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第19話:もし天国があるなら

楽園切符を盛られた水を飲んだフェジェはふらふらと意識がもうろうとしながら話す


「目的はなんだ…正義の味方か?」


「あんた意外と鈍いな?俺は思想やロジックなんかどうでもいい。クズも善人も神様も魔族もお好きにどうぞだぜ。ただし、あんたの貯めた金は欲しいのよ?盗んだ金だから文句は言えねぇな?」

「俺達は盗賊でよ?最初からこうするためにあんたの下に俺の部下と一緒に潜入してしばらく働いていた訳よ。悪党から盗めば憲兵からは追われないしな。」

「楽園切符があんたにも効いて安心したぜ?あんたは死んでも楽園には行けんだろうがな?」


クジは“話は終わり”だと見降ろし


「わざわざ、便利なマジカル・ラボとやらまでくれて助かるぜ?盗んだ金の持ち運びに活用させていただく。あばよ。」


そう言ってクジは剣を手に取りフェジェに振りかぶったその時


「バカが!」


「ゴッ!」


顔の骨が硬い拳にぶつかる音がクジの耳に響いた。フェジェはよろめきながら俊敏にクジを殴り飛ばしたのだ


「ぐぁっ!まだ動けんのかよ、クソ!お前ら全員で殺せ!」


しかし、フェジェは異能『+O2(プラスオーツー)』を発動させ地面に薄い青い半透明の気体を地面に広げる


「死にやがれ!」


地面が突如、「ドォン!」と言う爆音と共に爆発しクジの部下は吹き飛ばされ無事な者も身をかがんでしまった


「畜生!地面のあちこちに火薬袋をうめてやがったか!さっきの異能で起爆させたのか」


フェジェは距離をとりクジの部下をプラスオーツーにより半透明の青い気体が蛇のように動き包み込んでは発火させて抹殺しクジだけ残ってしまった。


「うぁああああ!かしらぁああああ!」と悲鳴を上げて助けを求めて焼け死んでいく者もいた


「クジ君さ~?オレをマジで怒らせちゃいましたね?オレが時間をかけて育てた部下も死んじゃったしさ~?弁償できないよね~?」こんなにキレたのはジジイ以来だな~。ウフフフ♥」


クジは“やべぇ”と焦りぶつぶつと呪文を唱え急にスゥッと姿が消えた


「おや?透明化魔法?使い手は初めて見たな~。魔法は自分の魔力に適正がある得意分野しか魔法使いはできないからね~。」

「でもクジ君?そのカギは秘密がありましてね?持ち主が認めるか死なないと所有権が移らないのですよ?おまけに持ち主に場所はダダ洩れです。君の居場所がコンパスの磁石みたいにわかりますよ?楽しいうさぎ狩りをしましょうか。一日中、苦しめて殺しちゃいまーす♥」


「魔人をなめちゃいけませんよ?楽園切符の成分も分解がもう完了しそうですしね。走れるようになったらスタートにしましょう。美味しい料理を作ってくれたお礼にオレも君をクッキングで丸焼きにしちゃいましょうかね。クジくーん早く逃げた方が良いぞ~♥ 逃がさねぇえええええ―――――!!!!!」



****ロジチームが廃村へ向かう


イグナは夕方の廃村から煙が出ているのを見て反応した


「ロジ、作戦会議は中断よ。さっき紙飛行機で視力を与えてたって言ってたわね?様子を見てくれない?」


「わかりました。火事ですかね?先輩が出たりマイルールブックの話してたから見てませんでしたよ。どれ、上からの様子は…」

「うわ…外で宴みたいな会場で何人も死んじゃってますね…先輩が出てきたりマイルール・ブックを説明してる間にとんでもないことに…」


「あれ?一人、走っていきましたね?」


ティアニスが立ち上がり、戦いに向かおうと声を上げる


「ロジさん?イグナさん?今から廃村に行きますよ?仲間割れが起きたのならチャンスです。作戦は変更で作戦無し作戦です。出向いて状況を確認しますよ?」


「強行突破ですか?ちょっと怖いですけどいきましょうか?…人間同士の殺し合いじゃなくてモンスターと戦ったりするのがよかったんですが…勇者じゃなくてソルジャーになっちゃいますよ…」


イグナが怖いのかとロジに尋ねた。イグナは魔族との戦いが終われば人間同士の戦いが増えると告げる


「これからは、魔物との戦いは減り私たちは人間と戦う時代が来るかもね。嫌なら今逃げなさいロジ?」


「行きますよ?僕だって3等の経験者ですよ?戦いの割り切り位ありますよ!」


ロジは人間と戦うことに恐れを抱きつつ震える足取りで廃村に向かうのだった



****勇者の極悪人の対面


「クジく~ん♥み~つけた(^-^) かくれんぼは終わりだよ~君のことは好きだったのになー。諦めろぉおおおおおお――――!!!」


クジは透明化魔法が解けながら全力で林を抜けて逃げるがフェジェは魔人で人間の体力を遥かに凌駕し木と木の間をジャンプで枝を踏み台にして先回りされてしまった


「はぁ、はぁ!フェジェ・・・おい待て…俺を殺してもメリットないぜ?マジカル・ラボの鍵も壊すかもしれないぜ?俺は明日を生きるために盗むだけの盗賊だぜ?殺す価値なんかないぜ?」


「無理だよ?オレでもそれはできないもん。君みたいな雑魚盗賊に何ができるのかな?オレのチームは殺して壊滅させたけどさ?お前の部下もオレが殺したから何とも言えない状況だよね?一番悪い奴だけ残っちゃったってこと?」


「ああ神様。聞いてますか?なんでオレたちを最初から天国に生まれさせないのですか?奪い合いがあるのは足りないからですよね?死んだ人しか行けないなら良いことしてさっさと自分から死んで天国に行こうとする人はいませんよね?天国も地獄も嘘ですか?」


「クジ君は今からゆっくりオレがいたぶって耳や唇をひっぱって毟って傷口を焼いたりして壮絶な死にざまをしていただきます。それが地獄かどうかクジ君に聞いてみましょう。覚悟しろぉおおおおお――――!!」


クジはとうとう恐怖でパニックになり


「このいかれ野郎が!誰もお前の言い分なんか聞かねぇよ!自分が死んで天国と地獄を確認しやがれ!!」


フェジェはぞっとするような影がかかった笑顔を見せ


「クジ君?泣き言を叫ぶってことはこの勝負、オレの勝ちでいいですね?君の悲鳴と絶叫を戦利品に聞かせていただきますよ。ははははははははぁあばばばぁあああ—――――!!!」


奇声を上げながら興奮してクジに飛び掛かる瞬間

“ヒュン”と弓矢の音に気付きジャンプして回避の構えをとった


「見つけましたよ?第一級指名手配犯のフェジェさん?このロジ率いる新生勇者パーティがあなたを退治しにきました。降伏するなら今だけっすよ?」


ついにロジがフェジェの前に降り立ったのだった


「その面、新聞で見たな?2カ月で1等になったって小僧か…オレを捕まえに来た間抜けな冒険者組合員なら過去に何人もいたがこんな20にもいってなさそうなガキをよこすなんて組合も倫理観が無いね。」


ティアニスが睨みつけ


「あなた?人間やめて魔人になったそうですね?今の姿があなたにとっての罰ではないですか?あなたは人間扱いする人はもういませんよ。」


フェジェが振り向いた瞬間にクジは最後の力で透明化魔法をまた使い


「頼む!その化け物をなんとかしてくれ」と叫び逃げて行った


「もうクジ君ったら逃げてもばれるのに…まあ、後で良いや。シュウノくんのチームですね?シュウノ君も隠れてる…訳ないか。あの子目立ちたがり屋だったからね。大方、ロジ・ジョット君に鞍替えしたのかな?ロジ君に言うけど新生ではなくて中古だよ、そいつらは。飽きられたヒロインフィギュアと同じだよ。」


顔を険しくひきつらせイグナは吐き捨てた


「中古で結構。あなたは誰からも忌み嫌われて未来はないのよ?」


「このくらいでいいでしょう。どうせ戦いに来たんでしょう?オレは機嫌が悪いから全員この場で死んでもらいます。人間様達からノフィス様倒してご褒美貰ったくせにわざわざ危険な仕事して立派ですね~(呆れ)」

「あれ?メイリアさんがいませんね?山羊男に殺された噂はマジだったんですかね?」


「あなたが死ぬのは噂じゃなく実話として広まりますよ」


ティアニスはそう言い捨て戦いの姿勢と意志を構えロジが決め台詞を放つ


「この勇者ロジが魔人のあなたをやっつけて功業の一つにしちゃいます。」


フェジェとロジのチームとの戦いが始まるのだった


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