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宿敵と体が入れ替わったら、ずっと私に片想いしていたことがバレた  作者: zhaozhao


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12/17

第12話 それとも俺の体で男と付き合ってみるか?

「社長ぉ~~。」


私は蓮の低く響く声をわざと引き伸ばして呼んでみる。

……うーん。

喉の奥で何度転がしてみても、やっぱり気持ち悪い。

この声で甘えるのは、どう考えても無理がある。


どうやら蓮も同じことを思ったらしい。

眉をひそめ、露骨に嫌そうな顔を向けてきた。


「……何だ。」

「実はね。」

「神崎 奏多……あ、私の彼氏。」

「今度の土曜日、デートに誘われてるの。」

「断れ。」


返事は一秒だった。


「えっ? なんで?」

蓮はため息をつく。

「今のお前で、どうやってデートする気だ。」

「それとも俺の体で男と付き合ってみるか?」

「新しい趣味でも開拓するつもりか?」

「何それ!」


私は思わずツッコミを入れる。


「そうじゃなくて……

社長が代わりに行ってくれないかなって。」

「…………は?」


蓮の目が大きく見開かれた。


「俺に男とデートしろって言うのか?」

「無茶なのは分かってるよ!」


私は慌てて両手を合わせる。


「でも付き合い始めたばかりなんだもん。

ちゃんと会って、一緒に過ごさないと仲も深まらないでしょ?」

「会えば仲が深まる?」


蓮は鼻で笑った。


「俺たちなんて二十年以上一緒にいるけど、

お前、一度でも俺を好きになったか?」

「……うっ。」


痛いところを突かれた。

でも、それとこれとは話が違う。


「いつ元に戻れるかも分からないのに、

その間ずっと彼を避け続けるなんて無理だよ。」

「せっかくできた彼氏なんだから、

このまま自然消滅なんて嫌なの!」


私は焦って必死に訴える。


蓮は少し黙ったあと、静かに言った。


「本当にお前を好きなら、

少しくらい待てるはずだ。」

「その程度も待てない男なら、

最初からお前には合ってない。」

「なにその理屈!」


私は思わず声を荒げる。


「で、行くの? 行かないの?」

「…………」


蓮は私を真っすぐ見つめる。

そして、一文字ずつ区切るように言い放った。


「行・か・な・い。」


その口調には、一切の譲歩がなかった。


「そう。」


私はにやりと笑う。


「素直に頼んでもダメなら――」

「強行手段しかないね。」


勢いよく立ち上がると、そのまま社長室のドアへ向かった。


「……何をする気だ。」

「試してみる?」


私は振り返り、悪戯っぽく笑う。


「社長の評判、ここで一気に落としてあげようか?」


蓮はソファに座ったまま、

まぶた一つ動かさない。


「好きにしろ。」

「……言ったね?」


私は勢いよくドアを開け放ち、

オフィス中に響く声で叫んだ。


「神宮寺社長は、自分で処理するのが大好きでーーーす!!」


――シン。


一瞬で、フロア全体が静まり返った。

キーボードを叩く音も、

電話のベルも、

何もかも止まる。

社員全員が一斉にこちらを振り向き、

まるで未知の生物でも見るような目で私を見つめていた。


「…………」


やばい。

さすがに恥ずかしい。


私は何事もなかったような顔を作ると、

背筋だけはピンと伸ばしたまま、

ゆっくりと社長室へ戻っていった。

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