第18話:悪の世界は蟲毒と同じ
廃村にて
フェジェの一団は席について料理や酒をたしなんでいた。今後で話し合う者や不安を話すもの、セアフスが魔人に消されることを憂う者など悪人の一団とは思えない会話だった
「俺達、なんでこうなったんだろうな…」
「しょうがねぇよ、悪さして生き延びちまったんだから」
「セアフスにはカタギの弟もいるのにな…」
そんな中、フェジェが会話の間に入る
「君達さ?漫画とかのかわいそうな過去の悪役どう思う?」
「え?漫画ですか?かわいそうって言われたらそんな理由だったんだって納得させたいのかなと…」
フェジェはつまらなさそうな表情で上をみて
「可哀そうで悪さしたら他の人も可哀そうにしてるよね?自分だけ特別って言いたいならあいつら悪党以下だよね?」
「なんでやりたい放題したいとか欲しいものがあるとか正直に言わないんだろう?情けなくてうざいよね?」
「じゃあさ?かわいそうで社会が納得するなら君らにも同情して無罪にしてくれるのかな?多分、みんな早く死ねと思ってるよね?ストリートチルドレンの困窮より恵まれてるセレブの私生活の記事の方が人気だよね?」
「要するに、可哀そうや同情とか言ってるやつはキモいナルシストなんだよ。ガキが捨てられた子犬に可愛いのに可哀そうって解決策もないのにその時の感情で言ってるのと同じだよ。他人や自分に可哀そうって思ってる自分が好きなんだよ。」
クジはフェジェに過去に興味が湧いたらしく質問をした
「フェジェさんはなんで人類がゴミとかクズとか思うようになったんですか?」
「クジ君は堂々と素直に聞きますね?オレを怖がらないなんてやっぱりただの新人じゃないかも!オレがそう思った理由?そうだね。ガキの頃の話をしようか。可哀そうって思わないでよ(笑)」
「昔、オレのパパは弱い側には威張って長話好きで意見を言ったらすぐキレて大声を出す自分の機嫌が世界の全ての論ができないゴミ親でした。さらに隣の家にはゴミ出しのルールを守らずゴミを庭で野焼きする50歳くらいのジジイがいました。ここ伏線ですよ?覚えといてね?」
「ある日、パパは仕事が首になりギャンブルで金に困り強盗になりました。そしてすぐ捕まりました。問題はその後です。オレはどこに行っても強盗の息子と言われました。」
「ママも気がおかしくなりオレと口を聞かなくなりました。学校では悪口言われても許せと教えられたから我慢しました。そんなある日、隣のジジイの野焼きの煙が洗濯物の匂いになりましたから文句を言いにいきました。」
「やめてくださいよ?ゴミ出しの日があるでしょう?なんで野焼きするの?って聞きました。」
「そしたらですね。ジジイがオレにですね?なんて言ったと思います?」
「“自分の庭だから俺の勝手だ。強盗の子供なんかが大人に説教するな”って言いやがったんですよ。でもオレは我慢しました。善人は許す側だと教会からも言われたからです。子供のころから我慢ができるってオレは偉いよね~」
「ある日、風が強い日にオレの家が火事になりました。原因はジジイが野焼きして燃えたゴミがオレの家に飛んできたからです。オレは怒って憲兵(街の警察組織)に言いました。教会の神父にも言いました。しかし、ジジイがしたかどうかは証拠がないと言いました。でもオレはジジイが前日の夜にゴミを燃やしてたのは見てました。」
「それで、オレがですね。ジジイに言ったんですよ。家を弁償しろって。そしたらジジイが“風のせいだし強盗の家に神様が罰をあてたんだろ。証拠あるのか”って開き直ってですね。」
「オレはキレちゃいました。ジジイが山でキノコや山菜を集める癖を調べて追跡してですね。山で拉致してオレの目覚めた異能プラスオーツーで足から上へと命乞いさせて燃やしました。」
「その後ばれないようにオレは報復で悪口言った奴の家と捕まえなかった憲兵の家と説教だけで何もしない教会をこっそり燃やしました。そんなことしたのにオレに罰は当たりませんでした。だから神様はいないかオレを許してます。」
「オレは悟りました。人間がクズなのは本能で永遠に繰り返すって。だから人間は蛮族で自分だけが偉いと考えるから永遠にゴミみたいなサイクルを繰り返すのです。ピンチになるまで相手に関心がありません。相手が弱くないと安心できない哀れで惨めな生き物です。ダンゴムシは壁にぶつかると右に行くんだって。あれと同じだよ人間のクズ本能は。」
「だから君たちも気に病む必要なんかありません。このパワーのぶつかり合いの世界の中で生き延びる席を自分で見つけましょう。独裁者が肥え太ってるのにそいつらの国で飢えて死んじゃう子供だっていますよね。オレたちはゴミに埋もれないようにゴミ山の頂上から負け犬どもがゴミに埋もれて死ぬのを特等席で眺めましょう。そうすれば助かります。」
「それにノアの箱舟って神話があるけど神様が嫌な国の人間達を洪水を起こして皆殺しにしてノアって一族だけ助けてえこひいきしたんだって(驚き)神話だけどなぜか神様が悪者だっていう人いないよね?虐殺犯罪だよね?強い側がやることは全部許されるのかな?だからさ、オレたちもノアの一族になろうよ?生き延びて力を蓄えてそんなことした神様もやっつけて神の座を奪っちゃおうぜ?カッコウみたいにさ?」
「神様って一番強いからみんな肯定するんだよね?だったら金なり力なりオレたちも得ればゴミムシ市民たちもオレたちを神様だっていつの日か肯定して愛してるって言いますよ。根拠は王族貴族たちでーす!戦争で奪う側の強盗詐欺師の血族なのにみんな偉いって言うもんね?虫で言うならサムライアリだよね?」(他のアリの幼虫をさらって奴隷に仕立て上げるアリ)(嘲笑)。
「でもサムライアリって弱くて労働力として駄目なんだって。で奴隷がいないと飢えて死んじゃうんだって。魔王や人間同士の戦争に困って権力者が英雄や兵士に頼ってるってまさにそれだよね?オレたちはいつか権力者になる気だけど実力が無いサムライアリにはなっちゃ駄目だよね?」
構成員達はフェジェの話に退屈せず外のテーブルで料理を食べ酒を飲む。人間とはなんなのか答えがない問が悪人達の心の中で巡るのだった。そんな中…一人が
「料理がちょっとしょっぱいな?胡椒が利いた肉だからしょうがねぇけどさ。酒じゃ余計に乾くぜ」
「水ならあっちの樽ですよ?」
クジは不気味にほくそ笑み仲間に教えるのだった
****謎の新人の話題
フェジェは急に思い出したように
「言い忘れてたがイテミスは山羊男を殺すって言ってたな?あいつは何者なんだ?魔人ではないよな?頭が動物の魔人なんて聞いたことも見たこともない。噂ではセアフスから出たらしいが…」
班長の一人が疑問に思ったのか
「山羊男って雑魚の魔物みたいな名前ですね?フェジェさんも知らないことなんてあるんですか?」
「うーん…実際に山羊男を見たことないからなんとも言えないけど知ってる奴がいたとしても狂人扱いで誰も信じないと思うよ?新種の魔物なんかポンポンでないからね。ニュースでも新種の植物や生き物はたまにしか出ないでしょ?しかもほとんどの場合、そいつらは地味で既存の奴と似てるよね?」
「それが全く前例がない見た目で街から出たなんて意味不明だよね?どう思う?それにイテミスでも無理だったシルバナの攻略を一人で正面突破したらしいからね?シルバナは風魔龍が木になった神木があって長年、イテミスが自費まで出して調査したり躍起になって資料を集めてたからね。」
「イテミスから聞いたけど風見族は神木から10%以下だけど風魔龍のパワーを使えたらしいし、ノフィス様も生きてた頃は警戒してシルバナには攻めなかったもんね。イテミスは思想や行動は馬鹿だけど戦いはまともな判断で引き際もわかるからね。人間がシルバナを攻めたことがないのも神木ありきだけど要塞として優秀だからね。200年前くらいに隣の国から覇権を広げてた人間の帝国がシルバナから神木を奪おうとして攻撃したら送った部隊が風見族に一方的に虐殺されたらしいからね。」
クジは山羊男の話に食いついた
「そのイテミスさんって人は山羊男を殺しにいったんですが?魔人の権力者なら部下の魔人に任せればよかったんじゃ?」
「クジ君?イテミスは多分、恥を感じてるんだよ。攻略できなかったシルバナから神木を謎の新人の山羊男のおこぼれで盗んだってかっこよくないからね。だから山羊男を殺して自分が山羊男より強いってみんなに知らしめたいんだよ。きっと」
「でもオレの予想だけど山羊男は死ぬだろうね。イテミスはこの世の魔物の代表だからね。現代の魔物のパワーを変身したりして全部使える能力があるからね。魔力消費の欠点もあるけど風魔龍を吸収してそれも恐らくもう無いもんね?A級の魔物が大量に固まってる思った方が良いよ。おまけに風魔龍も足されてもう無理だよ。最悪の馬鹿の独裁者が現れちゃいました。(悲観)」
「オレも今以上に力を得ないといけないからキリがないね。ゴミ山の山頂への登山は」
そう疲れたような声をだし気持ちよさそうな表情になるフェジェだった
気付けば構成員達も変に楽しそうに笑い出して様子がおかしい
クジはにやりと笑い“効き目“を確認している
「あんたの『楽園切符』のダニエル君入りの水は酒より酔うようだな。くくく…」
「おい、お前ら準備しろ。気持ちよく寝てる間に全員の喉を掻っ切れ。目覚めた先は楽園切符にちなんで天国だから皮肉だよな?」
「カタギならそこまでしないが今回は相手は極悪チームだからな。遠慮はいらんぜ?」
「あんたの理論で自分も死ぬんだな。自分のロジックが証明されて満足だろフェジェさんよ。くくく…」
クジの指示に従い、5人が立ち上がり意識が回らない残りの24人の犯罪グループの構成員を後ろから襲い一人ずつナイフで始末していく。
「東の国の神話だが頭が八個ある大蛇がいて人間と酒が好物でよ。そいつにわざと通り道に酒をたくさんプレゼントしたら自分から飲んで寝ちまったんだとさ。その間に喉を掻っ切った男が後に戦いの神として祀られてるらしいぜ?卑怯だけど勝てば官軍だよな?」
クジは楽園切符でブルブルふるえるフェジェの首からマジカル・ラボの鍵を奪い取った。
フェジェはゆっくり目を開いて睨む
「クジ…てめぇ、なんのつもりだ?」
「簡単さ?俺は料理には発汗作用がある砂漠草って食材を使った。八百屋でも売ってる奴さ。その後、酒はアルコールで余計喉が渇くから樽の水にお前の育てた楽園切符のダニエル君をすりつぶして仲間に渡して水を飲みに行くときにこっそり少しづつ混ぜたのよ。」
「ここに来る前にボディチェックで毒物を持ち込むのは厳しかったから楽園切符をあんたが育てて助かったぜ。間抜け野郎。」
「あんたが仲間が最初に食うのを見て飲み食いするのは見てたからな。常に毒を警戒してるのは知ってたぜ?お利口な魔人さんよ。」
「一回、見て大丈夫だからって安心したのか?パーティなんか開くもんじゃないぜ。くくく」
クジはフェジェの財産を盗むために部下と共に潜り込んだ盗賊だったのだ。ロジ・ジョットが作戦を考える中で別のチームがフェジェの一団を追い詰めていた。




