色々終わる②
施設へ戻ると。
「おかえりなさーい!」
「おかえり!」
リズちゃんとラズ君の声が飛んできた。
「ただいま」
「お邪魔します」
僕に続いてユノ君が入ってくる。
「あ! 糸目!」
ニカが指を差した。
「こんにちは。話がわかる糸目です」
「おぉ!」
「その呼び方やめなさい!」
サーヤがニカの頭を小突く。
「痛ぇ!」
「ユノさん、すみません……」
「もう慣れました」
「早くない?」
まだ会って一時間も経ってないと思う。
「あら」
奥からルナさんが顔を出した。
「おかえりなさい。そちらの方は?」
「ユノ・フェルメルです。ヒルトさんと同じガイスト軍に所属しています」
ユノ君が軽く頭を下げる。
「まぁ。ヒルトのお友達?」
「後輩だよ」
「お友達です」
「どっちでもいいじゃないですか」
「いや、まぁ……いいけど」
ルナさんは嬉しそうに手を合わせる。
「ちょうど良かったです。ユノさんも食べていってください」
「はい。ヒルトさんに誘っていただいて」
「それは助かります」
「……助かる?」
ユノ君が僕を見る。
僕は目を逸らした。
「…………」
「ヒルトさん?」
「なんでもないよ」
「さぁ、もうすぐできますから。座って待っていてください」
ルナさんが奥へ戻っていく。
その背中を見送り。
「…………」
僕は静かに立ち上がった。
「ヒルトさん?」
「ユノ君」
「はい?」
「手伝おう」
「え? でも、待っててって」
「手伝おう」
「…………」
「絶対に」
「なんでそんな必死なんですか?」
知らないからだ。
あの人の料理を。
「ヒルト兄ちゃん!」
ニカが僕の袖を引っ張る。
振り向くと。
さっきまであれだけ騒がしかったニカが、妙に真剣な顔をしていた。
「……俺も手伝う」
「ニカ……」
「俺、皿出す」
「うん」
肩に手を置く。
「頼んだ」
「任せろ」
「…………」
ユノ君が僕たちを交互に見る。
「何が始まるんですか?」
「夕食の準備だよ」
「それだけには見えないんですけど……」
「気のせい」
「サーヤ!」
ニカが叫ぶ。
「野菜は⁉︎」
「もう切ってある!」
「リズ!」
「なに⁉︎」
「ラズを台所に近づけんな!」
「わかった!」
「ラズもやる!」
「ダメ!」
「なんでぇ!」
突然慌ただしくなる施設内。
ユノ君だけが取り残されたように立っている。
「……戦でも始まるんですか?」
「ユノ君」
「はい?」
「ここからは時間との勝負だから」
「何と戦ってるんです?」
その時。
「ヒルトー!」
台所からルナさんの声。
「はーい!」
「せっかくですから、今日は私が腕によりをかけますね!」
「…………」
室内が静まり返った。
ニカの顔から血の気が引く。
サーヤの手が止まる。
リズがラズを抱きしめた。
「……ヒルトさん?」
ユノ君が小声で聞いてくる。
「もしかして」
「うん」
僕も小声で答えた。
「ルナさん、料理が壊滅的に下手なんだ」
「…………」
「だからお願い」
ユノ君の両肩を掴む。
「僕たちを助けて」
「僕、支援術師なんですけど」
「今ほど頼もしいと思ったことないよ」
「何を支援すればいいんですか⁉︎」




