第28話:新勇者が皆を率いて
山羊男と新魔王の世界の行方を決める決戦が起きていたその頃
セアフスでは街の付近でのノーマルオークの大群の大移動の駆除の任務のため冒険者組合の窓口では複数人参加の依頼がカタム領主から来ていた
シュウノは任務の内容を窓口で眺めていた
[隊長:ロジ・ジョット。任務:ノーマルオーク大群の駆除。目測3000体。危険度は個体D(兵士10人分)だが、群れのため特殊扱いとする。参加は自由、報酬は固定で2000ルオン(日本円で20万円)。ただし1体も倒せぬ者は報酬なし。参加者はロジ・ジョット氏の指示に従うこと。人数が揃い次第締め切り]
「ロジが隊長で冒険者達を率いるって…あいつも立派な立場になったもんだ…」
「ノーマルオークは雑魚だが大群だからな。何人集まるかね…物見遊山でたくさんあつまるかな?」
すると後ろから大柄の鍛え上げられたいかつい男が歩いてきた。最近、手柄を上がるために来てセアフスの組合員施設で一番強いと代表気取りの『オーバル』という男だった
「よお、お兄さん?あんたも参加するのかい?あの小僧、2カ月で1等になったらしいな。俺はまだ2等だが特殊の任務に貢献すれば1等に上がる評価になるからな。点数稼ぎで行くつもりだが兄さんはどうなんだ?」
シュウノは苦笑を浮かべでオーバルに返事を返す
「ええと…(俺より年上っぽいな…)俺はロジが後輩だったから急に目立ってるから気になって…」
オーバルは豪快に笑い飛ばし
「正直、2等も1等も実力差は僅かな差だからな。A級の魔物を運よく一年間に10体仕留めただけだしな。パリウスとロジャノ以外は1等も2等もそこまで変わらんという話だ。」
「その彼らも今や組合員を結構前に辞めてレセプトの特別護衛役で王の下で貴族より権限が強いらしいからな。1等の価値もその内なくなるぜ。」
「兄さんはノフィスを倒したのだろう?オーク狩りなんか参加しても点数にならんぜ。最近の噂だが新魔王のイテミスが風魔龍とやらの力を得て神の領域の魔法を使えてるらしいぜ?」
「魔人に攫われてた木彫りの職人たちがレセプトに開放されて怯えて証言してたらしい。指を動かすだけで台風を起こしただってよ。またパリウスとロジャノの出番かもな。兄さんは呼ばれたかい?」
シュウノは困惑しながらも
「聞いてませんね…ノフィスの情報はすぐ俺にも知らせが来たのに今回は来ないって俺に頼む気がないのかな…」
「まあ、他人の事情に首を突っ込むのはどの業界でもご法度だからな。参加するなら仲良くやろうぜ」
オーバルは気にするなと声をかけ立ち去る
「オーク狩りは俺も参加するか…ロジの下になるがあいつの仕事ぶりも見とかないとな…」
シュウノは窓口で参加の手続きをするのだった
****セアフスの外でメイリアと
ロジ・ジョットはティアニスとイグナをセアフスに呼び出していた
「ティアニスさん?イグナさん?すいません、来てもらって。でも僕がリーダーだからある程度は許容をお願いしますよ?」
ティアニスは不満げに
「なんでセアフスの外で話す必要があるんですか?着いたら話すって言いましたがどんな理由なんですか?」
イグナは早く話せと少し呆れ気味である
「あまり、うろちょろしたくないんだけど?早く教えなさい。」
そう言うとロジは呼び声を上げた
「驚かないでくださいよ?メイリアさーん。来てくださーい!」
そういうとメイリアが岩陰から出て来た
ティアニスは“またか“といううんざりした顔になり
「なんですか?私を怒らせたいのですかロジさんもメイリアさんも?あなたは死んだんですよ。生者に関わりたいんですか?」
イグナは半ギレしかけながら
「ロジ…メイリアは罠だ。山羊男に殺されておもちゃみたいに生き返らせて私たちの危険な要素にしかならない。可哀そうでつれてきたならあなたに怒るわよ?」
ロジは焦った様子で
「ちょっとー?皆さん仲間でしょ?そんなこと言われたらメイリアさんが可哀そうですよ。逆でそんなこと言われたらどう思いますか?」
「僕の意見を言いますけどメイリアさんは罠じゃありあませんよ。罠ならあなた達をすでに攻撃してもおかしくないでしょ?一応、本人に頼まれてマイ・ル―ルブックで皆さんに攻撃したら麻痺するようにリミッターもかけてますよ。」
メイリアは困った顔をして
「すまない…二度と会わないつもりだったがやはりみんなの近くしか私の居場所がない気がして…。山羊男を倒す協力をさせてくれ。こんな姿だが何かの役に立ちたい…」
しかしティアニスが
「ロジさん?生き返って仲間が会いに来てどんな気分か想像できますか?あなたは死んだ親しい人と一緒にいれますか?」
そう聞かれてロジは癇癪を起した
「もう…わかりましたよ!イグナさんもティアニスさんもついてこなくていいですよ!メイリアさんと一緒に新魔王も山羊男も倒しに行きますよ!」
それを聞いたイグナはため息まじりにあきらめて
「わかったわ…一緒にメイリアを連れてきていいから私たちから離れないで?」
ティアニスはキレ始めてイグナに噛みつくが
「いいんですか?こんな邪な成り行きで?」
「メイリアがどんな状態なのか調べる意味もある。放置したらしたで問題になるでしょ?ロジも話の途中で大声出すなら戦士の資格はないわよ。気を付けなさいよ。」
イグナに言われてティアニスは「わかりましたよ」と不満げに納得するのだった
「でもメイリアは街には入らないでよ?出入りが厳しくなってるし有名人が死んで生き返ったなんて大騒ぎになるわ。」
ロジは気が落ち着き
「すいません…ちょっと気が短かったですよ。でもメイリアさんが来ていいんですね?」
「ロジ…ありがとう。お前がそんなに私のために…お前の役に立つように頑張るぞ…」
メイリアのロジに対するセリフにティアニスは驚愕した
「メイリアさんは男嫌いで滅多に心を開かないのにちょっと優しくされたぐらいでこの態度…」
イグナは気分が悪そうな顔になり
「あいつが、このくらいで優男に媚びるようなことを言うわけないのに…どうしたんだ?」
メイリアは嬉しそうに山羊の耳を機敏にピクピク動かしている
二人はかつての仲間の外見と性格の変化に不気味がるのだった…
****セアフスの出口に集まる義勇軍
カタム領主がロジと一緒に高い台に乗ってスピーチを行う
「手短に話そう。彼が倒した魔人の話ではイテミスがシルバナの神木から力を得てこのセアフスシティを攻撃する気らしい。恐らくオークが大群で移動しているのはその攻撃の準備の可能性だと考えている。」
「そこで、君達みたいな腕に覚えがある者たちにとってはオーク狩りなど朝飯前だと思うが数が3000くらいはいるので非常に危険である。」
「街の兵力を温存するためにも、君達のウォーミングアップもかねて奴らを蹴散らしてもらいたい。」
「ただし、ロジ君の指示に沿って行動をお願いする。これは彼の裁量を見るためでもある。イテミスも山羊男も非常に危険な存在だ。そのために有用な人材は私が把握する必要がる。」
「君たちも武功を立てれば私が太鼓判を押そう。活躍に期待している。」
ロジは高いところから権力者の目線から下を見て高揚感を覚えている
「なんでしょうねこの気分。スターになった気分でしょうか。200名くらいはいますが、この僕が領主と一緒の舞台で僕より上だった組合員を一等になって見降ろす日がくるなんて…」
嬉しさに震えているところカタム領主が語りかける
「ロジ君、まだ始まったばかりだ。話は中身が必要だ。君は話の中身を作る役だ。がっかりさせないでくれたまえ?やり方は君に任せるよ。」
「わかってますよ。なんでもスタートが肝心ですからね。こけないよう頑張りますよ。南西の方向でしたね。今から出発します。」
そう話しているロジは集団の中にいるシュウノに気づく
「あれ?また先輩きたんですか…?ちょっとしつこいですけど…まあいいか。今回は僕の指示を受ける役ですからね。引き立て役くらいには使ってあげましょう。オホホホ。」
そう言ってカタム領主と共に台から降りてイグナとティアニスと合流して移動を開始する
「見てくださいよ?立派な馬まで貸してくださいましたよ。ボク達が先頭ですよ?」
ロジ以外は馬には乗らずイグナが聞く
「どう戦うの?相手の陣形次第だけど」
「そうですねー。今回は参加者の顔も立てなきゃいけないからノーマルオークを僕が弱らせますよ。そのすきにローラー作戦で蹴散らしてもらいます。」
ティアニスは胡散臭そうに
「簡単に言いますが3000と200の対決ですよ?ちゃんとやれるように作戦を現地でも立てなきゃだめですよ?」
「今回はメイリアは遠くにいてもらいますからね。この連帯に入れる訳にもいきませんからね。」
「わかってますよ。でも作戦はもう決めてますがね。オホホ。」
「そういえば先輩も来てましたね?僕、一番後ろの列に先輩を配置しちゃいましたよ。」
「なんでついてくるんでしょうね?心配のつもりなのか嫉妬なのか…まあ邪魔しないならいいですけどね。先輩は嫌いじゃないですし。」




