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精霊達の忘れ物  作者: 粉砕のじゅんこ


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ヴォルグへ③

 夜の街道を進みながら、アルトがふと思い出したように口を開いた。


「そういや、どうやって国境を越えるんだよ?」


 ガオンは振り返りもせず答える。


「商団かなんかの馬車に乗る。」


「乗せてもらえなかったら?」


「断らせない。」


「……無茶苦茶かよ。」


「はっ! 国境を越えられればいい!」


 あまりにも堂々と言い切るガオンに、アルトは深いため息をついた。


「はぁ……レテたちは何してんだろうなぁ。」


「まだ出発すらしてないはずだ。」


「そうなのか?」


「あいつらは正式な任務だ。準備も手続きも必要になる。」


「俺たちは何もしてないけどな。」


「だから速い。」


「威張ることじゃないだろ。」


 アルトが呆れながら前を向く。


 その時だった。


「ん?」


 街道の先に、いくつもの影が見えた。


 荷台を引く馬車。


 その周囲を歩く護衛らしき人影。


 風に揺れる商会旗。


 アルトが目を見開き、指を差す。


「おい! あれ!」


 ガオンもすぐに気づいた。


 口元を吊り上げ、短く笑う。


「はっ!」


 次の瞬間、地面を強く蹴った。


「追いつくぞ!」


「待てよ!」


 ガオンの赤い髪が夜風になびく。


 アルトも慌てて、その背中を追いかけた。

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