夜に向かって
ユノが。
ふと。
行き交う人々へ目を向ける。
「そういえば……」
「帯刀している人が多いですね?」
「ん?」
ログも。
周囲を見渡した。
「あぁ」
「剣だけじゃねぇな」
「槍やら斧やら……色々いるな」
「でも……」
レテが。
腰に剣を提げた男を目で追う。
「兵士というわけでもなさそうですね」
「あぁ」
アルトが。
何気なく答えた。
「スパーナは旅人の帯刀も許されてんだぞ」
「そうなのですか?」
「ああ」
ガオンも。
アルトの言葉に頷く。
「他国から来た者でも、武器を持ったまま王都へ入れる」
「へぇ」
ユノが。
感心したように頷いた。
「国によって随分違うものですねぇ」
「ガイストは武器預けなきゃだからな!」
アルトが。
けらけらと笑う。
「俺なんか初めてジーアス入った時」
「棒取られた上に折られたからな!」
「…………」
レテが。
アルトを見る。
「あぁ……」
「確かに」
少しだけ。
懐かしそうに目を細める。
「長い棒を持ってましたね」
「だろ?」
「…………」
レテが。
小さく笑った。
「ほんの数ヶ月前なのに」
「なんだか懐かしいですね」
「…………」
アルトも。
少しだけ考える。
あの頃は。
今みたいに。
こうして皆で旅行するなんて。
考えたこともなかった。
「――みんな早く!」
「ん?」
前方から。
ヒルトの声が飛んでくる。
「甘いものだよ!」
いつの間にか。
ヒルトは。
菓子を並べた露店の前まで行っていた。
「肉……」
その隣。
フィリアだけが。
どこか寂しそうに呟く。
「まだ言ってるの?」
「だってぇ……」
「あっ!」
ヒルトが。
別の店を指差す。
「ユノくん!」
「麺もあったよ!」
「…………!」
ユノの顔が。
ぱっと明るくなる。
「やった!」
次の瞬間。
駆け出した。
「うぉ!」
ログが。
目を丸くする。
「はや……」
「ははは!」
アルトが。
楽しそうに笑う。
「ユノ、めちゃくちゃ食いたかったんだな!」
「旅先の麺は重要ですからねぇ!」
遠くから。
ユノの声が返ってくる。
「走りながら言うなよ!」
ログが笑う。
「ほら!」
アルトも。
前へ駆け出す。
「俺たちも行こうぜ!」
「アルトくん!」
「走らないでください!」
レテの声を背に。
アルトは。
白い石畳を蹴った。
笑い声と。
音楽と。
美味しそうな匂い。
祭りを待つ王都を。
七人は。
まだまだ楽しみ尽くすつもりだった。




