鉄の人形④
「レテ!」
ログが駆け出す。
《崩槌》で腕を受け止めるが、勢いを殺し切れない。
「ぐっ……!」
靴底が地面を削る。
「ログ!」
「いいから、下がれ!」
ログは歯を食いしばり、鉄人形の腕を押し返す。
ユノの赤く染まった瞳が、露出した内部を見据えた。
「ログ先輩!」
「なんだ、糸目!」
「首の奥です! 小さな熱源があります!」
「そこを壊せばいいんだな!」
「はい!」
ログが口元を吊り上げる。
「分かりやすくて助かるぜ!」
鉄人形の腕を弾き、《崩槌》を大きく振りかぶった。
「スミスマン、待て!」
アーヴェルの声が飛ぶ。
ログは寸前で動きを止めた。
「隊長?」
「正面からでは届かん。俺が開ける」
「はい!」
アーヴェルが一歩踏み込む。
《不落》を下から振り上げ、鉄人形の顎へ叩き込んだ。
巨体が仰け反り、首の奥が大きく露出する。
「今だ、スミスマン!」
「はい!」
ログが地面を蹴った。
両手で《崩槌》を握り、剥き出しになった熱源へ振り下ろす。
「おおおおっ!」
鈍い衝撃音が響いた。
内部の光が激しく明滅する。
次の瞬間。
胸元の赤い光が消え、鉄人形の身体から力が抜けた。
巨体が地面へ崩れ落ちる。
土煙が舞い上がった。
「一体……!」
レテが息を整えながら呟く。
だが、残る六体は止まらない。
倒れた仲間を踏み越え、再びこちらへ迫ってくる。
ユノが《灯環》を握り直した。
「アーヴェル隊長」
「どうした、フェルメル」
「《火眼》を維持したまま、弱点を伝えます」
「できるのか」
「少し目が疲れる程度です」
ユノはいつもの笑みを浮かべる。
「このくらいなら、問題ありません」
ログが《崩槌》を肩へ担いだ。
「無理して倒れんなよ、糸目」
「ログ先輩に心配されるとは思いませんでした」
「心配じゃねぇ。倒れたら面倒だって言ってんだ」
「素直じゃありませんね」
「うるせぇ!」
「二人とも、来ます!」
レテの声に、全員が前を向く。
アーヴェルが《不落》を構え直した。
「残り六体」
低い声が響く。
「同じように崩す。フェルメルは弱点の指示。スミスマンは《脆化》。オーズィラが装甲を破れ」
「はい!」
「はい!」
「任せてください、アーヴェル隊長」
六体の鉄人形が、一斉に腕を振り上げた。




