2.魔法のお勉強
結局お咎めはなかった。
しかし、魔法の練習をしたいのなら、師を付ける事が条件となった。
願ってもない事だ。そもそも独学でやろうというのが間違いだった。
「はじめまして、今日から君に魔法を教えるルード・セリアンです」
「はじめまして、リファール・セルゲイツです。よろしくお願いします」
私の師は、20代半ばといった白髪の好青年だ。
出来れば女性が良かったのだが。
「ふふ、リファールは面白い髪型をしているんだね」
「え、えーとこれは、魔法で失敗しまして……」
「ハハハ、そうじゃないかなと思ったよ」
ふ、ふんっ!人は失敗から成長するもんなんだよ!
「慣れない内に火属性魔法を使うのは危険だよ。慣れるまでは水か、風の属性から始めようね」
「はい」
まったくもってその通りだ。
何となく火がイメージし易かったから、危険性まで考えていなかった。
「では水属性からやろうか。まず、水を出してごらん」
「はい」
私はひょいっと水球を作り出した。
「素晴らしい。まだ三歳だと言うのにここまでしっかりと作り出せるとは」
「えへえへ」
「では、石をここに置くので、ここまで水球を誘導しましょう」
先生は5m程先に石を置いた。
火の玉の時は殆ど自由に動かせなかったのに、いきなりあそこまでは無理じゃないかなぁ。
「うっ、むむぅ……あ、あれぇ!またコッチに……あぁん!!」
私はバシャッと頭から水を被り、ずぶ濡れになった。
なんでこうなる……。
「あらら、大変だ。ほら、早く服を脱いで」
「え、いえ大丈夫です。続きをやりましょう」
「ダメダメ、風邪を引いたら大変だ。早く脱いで」
先生が無理やり服を脱がそうとしだした。
まさかこいつ………ロリコンなんじゃっ!?
「レンーッ!レンーッ!!」
「ハッ!?」
先生はスッと私から手を離した。
こりゃ間違いないな。
「お嬢様!どうなさいま……大変!ずぶ濡れじゃないですか!」
「やぁ、水魔法を失敗しましてね。風邪を引いたら大変ですので着替えさせて貰えますか?」
「は、はい。お嬢様、こちらへ」
私は服を着替え直し、再び魔法の練習を開始した。
先生は何事もなかったようにニコニコとしている。子供だからと気にしていないのか。
「上手く操作できないのは、目標への道筋をちゃんと見えてないからだよ」
「道筋?」
「うん、自分の場所から目標へ線を引くように道筋を作るんだ。ただ漠然と動かそうとしてもデタラメになっちゃうからね」
最初からそういうってくれたらいいのに。
はっ、もしかして敢えて言わなかったのか!?この男、中々やるぞ!
「線を引くようにですね」
「うん」
線を引くように…線を引くように……よしっ!
水球が手から離れ、ゆっくりと5m先の石まで向かっていく。
そして、石まで辿り着きポチャッと石の上に落ちた。
「よっしゃぁ!」
「パチパチパチ、お見事」
この男、ロリコンの危険人物だが、師としては問題ないようだ。
「では、今度はもっと速くしようか」
「はい!」
5回、6回と繰り返すと、かなりの速度で動かすことが出来るようになった。
「リファール、少しでも身体が怠くなったりしてないかい?」
「いえ、まったく問題ありません」
「ほう、リファールは魔力総量が多いようだね」
「先生はどれくらいなんですか?」
「僕は基礎魔法を30回てところかな?魔道士としては中間ってところだね」
30回で中間くらいか、凄いのか凄くないのかよく分からないが。
「今日は魔力総量を計るために、基礎魔法を限界まで使ってみようね」
「はい、分かりました。でも、限界まで使って私が倒れても、私に変な事しないでくださいよ」
「うっ…くぅ……そ、そんな事するわけないじゃないか……ハハハ」
目が泳いでるぞ。
まぁ、私はそんな隙きを見せないが。
結局私は、26回使ったあたりで身体がずっしりと重くなった。
後一回使ったらぶっ倒れるギリギリの状態だ。
「26回か、いや大したもんだ。凄いよリファール」
「は、はぁ……あ、ありが……りょうごじゃいましゅ………」
「完全に魔力が回復するまで2,3日は掛かるから、それまでゆっくり休むんだよ。僕は魔力が戻ったらまた来るからね」
「は、はひぃ……」
フラフラの私はレンに抱きかかえられ、部屋に戻った。
一日休むと歩けるくらいにまで回復したが、まだ体が重い。
二日目、大分回復したが若干の怠さが残っている、三日目になると完全に戻った。もうバリバリ走れます。
そして再び魔法の練習を始めた。
「やぁ、リファ、久し振りだね。会わない間寂しかったよ」
「お久し振りです先生、またよろしくお願いします。でも、リファって」
「僕達の仲だろ?愛称で呼ぶのは当然じゃないか」
会ってまだ二日目だと言うのに、どんな仲になったというのか。
「今日は第二段階をやろうか」
「はい」
第二段階、それは具現化したモノを変形させる事だ。例えば、火を剣や槍の形に変える事。
これは意外とあっさりとクリアできた。
水の槍を木に突き刺したり、これは良い武器になりそうだ。
といっても、私は戦ったりするつもりはないのだけど。
あっさり第二段階をクリアしたので、更に上の第三段階までやることになった。
「第三段階は範囲魔法です。これは自分を中心に広い範囲に魔法の効果を及ばす事です。では、まずはここからここまで水を放ってみましょう」
先生は5m先に3m程の幅の範囲を指示した。
第二段階をあっさりクリアした私はかなり調子に乗っていた。
ふぅん、この程度楽勝じゃん?
などと思っていた私が恨めしい。もう少し慎重にやるべきだった。
「では行きますよ~」
「はーい」
あの範囲に水を広げればいいんだな。
範囲を指定して水を……広げるッ!!
『ズバァァァァアアアアンッッ!!!!』
「…………」
「…………」
大量の水が辺り一面に、物凄い勢いで撒き散らかされた。
私も、先生もずぶ濡れだ。先生はピチャピチャと水を滴らせながらニッコリと私を見ている。
「え、えーと……ごめんなさいっ!」
私はこりゃあかんとぺっこり謝った。
「うんうん、気にしない気にしない。初めてだもんね、失敗だってするさ」
「は、はい……」
「でも、この服、結構高かったんだよね……あ、ここ破れちゃってるよ」
「そ、それは弁償を……」
「ううん、弁償なんていいんだよ。ただね……」
「ただ……なんでしょう…?」
「一緒にお風呂入ろうか」
断ることも出来た。ただ、私がやらかした罪悪感から何となく断ることを躊躇ってしまった。
後悔先に立たず。結局このロリコンと一緒に風呂に入る事となった。
「じゃあ服を脱ぎ脱ぎし~てぇ」
「………自分で脱げる」
「そうかい?じゃあ見てる事にしよう」
くっ、男からの不快な視線……女性ってのはこういう気持ちなのか……いや、私の心は男だから余計に気色悪く感じるんだ……まったく、こんなアフロ幼女の身体を見て何が楽しいのか……。
私はささっと服を脱ぎ捨て、スタタと足早に湯の中に飛び込んだ。
「お待ちなさい。先に身体を洗ってから湯に浸かるもんだ。出たまえ」
「ちっ、わかりましたよ……」
「ほら、ここにお座り。僕が洗ってあげるからね」
「いや、自分で洗えるから」
「遠慮しないの」
遠慮じゃなくて気持ち悪いからなんだが。
「じゃあ、背中だけ頼みます……」
「う~ん、まぁいいかぁ」
私は急いで身体を洗い終え、再び湯の中へ飛び込んだ。
ロリコンも急いで身体を洗って、私の後を追ってきた。
気持ち悪すぎる。
結局、私はずっと視姦されながら風呂に入った。
風呂を上がった後、とてもじゃないが魔法の練習を再開する気にはなれず、この日はそれで終わった。
そして私は二回目にして魔法の練習を辞めた。




