剛力と連撃
◇
ドゴォォンッ!
石畳が砕けた。
巨大な戦槌が地面を打つ。
破片が跳ねる。
「ガッハッハッハ! ちょこまか動きやがる!」
第三騎士団長。
《破城》ダリウス・ハイゼン。
手には巨大な戦槌。
分厚い槌頭に、無数の突起が並ぶ。
城壁さえ砕く威容だった。
「おいおい! あんなの食らったら、ひとたまりもねぇだろ!」
ゲンザは笑い、後ろへ跳んだ。
両手には橙色の双短棍《虎鉄》。
《ルイナ》に比べれば、あまりに小さい。
だが、握る腕は太い。
鍛え抜かれている。
「なら、大人しく潰されろ!」
「ガッハッハ! 冗談じゃねぇ!」
ゲンザが踏み込んだ。
右の短棍を振る。
脇腹を狙う。
ダリウスが柄を下げた。
ガンッ!
短棍が柄を打つ。
ゲンザは止まらない。
左の短棍を振り上げる。
狙いは顎。
「ぬおっ!」
ダリウスが身を反らす。
短棍が鼻先を掠めた。
ダリウスはそのまま戦槌を振る。
ブォォンッ!
「おっと!」
ゲンザが沈む。
槌頭が頭上を抜けた。
風圧が髪を揺らす。
ゲンザは踏み込んだ。
短棍を突き出す。
狙いは腹。
ドンッ!
「ぐっ!」
鈍い音が響く。
ダリウスの巨体が揺れた。
だが。
「ガッハッハッハ!」
ダリウスは笑った。
「いい腕してるじゃねぇか!」
「そりゃどうも!」
ゲンザも笑う。
ダリウスが《ルイナ》を振り上げた。
ゲンザが構える。
振り下ろす。
ドガァンッ!
ゲンザは横へ跳んだ。
地面が陥没する。
ダリウスは戦槌を止めない。
柄を握り直す。
槌頭を引きずり上げる。
石片が舞う。
「ぬおおっ!」
下から振り上げた。
「うおっ!」
ゲンザは腕を交差する。
ガギィィンッ!
二本の《虎鉄》が《ルイナ》を受けた。
衝撃が腕を貫く。
ゲンザの身体が飛ぶ。
ザザザッ!
靴底が石畳を削る。
数歩下がる。
ゲンザは踏み止まった。
「……へぇ」
短棍を見下ろす。
腕が痺れていた。
「とんでもねぇ馬鹿力だな」
「ガッハッハッハ! お前もなかなかやるじゃねぇか!」
ダリウスは戦槌を肩に担いだ。
「名前は何てんだ!」
「ゲンザだ!」
「そうか! 俺はダリウス・ハイゼンだ!」
「知ってるぜ! 騎士隊隊長様だろ!」
「ガッハッハッハ! なら話が早ぇ!」
ダリウスが《ルイナ》を構える。
「遠慮はいらねぇ! 全力でかかってこい!」
ゲンザが笑った。
「……いいねぇ」
両手の《虎鉄》を打ち鳴らす。
カンッ!
「そういうのは嫌いじゃねぇ!」
次の瞬間。
二人が同時に地面を蹴った。
ドゴォォンッ!
戦槌と双短棍がぶつかる。
轟音が響き渡った。




