↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
精霊達の忘れ物  作者: 粉砕のじゅんこ
休暇

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

555/674

警戒任務②

     ◇ ◇ ◇


 三人は。


 再び。


 王都の大通りを進んでいた。


「ふぁ〜……」


 ノエルが。


 大きな欠伸をする。


「退屈だなぁ」


「警戒任務中だぞ」


 リオネルが。


 呆れたように言う。


「分かってますよ」


 ノエルは。


 両手を頭の後ろで組む。


「何も起きないんだから、退屈なものは退屈です」


「何も起きないことが一番なのだが…」


「真面目だなぁ」


 ノエルが。


 隣を歩くセリオを見る。


「セリオさん」


「あ?」


「また手合わせしてくださいよ」


「嫌だ」


「なんで?」


「嫌だから」


「…………」


 ノエルが。


 セリオの横顔を見る。


「あー」


「分かった」


「何がだよ」


「負けるの怖いんだぁ?」


「ノエル」


 リオネルが。


 すぐに止める。


「やめろ」


「てめぇ!」


「あー……」


 リオネルが。


 頭を抱えた。


「いいよ!」


 セリオが。


 ノエルを指差す。


「やってやんよ!」


「ギタギタのメタメタにしてやんよ!」


「…………」


 ノエルが。


 目を丸くする。


「ギタギタのメタメタって」


「本当に言う人いるんだぁー」


「てめぇ……!」


「セリオ殿」


「止めんな、リオ!」


「まだ何も言っていません!」


「つーか!」


 セリオが。


 ノエルを見下ろす。


「俺は精霊術使ってねぇんだよ!」


「分かる?」


「本気じゃないの!」


 わざと。


 腰を屈める。


「分かるかなー?」


「おチビちゃんに」


「…………」


 ノエルの笑顔が。


 消えた。


「今なんつった?」


「あ?」


 セリオが。


 にやりと笑う。


「お・ち・び」


「…………」


 ノエルの手が。


 剣の柄へ伸びる。


「あーもう無理」


「斬る」


「絶対斬る」


「やれるも――」


「――――‼︎」


 セリオの表情が。


 一瞬で変わった。


 何か。


 今。


 何かが――。


「《飛燕》‼︎」


 ――キィン!


 二振りの双剣が。


 両手へ現れる。


「っ⁉︎」


 リオネルも。


 即座に剣を抜く。


 もう片方の手には。


 盾。


「…………」


 ノエルも。


 剣の柄を握ったまま。


 周囲を見渡した。


 先ほどまでの。


 ふざけた空気は。


 完全に消えている。


「……なーんか」


 ノエルが。


 目を細める。


「今、やばいの感じませんでした?」


「…………」


 祭りを前にした。


 大通り。


 笑い声。


 呼び込み。


 楽器の音。


 行き交う人々。


 何も。


 変わっていない。


「……気のせいか?」


 リオネルが。


 小さく呟く。


「…………」


 セリオは。


 答えない。


 双剣を構えたまま。


 人混みの向こうを睨む。


 ほんの一瞬。


 だった。


 だが。


 確かに。


 何かを感じた。


「……チッ!」


 セリオが。


 舌打ちする。


「なんだよ……」


「セリオ殿も感じましたか?」


「ああ」


「一瞬だけな」


「僕もです」


 ノエルが。


 いつもの生意気な笑みを消したまま。


 辺りを見渡す。


「…………」


 リオネルが。


 ゆっくりと剣を下ろした。


「ノエル」


「はい」


「念のため」


「隊長たちの耳に入れておいてくれ」


「分かりました」


「…………」


 セリオが。


 もう一度。


 気配を感じた方角へ目を向ける。


 だが。


 もう。


 何も感じない。


「…………」


 気のせい。


 そう片付けるには。


 嫌な感覚だけが。


 妙に残っていた。


     ◇ ◇ ◇


「いや」


 白い髪の男が。


 小さな丸眼鏡を押し上げる。


「普通気づくか、あれ?」


 人通りから外れた。


 細い路地。


 フーガが。


 困ったように頭を掻く。


「一瞬やぞ?」


「なんやねん、もう……」


「フーガ」


 壁に背を預け。


 セラが。


 眠そうな目を向ける。


「殺気隠すの下手……」


「俺のせい⁉︎」


「フーガのせい」


「なんでや!」


「ケッ!」


 酒瓶を片手に。


 ドーマが鼻を鳴らす。


「こそこそせずに」


「さっさと終わらせりゃいいんだよ!」


「……うるせぇ」


 バルドが。


 猫背のまま。


 ドーマを見る。


「酒くせぇぞ……」


「あぁ⁉︎」


 ドーマの眉が。


 跳ね上がる。


「てめぇに関係ねぇだろ!」


「……くせぇもんは、くせぇんだよ」


「やんのか⁉︎」


「……うるせぇな」


「て言うか」


 エルネが。


 小さく息を吐く。


「君たち全員うるさいよ?」


「自覚ある?」


「そうっすよ!」


 ミュゼが。


 すぐに乗っかる。


「さっきから声でかいんすよ!」


「お前もや」


 フーガが。


 即座に返す。


「え⁉︎」


「ミュゼも大概やで?」


「俺もっすか⁉︎」


「ガッハッハ!」


 ゲンザが。


 豪快に笑う。


「確かにな!」


「ゲンさんが一番うるさいっす!」


「そうか!」


「褒めてないっすよ!」


「ガッハッハ!」


「だから声でかいっすって!」


「…………」


 その横で。


 ゴートーは。


 フーガに持たされた布包みを片手に。


 黙って立っている。


「…………」


 フーガが。


 ゴートーを見る。


「…………」


「ゴートーさん」


「…………」


「なんか喋れや」


「…………」


 少し。


 間が空く。


「……何を?」


「知らんわ!」


「聞いたフーガが悪い」


 セラが。


 ぼそりと言う。


「セラまで⁉︎」


「眠い……」


「知らんがな!」


「…………」


 エルネが。


 路地の外へ視線を向ける。


「それで?」


「気づかれたみたいだけど」


「どうする?」


「別にええよ」


 フーガが。


 丸眼鏡を。


 指先で押し上げる。


「なんかおるって気づいただけや」


「俺らやとは分かってへん」


「ケッ」


 ドーマが。


 酒を煽る。


「だからよぉ」


「今行ってさっさと終わらせりゃいいだろ」


「それじゃ意味ないやろ」


 フーガが。


 笑う。


「せっかく来たんや」


「ちゃんと見せてもらわんとな」


「…………」


 丸眼鏡の奥。


 細められた瞳が。


 人混みの先へ向けられる。


「アルトが」


「どんだけ強うなったんか」


「それと――」


 口元が。


 僅かに吊り上がる。


「今の仲間が」


「どんだけやれるんか」


「…………」


 誰も。


 今度は。


 茶化さなかった。


「それにしても」


 フーガが。


 頭を掻く。


「ガイスト最強か」


「やっぱ」


「ええ勘しとるなぁ」


「だから言った」


 セラが。


 小さく欠伸をする。


「フーガが下手……」


「まだ言う⁉︎」


「事実」


「俺、隊長やぞ⁉︎」


「知ってる」


「もうちょい敬って⁉︎」


「やだ」


「即答⁉︎」


「ガッハッハ!」


「ゲンザさん!」


「そこで笑うとこちゃうから!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。