↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
精霊達の忘れ物  作者: 粉砕のじゅんこ
休暇

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

613/672

相手の得意を---

     ◇ ◇ ◇


 ――王都エルディア。


 大通りから離れた自然公園。


 王都の中でも緑の多いこの場所には、祭りの喧騒もほとんど届かない。


 聞こえるのは。


 風に揺れる木々の音と。


 二人の戦いが生み出す激しい衝撃音だけ。


「へっ!」


 フィリアは。


 血の滲む右肩を押さえながら笑った。


「上等だいっ!」


「……まぁ、いいけど」


 セラは。


 相変わらず眠たそうな目で《白鶴》を構える。


「ヒバリ」


 フィリアが。


 自分の周囲を飛ぶ精霊へ目を向けた。


「遠慮はなしだよ?」


「…………」


 ヒバリが。


 心配そうにフィリアの周囲を飛び回る。


 右肩。


 全身に刻まれた傷。


 荒くなった呼吸。


 そんなフィリアを見て。


 ヒバリはすぐには応えなかった。


「大丈夫!」


 フィリアが笑う。


「……それぐらいしないと、勝てないから」


「…………」


 その言葉に。


 ヒバリが小さく羽ばたいた。


「……はぁ」


 セラが溜息を吐く。


「さっさと来れば?」


「……っ」


 フィリアの眉が跳ねる。


「ムカつく!」


 風が。


 フィリアの背後へ集まる。


「――《旋翼》!」


 ゴォッ‼︎


 背中で。


 二つの風の渦が激しく回転を始めた。


 さらに。


「《追い風》!」


 背中を押す風。


「《地風》!」


 足元から吹き上げる風。


 三つの風が。


 フィリアの身体を包み込む。


「……それは」


 セラが僅かに目を細める。


「さっき見た――」


「――でしょ!」


 ドンッ‼︎


「……!」


 フィリアが消える。


 いや。


 違う。


 飛び出した。


 だが――。


「…………?」


 先ほどとは違う。


 真っ直ぐではない。


 右へ。


 左へ。


 急上昇。


 そこから一気に落ち。


 また横へ。


 《追い風》と《地風》。


 さらに《旋翼》。


 それぞれの風を細かく変化させながら。


 フィリア自身ですら次の位置を読ませないような。


 歪で。


 乱れた軌道。


「合わせられるなら――」


 フィリアが。


 セラの頭上へ跳ね上がる。


「合わせてみろ!」


「…………」


 セラが。


 初めて。


「……ふふふ」


 笑った。


「⁉︎」


「それで」


 《白鶴》が動く。


「どうにかできると思ったの……?」


「あはは」


「――っ!」


 フィリアの顔が引き攣る。


「だったら――!」


 空中で。


 身体を捻る。


 《旋翼》が唸り。


 風が。


 右脚へ集中する。


 そして。


 雷が落ちるように。


 セラの頭上へ。


 踵を振り下ろした。


「――《風雷》‼︎」


 ドォォォン‼︎


「……私の回転は」


 セラが。


 《白鶴》の柄を横へ構える。


 ガァン‼︎


「その程度じゃ破れない‼︎」


「ぐっ……!」


 踵を。


 《白鶴》の柄が受け止める。


 次の瞬間。


 セラの身体が。


 縦へ回った。


「――⁉︎」


 フィリアの脚を受け止めた力すら。


 その回転へ乗せて。


 《白鶴》が。


 円を描く。


「……終わり」


 振り下ろされる。


「――っ!」


 ドゴォン‼︎


「ぐぅっ!」


 地面へ叩きつけられる。


 土が弾け。


 フィリアの身体が地面を跳ねた。


「……終わ――」


「――《風流》」


「……?」


 倒れたまま。


 フィリアが。


 片手を地面につく。


「《逆渦》‼︎」


 ゴォォォッ‼︎


「……⁉︎」


 風が。


 セラを包んだ。


 ただの突風じゃない。


 回る。


 セラが身体を回していた方向とは――。


 真逆へ。


「これは……」


 セラの回転へ。


 反対方向から風が噛みつく。


 回転が。


 一瞬だけ。


「――っ」


 止まった。


 その瞬間。


 フィリアが顔を上げる。


「相手の得意を――」


「……!」


「潰すんでしょっ!」


 その手には。


 すでに《遠音》。


 弦へ。


 指を掛ける。


「――《彼方音》!」


 ポロン――。


 ポロン――。


「……っ!」


 響いた音が。


 空気を震わせる。


 次の瞬間。


 ドンッ‼︎


「うっ……!」


 音が。


 衝撃となって。


 回転を止められたセラへ。


 真正面から襲いかかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。