードは「相変わらず博打好きの馬鹿だな…弟が別の集落にいるから立ち寄ってからだ…馬鹿だが避難させないとな…」と言いながら野営地を離れていくのだった。
****勇者軍の快勝
ノーマルオークの軍勢は衰弱冷雨によりブルブル震えてかなり弱っていた
まるで吹雪の山に遭難したように立つ力も失ったようにも見えた
ロジは「さて雨はやめますか…次は『立崩』をします」といいマイ・ルールブックの衰弱冷雨の命令に斜線を引いて命令を消した
ティアニスは困惑した顔で
「立崩は土地に呪いをかけて数秒くらい重力を乱れさせて一定範囲の者を転ばせる土魔法と呪い魔法の合わせ技ですよ?高難易度魔法を簡単にバンバンと…」
「まあ見ててくださいよ。『立崩』を実行しますから10秒後に解除されます。」
「みなさーん?10秒後に突撃をしますよ?いいですねー?」
ロジは立崩を書き込み実行した
「グラッ」と軽い地震が起きたような音にならない感じの音が鳴る
地面に置いてある物体があべこべの方向に散らかり、ノーマルオーク達は一斉に転び、テントも倒れて大混乱になるのだった
シュウノは後方から苦言をもらす
「糞チートじゃねぇか…あいつしか楽しくねぇだろ…」
冒険者組合の200名は一斉にノーマルオークの集落を攻撃した
すでに弱っていたノーマルオーク達は一方的に倒されていく
そんな中、オーバルは異能を発動する
「黒鉄城!」
オーバルの体表は鋼のような黒と銀の中間の色になっていく
「俺の異能:黒鉄城は発動中、俺の体を鋼の強度と重さにしつつ動きは元の体のままを維持する…さらに体力強化魔法をかける」
「魔力はかなり食うが血肉湧踊のさらに上の肉体強化魔法…怪力乱神を使う!」
「神、土地、海をその手で運び作りて…」呪文を長く読み「怪力乱神」を発動する
オーバルの体は焼けた鉄のように薄く赤くなり大剣を片手で振り回しノーマルオークをケーキのように切り裂くのだった
「15分しか戦えないがその間に終わらせられるだろ…」
ロジは遠くから風吹きの弓を鼻歌混じりに取り出しマイ・ルールブックで放たれた矢は5秒後に大砲の威力なると書き込み
「この風吹きの弓を試しますか~」と言いながら矢を遠くからノーマルオークのテントを攻撃するのだった…
「ボォン!」と着弾地点から土砂が舞い上がる
「この弓、かなりまっすぐ飛びますね~。念じれば軌道も曲がるからマイ・ルールブックで毎回、軌道を命令せずに済みますよ。」
ノーマルオークの首長はテントから出てくるも胸にロジから射抜かれて穴が開いて倒れるのだった…
「あれ?ボスを簡単に終わらせちゃいましたね…しまった…後は残りの雑魚狩りですか…」
「僕も降りて雑魚狩りしてきますよ。遠くからだけなら面白くないですからね…」
シュウノは怪我人の冒険者に近寄らないようノーマルオークと戦う
アイテムコンプで正方形の結界に包まれた矢を出して開放する
結界から解放されると矢は勢いよく放たれノーマルオークの顔に当たるのだった
「流石に多いな…君、動けるなら後方のヒーラーの方に逃げてくれ」
「魔法武器の『地響きの槌』を出すか…」
シュウノはアイテムコンプでさらにハンマーを呼び出して装備する
「うりゃ!」と掛け声で地面を大きな金槌を振り押す
「ドムッ」
揺らすように地面が波打って揺れた
「この武器は魔力を持ち主から吸うが土を殴ると扇状に波紋を広げるように揺らす効果がある。硬いものも壊すのにもかなり効果的だ。」
揺れで姿勢が崩れたオークを金槌で叩きつけ持っていた木の盾を砕いてオークの腕を折りながら吹き飛ばすのだった
ロジはシュウノの視界に入り楽な作業をしているように見えた
「普通の剣に風の中級魔法の『風爪』を僕が剣を振った前方向に発生するようにマイ・ルールブックに書き込んで…」
<剣を振ったら前方向に風爪が発生>
<剣を握る側には発生しない>
「これでいいですかね?さあ、中距離戦といきますか。」
ロジが鉄の普通の剣を振ると風のカッターが現れてオークを切り裂いていく。
「僕の異能の力があれば普通の武器すら伝説の剣に早変わりですよ。魔力残量はあと半分以下ですかねー。ちょっと疲れてきましたね。」
イグナが近くで「あまり前にでるな」と注意をしている
「ロジ?遊びじゃないのよ?近くに行く必要がないでしょ?」
「イグナさん?近くにいかないといざという時に対応できませんよ、これも経験っすよ。オホホ。」
イグナもロジを護衛するため結界をはる
「結界魔法:守護炎神」
ロジの前に炎のバリケードが行く手を阻んでいる
「あんまり守られるのも考え物ですね~。イグナさん。ありがたいですけど心配いりませんよ~。でも嬉しいですねー。」
しかしロジは魔法の連打で体調がすこし悪そうになる
「あ…やば、風爪を撃ちすぎた…ちょっと休憩っす。すいません。ティアニスさんのいる後方に帰ります…毎回、ちょっとしまりませんね。」
「フェジェの時は生け捕りも考えてここまでしませんでしたが無条件でやるとやりすぎちゃいますね…反省、反省。」
イグナは困った表情で一緒にバックしていくのだった
シュウノはそれをみて顔をしかめる
「あいつの時代になっちまったのかな…でも山羊男にはあのやり方じゃ間違いなく逆に殺される…イグナとティアニスがブレーキをかけるのを信じるしかないか…」




