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精霊達の忘れ物  作者: 粉砕のじゅんこ
休暇

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休みの予定

「以上だ。解散しろ」


「はい!」


 私たちは揃って返事をすると、部屋を後にした。


 廊下へ出た途端。


「休暇かぁー! 何しよう……」


 アルトくんが腕を組み、早速悩み始める。


「お前、実家どこなんだよ?」


 ログが何気なく尋ねた。


「実家ぁ……」


 アルトくんが首を傾げる。


「……ない?」


「なんだそれ……」


「いや、ないんだから仕方ないだろ」


「じゃあ十日間どうすんだよ」


「まぁ、ジーアスの街を探検するよ。まだ行ったことないところいっぱいあるし!」


「…………」


 ログがアルトくんを見る。


 少し考えたあと。


「……うち来るか?」


「え?」


「全日とは言わねぇけど、何泊か……」


 次の瞬間。


「いいの⁉︎」


「うぉ!」


 勢いよく顔を近づけられ、ログが仰け反る。


「いいけど、期待すんなよ? 普通の鍛冶屋だからな」


「行く!」


「はえぇよ……」


 呆れながらも、ログは少し嬉しそうだった。


「ヒルト! お前は? 来るか?」


「行きたいけど……」


 ヒルトは少し考えてから、申し訳なさそうに笑った。


「ちょっと施設の方に顔出すから、またの機会に行くよ」


「りょーかい!」


 ログが頷き、今度はアルトくんを見る。


「じゃあアルト、荷物まとめて来い。うちはジーアスにある鍛冶屋だから、そんな遠くねぇぞ」


「分かった!」


「あ、あと《砕》も持って来い。ついでにメンテナンスしてやるよ」


「マジで⁉︎」


「ああ」


「すぐ行く!」


「待て待て、今から走んな!」


 飛び出そうとしたアルトくんの襟を、ログが慌てて掴んだ。


「三十分後、ここで待ち合わせな」


「分かった!」


「あ! ちょっといいですか?」


 そのまま別れそうになったみんなを、私は慌てて呼び止めた。


「ん?」


「どうしたの?」


「実は、今朝こんな手紙が届いたんです」


 私はリオネルさんから届いた手紙のことを話した。


 スパーナで、もうすぐ王国祭が開かれること。


 そして。


 都合が合うのなら、私にも来てほしいと書かれていたこと。


「それで……せっかく十日もお休みがありますし、行ってみようかなって」


「……これ、私たちも行っていいの?」


 フィリアが尋ねる。


「いいんじゃないですか?」


「…………」


 フィリアが少しだけ考える。


 けれど、すぐに表情を明るくした。


「……まぁ、いっか! 行きたい!」


「スパーナか……」


 ヒルトも考えるように呟く。


 そして、フィリアの方をちらりと見てから。


「うん。僕も行く」


「スパーナって言えば、刀剣類が盛んだからな!」


 ログが食いついた。


「俺も行く!」


 ……目的が違う気がします。


「スパーナ……」


 アルトくんも興味深そうに呟いた。


「ちゃんと行ったことはないから、俺も行きたい!」


「アルトさん、スパーナに行ったことが?」


 ユノくんが尋ねる。


「ちょっとな!」


「そうなんですね」


 ユノくんはそれ以上追及せず、今度は私を見る。


「僕も行っていいですか?」


「もちろん!」


 思いがけず、全員で行くことになってしまった。


 でも。


 なんだか、楽しそうです。


「じゃあ、全員ですね」


 私はみんなを見渡す。


「王国祭に合わせて行きましょう。スパーナまでは馬車で半日ほどですから……三日後の朝、噴水広場で待ち合わせでどうですか?」


「はーい!」


 みんなの声が重なった。


 三日後。


 スパーナ王国。


 それまでの三日間。


 まずは久しぶりの休暇を、それぞれ過ごすことになった。

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