表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/3

3.お誕生日パーティー

 こちらに来て、間もなく5年。

 この世界の事をある程度調べた。

 なんとこの世界には、勇者、聖女、魔人、魔物というとんでもない存在がいるようだ。しかも、一人一人にスキルなんていう特殊能力もある。

 なんとも不思議な世界だ。


 ちなみにアフロはもう直ってる。



◇◇◇



 明日は私の5歳の誕生日だ。


 私は自分の部屋で寝ていた。

 深夜、月明かりだけが差し込む部屋に、電子音のような音が響いた。


『ピコーン』


「ハッ!何だ今の音っ!?うおっ眩しっ!」


 暗い部屋の中、私の目の前に光る板のようなモノが浮かんでいた。

 その板をよく見ると、何やら文字のようなものが書いてある。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


リファール・セルゲイツ:レベル1


スキル:隷属 ※NEW※

    

ミッション:【リズ】【ナルトリア】【アト-】【ジダリア】【グローディル】【サリ】【ウルム】【空中都市】【魔人領】【外海】


■メッセージ■

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「なんこれ?ん、メッセージ?」


 私はメッセージと表示されている所をちょいっ触った。

 すると画面が切り替わり、新たに文字が表示された。


【レベルの上げ方:魔石に濃縮されている魔力を吸収する事でレベルが上がるよ】


 よく分かんね、明日にでもレンに聞けばいいか、と私は再び寝た。



 翌朝、私は目を覚ました。


「レーーーンッ!」

「はいお嬢様、おはようございます。5歳のお誕生日おめでとうございます」

「ありがと。ところでコレを見てくれ、コイツをどう思う?」

「凄く……光ってます……」

「レンはこれが何か分かる?」

「いえ、分かりません。初めて見ました……あっ、でも」


 レンはウニャ~と何かを思い出すかのように唸りだした。

 そして思い出したっ!と、ポンッと手の平を叩いた。


「確かこの前旦那様が、光る板だとか勇者がどうとか、お客様と話していたのを盗み聞きしました」

「勇者……」


 私は寝間着姿のまま、ダッシュで父の部屋へと向かった。


『バタン!』


「うおっ!何だっ!?」

「お父様っ!お話がありますっ!!」

「おぉ、何だリファか。誕生日おめでとう、リファは日に日に美しさを増していくなぁ。まったく父はしんぱ」

「お父様っ!そんな事より光る板の事を教えてください!勇者とどういう関係があるのですッ?」

「なっ!?」


 思いもよらない言葉だったのだろうか、父は目を見開いて驚愕した表情だ。


「……リファ、何故お前がその事を知っている……?」

「…この前、お父様がお客様とお話していた時にこっそり聞きました」

「あぁ……あの時か、迂闊だった…聞いていたのか」


 父の反応から、秘匿にしておくべき件なのかもしれない。

 レンから聞いたと言えば、何かと支障が出そうだ。レンに迷惑は掛けたくない。


「仕方ないな……リファは勇者ルークを知っているな?」

「はい。180年前、人類圏に侵攻してきた魔人を倒し、その後神聖法国ウルムを建国した人物です」

「うむ、その勇者ルークには不思議な力があった。その不思議な力というのが光る板というわけだ」


 この光る板、これは特殊なモノなんだ。コレと同じモノを、かつての勇者が持っていた……つまりそれは勇者ルークも私と同じく、この世界に招かれた存在というわけか。


「この事は誰にも言ってはいけないよ」

「何故ですか?」


 秘密にしておく必要のある事なのだろうか?

 180年も前の人物が持っていた特殊能力の事なんて、知れたところで特に支障はないだろう。


「……ガルディア教。連中は勇者と聖女、その子孫の命を狙っている。勇者の情報は出来るだけ隠匿にしているんだ。ガルディア教は魔神崇拝、神聖法国ウルムの結界を取り払い、人類圏に魔人を侵入させることを企てている」


 そんな危険な連中がいたのか。

 コレを私が持っていると知られたら、私の命も狙われかねない。誰にも言わない方がいいだろう。

 レンにはちゃんと釘を刺しておこう。


「ありがとうございます、お父様。あ、お父様、誕生日のプレゼントは魔石にしてください」

「魔石?」


 私は父の部屋を出て、書斎へと向かった。スキル隷属の事を調べる為だ。

 スキル隷属については直ぐに分かった。

 これは自分の力量に近い魔物を強制的に従属させることが出来、知能の高い生物、人間などは相手の許可を得ることで従属させることが出来るスキルのようだ。


 さっそく試してみた。


「レン、私は隷属のスキルを持っているんだけど、ちょっと試したいんだ。レンにちょっとの間だけ使ってみてもいいかな?」

「勿論ですお嬢様。それに、私は既にお嬢様に従属していますし」

「ありがとう。じゃあレン、私に従属して」

「はい、私はお嬢様に従属します」


 するとレンの首元に赤く光る紋章のようなものが浮かび上がった。

 それ以外は特に変化は見られない。


「これで、いいのかな?レン、命令するよ」

「はい」

「両手を上げて」


 レンはスッと両手を上げた。

 しかしこれでは、今までのレンでも応えてくれただろう。これじゃ駄目だ。


「私にキスして」

「はい」

「おっぱい揉むよ」

「はい」

「服を脱いで」

「はい……」


 レンは目を伏せ、顔を赤らめながら、おずおずと服に手を掛け脱ぎ始めた。

 メイド服をストンと脱ぎ捨て、今は下着だけだ。

 ほほぅ、獣人の身体とはこうなっているのか……フワフワの毛が気持ちよさそうだ……。


 レンはチラッチラッとこちらを見て、とても恥ずかしそうにしている。

 そしてキャミソールのような下着に手を掛けた。


「や、やめっ!もういいっ!服着ていいよっ!」

「はい……お嬢様……恥ずかしいです」

「ご、ごめん」


 私の実験に付き合ってくれているレンに、これ以上恥ずかしい思いをさせるのは躊躇った。

 男としては最後まで見たかったが。


「じゃあ最後ね」

「はい」

「私のこと嫌いって言ってみて」

「は………ぃ……はぐっ……お、お嬢ぅぅううっざまっギ、ギラ……ギラ……イッッグッッガァァァウガアアァァァァァアアッッッ!!!!」


「うわあああああっ!?」


 レンが発狂しだし仰向けに倒れた。

 倒れたレンは白目を剥き、口から泡を吹き、ピクピクと痙攣している。


「誰かーーッッ!!!」


 私は初めて両親に怒られた。



◇◇◇



 私の誕生日パーティーが開かれた。

 レンは自室で寝ている。本当にすまないと思っている。


 父は沢山のプレゼントを用意してくれた。私がお願いした魔石もある。

 小さな魔石が5個だ。これだけでも結構な額だろうに、ありがたい。

 早くこの魔石でレベルを上げたいところだが、パーティーの主役は私だ。コソッと抜け出す分けにもいかない。


 パーティーには父の知り合いの商人など多くの人達が集まってくれた。

 その中にはなんと、このスランの領主、ガリアルト公爵家の人達も来ていた。

 いくらうちと長い付き合いがあるとはいえ、公爵家の人間が来るかね普通。


 ここは父の為にも、立派な可愛らしい娘を演じなければ。


「お初にお目にかかります、ガリアルト様。リファール・セルゲイツです」


 ニッコリ微笑む。今の私は5歳の可愛らしい少女だ。


「はじめまして、リファール。話には聞いていたが本当に美しいお嬢さんだ」

「へへっ」


 ここで、はにかみながら満面の笑み。男を虜にする一撃をお見舞いする。

 しかし所詮私は5歳の少女だ。この技はまともな大人には通用しない。ガリアルト公爵はただ微笑んだだけだ。


 ちぇーっと不貞腐れると、どこからか熱い視線を感じる。

 この視線は、あのロリコン先生から受けた視線とは違う。熱くも嫌悪感を感じない、そんな視線だ。


 私はキョロキョロ周りを見渡した。

 そして見つけた。奴を。


 ガリアルト公爵の背後、私に向けて突き刺さるような視線を向ける少年がいた。

 クルクルした金髪が綺麗な、とても可愛らしい美少年だ。


「や、やぁ」

「……おう」


 何なんだこのガキは。

 私より少し年上か、顔を真赤にして私に近づいてくる。


「ぼ、僕はセルロッド・ガリアルト。リファール、お誕生日おめでとう」

「……あぁ」


 なるほど、ガリアルト公爵の息子か。

 どうやらコイツ、私に惚れたな?マセやがって。

 しかし、ガキとはいえ公爵家、無碍にしてはまずいか……。


「ありがとうございます、セルロッド様」


 ニッコリ。

 必殺男殺しを食らわす。


「!!」


 セルロッドは赤い顔を更に赤く染め、足をガクガクと震わせた。

 そして、その場から逃げた。


「あ、あれ?逃げちゃった」


 やりすぎたか。

 ガキに私の美貌は刺激が強かったようだ。

 やれやれ、仕方がないな。


「お父様、私セルロッド様を探してきます」

「ん?あぁ」


 一階を庭からトイレまで、くまなく探した。

 いくら探しても何処にもいない。一体何処に行ったんだ?

 通り掛かったメイドに尋ねた。


「ねぇ、ちょっと」

「はい、何でしょうか?お嬢様」

「セルロッド様を見かけなかった?」

「セルロッド様ですか?そういえば、先程三階の方へ行かれたのをお見かけました」

「三階?」


 三階に一体何をしに……?

 三階だけでも10部屋ほどある。私の部屋も三階だ。

 私の部屋……いや、まさかな。流石にそれは……。


「でも……一応行くか……」


 まさかあんな純情そうな少年が、そんな変態みたいな事するわけがない。

 例え変態だったとしても、奴はこの家に初めて来た。場所が分からないはずだ。


 私は自分の部屋の前まで来た。

 そして、静かにドアを開いた。


「…………」


 いた。

 私の下着を握りしめ、ベッドの中で寝ている。


「……おい、起きろ」

「………んっ」


 セルロッドは目を開き、私と目が合った。

 私と目が合うと、セルロッドは再び頬を染めた。

 この状況で、慌てふためくわけでもなくその態度は大したものだ。


「………何してんの」

「眠くなっちゃって」

「ふぅん、それで何で私の部屋に?」

「どうせ寝るなら君のベッドで眠りたいじゃないか」

「……どうして私の部屋が分かったんだ?」

「君の匂いを辿ったんだ」


 ド変態じゃねえか。

 まったく何てガキだよ……まぁガキのする事だし大目に見てやるが。

 ただし、この一件に関しては、返答次第ではただじゃおかん。


「その手に握ってるのは何だ?」

「うん?あぁ、何だろうねコレ?落ちてたんだよ」

「私のパンツだよっ!」

「何だ君のパンツだったのか!スンスン…うん、確かに君の匂いだ」

「返せッ!!」


 コイツっ…まだ6、7歳くらいなのにとんでもないエロガキだ!

 殺しておくか?いや、流石にまずいか。


「オラッ!さっさとベッドから降りろ!」

「やーだよ」

「こんのクソガキ……っ!」

「僕ね、君のこと好きになっちゃった。僕のお嫁さんにしてあげるよ」

「はっ?」


 お嫁さんに『してあげる』だとぉ!?

 ちっ、コイツ…公爵家の人間だからって……碌な大人にならねえなコレは。

 少しお灸を据えてやる。


「おい小僧、ちょっと来い」

「えっなになに?」


 私はセルロッドの手を引っ張り、部屋のバルコニーに出た。


「ふふ、僕と一緒に夜景が見たかったんだね?ロマンチックなんだね」

「あぁ。そこの手摺りに座れ」

「手摺りにかい?危ないけど……君の頼みだ、分かったよ」


 セルロッドはやれやれと言った感じで手摺りに座り、コレでいいかい?と私を見た。

 私はそんなセルロッドの足をロープで縛り、片方を手摺りに結んだ。


「………これはどういう遊びなのかな?まさかとは思うけど……違うよね?」


 セルロッドの顔が徐々に青ざめ、冷や汗がタラタラと流れ出した。

 私はその顔を無表情で見つめ、トンとセルロッドの胸を押した。


「えっ、嘘っ、マジでっ!?ちょ、わっ!うわああああああああああああああ」

「………」


 セルロッドは三階のバルコニーから宙吊りになり、絶叫を響かしている。


「うきゃぁぁぁあ助けてぇぇぇぇええ!!!」

「うるさい!誰か来るだろ!これ以上騒いだらロープ切るぞ!」

「ひっ、しょ、しょんな………」


 まったく、馬鹿騒ぎしやがって。

 こんな所を誰かに見られたら私がまずいじゃないか。


「リ、リファール……何でこんな事を……?」

「お前の勘違いを正してやっているんだ」

「か、勘違い……?」


 そうだ、コイツは勘違いをしている。自分は公爵家の人間だから、自分は偉いのだと。それは違う、コイツは何も偉くない。偉いのはコイツの親だ。


「お前は自分が偉いと思っているのだろう?」

「そ、そりゃ……僕は公爵家の人間だし……」

「そうだな、お前は公爵家の人間だ。だがそれだけだ」

「それだけって……じゅ、十分じゃないか……」

「十分なわけないだろう。公爵家は重い責務を果たしているから金も権力も持っているんだ。その責務を果たしているのはお前か?違うだろう?お前はただのガキだ、親の力を自分の力と勘違いしているただのエロガキだ」


「………」


 セルロッドは自分の勘違いに気付いたのか、言葉を失った。

 コイツはまだガキだ。だがこういう事は早い内に気付いておくべきことだ。

 私もスッキリしたし、この辺で許してやろう。


「理解したか?」

「分かったよ…分かったけど……宙吊りにする必要ってあったのぉ~~!?」

「………無いかも」


 何て事があり、私の誕生パーティーはお開きした。



◇◇◇



 僕はセルロッド・ガリアルト。


 あの日、セルゲイツ家の息女、リファール・セルゲイツの誕生パーティーに行った。

 リファール・セルゲイツ、彼女を一目見た瞬間、僕の心は虜にされた。

 こんな綺麗な子を見たのは初めてだった。

 この子を僕のお嫁さんにしよう、そう思った。


 だが、彼女はただ可愛いだけの女の子ではなかった。


 彼女はいきなり僕をバルコニーから宙吊りにし、説教しだした。

 その間、僕は恐怖と困惑で一杯だったけど、リファールの言葉には芯が通っていた。

 僕は漠然と自分は偉いのだと思っていた。何故偉いのか何て考えた事もなかった。

 確かにその通りだ、と僕は心を打たれた。


 リファールはちょっとおっかない女の子だけど、僕はより一層彼女に惹かれた。あれから僕の頭の中は彼女で一杯だ。

 僕は彼女に会いたくて、こっそり家を抜け出した。


「これはセルロッド様、本日はどの様なご用件でしょうか?」

「こんにちは、リファールに会いに来ました」

「リファールお嬢様なら裏庭の方におられます。ご案内致します」

「必要ありません。リファールの場所なら匂いで分かります」


 早くリファールに会いたい。

 もう一度彼女の匂いを嗅ぎたい。

 彼女の匂いが近づくと、僕は心が躍り、徐々に足早になった。


 この角を曲がればリファールがいるっ!


 リファールッ!


「レン~この本戻して違うの持ってきて~、ついでにジュースのおかわりも~」


 めちゃくちゃ偉そうにしてた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ