11/17
第11話 私は迷わず自分のデスクを社長室へ戻した
このままじゃまずい。
せっかく手に入れた最高にラクな仕事を失うわけにはいかないし、
私は将来ものんびり気ままに暮らしていきたい。
そのためにも――
私と蓮は、生まれて初めて意見が一致した。
勤務中は、絶対に別行動しない。
プライベートでは、お互いの生活に干渉しない。
この二つを、お互いのルールにした。
私はこれまで、蓮を避けるために社長室からできるだけ離れた席を確保していた。
顔を合わせないよう、物理的な距離まで徹底していたくらいだ。
でも今は違う。
私は迷わず自分のデスクを社長室へ戻した。
誰もいなくなると、
私は社長席から立ち上がり、
「はい、社長。」
そう言って席を蓮へ譲る。
仕方ない。
上場企業を一社まるごと経営するなんて、
私には分からないし、
できないし、
そもそも覚える気もない。
普段は余裕そうな顔をしているけれど、
本当は毎日、内心びくびくだ。
自分の何気ない一言や判断一つで、
会社の未来が変わってしまうんじゃないか。
そんなことばかり考えてしまう。
……プレッシャーが重すぎる。




