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精霊達の忘れ物  作者: 粉砕のじゅんこ
休暇

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手紙

 ルミナスからガイストへ帰国して、数日が経った。


「レテちゃん! 手紙届いてたよ!」


 女子寮へ戻ったところで、寮母さんに呼び止められた。


「私にですか?」


「うん。はい、これ」


「ありがとうございます!」


 封筒を受け取り、自室へ向かう。


 今日はこのあと、軍から呼び出しがあった。


 ルミナスで負傷した私たちは、帰国してから事務仕事など、身体への負担が少ない仕事を割り振られている。


 私の怪我も、もうかなり良くなった。


 アルトくんも、セヴェルさんに教わったリハビリを毎日きちんとこなしているらしい。


 その甲斐もあって、身体の感覚はほとんど元に戻ったと聞いた。


 最初はちゃんとリハビリを続けられるのか少し心配だったけれど、意外と真面目にやっている。


 ただ。


 怪我とは別に、最近のアルトくんには大きな問題があった。


 ルミナスから帰還した私たちは、それぞれ今回の任務について報告書を提出した。


 当然、アルトくんもだ。


 そして、その報告書には――セブランとの戦いで、エーテルから力を借りたこと。


 精霊術のような力を使ったことも書かれていた。


 それを知ったミレイアさんが、飛びついた。


 文字通り。


「アルトくーん! 少しでいいから調べさせてー!」


 そんな声が軍の施設内に響くたび。


「絶対嫌だぁぁぁ!」


 アルトくんが逃げ回っている。


 最近では、ミレイアさんの姿を見ただけで隠れるようになったらしい。


 せっかく怪我が治ってきたのに、あんなに走り回って大丈夫なのだろうか。


 少し心配になる。


 ログはログで、最近ガオンに付き纏われていると話していた。


「なんか最近、ナーラ姫の話ばっかりされるんだよな……」


 本人は理由が分からないらしく、不思議そうに首を傾げていた。


 私にもよく分からない。


 フィリアとユノくんは、ルミナスでもほとんど怪我をしなかった。


 そのため今は、私たちの分まで巡回や当直を引き受けてくれている。


 二人には申し訳ないけれど、本当に助かっていた。


 パイルさんも、無事に家へ帰ったらしい。


 ただ。


 大怪我をして帰ったことで、奥さんにはとっても怒られたそうだ。


 この前顔を合わせた時には、


「いやぁ……しばらく頭が上がらないね」


 と困ったように笑っていた。


 なのに。


 なんだか、とても幸せそうだった。


「…………」


 でも。


 ルミナスから持ち帰ったものは、怪我や思い出だけではない。


 パイルさんが遭遇した、人喰らいのトンキー。


 ガオンが出会った、白い仮面と白いマントの少女。


 そしてロイド隊長が食糧庫で戦った、同じく白い仮面と白いマントの男。


 三人が同じ集団なのか。


 何を目的としているのか。


 そもそも、何者なのか。


 まだ分からないことばかりだ。


 ガイストでも、彼らについての調査が始まるらしい。


 そして、もう一つ。


 バルガス隊長は帰国してから、セヴェルさんに預けられたセトさんの手記を何度も読み返していると、ユノくんから聞いた。


 何か気になることでもあるのだろうか。


 そんなことを考えているうちに、自室へ着いた。


「ふぅ……」


 机の前に腰を下ろす。


 そこでようやく、寮母さんから受け取った封筒へ目を落とした。


「手紙……」


 誰かから手紙が届くなんて珍しい。


「誰からでしょう?」


 何気なく封筒を裏返す。


「…………」


 差出人の名前を見て。


 私は目を瞬いた。


「……リオネルさん?」

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