↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
精霊達の忘れ物  作者: 粉砕のじゅんこ
休暇

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

491/686

お墓参り

◇ ◇ ◇


 ヒルトさんと別れ、僕は一人で墓地へ向かう。


 ……つもりだったのだけれど。


「…………」


 ふと、足を止めた。


(あ、花ぐらい用意した方がいいか)


 何も持たずに来てしまった。


 別に、あいつらなら気にしないだろうけど。


 僕が気になる。


「確か、近くに商店があったな……」


 以前来た時の記憶を辿り、来た道を引き返す。


 すると。


 先ほどヒルトさんが入っていった建物の扉が勢いよく開いた。


「早くしろよー!」


 一番に飛び出してきたのは、一人の男の子。


 十二歳くらいだろうか。


 少し癖のある焦げ茶色の髪に、勝ち気そうな琥珀色の瞳。


 細身だけれど、日に焼けた手足には擦り傷がいくつもあって、いかにも外を走り回るのが好きそうな子だ。


「ニカ! 勝手に先に行かないの!」


 その後を追ってきたのは、彼より少し年上の女の子だった。


 長い栗色の髪を低い位置で一つに結び、落ち着いた青灰色の瞳をしている。


 年は……僕とそこまで離れていない。


 十六歳くらいかな。


 大人びた顔立ちをしているけれど、腰に手を当てて男の子を叱る姿は、どこか姉のようにも見えた。


「だってパチパチ飴三つだぞ! 売り切れたらどうすんだよ!」


「売り切れないから!」


「わかんねぇだろ!」


「もう……!」


 その二人に続いて、小さな女の子が出てくる。


「ラズ、ちゃんと手つないで!」


「おかしー!」


「走っちゃダメ!」


 七歳くらいの女の子。


 肩にかかるくらいの淡い茶色の髪と、大きな緑色の瞳。


 その小さな手が、さらに幼い男の子の手をしっかり握っている。


 男の子は四歳くらいだろう。


 女の子とよく似た淡い茶色の髪。


 瞳の色も同じ緑色で、顔立ちまでどことなく似ている。


 きょうだいかな。


「サーヤ! ラズが走る!」


「リズ、そのまま手を離さないでね!」


「うん!」


「おかし! おかし!」


「ラズ! 引っ張らないの!」


「…………」


 随分と賑やかだ。


 さっきまで静かだった道が、一瞬で騒がしくなった。


 それにしても。


(ヒルトさん、あの子たちと一緒に暮らしてたのか)


 なんだか少し意外だった。


 軍にいる時のヒルトさんしか知らない僕には、どうにも想像がつかない。


「ん?」


 先頭を歩いていた男の子――ニカと呼ばれていた子が、こちらに気づいた。


「…………」


「…………」


 目が合う。


 ニカ君が僕をじっと見る。


 そして。


「……誰だ?」


「ニカ! 知らない人にそんな言い方しないの!」


「だって知らねぇもん!」


 女の子――サーヤさんもこちらを見る。


「すみません。この子、失礼で……」


「いえ、大丈夫ですよ」


 僕は笑って首を振る。


「僕はユノ・フェルメル。ヒルトさんと同じ、ガイスト軍の者です」


「ヒルト兄ちゃんの?」


 ニカ君の目が、一気に変わった。


「はい」


「じゃあ強ぇの?」


「ニカ!」


「…………」


 どうしてヒルトさんの知り合いだと、そこに繋がるんだろう。


「さぁ……どうでしょう?」


 僕が笑うと。


 ニカ君は、ますます興味深そうに僕を見上げてきた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。