↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
精霊達の忘れ物  作者: 粉砕のじゅんこ
休暇

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

556/673

夜に向かって

    ◇ ◇ ◇


「おぉー!」


 アルトが。


 店先へ駆け寄る。


「なんだこれ!」


「アルトくん!」


 レテが。


 慌てて後を追う。


「急に走らないでください!」


「見ろよ、レテ!」


「剣がいっぱいある!」


「聞いてますか⁉︎」


 そこは。


 大通りに面した。


 一軒の武具店。


 店先には。


 大小様々な剣が並んでいた。


「うおぉ……」


 アルトの隣。


 ログも。


 目を輝かせる。


「いいな……」


「ログまで……」


 レテが。


 小さく息を吐く。


「へぇ」


 ガオンが。


 一本の剣を眺める。


「やはりスパーナは剣が多いな」


「騎士の国だもんね」


 ヒルトも。


 店先を覗き込む。


「ガイストとは結構違うね」


「…………」


 アルトが。


 一本。


 また一本と。


 剣を眺めていく。


「これ細いな!」


「こっちは短い!」


「こっちなんか盾まであるぞ!」


「アルト」


 ログが。


 呆れたように笑う。


「武器屋なんだから、そりゃあるだろ」


「でもこんなにいっぱいあるんだぞ!」


「まぁ、それは分かる」


「でしょ?」


「…………」


 フィリアが。


 そんな二人を眺める。


「男の子って」


「こういうの好きだよねぇ」


「フィリアは興味ないの?」


 ヒルトが尋ねる。


「ない!」


「即答なんだ」


「武器より――」


 フィリアの鼻が。


 ぴくりと動いた。


「…………」


「肉」


「また?」


「ヒール」


「なに?」


「あっちからいい匂いする」


「さっき食べたよね?」


「それとこれとは別!」


「別じゃないよ」


「行ってくる!」


「待って!」


 走り出そうとした。


 フィリアの服を。


 ヒルトが掴む。


「ぐえっ」


「勝手に行かない」


「離してぇ!」


「迷子になるでしょ」


「ならない!」


「アルトと同じこと言ってるよ」


「誰がアルトだ!」


「俺⁉︎」


 アルトが。


 勢いよく振り返った。


「なんで俺が出てくんだよ!」


「ほら」


 ヒルトが。


 フィリアを見る。


「そっくり」


「…………」


「…………」


 アルトとフィリアが。


 顔を見合わせる。


「似てない!」


「似てねぇ!」


「そこまで一緒……」


 ヒルトが。


 苦笑した。


「ところで」


 ユノが。


 辺りを見渡す。


「僕の麺料理はどこでしょうか」


「知らねぇよ」


 ログが。


 剣から目を離さず答える。


「まだ探してたのか」


「もちろんです」


「諦めろよ」


「嫌です」


「妙なところで頑固だな」


「旅先の麺は重要ですからねぇ」


「何が重要なんだよ」


「文化です」


「絶対食いてぇだけだろ」


「否定はしません」


「…………」


 そんなやり取りをしながら。


 一行は。


 再び大通りを進んでいく。


 土産物を並べる店。


 色鮮やかな布を吊るした露店。


 花で飾られた窓辺。


 路上では。


 楽器を奏でる者たちを囲み。


 子どもたちが。


 楽しそうに踊っている。


「…………」


 アルトは。


 右を見て。


 左を見て。


 また右を見る。


「すげぇな!」


「さっきからそればっかりですね」


 レテが。


 くすっと笑う。


「だってすげぇんだもん!」


「ふふっ」


「そうですね」


 レテも。


 白い街並みを見渡す。


「私も」


「来てよかったです」


「だろ!」


「なぜアルトくんが得意そうなんです?」


「分かんねぇ!」


「分からないんですか……」


「レテ!」


「はい?」


「次あっち行こう!」


「はいはい」


 アルトが。


 人混みの先を指差す。


 その向こう。


 白い建物の間から。


《追憶の白塔》が。


 空高く伸びている。


 夜には。


 あの場所で。


《継剣の儀》が行われる。


 だが。


 今のアルトの頭にあるのは。


「なんか甘い匂いする!」


「肉じゃないんだ」


 フィリアが。


 少し残念そうに呟く。


「甘いの⁉︎」


 今度は。


 ヒルトが反応した。


「あ」


 ログが笑う。


「こっちも食いついた」


「いいでしょ、別に!」


「行こうぜ!」


「うん!」


「ちょっと待ってください!」


 また走り出した二人を。


 レテが追いかける。


「…………」


 ガオンが。


 その背中を眺める。


「騒がしいな」


「ですねぇ」


 ユノが。


 いつもの笑みを浮かべる。


「でも」


「旅行らしくていいんじゃないですか?」


「…………」


 ガオンが。


 小さく笑った。


「そうだな」


 祭りを待つ王都に。


 七人の笑い声が。


 賑やかに溶けていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。