表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ホワイトな異世界  作者: tomsugar


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

79/82

79.白の詩篇(はくのしへん)

モニターの向こうのゴトウが、驚いたような表情で言った。

「画面の映像だけで、このような乗っ取りが可能だとは……想定しておりませんでした」


私は、アイリスとシャオが暴走しはじめるのではないかと、息を詰めて見守った。

だが、二人とも微動だにしなかった-。

ただ、同じ言葉を――淡々と、途切れることなく――唱え続けている。


「ゴトウさん、これはどういう意味かわかりますか?」

「私もラテン語は詳しくないので、少々お待ちください」

「ラテン語……? 第二世界のラテン語ですか?」

「はい。エマ博士は第二世界のラテン語系言語の地域出身です」

「ゴトウさん、第二世界の言語学にもお詳しいのですか?」

「いえ、それほどでもありません。聞きかじった程度の知識です」


ゴトウ技師は、持ち込んだとみられる大きなキャリーケースの中から古びた分厚い本を取り出した。

紙の辞書だった。――こちらに来てから、紙の本を見るのは初めてだった。


彼はページをめくりながら、別の紙に意味を一つずつ書き留めていく。

(あぁ……紙の辞書。懐かしい……こちらにも、まだあったんだ)


「フジワラさま、こちらが翻訳になります」


モニターに映し出されたのは、古めかしい言葉で綴られた詩のような文章だった。


Ut fama nostra floreat in aeternum.

Hic mundus candidus et purus noster est.

Ut deformis senescas et moriaris.

Mundus candidus indignos recusat.


我らの名声、永遠に咲き誇らんことを。

この白く清き世界は、我らのものなり。

醜く老い、そして滅ぶがよい。

白き世界は、価値なき者を拒む。


「ゴトウさん……これは?」

「エマ博士の出身地域の文化について、少し調べる必要がありそうですな」


ゴトウは、なにか心当たりがあるような表情で、静かにそう言った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ