白き仮面
◇◇◇
ナーラたちと別れてから、少し離れた場所。
舞い上がっていた木の葉が静かに地面へ落ちる。
「とうちゃーく!」
ティアが両手を広げるように姿を現し、そのすぐ後ろへトンキーが降り立った。
「到着、ではありません。お嬢様」
「ん?」
「カンポス様を待たせていると申し上げたでしょう」
「あっ」
「忘れていましたね」
「忘れてないよ! ちょっとだけ頭から抜けてただけ!」
「それを忘れたと言うのです」
そんな二人の少し先。崩れかけた建物の上に、一人の男が腕を組んで座っていた。
「遅いぞ」
「カンポス!」
「我を待たせるとはいい度胸だな、ティア」
「ごめんってばー!」
カンポスは不満そうに鼻を鳴らす。
「して、あの幼子は?」
「無事だったよ! おねぇさんも一緒だったし!」
「そうか」
「すっごく強そうなおねぇさんだったよ! 近づいたら殺すって顔してた!」
「何故それを楽しそうに言うのです……」
トンキーが呆れたように息を吐いた。
だが、その表情が少しだけ真面目なものへ変わる。
「しかし……よろしいのですか?」
「なにがー?」
「エーテルだ」
答えたのはカンポスだった。
「トンキーが言うには、それについて何か知っていそうな者がいたと」
「あー……」
ティアは少しだけ考え込むように空を見上げる。
「うーん……いいんじゃない?」
「よろしいので?」
「だって、あるか無いかも分からない二つのうち、一つは見つけたしね!」
ティアはにっと笑った。
「星の語り手……」
トンキーが呟く。
「そ!」
ティアは人差し指を立てた。
「あとは運び手? それを見つけなきゃね!」
「うーむ!」
カンポスは腕を組んだまま大きく頷く。
「近いうちに見つかるだろう!」
「根拠はあるのですか?」
「ない!」
「…………」
「でも、カンポスのそういうのって結構当たるんだよねー」
「うむ!」
何故か自信満々に胸を張るカンポスを見て、トンキーは何も言わず目を細めた。
「あっ、そうだ!」
ティアが何かを思い出したように手を叩く。
「もう小鳥ちゃんのご飯の時間だしね!」
「あぁ、そうでした」
トンキーも思い出したように頷く。
「うむ。腹が減ると更にうるさいからな」
「急いで帰ろっか!」
「そうですね」
ティアがくるりと踵を返した。
次の瞬間。
ざぁっ――。
風が吹き抜け、大量の木の葉が三人を覆い隠す。
そして木の葉が地面へ落ちた時には。
そこに三人の姿はなかった。
残されたのは、静けさだけだった。




