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精霊達の忘れ物  作者: 粉砕のじゅんこ
工場国家ヴォルグ編

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鉄の人形③


「スミスマン、オーズィラ。聞いたな」


「はい!」


「はい!」


「俺が正面を抑える。二人は背後へ回れ」


 アーヴェルが《不落》を構え、真正面から駆け出した。


 七体の鉄人形も、地面を揺らしながら前へ出る。


 最前列の一体が、巨大な拳を振り上げた。


 アーヴェルは避けない。


 《不落》を横薙ぎに振るい、正面から拳へ叩きつけた。


 轟音が響く。


 鉄と鉄がぶつかり合い、火花が飛び散った。


 鉄人形の巨体が、僅かに後ろへ傾く。


「今だ!」


「はい!」


 ログとレテが左右へ散った。


 しかし、二人の動きを追うように、鉄人形の頭部が回転する。


「こいつ、後ろも見えてやがるのか!」


 ログが《崩槌》を振り抜く。


 鉄人形は振り返ることなく、背後へ腕を回した。


 《崩槌》と腕が激突する。


 重い金属音とともに、ログの身体が弾き返された。


「スミスマン!」


「大丈夫です、隊長!」


 ログは地面を滑りながらも踏みとどまる。


 隣では、レテが《水凪》を振るっていた。


「《水刃》!」


 水の刃が、鉄人形の首の後ろへ飛ぶ。


 だが、別の一体が割り込み、その身で水刃を受け止めた。


 ガギンッ。


 水刃は装甲に弾かれ、飛沫となって散った。


「守り合っている……!」


 レテが驚いて足を止める。


「止まるな、オーズィラ!」


「はい!」


 アーヴェルが《不落》を振り上げる。


「《鋼刃連斬》」


 幾つもの鋼の刃が現れ、鉄人形たちへ襲いかかった。


 装甲を斬り裂くことはできない。


 それでも、次々と飛来する刃に動きを阻まれ、鉄人形たちの足が止まる。


「スミスマン!」


「はい!」


 ログが《崩槌》を地面へ突き立てた。


 片手を鉄人形へ向ける。


「《脆化》!」


 鈍い灰色の光が地面を走った。


 光は一体の足元から這い上がり、首の後ろへ集中する。


 金属の表面に、細かな亀裂が浮かび上がった。


「レテ!」


「はい!」


 ログが叫ぶ。


「今だ!」


 レテが地面を蹴った。


 鉄人形の間を抜け、狙いを定める。


 だが、別の一体が腕を振り上げ、レテの進路を塞いだ。


「させん!」


 アーヴェルが割って入る。


 《不落》で鉄人形の腕を受け止め、そのまま力任せに押し返した。


「オーズィラ!」


「《水刃》!」


 レテが《水凪》を振り抜く。


 細く研ぎ澄まされた水の刃が、亀裂の入った首の後ろへ直撃した。


 甲高い音。


 装甲が砕け、内部から火花が噴き出す。


「やりました!」


「まだです、レテ先輩!」


 ユノが《灯環》を掲げたまま叫ぶ。


「内部の熱が消えていません!」


 首の装甲を失った鉄人形が、身体を大きく捻る。


 その腕が、レテへ向かって振るわれた。

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