第17話:暴君の道楽に付き合わされる下の者
フェジェの一味の廃村にて
フェジェの部屋に訪ねる部下の一人がいた
「フェジェさん、ちょっといいですか?楽園切符について話がしたいのですが…」
「君はたしか新入りのクジ君だったね?部屋の中へどうぞ♥」
「オレに自分から話しかけるなんて度胸ありますね~OK♥一体どうしたの?」
クジはフェジェの以前、話した楽園切符にかなり肯定的な意見を話し出す
「フェジェさん。俺は25歳で他のみんなより年取ってますが新人だから何言われても文句はいいません。しかし、仲間のみんなはフェジェさんにビビッて何も言えないから俺は違うってことをこの場に言いたくて来たんですよ。」
「え~?確かにそうかもだけどそれで君は何がいいたいの?オレに対する文句?クジ君はオレにどう思われたいの?」
「フェジェさんが話をしてたお花屋さんは間違いなく上手くいきますよ。俺達は世間じゃ悪党だから魔人の側になったほうがまだ助かる道はあるかなって思って。それに、魔人になっても奪う側になって生き延びるのは今と同じでしょう?フェジェさんのやり方しか悪党には残ってないと思うんですよ。」
クジはフェジェが育てていた『楽園切符』という花がフェジェの部屋の窓の近くに置いてあるのを見ている
「え?マジ~♥?やっぱオレのアイディアいいと思う?クジ君も誉め言葉がうまいですね~。でも新人君、オレは真面目さと成果でしか評価しないぞ☆」
「わかってますよ。俺も手柄もなく偉くなれると思ってませんよ。でも魔人になるのを恐れたり嫌がる仲間もいると思うんですよ。それで親睦会みたいなことしませんか?フェジェさんの話はユーモアあって面白いですよ。十分リーダーとして好かれる素質もあると思いますよ?楽園切符の花屋さんの前祝とかどうですかね?すいません新人なのに生意気いっちゃって」
「お祝いか…確かにオレを怖がらせてばかりだと皆さんも労働意欲が失われますからね。飴と鞭を上手に使わないと部下も上手くいきませんからね。」
「セアフスに皆さんを帰らせる前に何かしましょうかね?アハハ。」
クジはさらに言葉を巧みにフェジェの機嫌を取るように話す
「俺のアイディアですけど聞いてくれます?フェジェさんのチームの名前を考えたんですよ」
「チーム名?オレの組織はいつ潰されるかわからないから何もつけなかったけど確かにお花やさんは長く続けるつもりだから考えてもいいかもね?どんな名前?」
「この前、話してた“カッコウ“ってどうです?隠語にもなりますし」
「うーん?まさにぴったりだけどあんまりかっこよくないね。どうしようか?」
「“フラワーショップ・カッコウ”なんて可愛すぎて悪の組織とは思われないね?」
会話が弾む最中にカラスに似た魔物の怪鳥が部屋の窓に降りて来たのだった
「おや?連絡か?イテミスからだな。なんの伝言だろう?」
怪鳥は口を開けてイテミスの声が口から流れ始めた
「我が臣下達に伝令である。俺様は風魔龍の力を得た。今から俺様は山羊男を抹殺しに行く。それが終われば前魔王の仇討ちとしてシュウノたちとセアフスシティの愚民どもを皆殺しにして人間どもに新たに魔王が来たことを知らしめる。そのために臣下達には俺様から逃げた人間どもの駆除を街の外から実行してもらう。今月末までにセアフスの近くのフェジェのアジトに集まり俺様が来るまで待機しておくように」
「今月末って、あと10日以内に魔人たちがオレの村に来るってことかいな…」
「しかも、セアフスを潰すって…あのお馬鹿…」
「はぁ…もうちょっと活動して引き上げてお花屋さんになってまた戻る予定だったのに、あの糞馬鹿野郎…」
フェジェはそばにあった椅子を蹴り飛ばし
「クジ君。皆さんをお呼びして集合です。緊急会議です。お馬鹿の世界記録保持者がオレの計画をぶち壊そうとしてますから対策を考えます。早く、呼べぇえええええ――――!!」
***魔族も人間も同じ穴のムジナ
フェジェはハゼを処刑したときのように構成員を呼び集めた
「お集りの皆さんにお知らせです。セアフスに早く帰りたいとお思いだと察しますが大変なことになりました。」
「なんと魔族一番の馬鹿が世界で最も危険な力の一つを手に入れてしまいました。」
「イテミスが太古にいた龍族の『九源龍』と呼ばれる長達の一体のパワーをゲットしたからです。」
構成員たちは不安に何かをぼそぼそ言い始めたがフェジェは「話が終わるまで黙れ」とにらむ
「いいですか?イテミスはその中の風魔龍という風の魔法の創始者の力を得ました。」
「もう、全人類が一致団結しないと勝てません。人間様が仲良く一致団結だなんて蛮族でクズだから無理でーす(諦め)」
「風魔龍はこの世の風の自然災害を一匹で起こせるほどの力があると言われています。おまけに前に話した龍人と違い、体力切れもしません。人間が竜巻や台風に飛び込んで戦って勝てないのと同じです。」
「龍人はベストコンディションの時間があり、一日1~2時間しか龍に変身するパワーが使えず、それが過ぎたら魔人の5倍くらいのパワーしか人間の姿での範囲でしか使えません。ちなみに魔人も龍人も魔力切れを起こすと雑魚人間の一般人より弱いです。」
「しかし、原種である風魔龍はそんなデメリットもありません。もう最強。なんでもあり。人類滅亡で~す(ガク~)」
「それをあのお馬鹿宇宙一を目指せるイテミスが手に入れちゃいました。それでわざわざセアフスの善良な市民を根絶やしにしてくださるそうです。たぶん、ノフィス様の敵討ちは嘘だね。新しいおもちゃで遊びたいクソガキの発想だよ。」
「イテミスの思想と性格についてですが魔族中心主義で他の部族を見下し魔族の所有物と考える魔人ではよくいるタイプです。イテミスは鍛錬もして武芸もできて戦略も立てれる魔人のエリートですが性格が傲慢すぎて糞です。ノフィス様以外の静止も聞かず思い付きで今回みたいに余裕がある時は攻撃します。」
クジは「フェジェさん。俺達はどうしますか?逃げ先がありますか?」と尋ねると
「この村に糞イテミスの部下の魔人が逃げたセアフスの住民の皆さんを殺せと命令されてここに待機するそうです。」
「だから、ここにいたら君たちも魔人の退屈しのぎに魔法や腕力で鬼ごっこやかくれんぼ感覚で殺されます。魔人って熊の10倍くらいは体力あって暇が嫌いだからね。トンボの羽をもぐ感覚で君達は殺されますよ。」
「それで、遠くに引っ越してもらいます。みんなが死んでもオレが困るからね。大きな恩だと思ってくださいよ?オレのツテの一人にスディッキュ・ルトプッシって悪代官がいましてね。スディッキュさんに金を握らせてケセマ村って村を装った犯罪結社にしばらく皆さんをかくまってもらいます。オレって優しいよね、みんな運が良いよ。セアフスの市民と一緒に死なずに済みますからね。(感涙 ※内緒だけど信頼できる構成員を育てるのも面倒くさいからね)」
「でもスディッキュさんに気を許したら駄目だぞ♥彼は武器の密売や行く当てや食い扶持がない自国民を外国に奴隷として平気で売り飛ばす恐ろしい方だから気を付けて⚠」
「人間側が勝つ希望があるなら、うざいパリウスさんとババアのロジャノのコンビで2時間以内にイテミスを殺すしかないね。ロジャノの龍人のパワーがピークの2時間の間で絶対防御の異能を持つパリウスさんが組んでるなら伝説のアルシオンと同じくらい強いってノフィス様は言ってたもん。ちなみにイテミスはノフィス様がやられた時より少し前にそのコンビに一人で挑んでコテンパンにされて大怪我して撤退し入院したよ♪お見舞いに行ってきたよ!だっせぇー(笑)」
「アルシオンの強さでちょっと話すよ?1000年前の伝説ですが龍人二人組がノフィス様の二つ前の魔王をぶち殺して魔族を乗っ取って顎で使い人間世界も征服しようとしたクズ外道コンビがいましてね。風魔龍の力を得る前のイテミス前後の力を持つ魔人を10人も配下にいたらしいですがアルシオンが全員を1人で殺して龍人の二人組も2対1でもあっさり殺したって話だからね。おとぎ話にも聞こえるけど魔族には恥の歴史として残ってるらしいからノフィス様の話は多分ほんと。しかもアルシオンは異能はあるけど肉体的には魔人に及ばない人間なんだって。どんな裏技つかったんだろ?」
「話は戻りますが、オレは渋々ここにとどまり、セアフスの攻撃に参加します。皆さんはケセマ村に避難してください。イテミスの攻撃が終了したら皆さんを呼びますのでせめて滅んだセアフスから火事場泥棒を最後にやりましょう。パリウスさんとロジャノはレセプトに留まって守衛をしてるからセアフスを助けに恐らく来ません。つまりセアフスは滅亡確定です!(悲哀)」
「世間で英雄扱いのシュウノくんみたいな子は実はパリロジャコンビのおまけです。ノフィス様と戦ったのも補助で有利にした程度であの二人だけでもノフィス様を長引くでしょうが倒させたでしょう。だから今回のイテミスと戦えば確実に惨敗して死にます。(哀れな思春期のアホであります。ノフィス様はシュウノくんなんか話題にせずにパリロジャコンビを警戒して話してたよ♪)」
「それでは、最後に愚痴を言わせていただきます。馬鹿と言いすぎまして嫌になりましたね。ほんと、なんで生まれてくるのかな?最初から馬鹿なんか生まれなきゃいいのに……くたばれ蛆虫共が!血族もろとも死に絶えろ!」
****嫌われるより好かれるが得
フェジェは撤収の準備を始めた。続けて部下に作業に従事させる
「立て続けにすみませんが、村にある財産や道具は運んでいただきます。今から魔族最大の遺産をお見せしますから秘密厳守ですよ?ノフィス様のお部屋ですから決して漏らさないように!漏らしたら連帯責任でここにいる全員と君らの身内も殺しに行きますのでご注意を♥」
フェジェは首にかけてあった鍵を手に取り中でひねる動作を見せた。
するとあたりの何もない空間にブンッ!と小さな城のような建物が現れた。大きさは民家くらいあり空中に少し浮いている。
「これはマジカル・ラボとよばれるノフィス様の魔術研究所でーす!中は圧縮空間でめっちゃ広いです。オレは番人でノフィス様に何かあったときのための部屋の管理人なのでした。」
「この中に、盗んだ金や金品や情報や物資を運んでもらいます。今回は緊急事態だから仕方なく見せましたが秘密ですよ?頼むよ~(懇願)」
構成員達は黙々とマジカル・ラボに運び始めた。セアフスが故郷の者もいるので虚しさを顔に浮かべる者もいた。正に悪の世界で生き延びても仕方ないという表情だった
「魔人は期限がある場合はギリギリにくる場合がほとんどだからね。10日以内に来るってことは多分、明日も来ません。だから今日は引っ越し前に飲みましょう。お花屋さん計画も少し後に伸ばします。海外でやるとライバルも多いから困るんだけどね~。イテミスがどのくらいバカ騒ぎをやるか見てから判断しましょう。」
クジはまかないで料理をしましょうと言い出し
「フェジェさん?つまみなら俺、自信ありますよ?食材とかありますか?」
「そうだね~何人かで一緒にやってね?飲み物はオレが用意するから♥毒とか入れたらだめだぞ?♥」
クジは苦笑して「俺が最初にみんなの前で食べて毒見しますよ。ここに来る前にボディーチェックしたでしょう?そら警戒するのはわかりますけどね。はっはっは」と返しフライパンで胡椒をかけながら肉や野菜をいため始めるのだった。しかし、クジはフェジェの目線が外れた瞬間に不気味にほくそ笑むのだった




